9年間のノンフィクションライターとして活躍後、2000年に小説家に転身し、『 サイレント・ボーダー』で
作家デビューした 永瀬隼介氏の2010年5月刊行の作品、『 狙撃 地下捜査官』 を読んだ。
題名に 『 狙撃』 とあったので、 SITもしくは SATの話と思ったら、あにはからんや。
刑事警察機構のゲシュタポと言う表現が適切かどうかは判らないが、キャリアもノンキャリアの警察官も
恐れる 監察部をテーマにした作品だ。
警察官を警察官が取り調べる、そこでは、 階級もプライドもケチョンケチョンにされる・・・。
そんなところらしい。
ただ、本書でも書かれているが、最近は 身内に甘いと言う傾向が見られるとか。
バレ無ければ 穏便に済ませて依願退職、バレたら 懲戒解雇に持っていくという 組織を守る為の部署と
言う風に、本書から取れた。
さて、ウダウダ御託を並べても仕方が無い。
では、あらすじと行きますか。
【あらすじ】
不倫がもとで、東小金井署刑事課に飛ばされた、上月涼子は仕事をしながらも
鬱々とした日々を送っていた。
そんな時に突然、署長室へと呼ばれた。
東小金井署に籍を置いたままの本庁勤務という配置転換を告げられる。
思いもしない本庁への逆戻りだった。
だが、彼女の配置転換先の任務は、警察官を内偵するという特務監察官だった。
警察官がもっとも嫌う部署である。
その涼子の上司となる男は、東大卒のキャリア・鎮目竜二警視正。
不正を許さない鎮目の強烈な印象に恐れと反発を抱きながらも
涼子は鎮目に引き摺られるように次々と組織内部の幾つもの腐敗を暴いていく…。
過酷な任務をこなそうとする涼子だったが、ある日14年前に発生した警察庁長官狙撃事件の
思わぬ「真相」に遭遇するのだった。
【登場人物】
上月涼子
この物語の主人公で、29歳。
東小金井署刑事課の刑事。
空手4段の腕前で、学生時代ははチャンピオンだった。
警視庁刑事部捜査一課の第三強行犯捜査係に所属していたが、不倫がバレて所轄に飛ばされた。
東小金井署刑事課の刑事の身分のまま、警視庁警務部人事一課監察係へ出向を命じられ監察官となる。
【東小金井署】
竹下
涼子の上司
東小金井署刑事課班長
角刈りの中年男。
西
涼子の同僚
坊主頭の巨漢。
三上
若手の刑事で、涼子の同僚。
吉村
東小金井署署長。
【警視庁】
城田
警視庁警務部部長。
50前後で、一見した雰囲気は傲慢なワンマンオーナーと言う印象。
階級は警視監。
鎮目竜二
39歳。
警視庁警務部人事一課監察係の監察官。
通称ブラックビルと呼ばれるビルの一室に有る特務観察室の室長。
階級は、警視正。
キャリア出身。
花村
事務担当の職員。
アラフォー女性。
成瀬勝巳
34歳。
階級は警部補。
繊細さとふてぶてしさを持ち、二枚目と三枚目を張りつけた
見る側によっては、如何様にも変わるカメレオンのような男。
涼子のことを、下の名前でクン付けで呼ぶ。
【その他の人物】
斉木優也
組織犯罪対策部組織犯罪対策第四課係長。
階級は、警部。
涼子の元不倫相手。
小林美代子
20歳。
レイプ被害に遭った女子大生。
貴島 彰
33歳。
独身、階級は警部補。
警視庁公安部公安一課所属。
真武士高麿
40歳。
警視庁公安部公安総務課。
階級は警部で、ノンキャリア出身。
通称マムシと呼ばれ、監視対象者や身内からも恐れられている。
宮田達之
73歳
元警察庁長官。
刑事畑出身の警察官僚。
14年前出勤途中にテロリストの銃弾に倒れるも、九死に一生を得る。
高橋利恵
46歳、旧姓は斉藤。
「桜田門の百恵ちゃん」と呼ばれるほどの美人。
高橋正敏
利恵の夫で、51歳。
本庁生活安全部保安課長。
階級は警視。
片山宗介
58歳東大出のキャリア。
警察学校校長。
階級は警視監。
清田洋一
元警察官で、在職時は警視庁東品川署警備課勤務の巡査部長だった。
カルト教団の在家信者。
神戸 悟
警察OBで、神戸調査事務所を主宰。
12年前に警視庁警務部人事一課の監察官を最後に退官。
嶋 壮一
総合商社の相談役。
72歳 元警視総監。
【読み終わっての感想】
刑事警察と公安警察の対立シーンは、どの警察小説でも描かれるので お馴染みだ。
だが、その 公安警察官も一介の警察官に変わり無く、監察が 内偵対象者と定めたら
逃れる事は出来ないと言う風に描かれている。
数々の監察業務をこなす中で、主人公の上月涼子が遭遇した、警察庁長官狙撃事件の思わぬ「真相」は
あの カルト教団【オウム真理教】が起こした数々の事件の捜査中に起きた 警察庁長官狙撃事件を
モチーフにした事は、 先ず間違いない。
さすがノンフィクションライターと言うべきか。
あの事件も 色々な憶測がなされたが、本書の様な出来事があったとしても
不思議は無い様に、本書を読んで 感じられた。
案外、 真実だったりして・・・。
ただ、 人物の描き方で気になった事が一つ。
主人公の上月涼子が 警察官の割には、すぐカッとなる事。
警察官には、 常に冷静沈着さが要求されるのにねぇ・・・それと特務監察室だけど、 ブラックビルと呼ばれる
雑居ビルの一角にあるって・・・まるで スパイ小説みたい。
リアリティが有るようで無い様な不思議な小説。
警察庁長官狙撃事件の 思わぬ「真相」のくだりは、 お見事!
警察官僚上層部が、 これを読んだらドキッとしてたりしてね。
そんな事を 想像してしまいました。
当たってたら、ちょっと怖いけどね。
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