ふくろう医者の診察室

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花粉に慣れて、かゆみサラバ 「スギ」に舌下免疫療法 7〜8割効果、薬不要の人も

今年もスギ花粉症のシーズン本番が近づいてきた。
日本人の4人に1人は鼻水や目のかゆみに悩まされているともいわれる。
その根本的な治療になりうると期待されるのが「舌下免疫療法」だ。
花粉のエキスを毎日少量ずつ摂取し、体が花粉に慣れるようにしてアレルギー反応を抑える。
実用化から3年目を迎え、効果を実感する人も増えてきた。

東京に住む20代の会社員の男性は、中学生のころから毎年、花粉症による鼻水や鼻づまりに苦しめられてきた。
だが2015年の夏に舌下免疫療法を始めたところ、翌16年の春にはほとんど薬を併用せずに過ごせたという。「花粉症がないと春はこんなに楽なのか」と少し驚いた様子だ。
 
花粉症は本来は体に害のない花粉によって起きる。
空気中を大量に飛ぶ花粉が鼻や目の粘膜から体内に入り込むと、体はこれを異物として認識し、排除しようとする免疫が働く。
花粉にくっつく抗体ができ、抗体はマスト細胞(肥満細胞)という免疫の細胞に結合する。
するとマスト細胞はヒスタミンなどの化学物質を放出し、鼻水や鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどの症状を引き起こす。
 
本来は体を守るためにある免疫が過剰に働き、こうした炎症をもたらすことをアレルギー反応という。
花粉症薬はヒスタミンの働きを抑える作用があり、症状は和らぐが、花粉症を起こさないようにはできない。
 
花粉を少しずつ摂取して体を慣らしていけば、アレルギーを抑え、花粉症を治すことができるのではないか。
こうした発想から生まれたのが免疫療法だ。

    □     □

欧州では1980年代後半から、花粉のエキスを舌の下に垂らし、口の粘膜から吸収する舌下免疫療法が始まった。
日本に多いスギ花粉症にも効果があるのかを調べる臨床試験が実施され、結果は良好。2014年に日本でも承認され、健康保険の適用になった。
 
免疫療法自体は新しいものではない。
1970年代には花粉のエキスを皮下注射する手法があった。
ただ2〜3年間通院して注射を受けねばならず、負担が大きい。
まれにぜんそくの発作や命にもかかわるアナフィラキシーショックなどの副作用が起きるとされ、次第に行われなくなった。
 
より負担の少ない手法として実用化されたのが舌下免疫療法だ。
まず血液検査でスギ花粉症であることを確かめる。
スギ花粉から作ったエキスを1日1回舌の裏側に垂らし、2分間なじませてから飲み込む。
 
口の粘膜を通じてエキスが体内に入る。
エキスの量や濃度を段階的に上げることで体がスギ花粉に慣れ、つらい症状が起きにくくなるとみられる。副作用として、口の中の腫れやかゆみなどが出ることもある。
 
大事なのは毎日続けることだ。
しっかりとした効果を得るために最低でも2年間、できれば3年間続けたい。
 
3割負担の保険診療で、料金は1カ月1000円程度。
2〜3年続けるとなると数万円かかり、このほか検査費用なども必要だ。
現在全国で約6万人が治療を受けているという。
 
千葉大は日本医科大学多摩永山病院、埼玉医科大学などと共同で、治療を始めた患者に15年と16年にアンケート調査を実施した。
 
7〜8割の患者は例年より症状が軽くなり、おおむね期待通りの効果が得られたと回答。
治療を始めて1回目のシーズンより2回目の方が症状は軽くなり、効果を感じる人も増えた。
16年は薬を併用せずに済んだ患者が2割程度いた。

    □     □

主観的な感想はとかく良い方に振れがちなので注意が必要だが、患者からの評価は高い。
 
ただし今年の花粉に備えて舌下免疫療法を始めることはできない。効果が出るのに2〜3カ月かかるうえ、花粉の飛散期に始めると予期せぬ副作用が起きる恐れもあるからだ。
 
現在、治療対象は12歳以上に限定されているが、12歳未満の子どもについても臨床試験(治験)が進められている。
 
免疫療法が効く詳しいメカニズムは分かっていない。
東北大学の菅原俊二教授らはマウスに舌下免疫療法を行い、免疫のブレーキ役となる制御性T細胞が増えることを見つけた。
アレルギー反応を抑えるブレーキの働きが効果をもたらしている可能性がある。
人で直接調べるのは難しいが、メカニズムが分かればより効果的な治療法につながる。

 
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予防効果検証へ臨床試験
花粉症は、いったん発症するとほとんど自然治癒はしない。
発症する前に免疫療法を受け、花粉に体を慣らしておけば、発症を防げるかもしれないと期待されている。
千葉大学や山形大学などは共同で、2014年から舌下免疫療法による花粉症の予防効果を検証する臨床試験(治験)を始めた。
   
まだ花粉症を発症していない人に12〜4月に舌下免疫療法を受けてもらい、受けていない人と発症する割合が違うかどうかを調べる。
14年12月に始めた人は今年で3回目の花粉シーズンを迎え、16年12月の人は今春が初めての飛散期だ。
予防効果が何年ぐらい続くのかも調べる。
結果は今年夏ごろにはまとまる見通しだ。
先行して千葉大学が単独で実施した試験では予防効果が見られたという。
 
免疫療法は発症する前の方が効果が出やすいとの見方もある。
特に子どもには予防が重要だ。

参考
日経新聞・朝刊 2017.2.19

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がん患者に「第二の我が家」 NPO、ケア施設を開設 心配事、看護師らに相談

自分や家族ががんになったら・・・。
2人に1人ががんにかかるといわれる今、こうした悩みが身近になっている。
治癒率の向上や入院日数の短縮でがんを抱えながら家庭や職場で過ごす人も多い。
先ごろNPO法人マギーズ東京が「自分を取り戻す居場所」を掲げて施設を開設。
病院でも相談支援に力を入れ始めた。
 
東京のゆりかもめ「市場前」駅から歩いて3分。
東京湾に面した空き地の一画に木造のおしゃれな建物が立っている。
昨年10月にオープンしたマギーズ東京だ。
大きな窓からは日差しが降り注ぎ、室内にはゆったりしたソファや大きなテーブルが置かれている。

家と病院の中間にある場所として、患者や家族が自分を取り戻し、これからの生き方を考える第二の我が家を目指す。
 
マギーズセンターの発祥は英国。
がんを患った造園家の女性が、生きる希望を育む場所をつくりたいと考えた。
1996年に第1号が誕生。
彼女自身は完成を見ずに他界したが遺志は受け継がれ、英国内だけでなく海外にも広がっている。
 
施設は寄付で運営され、利用は無料だ。
予約もいらない。
看護師と話したり臨床心理士、栄養士に相談したり。
黙ってお茶を飲み、本を読むだけでもいい。
患者や家族など月に約300人が訪れる。

「がんをきっかけに人間関係がぎくしゃくし、孤立感を募らせる人は多い。どう暮らせばいいのか、妊娠はできるのか。心配や愚痴を聞き、前に進む背中を押してあげたい」と関係者はいう。

各地のがん診療拠点病院でも、患者や家族の支援に力を入れ始めている。
千葉県柏市の国立がん研究センター東病院は、3年前に相談支援体制を強化。
それまでのソーシャルワーカーに加えて医師や看護師、薬剤師、管理栄養士など多職種が連携したサポーティブケアセンターを立ち上げた。
 
患者の療養生活をあらゆる側面から支援する。
地域や企業の協力も得て、社会保険労務士による相談、化粧品会社のカバーメーク教室なども行っている。
 
どの段階でどんな支援が必要かの研究もする。
昨年は千葉県と組み、企業が医療者に何を望んでいるかアンケートを実施した。
1位は「当面の治療期間や通院頻度を知りたい」だった。
 
これらをもとにリーフレット「がんと診断されても、すぐに仕事を辞めないで!」を作成し配布を始めた。がんと言われたらすぐに仕事を辞める人が多いが、それでは生活設計が難しい。
 
東京都のがん研有明病院も支援に力を入れる。玄関を入ると、右手にがん相談支援センターの看板、相談ブースがずらりと並ぶ。
奥には本や冊子を置いた情報コーナー。
「何かお困りの際には、がん相談支援センターに」の案内がある。
 
専任のソーシャルワーカー1人、専門看護師4人、兼任の医療ソーシャルワーカー7人が相談にあたる。
相談件数は昨年で約5000件。
 
「患者、家族は忙しい医師や看護師に遠慮して聞きたいことも聞けないでいる。主治医への相談の仕方、信頼関係の作り方をアドバイスすることが多い」と当センター看護師長は話す。
 
「幼い子どもに話すべきか」「夫に『親に心配させたくないから話すな』と言われたが本当にそれでいいのか」。
こうした悩みも寄せられる。
医療は急速に進歩したが、心や生活への支援はこれからだ。

    ◇     ◇

拠点病院にも相談窓口
厚生労働省は地域がん診療連携拠点病院の指定要件として院内に「がん相談支援センター」を設置することを義務付けている。
現在、全国に399ある拠点病院は専従のスタッフを置き、患者や家族、地域住民の相談を受けている。
だが周知は不十分なうえ、病院によって内容にも差がある。
 
医療の進歩で治療しながら働く人が増え、就労への関心も高まっている。
昨年10月に内閣府が働き方改革の一環として「治療と仕事の両立」を発表、国が策定するがん対策基本計画でも就労が重点課題になっている。
厚労省がん・疾病対策課のある相談支援専門官は「まず相談窓口を知ってほしい。また一度離職すると再就職は難しい。不本意な離職は避けたい」と話す。

参考
日経新聞・夕刊 2017.2.16

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がん投薬治療、遺伝子で選ぶ 変異突き止め「適剤適処」

がんは遺伝子で治療法を選択する時代に入った。
同じ臓器のがんでも原因となる遺伝子の違いによって、薬の効果や副作用が異なる。
次世代シーケンサーと呼ぶ解析装置を使い、患者のがん遺伝子の変異を迅速に調べて最適な薬を選ぶゲノム(全遺伝情報)診療が相次ぐ。
4月から北海道大学が、5月から国立がん研究センターが専門部署を立ち上げ、新時代のがん治療を開始した。

北海道大学は4月、「がん遺伝子診断外来」を開設し、週2回の割合で検査をしている。
手術や既存の抗がん剤など標準的な治療法が難しくなった進行がんや、再発がん患者の遺伝子を調べて最適な治療方針を提案する。
 
従来はがん遺伝子を1個ずつ調べていたが、同大が三菱スペース・ソフトウエアと共同で開発したがん遺伝子解析システムを使えば、迅速に160種類以上のがん遺伝子の変異が同時に分かる。
 
ヒトの全遺伝子は約2万5000種類あり、がん関連遺伝子は500種類とされる。
既に特定の遺伝子の異常を標的とした分子標的治療薬は現在50種類ほどあり、治療薬選択の対象となる遺伝子は30種類程度あるという。

◇     ◇

北大の遺伝子検査法は遺伝子の数の違いなどで3種類ある。
いずれも費用は自己負担になる。
北大が独自に解析する方法は2種類あり、24種類のがん遺伝子を調べる検査が約40万円、160種類の遺伝子を調べるものが約70万円かかるが、結果は2週間でわかる。
検査する遺伝子数が210種類と最も多い方法は米国に検査を依頼するため、結果がわかるのに5週間ほどかかり、費用も約100万円と高額だ。
 
検査の対象になるのは既にがんと診断された通院の患者。がんの標準的な治療を受けている膵臓がんや大腸がんの患者が毎週6人ほど検査を受けている。
標準治療の手段がなくなったとき、新たな治療の選択肢を探るために検査を受けている人がほとんどだという。
 
まだ検査結果がわかった患者は12人にすぎないが、7割弱で治療薬の選択につながる遺伝子の異常が見つかり、このうち3分の1程度が臨床試験に参加するなど新たな治療に結びついたという。
 
検査の結果、国内で承認済みや臨床試験中の薬などが効くかどうかの情報が入る。
国内で臨床試験が進んでいれば、試験に参加できる可能性が出てくる。
 
例えば、肺がんの原因遺伝子にはEGFRやALK、HER2、RET、ROS1といった種類がある。
EGFRとALKが原因であれば、保険が利く薬を使えるが、HER2では乳がんや胃がんを対象にした保険適用外の薬しかない。
この薬は肺がんに適用を拡大する臨床試験が国内で進んでおり、条件がそろえば、試験に参加することも可能になる。

◇     ◇
 
国立がん研究センター中央病院は5月から患者の遺伝子の情報を利用して、がんの特効薬を見つけたり、副作用を回避したりするゲノム診療の臨床研究に着手した。

各科の医師が標準的ながん治療が効かなくなった患者に対し、遺伝子検査について説明。同意を得た上で、患者からがん細胞と正常細胞を採って遺伝子を調べる。
 
調べるのは、がん治療の選択に関わっている約100種類の遺伝子。結果は最短2週間でわかり、担当医が患者に結果を説明する。
検査結果は多くの場合、同センターで臨床試験中の薬の選択に役立てる。
検査にかかる費用は、臨床研究として実施するので同センターが負担する。
 
同センター研究所が独自の遺伝子診断システムを開発するため、検査を受けた約130人の患者のうち、治療選択に有効な遺伝子異常が見つかったのは約4割。
初期の治験に参加できたのは全体の約1割で、このうち約6割で治療効果が得られたという。
治療効果があった患者総数はまだ少ない。
 
治療効果が期待できる薬が見つかっても患者の体調が悪かったり、体調がよくてもうまく合う薬がなかったりすることもあるからだ。
 
ただ、遺伝子の網羅的な解析によって、これまでに見つかっていなかった異常を発見でき、その結果に基づいて治療に道が開ける患者もいるので、ゲノム診療は今後、ますます必要になる。
 
京都大学などはどのような遺伝子変異があった患者に、どのような薬が投与され、有効性や副作用がどうだったかというデータを蓄積する日本人の「がんゲノムデータベース」を進めており、北大なども情報を提供する計画だ。
このデータを活用することで、がんのゲノム診療が加速することが期待される。

◇     ◇
 
全遺伝子調べるゲノム検査 病気や副作用解明の糸口
ヒトの全遺伝子を調べるゲノム検査は、病気の予防や治療に役立つ。
次世代シーケンサーと呼ぶ遺伝子解析装置を使って、ヒトの遺伝情報を読み解き、病気の原因になる遺伝子の異常などを検出する。
 
正常細胞を調べれば、遺伝性のがんにかかりやすいかどうかや、糖尿病など生活習慣病へのなりやすさ、治療の副作用の起きやすさなど生まれつきの体質を調べることができる。
病気の早期発見や発がん抑制などに生かせる。米国の女優、アンジェリーナ・ジョリーさんはゲノム検査で遺伝性乳がんの可能性がわかり、予防のため、乳房を切除した。
 
ただ、検査の精度やリスクを正しく理解し、結果を自分や家族がどう受け止めるか検査前に家族や遺伝カウンセラー、主治医らと相談する必要がある。
 
一方、がんなどの患者の組織や血液中の細胞を使ってヒトの全遺伝子を解読し、患者に合った治療法の選択に生かすのが個別化医療だ。
同じがんでも原因となる遺伝子が異なるため、患者によって通常の抗がん剤が効かなかったり、副作用が強く出たりすることがある。
各患者の遺伝子を調べてがんに特有の遺伝子変異を特定できれば、副作用がより少なく、効果がより高い治療薬の選択などに道が開ける。

 
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[日本経済新聞朝刊2016年5月15日付]

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がん10年後の生存率58% 5年後は69%に上昇 医療進歩と早期発見

国立がん研究センターは、2000〜03年にがんと診断された人の10年後の生存率は58・5%だったと16日付で発表した。
10年生存率の算出は昨年に続き2回目で、0・3ポイントとやや上昇した。
 
06〜08年にがんと診断された人では、5年後の生存率が69・4%と判明。
統計を取り始めた1997年の患者よりも約7ポイント高かった。
検診などによる早期発見の取り組みや、抗がん剤や放射線治療などのがん医療の進歩が生存率の向上につながったとみられる。
 
研究チームは「約10年以上前にがんにかかった人の生存率で、現在はさらに治療成績は向上している」と指摘。

10年生存率は今後も改善していくものと期待される。
 
10年生存率は、全国の20施設で診断された約4万5千人を分析。
患者の多い主ながんでは、胃がん67・3%、大腸がん69・2%、肝臓がん16・4%、肺がん32・6%だった。
前立腺がん(94・5%)や甲状腺がん(89・3%)の経過が良い一方、進行が早い膵臓がんは5・1%と低かった。
 
がんの進行度を示すステージ別では、早期の「1期」と診断された人の生存率は全てのがんを合わせ85・3%だったが、リンパ節に転移するなど進んだ「3期」では40・9%に低下。
早期に発見し治療を始めるほど経過の良いことがあらためて確認された。
 
部位別の生存率を5年後と10年後で比べると、胃がんや大腸がんはほぼ横ばいだったが、肝臓がんは34・1%から16・4%、乳がんは89・3%から81・7%と大きく低下した。
 
部位別やステージ別、治療法別などの生存率は「全国がん(成人病)センター協議会」のホームページで公開される。


がん生存率
がんと診断された患者が生きている割合を、経過年数ごとに算出した数値。
がんの医療を評価する指標の一つに使われる。
国立がん研究センターが算出したのは、がん以外の死亡の影響を除いた「相対生存率」で、100%に近いほど治療で命を救えることを示している。
がんの部位や進行度、治療法ごとに集計して、早期発見や治療の効果の評価に役立てる。

参考
共同通信社 2017.2.16



全がん協生存率調査 全がん協生存率
http://www.zengankyo.ncc.go.jp/etc/2006-2008_05all.html
(残念ながらあまり見やすくありません)

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今年から市販OTC薬も年1.2万円超で控除対象に

近所のドラッグストアで風邪薬を購入したら、友人が「額がそんなに多くなくても医療費控除できるようになったから、レシートはとっておいた方がいいよ」とアドバイスしてくれました。
医療費控除の仕組みが変わったのですか?

 
これまでの医療費控除の制度はそのままに新たな特例が加わった。「セルフメディケーション(自主服薬)税制」などと呼ばれる。
2016年度の税制改正に盛り込まれ、17年1月から正式にスタートした。

従来の医療費控除は年間の医療費が10万円(総所得が200万円未満の人は総所得の5%)超とハードルが高かったが、特例では対象となる医薬品の合計金額が年間で1万2000円を超えれば適用される。
超えた分の金額(上限は8万8000円)を控除できる。

「軽度な体の不調については自宅で市販薬を服用して自ら治療する『セルフメディケーション』を推進する」(厚生労働省)のが導入の趣旨。
膨らみ続ける国の医療費負担を抑える手立てのひとつといえる。

特例の実施は21年12月末までの5年間。
従来の医療費控除より金額が大きく下がり、手軽さが増す。
病院に行くのが面倒で市販の医薬品で対応しているという人も利用できるかもしれない。
自分だけでなく、生計をともにする配偶者や家族の分も合算できる。

対象となるのは「スイッチOTC医薬品」と呼ばれる医療用から転用された医薬品だ。
風邪薬や胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬、肩こり・腰痛の貼付薬など品目数は1500を超え、薬局で扱う商品の多くを占める。
該当するのは医薬品のみで、購入の際に利用した交通費などを含めることはできない。

厚労省の資料では、対象医薬品を2万円購入した場合を例に挙げている。
基準となる1万2000円を上回った8000円分が課税所得から控除され、減税額は所得税(税率20%)で1600円、個人住民税(同10%)800円の計2400円と説明する。
1万2000円を超えた金額が丸々戻ってくるわけではない。

特例を使った確定申告は来年からになる。
今年1〜12月に購入する対象医薬品のレシートや領収書は保管しておく必要があるので注意しよう。
それ以前のレシート類は使えない。

確定申告の際には「健康の維持増進や疾病の予防に一定の取り組みをしている」という証明書類も必要だ。会社の定期健康診断や市町村のがん検診、メタボ健診などを受けていれば、その結果通知表(コピー可)を提出する。
予防接種の領収書でもよく、インフルエンザの予防接種などは身近な例だろう。
証明書類は申告する人の分だけでよい。

今回の特例と従来の医療費控除を同時に利用することはできない。
両方使えるケースでは、確定申告する人がどちらかを選ぶことになる。

 
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参考
日経新聞・朝刊 2017.1.11

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その薬・検査は必要?

その薬・検査は必要? 米「賢い選択」運動、日本でも 医師らに意識改革求める

不必要な医療行為をなくそうと、「Choosing Wisely(賢い選択)」と呼ばれる米国の医療界発の取り組みが日本で始まった。
不必要な投薬や検査が横行すれば、弊害を及ぼすこともある。
「その薬や検査は本当に必要か」。
医師と患者が一緒になって見つめ直し、無駄を省いて医療の質を向上させようという試みだ。

「抗生物質は出してもらえるんですか?」。
ある診療所で熱や鼻水など風邪の症状のため来院した50代の女性患者が尋ねた。
医師は「抗生物質は(風邪の原因の)ウイルスには効き目がない。それよりきちんと栄養を取って休むことが大切ですよ」と教えた。

過剰投与で副作用
不安だから、と処方を求める患者は少なくないという。
しかし過剰投与は「薬剤耐性菌」を生む温床となる。効き目が弱まったり、全く効かなくなったりするため、耐性菌による感染症にかかると治りにくい。
さらに抗生物質に限らず、多種類の薬を一緒に服用すれば臓器障害などの副作用が出る恐れもある。

不要な投薬を求められたとき、患者との間に信頼が土台にあれば説明に理解を得られる。
日々の診療で「息子の嫁とうまくいかない」といった悩みにも耳を傾け、関係構築に努める。

この治療方針は2012年に米内科専門医認定機構財団が始めた「Choosing Wisely」に沿ったものだ。
医師らが「不必要な医療行為をやめよう」と訴えかける活動。
取り組みは17カ国に広がる。

カナダもその一つ。
推進団体代表、トロント大学のウェンディ・レビンソン教授(内科学)は10月、日本で医療関係者向けに講演し、「患者に利益をもたらさない医療行為をやめることは医師の責務。本当に必要なのか、自問自答すべきだ」と訴えた。

なぜ無駄ともいえる医療が行われるのだろうか。
レビンソン教授は安心感を得ようと薬や検査を求める患者の存在のほか、医師らが▽最新の検査機器を使いたがる▽従来行ってきた治療法を変えたがらない――などの問題を挙げる。

検査に頼らぬ診察
米国ではそれぞれの学会が、計700以上の注意すべき医療行為を公開している。
例えば小児の中耳炎。
2歳以上は比較的自然に治りやすいとし、安易に抗生物質を使わないよう呼びかける。
救急外来では頭にけがをした子供の約半数がコンピューター断層撮影装置(CT)で検査されるが、学会は軽傷のケースが多く、3分の1は不要と主張。
検査に頼らず、頭蓋骨の骨折の兆候などを診察で見極めることが大事だとする。

日本の厚生労働省も海外の動向に注目。
20年後を見据え、15年に公表した医療制度改革の提言「保健医療2035」でChoosing Wiselyに言及、検査や治療を選ぶ際は的確に吟味する必要性を盛り込んだ。

総合診療医が参加する「ジェネラリスト教育コンソーシアム」は注意すべき行為を独自に書籍で公開。
軽い腹痛なら自然に治ることもあり、よく診察した上でのCT検査の実施などを提言している。

ただ提言が5項目にとどまるなど、徳田医師は「他国に比べ取り組みが遅れている」と話す。5月にローマで開催された世界会議では、先行する海外の事例に驚かされたという。

米国には、医師が薬や検査の発注を電子カルテで行おうとすると「本当に必要なのか」と問いかけてくるシステムを構築した医療機関がある。
オーストラリアでは動画投稿サービスを使い、過剰な投与や検査への注意を患者に呼び掛ける活動に力を入れていた。

国内でも10月、任意団体「Choosing Wisely Japan」を発足。
主要学会に米国のように多くの行為の公開を求める。
団体代表は「様々な意見がある中で学会として公開するのは容易でない。公開後は医師に守るよう指導し、実効性を確保する必要がある」と話す。

   ◇     ◇

CT・MRIの台数 人口当たり、世界一
経済協力開発機構(OECD)によると、日本は人口当たりのコンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)の台数で世界一だ。
人口100万人当たりの日本のCT台数は107台(2014年)。
ドイツが同35台、米国が同41台(15年)と日本は3倍前後の水準だ。
MRIも同様で、日本の台数の多さは際立つ。

これら検査機器に投じた資金を回収するため、「病院で不必要な検査が行われているのではないか」という指摘がある。
一方で国内に広く普及したことで、病気の早期発見につながっているという意見もある。

 
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参考
日経新聞・朝刊 2016.12.18


<関連サイト>
CHOOSING WISELY JAPAN
http://choosingwisely.jp

過剰医療にメス!日本版Choosing Wiselyが始動
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201610/548783.html
(要パスワード)

Choosing Wisely 記事一覧|メディカルノート - Medical Note
https://medicalnote.jp/groups/4/contents

Choosing Wisely(不要な医療をやめる)(前編)
http://www.stellamate-clinic.org/blog/2015/01/144-choosing-wisely-121-1075226.html

Choosing Wisely(不要な医療をやめる)(中編)
http://www.stellamate-clinic.org/blog/2015/02/145-choosing-wisely-220-1094660.html

Choosing Wisely(不要な医療をやめる)(後編)
http://www.stellamate-clinic.org/blog/2015/03/146choosing-wisely320-1113983.html

Choosing Wisely
http://www.choosingwisely.org/doctor-patient-lists/
(英文ですが医療関係者にはこのサイトが非常に参考になります)

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風邪、薬に頼りすぎず

風邪、薬に頼りすぎず 抗菌薬もウイルスには効果なく

うがいや手洗いなどで気をつけていても風邪をひくことはある。
風邪をひいたら無理せずゆっくり休養をとるのが基本。
とはいえ、受験生や社会人はそうもいかない。
そんなときに市販の風邪薬を飲むことは多いが、あくまで症状緩和が目的と心得よう。
 
一般に風邪というが、医学的には「かぜ症候群」と呼ばれる。
原因の80〜90%はウイルスと呼ばれる病原体。
風邪を起こすウイルスには、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルスなどがある。
 
気温が低く乾燥するこの時期は、風邪の原因ウイルスが飛散しやすいため、風邪をひく人が多くなる。
風邪を予防するには原因となるウイルスを寄せ付けないのが一番。
外出時のマスクや、帰宅時の手洗いやうがいといった基本的な対策が欠かせない。
 
とはいうものの、年に何回かは風邪をひいてしまうという人も多いだろう。
気象情報提供会社の調査では、1年間に風邪をひいた回数は平均2.3回との報告もある。

まず休養が基本
風邪をひいたら、まずはゆっくり休養を取り、水分や栄養を補給することだ。
そもそも、風邪の主な症状である鼻水やせきは、ウイルスを外に排出しようとする体の働き。
熱が出るのも体の免疫機能を働かせてウイルスに対抗するためだ。
私たちの体には本来、風邪を治す力があり、一般的には数日〜1週間もすれば自然に治る。
つまり、風邪に対して通常、薬は必要ない。
 
ところが、抗菌薬(抗生物質)を飲めば風邪が治ると誤解している人がいまだにいる。

私的コメント
「風邪には抗生剤は効かない」ということは今や常識です。
しかし、風邪を引いた翌日にでも抗生剤が効く状態になっていることがあります。
それは風邪によって傷んだ気道粘膜に細菌感染を起こすことがあるからです。
これを専門用語では二次感染といいます。
このように「風邪には抗生剤は効かない」ということは、ある意味では正しいのですが、正しくないともいえます。
こまめに症状の変化をチェックして、抗生剤の使用を躊躇(ためら)わない柔軟な考えも必要です。

抗菌薬は、細菌には作用するがウイルスには作用しない。
だから、ウイルスが原因である風邪には無効。
それどころか有害なこともある。
なぜなら、胃炎など抗菌薬の副作用が生じるリスクがあるのに加え、抗菌薬が効かなくなる細菌(耐性菌)を生み出す可能性があるからだ。

私的コメント
風邪の際の抗生剤使用の「負の面」ばかりが強調されていますが、抗生剤の「乱用」により溶連菌感染が原因のリウマチ熱が見られなくなり、この病気の結果起こるリウマチ性弁膜症がほとんど見られなくなりました。
長い間医師をしていると40年以上前にはよく見かけたリウマチ性弁膜症がほとんど影を潜めていることに驚きを禁じ得ません。
(現在みられる弁膜症のほとんどは非リウマチ性弁膜症です)

市販の風邪薬を使う人も多いが過信は禁物だ。
ある製薬会社が20〜30代の会社員などを対象(回答数620)に調べたところ、約6割が医療機関を受診せずに市販の風邪薬で治そうと考え、実際によく購入すると答えた。
 
市販の風邪薬、いわゆる総合感冒薬は、風邪を「治す」のではなく、あくまで症状を「和らげる」のが目的。
ほとんどの総合感冒薬で、鼻水や鼻づまりを抑える成分、解熱・鎮痛作用のある成分、たんを出しやすくする成分、せきをしずめる成分など、複数の成分が組み合わされている。

使い慣れた薬を
総合感冒薬の効能を知るには、どんな成分が含まれているかを確認すればよい。
薬の外箱や中の添付文書に書かれている。
製薬会社や医薬品医療機器総合機構のウェブサイトで調べることもできる。
他の病気で薬を飲んでいる人は、成分の重複や他の成分との相互作用が生じないか、薬剤師に確認してもらおう。
 
なお、鼻水や鼻づまりを抑える抗ヒスタミン作用のある成分は眠気を催しやすいので、服用中の車の運転や機械操作は避ける。
また、解熱鎮痛薬には十分気をつけたい。
小児の発熱にはアセトアミノフェン入りの薬を選ぶ。
ブランド名が同じでも「小児用」と書かれている薬には鎮痛成分としてアセトアミノフェンが含まれる。
まれだが、成人でもスティーブンス・ジョンソン症候群という重い皮膚の副作用の報告もあるので注意が必要だ。

総合感冒薬は種類がとても多いので、店頭で何を選べばよいか迷いがち。
人によって薬との“相性”が違う。
使い慣れた薬があればそれが良い。
以前に飲んだ経験があれば、副作用の回避にも役立つ。
風邪は自然に治ることから考えても、効能に細かくこだわるより合う物を優先する。

  ◇     ◇

インフルエンザは感染力強く
インフルエンザも広い意味でかぜ症候群に含まれる。
以前はインフルエンザウイルスによる風邪を「流行性感冒」、それ以外を「普通感冒」と呼んでいた。
流行性感冒の名の通り、インフルエンザは感染力が高く、症状も強いのが特徴だ。
 
インフルエンザウイルスを調べる検査キットや、インフルエンザウイルスに効く薬が開発され、インフルエンザの診断と治療は大きく変わった。
予防の面では、インフルエンザにはワクチンがあるが、風邪の原因となるライノウイルスやアデノウイルスに対するワクチンはない。
そのため現在では「風邪」と「インフルエンザ」を分けることが一般的だ。

私的コメント
「インフルエンザウイルスに効く薬」「インフルエンザにはワクチンがあるが、風邪に対するワクチンはない」・・・
この書き方では、恰(あたか)もインフルエンザには予防も治療ま可能であるといった誤解を招きかねません。
これらの効果の過信は禁物です。

参考
日経新聞 2017.1.26

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チョコの健康効果

チョコの健康効果

心血管疾患から腸内フローラまで幅広い効果、ただし食べ過ぎには注意
多くの人が大好きなチョコレートだが、昔は「虫歯になりやすい」「ダイエットの敵」などと健康面ではネガティブなイメージがあった。
しかし、ここ数年、チョコレートの健康効果が大きく取り上げられるようになり、「健康にいい食品」に仲間入りするようになった。
最近では、スーパー、コンビニのお菓子売り場だけでなく、ドラッグストアなどでもチョコレート売場が大きなスペースをとるようになっている。
 
しかし、「チョコレートにどんな健康効果があるの?」と聞かれて、きちんと説明できる人は意外と多くないのではないだろうか。

チョコレートはポリフェノールが豊富!
チョコレートの健康効果というと、多くの人が思い浮かべるのが「ポリフェノール」だ。
健康志向のチョコレート商品には、「高ポリフェノール」だと表示されているケースがよくある。
 
ポリフェノールは、植物性食品の色素や香り、苦味、辛味などの化学成分である「フィトケミカル」の一種で、約8000もの物質の総称だ。
そのなかで、化学構造に応じて、さまざまなグループに分類されている。
例えば植物エストロゲンともいわれるイソフラボンやスチルベン、フラバノールなどが代表だ。
 
このうちフラバノールが、チョコレートやココアの主原料となるカカオ豆には豊富に含まれている。
実は、チョコレートには赤ワインより多くのフラバノールが含まれているのだ。

では、チョコレートやココアに含まれるフラバノールの健康効果はどうなのか。
 
生体内で合成され、さまざまな機能を持つ窒素酸化物の1種である一酸化窒素は、血管内皮細胞から作られる。
この一酸化窒素が、血管の健康状態を維持する血管内皮機能を調節している。
フラバノール含有量の高いココアを摂取すると、一酸化窒素が増え、血管拡張(血圧低下)、血小板凝集抑制(抗動脈硬化)などにつながる。
また、血圧についても、数値の低下が報告されている。
 
しかし、ほとんどの市販のカカオ製品は、たくさん摂取すると、飽和脂肪酸や糖分により、カロリー(500kcal/100 g)のとり過ぎになる。
そして、カカオのプラスの効果を打ち消すほどの、体重増加や血糖の上昇を招く。
食べ過ぎには注意が必要だ。

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風邪をひきやすいのは免疫力が下がる睡眠中

寝室の加湿かマスク着用は必須! 浅い眠りに要注意
仕事やプライベートの時間をやりくりするために、真っ先に削ってしまうのが「睡眠」。
また年齢とともに、眠りが浅くなったり、目覚めが悪くなったりする人も多い。
 
風邪対策の基本は「うがいと手洗い」。
帰宅したとき、手やのどについたウイルスを洗い流すことが大切なことは誰もが知っている。
しかし、それに加え、予防の上では睡眠中のケアが非常に大切なことを知っている人はあまりいないのではないだろうか。

風邪は眠っているときにひきやすい
風邪は眠っている間にひくことが圧倒的に多い。
言われてみれば、朝の起床直後に「なんか、のどが痛いな」「熱っぽい」「だるい」と、風邪をひいたことを自覚するケースが多い。
それは決して気のせいではない。
睡眠中は体の免疫力が落ちるために、風邪をひきやすいからなのだ。
 
睡眠中は免疫機能の中心的役割を担うマクロファージなどの免疫細胞も活発に働けないし、唾液の分泌も少なくなる。
鼻やのどの粘膜が乾くとウイルスに対する抵抗力が落ちる。
口で呼吸している人は、特にのどの粘膜が乾きやすい。
 
唾液の分泌が多い昼間は粘膜の防御力も強く、口に入ったウイルスは飲み込んで胃酸によって殺してしまうので増殖できない。
しかし睡眠中は乾いた粘膜にウイルスが貼りつき、増殖しやすい。
 
では、睡眠中に風邪をひかないようにするにはどうしたらいいのだろう。

基本は保湿! ハウスダスト対策も忘れずに
1. 部屋の保湿
もっとも有効な対策は“保湿”だ。
日中に加湿器を使う人が多いが、風邪をひかないためには、寝室にこそ保湿機を設置しよう。
湿度が低く、空気が乾燥していると、風邪のウイルスも乾いて軽くなる。
空中に浮遊して、鼻や口に入りやすくなるのだ。
また、湿度を50%以上に保つとウイルスの95%は活動できなくなる。

2. 顔の周りの保湿
マスクを着けて寝ると、呼気に含まれる水分によって、口腔内の湿度を高く保つことができる。
特に保湿しやすいガーゼのマスクがお勧めだ。
実際、アナウンサーや声優など、のどを大切にしている「声のプロ」はマスクを着けて寝る人が多いという。
 
最近は、睡眠中に顔の周りの湿度を50%以上に保つ小型保湿機が販売されている。
マスクを着けて眠るのに抵抗がある人は利用するといいだろう。

3. 空気清浄機を使う
花粉症対策と同じく、睡眠中に空気清浄機を使うのも有効だ。
完全にとはいかないが、部屋の中にいるウイルスをかなり除去することができる。

4. ハウスダストを減らす
汚れた寝具を使っていると、睡眠中に風邪をひきやすい。
体内の免疫細胞がダニやホコリなどの対応に追われて、風邪のウイルスにまで手が回らなくなるためだ。
寝具からダニやホコリを取り除くには、まめに掃除機をかけることが大切になる。
 
天気のいい日は布団を干したくなるが、「日光」ではダニは十分に殺せず、風邪の予防にはほとんど効果がない。
布団乾燥機を使うほうがいい。

睡眠の質と量が悪いと免疫力が落ちる
これらの対策に加えて、もっとも重要なのは良好な睡眠を取ることだ。
多くの研究から、睡眠の質や量が低下すると免疫力も落ちてしまうことが分かっている。
 
例えば女性を対象に、睡眠時間と風邪をこじらせ肺炎になるリスクの関係を調べた調査がある。
睡眠時間が8時間の人に比べて、5時間以下の人は1.39倍、9時間以上の人は1.38倍、肺炎になるリスクが高いことが分かった。
短いのはもちろん、長く眠りすぎてもいけないわけだ。
長く眠りすぎると、多くは中途覚醒や浅い睡眠が増えて、睡眠の質が悪くなる。
 
また、米国で153人の鼻粘膜に風邪のウイルス(ライノウイルス)を付着させ、2週間で何人が発症するかを調べたユニークな実験も行われている。
ここでは睡眠の量(時間)よりも質を重視した。
 
中途覚醒が睡眠時間の2%以下と安定して眠れた人たちは7人に1人しか発症しなかったが、中途覚醒が8%以上の「よく眠れない人たち」は2人に1人が発症。
2%以下の人たちに比べて、5.2倍も発症する危険率が高かったのだ。


「風邪をひいたら寝て治すのが一番」といわれたりするが、しっかりと寝ることは、風邪の予防のためにも大切なのである。
 
風邪のウイルスを撃退するためにも、睡眠の質と量をキープして免疫力を高めよう。

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病気リスク、職業で差

病気リスク、職業で差 集団健診データ解析

メタボ、事務仕事に注意 歯周病、運輸・通信目立つ
集団健診のデータ解析から、職業によって病気のかかりやすさに違いがあることが明らかになってきた。
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)はサービス業で、歯周病は運送業や工場で働く男性に多い。
仕事によって異なる生活習慣が、発症の要因になっている恐れがある。
専門家は「適切に指導すれば予防できる。経営課題として対策を取る必要がある」と強調している。

福島県立医科大学の研究グループは、中小企業で作る全国健康保険協会(協会けんぽ)福島支部と協力し、2012年に同県で検診を受けた約12万人(男性7万4千人、女性4万6千人)のデータを18業種に分けて解析した。

医療・福祉も高く
福島県全体でメタボと診断された人の割合(有病率)を1とすると、農協などの複合サービス事業で働く男性は1.23倍、女性は1.28倍と最も高かった。
また男性では運転が多い運輸業・郵便業(1.21倍)や学術研究・専門技術サービス(1.14倍)で、女性では医療・福祉(1.17倍)で比較的高かった。
 
逆に男性では製造業が0.85倍、女性では卸売業・小売業が0.85倍と低かった。
有病率が高いのは、デスクワーク中心で運動不足に陥りがちな業種。
その傾向が鮮明になった。
女性で医療・福祉が高いのは夜勤による不規則な食事や睡眠不足などが要因という。

ストレスが影響
岡山大学と愛知学院大学との共同研究で、職業ごとの歯周病の発症リスクの違いを調べた。
名古屋市内で歯科検診を受けた3390人(男性2848人、女性542人)を、01〜06年度の5年間追跡した。
 
厚生労働省の職業分類(1987年)で専門的・技術的従事者に当たる人の歯周病発症リスクを1とすると、男性では運輸・通信従事者が2.74倍と最も高く、次いで生産工程・労務従事者の2.52倍、販売従事者の2.39倍と続く。
 
歯周病は口の中の細菌によって起きる慢性の炎症で、糖尿病や認知症などとの関連もあるとみられる。
リスクが高い職種は長時間労働や精神的なストレスの高さなどが指摘されており、同研究グループは「帰宅して歯磨きを簡単に済ませてしまう、歯石を除去したことがないなど、予防行動に差があるのでは」と推測している。また「職場で定期的な歯科検診と指導を取り入れれば改善できる」と訴える。
 
女性の場合、歯周病の発症リスクに職業による差はなかった。
男性に比べて口の中の衛生に注意を払う傾向が高く、差が表れにくいのではないかとみられる。
 
職業間で発症リスクを比較できるようになったのは、08年にメタボ対策として始まった特定健診・保健指導制度がきっかけだ。
健診データの書式が全国で統一され、電子的に記録されるようになった。
その結果、企業や地域に対し的確な保健指導ができるようになった。
 
ただし調査は各人の仕事の内容には踏み込んでおらず、リスクはあくまで統計値。
全ての人に当てはまるとはいえない。
 
日本では就業者の大多数が健診を受けるが、こうした国は珍しい。
国民規模の検診データを解析できる強みを生かし、政府もデータに基づいた健康増進対策に力を入れる。
「分析できるデータを増やし、生活の質を確実に高められる予防策を打ち出したい」と関係者はいう。
 
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参考
日経新聞・夕刊 2017.2.9

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