研究全般・「ジェンダーと開発」に関連する藤掛洋子のブログです。

参加した講義や研究会などの報告・藤掛が行った講義で受けた質問などにお答えしていきます。

青年海外協力隊での講義を通して

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駒ヶ根訓練所での講義(2010年7月28日)

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2010年7月28日(水)国際協力機構青年海外協力隊駒ヶ根訓練所で「ジェンダーと開発」の講義をいたしました。よくよく考えると、駒ヶ根に通いだして早いもので10年が経っているのですね。光陰矢のごとしです。
中央道が事故渋滞し、講義の開始が10分遅れてしまいました。これまでの10年間で遅刻したのは、後にも先にもこれが初めてです。一度、大雪が降り、電車で駒ヶ根に向かったことがありましたが、その時も間に合いました。
 
1992年2次隊として駒ヶ根で訓練を受けてからを考えると、早いもので18年が経っていました。これまた驚きです。
 
講義後、隊員の方たちがいつものように応接室に集まって下さいました。
頂いた質問は主に以下のようなものでした。
 
Q1.対象者会に入る場合、異性と接触する場合の留意点はどのようなことか?(男性村落開発普及員が女性リーダーに接する場合、女性グループに男性村落開発普及員がアプローチする場合、この逆もしかりです。)
A.ケースバイケースですので、グアテマラの性教育の事例、パラグアイ農村で活動した平和部隊の事例などを交えて紹介しました。
 
Q2.私自身の隊員活動での失敗点は?
A.・カウンターパートとの関係を構築するのに時間を要したこと
 ・隊員の仲間の力を借りるのが遅かったこと
 ・ジャム工場を二か所に建設したが、一か所は稼働しなかったこと
これらの失敗の要因についてはいずれ書物にまとめる必要があるなと、質問を受ける度に反省します。今後の課題にしたいと思います。
 
Q3.性教育が成功したグアテマラの事例では、その要因は何でしょうか?
A.すでに性教育にアクセスした人がおり、コミュニティレベルで性教育に関する知識が醸成されており、開発介入(あるいは教育)において、次のステージに来ていたため。
 
他にもいくつか質問を頂きましたが、PCの電源がなく、メモをとれませんでしたので、今回はここまで。
 
ご意見・ご質問がありましたら気軽にご連絡下さいませ。
 
藤掛洋子
 
 
  
 
 

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日本語教師のYTさまへの返信

藤掛洋子先生
 
語学免除研修(大阪)参加JVのTYと申します。
先生が記録された写真の右側に写っている者です。
先日はご講演ありがとうございました。
とても興味深く聞かせていただきました。
 
「ジェンダー」はどの職種でも必要な概念だと思います。
しかし、ことばは聞いたことはありますが、きちんと理解はできていません。
今回の講義をお聞きして、
「ジェンダーと開発」というのは「全ての人間が性差の区別無く、人間としての尊厳を守れるような配慮を模索する」と理解したのですが、合っていますでしょうか。
 
先生の実践報告で、初めて具体的な社会活動例を知りました。
とても参考になりました。
 
ただ僭越ながら、2つ意見を申し上げさせていただくと・・・。
1.ちょっと難しいことばが多かったです。
会場でもちょっと申し上げましたが、横文字は「???」、もう少し噛み砕いて教えていただけるとありがたかったです。
2.参加者には村落開発以外に様々な職種の方がいらっしゃいます。
ですので、ジェンダーという視点を各々の活動にどのように活かしていくかという方法論も紹介していただきたかったです。
前半の授業についてこられなかった方の中には、「ジェンダー」=「ウーマンリブ」と解釈した方も少なくなかったと思います。
 
2時間では先生も消化不良だったのではないでしょうか。
私ももう少しゆっくり先生のお話をお聞きしたかったです。
(駒ヶ根ではみんなと写真も撮っていらっしゃったので、羨ましかったです!)
 
 
遅くなりましたが、自己紹介を致します。
私は今回「日本語教師」で中国・青海省の青海民族大学へ派遣されます。
中国ではありますが、学習者はチベット族・モンゴル族などの少数民族です。
男性優位の考えを持っている人もいます。
例えば、先代の報告書では「チベット族の男性学習者が女性教師の言うことを聞かないことがある」とのこと。
「民族のジェンダー観」、「ことばとジェンダー」などを知ることで、授業運営や人間関係形成の一助になるのではと思っています。
 
 
私は社会調査の知識が全く無いので、ちょっと質問をさせてください。
①民族(もしくはその地域)のジェンダー観を知るにはどうしたら良いでしょうか。
チベット族というピンポイントの研究は少ないとは思いますが、どのような文献を見れば手がかりを得られるでしょうか。
②先程も書きましたが、ジェンダーという視点をどのように活動に活かしていけば良いでしょうか。
開発だけではなく、ジェンダーという視点が活かされている様々な取り組みを知りたいです。
とても初歩的な質問で申し訳ありませんが、お時間のあるときにご回答頂ければ幸いです。
 
お忙しい中、わざわざ大阪まで来てくださりありがとうございました。
どうかお疲れが出ませんように。
********************
 
 
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TYさま、
 
大阪ではお世話になりました。日本語教師として大学に派遣されるのですね。素晴らしいですね。どうか頑張って下さい。
 
また、講義に対し、貴重なコメントを誠にありがとうございました。
講義は、前半は理論・後半は実践に分けてやっておりますが、確かにご指摘の通り、消化不良になりますよね。大学では通年でやっている授業のトピックスをつまみ食いしているような状態ですが、次回からは、理論編は最小限にとどめ、後半をもっと膨らませて講義を行いたいと思います。また、横文字が多く、わかりにくいということですので用語集のようなものも添付した方がよいということですね。貴重なご指摘誠にありがとうございました。
 
 写真は一緒に映りたかったのですが、どなたにシャッターをお願いすれば良いかという感じでしたので、控えました。ご帰国された際には是非、一緒に映りましょう!
 
社会調査に関するご質問ですが、
①民族(もしくはその地域)のジェンダー観を知るにはどうしたら良いでしょうか。
チベット族というピンポイントの研究は少ないとは思いますが、どのような文献を見れば手がかりを得られるでしょうか。
 
文献としては、
cinii 論文検索でチベット、ジェンダーと入力すると
 
 
がヒットしますが、確かに数はすくないですね。
この論文がどのような論文を参照しているのか、確認されることをお勧めします。
 
ウイグル関連とジェンダーについてはこちらのブログをたまにのぞきます。
 
中国女性とジェンダーの研究社には、大橋史子さんがおられます。
 
民族のジェンダー観と一言でいうことはとても難しいと思います。やはり、当該地域に入られ、参与観察をしたり、インタビューをする中で見出すことができるものも多いと思います。
 
 
私の論文も機会がありましたら目を通してみて下さい。これは、対象地域の人々のジェンダー観の変容を多少描いたものです。
 
 藤掛洋子(2003)「パラグアイ農村女性の性と生殖に関する意識とその変化−農村女性の家族計画の「語り」と「実践」を手掛かりに(1994年−2001年)、根村直美編著、『健康・ジェンダー・セクシュアリティ』明石書店、pp.85-115。(2003年2月28日発行)
   電子データはこちらから。

 
 
この中に、社会・ジェンダー調査について少し書いていますので、ご覧になって下さいませ。
 
取り急ぎお返事申し上げます。
 
藤掛洋子
 

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住民参加型調査手法に関する質問と回答

藤掛 洋子先生

先日は、JICA駒ケ根での素晴らしいご講演をどうもありがとうございました。
ご講演後に控室でご質問させて頂きました、ルワンダ(青少年活動)派遣予定のYOと申します。
訓練所に来て、「現地で何か活動をしなければ」という妙なプレッシャーに押されていたのですが、先生のお話を伺って、「まずは相手のニーズを知る」という本当に当たり前のことを忘れていたことに気づかされました。
 
私の専門は心理と公衆衛生で、調査は質問紙法を得意とします(自分の専門領域に関しては、活動に先だって論文・文献収集はかなりやっています)が、先生がご講演でお話されていたような、住民参加型の調査がとても興味深く、自分にもできるなら挑戦してみたいなと思いました。住民と一緒に作ることで、住民のニーズが分かるだけでなく、心理的なエンパワメントにもなる(参加住民が自分を見つめるきっかけになる)のは素晴らしいなと思いました。先生の資料にあったサイトをさっそく拝見したいと思います。また、住民参加型の調査に関して良い参考文献が他にあればどうかお教え下さい。
YO
 
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
YOさま、
お便りありがとうございます。
ルワンダでの活動、非常に重要なものだと思います。
『住民と一緒に作ることで、住民のニーズが分かるだけでなく、心理的なエンパワメントにもなる(参加住民が自分を見つめるきっかけになる)のは…』
そうですね、インタビューは、住民のエンパワーメントにつながると同時に、インタビューで得た質的データを分析する、語り分析のようなものは、インタビューする側のエンパワーメントにもつながります。
少し古いですが、1995年頃活発に議論されたので、紹介しますね。
以下の論文などは、双方向のエンパワーメントという意味では参考になるのではないでしょうか?
 
春日キヨ(1995) 「フェミニスト・エスノグラフの方法」、 『岩波講座 現代社会学第11巻 ジェンダーの社会学』、岩波書店:169-187。
小橋模子(1996)「フェミニスト・エスノグラフィーを考える―調査者と調査参加者の対等な関係をめざしてー」、『女性学年報』、第17号:130-137。
 
 
住民参加型の調査に関して良い参考文献が他にあればどうかお教え下さい。
 
 
今、手元には前回の講義で配布した資料しかありませんが、時期を見て更新しますね。
http://blogs.yahoo.co.jp/gad_fujikake/25182984.html
 
もう少々お待ち下さいませ。
 
藤掛洋子

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SYさま、お便りありがとうございます。

東京家政学院大学准教授 藤掛洋子先生
 
本日、駒ヶ根訓練所にて、先生の講義を受講させていただきました、
村落開発普及員・カメルーン派遣のSYと申します。
先生の実際に携われている活動による実践と、学術的な見解、そして受講生のワークショップを交えた興味深いものでした。
本当は講義終了後、先生のお話を直接お聞きしたいと思いましたが、
まさに「食事当番」が入っており、残念ながら時間がありませんでした。
 
私自身は、国際協力の分野で仕事をしていきたいと思っておりまして、
協力隊参加以前は、カンボジアで教育支援を行う、日本のNGOに勤務しておりました。
協力隊終了後は、アカデミック面を強化する予定ですので、
2年間の活動期間中、様々な文献を読んだり、現地での貴重なフィールドワークに没頭したりと
有意義な時間をすごしたいと思います。

カメルーン派遣
SY
---------------------------------
SY様、
 
ご連絡誠にありがとうございます。「食事当番」大変ですよね。私も隊員候補生(17年前はすぐには隊員になれず、候補生と呼ばれていました)時代はバツ当番をよくしましたよ(笑)。バツ当番が多いと、候補生が取れないのではないかと、ひやひやしたものです
 
さて、講義についてご意見をお寄せ頂き感謝いたします。
このようなコメントを頂くと、単純な性格ですので、日帰りで、しんどくても、また行こうという元気な気持ちになります。本当にありがとうございます。
カメルーンでの活動や帰国後の研究是非頑張って下さいね。帰国後に研究活動に入られるなら、2年間は貴重なフィールド調査になりますね。是非とも住民主体で、住民の目線に立った詳細な情報を収集されることをお勧めいたします。いつでもお問い合わせ下さいませ。
 
お便りありがとうございました。
 
藤掛洋子
 

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そば屋のまささんの「やり直し・ジェンダーについて」

私の誕生日の5月10日(月)、青年海外協力隊駒ヶ根訓練所で「ジェンダーと開発」の講義をしました。受講生は約170名で、みなさん積極的に講義に参加して下さいました。色々なコメントを頂き、こちらも大変勉強になりました。誠にありがとうございました。
偶然ですが、講義に参加下さったそば屋のまささんの「やり直し・ジェンダー」というタイトルのブログを発見しました。http://karehausagi.blog38.fc2.com/
 
以下に書かれていることは、ジェンダーを講義を通して伝えるものとして、耳を傾けなければならないことがたくさん含まれていると自省的に拝読いたしました。また、伝えたいことがまささんにはうまく伝わったかもしれませんが、ジェンダー視点を持つ必要性についての明確な理由を私は講義できちんと伝えられたのかなあといつも反省しております。次の講義の時には、この点をクリアできるように努力したいと思います。
 
まささん、本当にありがとうございました。
 
藤掛洋子
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そば屋のまささんの「やり直し・ジェンダーについて」
 
ものすごく面白い講義があった。
というか、今までの価値観が崩れるような話だった。


東京家政学院大学大学院准教授、藤掛洋子先生による
『「ジェンダーと開発」について学ぶ』


正直な話、今までジェンダーと聞けば、ヒステリックなフェミニストがブラウン管の中で声高にわめいているイメージだったり、
開発の中で語られるときでも大体、女性のエンパワーメントだとか社会進出率、例えば全国会議員に占める女性議員の比率だとかで、女性の比率が少ないから「日本はある途上国よりも遅れています」とか語られた日にゃあ(実際、訓練所のホールの壁にもこれが掲げられてる)
もうがっかりで、虐げられてるから女性の国会議員が増えてかないの??と甚だ疑問だらけで、

もしそんなことを講義で語られたら、終わってから応接室で尋問してやろうとか考えてたんだけれど。



実際の講義を聴いてみたら全くそんな話はなくって、
ジェンダーとは?ってところから始まって男性問題にも触れ(全ての人が尊厳を持って生きることができる方策を求める視点というのには共感した。)、
もちろん女性問題にも触れ、そこからは自身の経験も積極的に加えて、
ジェンダーも宗教や食事なんかと並ぶ、それぞれの地域や集団や個人がもつ文化の一環なんだと分かった。


赴任してからの活動を考える中でジェンダーの問題はどこかで直面するし、考えなきゃいけないだろうからと思ってこの講義を受けたけれど、思いがけずいいヒントが沢山見つかったかもしれない。



難しいことだとは思うけれど、意識的にブルキナの人たちの無意識的な部分に揺さぶりを掛けるようなことが出来たらいいと思う。先生の活動を参考に。


藤掛先生のブログ。先輩隊員たちも同じような感想を持ったみたい。
「研究全般・「ジェンダーと開発」に関連する藤掛洋子のブログです。 」
http://blogs.yahoo.co.jp/gad_fujikake/folder/788818.html

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