氏本農園・祝島だより

万葉集に詠われ歴史豊かな自然あふれる、万葉浪漫の瀬戸内海「祝島」での暮らしを氏本農園からお伝えします

こいわい食堂

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『干しひじき販売します』

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 祝島では干しひじき作りの真っ最中だ。
ベテランの島民に混じって、Uターン者やIターン者も加わって作業をしているのを目にすると、なぜかうれしくなる。
 男性陣は生ひじきや炊き上がったひじきの運搬、薪運びなどの力仕事、女性陣は生ひじきの選別や干し網に広げるなどの手先作業と、役割分担もできている。

 こいわい食堂の太佳ちゃんも仕事の合間に民ちゃんチームのひじき作業に借り出される。 そのあおり?で私も何かと手伝うことになる。 そして、我が家で長く休眠していた大釜もひじき炊きのために現役復帰した。(画像参照)
 祝島の天然資源や老若島民の手間、旧設備の復活など総動員だ。

 釜炊きの薪は雑木林の間伐材だし、乾燥は太陽光と海風による天然乾燥なので、完全に脱化石燃料、脱原発の作業が以前から当たり前に続いている。
 こうしてみると、干しひじき生産は、まさに祝島自然エネルギー100%プロジェクトの典型的な取組みなのだ。
 祝島の次代につなげる取組みが少しずつ進んでいるのを実感できると勇気がわいてくる。

 全国各地の農山漁村でもこのような伝統的作業がごく普通に無意識的に行われているのだろうが、東電福島原発事故を受けて、もっとそのことを国民みんなが意識し、評価してもよいのではないだろうか。

 太佳ちゃんや大釜が作業に参加したことで、民ちゃんから干しひじきの現物が支給されて、こいわい食堂として民ちゃんチームの干しひじきの販売が認められた。
 これまで主に島外向け干しひじきの販売を担っていた祝島市場と重複しない新規消費者の開拓、ひじき(祝島特産品)の販路拡大、移住者の経済的自立支援などが狙いだ。

「以下はこいわい食堂の販売広告です」

私の尊敬する師匠、民ちゃんに教えてもらった釜炊きひじきです。
鉄の大釜で3時間ぐらい炊いているので、水で戻しただけで食べられます。

電話は 0820−66−2231(金、土、日、月曜日の午前11時から午後3時まで)

1パック(80〜90g)500円(送料別)で、3パックにつき氏本農園産無農薬のはっさく又はだいだいを1個お付けします。

はっさくやだいだいは、搾ってオリーブオイルや塩コショウと混ぜてひじきサラダのドレッシングに使っても、剥き実をほぐしてひじきや野菜といっしょに和えても美味しいです。(画像はこいわい食堂のひじきサラダ料理例) 

ご注文お待ちしています。

小女将(こかみ) 芳川太佳子

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『太佳ちゃん・首都圏デビュー』

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 15日(日)の東京新聞に、社会面見開き2面を使った「こちら特報部『脱原発のココロ』」欄で「こいわい食堂」小女将(こかみ)の太佳ちゃんが取り上げられた。
 身内びいきになるが、取材の視点や記事中に取り上げられた太佳ちゃんのコメントなどから、記者の感性が伝わる良い記事だと思った。

 たまたまこの日の同紙1面では、横浜市内での脱原発世界大会の記事が大きく取り上げられていて、それの関連記事だったようだ。
 イベント的に大勢で集まって脱原発を論じ、デモをするのも大切だし、署名活動も大切だが、太佳ちゃんがこいわい食堂を通じて実践しているように、誰でも日々の平凡な暮らしの場面で、気張らなくても容易にできる脱原発の取組みも、劣らず大切だと思う。
 これまで着けっぱなしだったコンセントを1つ抜くことも立派な脱原発行動だ。 各戸で1つのコンセントを抜けば、全国では数千万のコンセントを抜いた大きな節電になるのだ。
 
「国や電力会社が変わりたくなくても、私たちは変われる。私たちが変わることで彼らも変わらざるをえない」という太佳ちゃんの言葉には説得力がある。
 ミツバチの羽音は、一匹では髪の毛も動かせないほどの小さな力でも、みんなでブンブンすれば世の中を動かせるほどの大きな風を起こせるということだ。

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『続・お天道さまの恵み』

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 こいわい食堂に太陽光を集めて太陽熱として利用するソーラー・クッカーが登場した。
シンプルな構造で扱いも簡便だし、環境を守ることにとりわけ熱心な小女将(こかみ)太佳ちゃんは、たちまち気に入ったようだ。 我が家に太陽光発電設備の設置工事をしてくれたエコテックという会社が紹介してくれたものだ。

 枇杷茶をソーラークッカーで沸かし、ご飯は果樹を剪定した枯木などを燃して歯釜で炊き、冷蔵庫の電源は太陽光発電、掃除などの生活中水は井戸水、便所は汲み取り不要な無水コンポスト方式と、着々と「お天道さまの恵み食堂」として、小女将の狙いどおり自然エネルギーの自給度を高めている。

 数年前から肉牛プロジェクトのお手伝いで中国内陸部の黄土高原地帯の農村部に足をはこんでいるが、かなりの農家が土壁でかこまれた内庭にこのソーラークッカーを置いていてお湯を沸かしている。
 それでなくてもはげ山のような山肌の潅木がマキとして伐採されるのを防ぐ州政府の対策でもあるらしいが、雨が少なく晴天の多いこの地域ではすごく合理的だと感心し、つねづね祝島でも見習って導入したいと思っていたところだった。

 他にも、村ぐるみで各農家の牛舎床下に糞尿からメタンガスを発生させる発酵槽を設置し台所用燃料にしようと取り組んでいる地域もある。 公共事業大国である中国の農業公共工事だろうとうがった見方もないわけではないが、地方の自治政府レベルでは環境保全に真剣に取り組んでいることも事実だ。

 農村部を貫く高速道路を走っていると頻繁に大型トレーラの車列に出会う。 荷台に積まれているのは発電用大型風車のタワー(柱)やブレード(羽根)だ。 発電用風車の設置台数が世界で最も増加しているのが中国だと何かの資料で読んだ。
 しかし一方で今後建設が計画される原子力発電所数が最も多いのも中国だという。 とにかく国全体で電気エネルギーの需要が急増しているのだ。

 そのことは、くだんの農村地帯を訪問するたびに人々の生活が変化していることからも実感する。
農村部でも携帯電話やテレビはいわずもがな冷蔵庫や洗濯機などの電化製品やファストフード系のカップ麺などの普及が著しい。
 反面、生活排水の処理や使用済みレジ袋や発泡資材の処理などのインフラ整備や人々の意識が追いつけていないので、そのひずみが環境に大きな負荷をかけるようになってきた。
 訪問先の農家でソーラークッカーがお役ご免になって庭の片隅に裏返しにされ、それまで出してくれていた熱い中国茶がペットボトルの中国茶に変わって、ほろ苦い複雑な気持ちを味わうことが増えてきた。

 日本人がそうであったように、電化製品に囲まれた便利な生活に憧れ、そんな生活を求める中国農村部の人たちを少なくとも私は責めることはできない。
 ただ、かつての日本で昭和の時代に、冷蔵庫の普及が各地の優れた伝統保存食やその作り方を衰退させ、結果として食文化の多様性や食への理解度を低下させたのも否めない事実だ。
 そしてその延長線上で日本はさまざまな食を巡る深刻な問題を抱え込んで、社会の大きな不安要因や社会コストを発生させてしまった。  そのようなことを中国が繰り返さないよう願うばかりだ。

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『暮らすということ』

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 今週から「こいわい食堂」が夏休みに入った。
というか夏休みに入ったのは「こいわい食堂」ではなく小女将(こかみ)の太佳ちゃんの方だ。
夏休み期間は27日まで、国内的にはロング・バケーションだが、ヨーロッパで暮らした経験のある太佳ちゃんは、ドイツやフランスでは2ヶ月間の夏休みも珍しくないので可愛い夏休みだ、などとうそぶく。
 確かに一日10食限定、ランチだけの食堂であっても、アレルギーなども考慮して食材を吟味し、お客さまごとに御品書を手書きするような食堂運営をしていれば、それなりに自身のエネルギー補給も必要になると思い「こいわい食堂」の一足早い夏休み休業に私も同意した。

 その太佳ちゃんは夏休みの告知を兼ねて、かわら版「太佳子の祝島通信『祝島の風に吹かれて』第5号」を友人、知人にバラ撒いて島からいなくなった。
 その記事のなかになかなか良いことが書いてあったので、以下に無断掲載する。(太佳ちゃんに掲載の同意を得ようにも彼女は携帯電話も持っていないし、行方不明なのでこちらからは連絡がとれない)

『自分が住んでいる地域の未来を真剣に考えながら生きるということ・・・新鮮な喜び』
 私は今までだぶん30地域くらいに住んできたが、どこでも好きで“住めば都”というのは本当だと思う。
 ただ、ここ祝島に来て初めて「こんな素敵なところを残したい」と思い、祝島の過去、現在、未来について、話を聞いたり、意見を言ったりしながら日々過ごしている。
 本来「住む」っていうのはこういうことだったんだな・・・

 短文だけれど、そこには「暮らす」ということについて的を射たことが書かれてあると思う。

 昨年来、現在上映中の祝島を取り上げた2本のドキュメンタリー映画「「ミツバチの羽音と地球の回転」や「祝(ほうり)の島」の影響で、祝島への憧憬が募りすぎて「祝島で私はこんなふうに暮らしたい」と自分の希望ばかり抱いて祝島にアプローチする若者が増えている。
 そんな若者たちにはぜひこの一文を読んでもらいたいと思う。

 一貫して鋭く国内の原発問題を告発しつづけている小出裕章さん(京大原子炉研)が「祝島島民が自分たちの将来をしっかりとイメージして暮らしているかぎり上関原発は建たない」といった意味のコメントをされている。
 それは島民ひとり一人が、自分のこととあわせて、祝島全体に思いをはせることの大切さを言っているのだと思う。
「カネで海は売らん!」とはそういうことなのだ。
(画像:上関原発建設予定地の田ノ浦を岸壁から臨む)

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『地産地消』

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 最近こいわい食堂には外国人のお客様がちょこちょこ来てくださる。
それぞれ、上関原発計画を取材する海外メディアや、その建設予定地とされている田ノ浦湾の自然保護に関係する海外の研究者の方々などだ。

 先日はドイツ国営放送(ZDF)の取材クルーが取材を兼ねて来てくれた。
小女将の太佳ちゃんはドイツ語で取材に応じていた。(そういえば太佳ちゃんは3年間ドイツ暮らしをしていたのだった。ちなみに英語と中国語もしゃべれる。)
 彼らはこいわい食堂の地元食材重視「地産地消」のコンセプトや、離島の自然を活かした農水産業で生きることが上関原発反対運動と強く関連していることをすんなりと理解してくれる。

 彼らはみんな体格が大柄で、平均すれば身長180cm代、体重90kg台だろうか。 そんな彼らがご飯と野菜に近海の魚の「こいわい定食」をとてもヘルシーで美味しいと喜んでくれた。
 大陸性の気候で、とりわけ長い冬を生き延びるには、大量の肉や穀物を摂取し皮下脂肪に蓄積しておく必要があって、そんな暮らしに適合したのがドイツ人に代表されるゲルマン系の大柄な人たちだったのだろう。
 その食生活に重宝がられた家畜が豚だったのだと思う。 そういえば以前訪れたドイツ南部の農家の入り口には、豚に真珠の首飾りを掛けた大きな看板があって、奥さんと同じように豚を大切にしているという意味だと教わったのを思い出した。
 そんな彼らも肥満にならないよう日常はそれほどお肉類は食べないそうだ。

 逆にそれほど大柄でもなく厳しい越冬を強いられるわけでもない日本人の、現在の肉類も含めた飽食生活は、やはり異常だと思う。
 そんな安価な飽食を支えるため、国内の畜産業は狭い国土に畜舎を密集させて大量の家畜を飼育している。 環境にも家畜にも深刻なストレスがかかっているはずだ。 家畜のストレスは病原菌への抵抗力を著しく低下させる。
 その結果の典型が昨年の口蹄疫や鶏インフルエンザ事件だ。 いくら大量生産によって店頭での食材価格が安くなっても、大規模な家畜伝染病などが発生し、法律に基づく強制殺処分などに至れば、その後始末には多額な税金が投入される。
 それは形をかえた畜産物代金であり、しかも畜産物を食べもしない菜食の消費者にまで、有無をいわさず負担を強いる形だ。
 それでも飽き足りず、畜産物自体を大量に輸入し、牛丼業など外食産業は値下げ競争で、消費者を奪いあっている。
 そして当の消費者は肥満などの生活習慣病が増えて医療保険制度をも圧迫しているのだから、何をか言わんやだ。

 ここまで書いて原子力発電問題とのあまりの類似性に唖然とする。
安い電気をふんだんに使って快適な生活を、と原発を宣伝して電化生活を煽ったあげく、今回の福島原発のような事故が発生すれば、その何倍ものツケを消費者が払わされる。 オール電化にした家庭など目も当てられない。
未来世代にまでわれわれのツケの支払いを強いてしまう。
 そして、このような状況を招いたのは、目先の利便性や快適さしか見ずに、企業や国の口車に乗った消費者自身にも責任があるところが飽食問題と原発問題の完全な共通性だ。

 島国に住む日本人はご飯と野菜と地場の魚、味付けも最小限の天然だしで、という地産地消的こいわい定食的和食が身体になじみ健康に適したものだということだろう。
 私は豚を飼っていても、お客がもっと豚肉を食べて欲しいとは思わない。 お肉は時々で十分だと思う。
 平均年齢70歳以上の島民の元気さや、餌の原料がほとんど島内産である放牧豚たちの病気知らずがそれを証明している。

 健康な暮らしこそ一番の豊かさであるなら、地産地消の身の丈の食生活が豊かさに直結していることになる。
 そのことは、手に入れられる自然エネルギーなどの安全な電気の範囲内で生活する身の丈暮らしが安心な暮らしなのだということにも気づかせてくれる。

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