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2012年も読書感想文メインです。

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読書感想文12−30:フランス革命の肖像

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物語フランス革命を読んだのが3年以上も前。そうかそんなに前のことかぁ。それ以来、すっかりフランス革命の面白さに気づいた。実際に(仕事で)パリに行き、飛行機の中で佐藤賢一さんの小説に出会い、さらにハマりつつある。

本書はその佐藤賢一さんの新書。フランス革命に関わる有名人の肖像画がたくさん掲載されている。

『革命は擬似王政ともいうべき帝政に落ち着くことで、ようやく終焉を迎えた』

というように、第三身分(平民)が議会に入り、王様が逃げ、殺され、恐怖政治になり、それからもまあ色々あって、最終的にナポレオンが君臨する、っていうなかなかにドラマティックでありながら、同時に分かりにくい革命の全貌について、「顔」を中心として描き直している。小説とはまた違うアプローチだ。

『−虚構、異端、逡巡、失墜、楽観、本音、悲劇、狼狽
いれかわり、たちかわりに現れた顔、顔、顔。それは顔というよりも、むしろ表情というべきかもしれない。』

恐怖政治の中心となったロベスピエールが優しい童顔だったり、ミラボーがそこまで醜い化け物って感じでもなかったりと、まあ色々と考えさせられる。しかし、その静的な顔でなく、その時の情勢が動的に変わっていくことに伴う表情が、絵画から見受けられるから不思議なものだ。

『ほんの二年間、しかも首都だけの話であるにもかかわらず、およそ4千人を投獄し、その7割にあたる2700人の命を断頭台に散らしたというから、まさに恐怖政治である。』

というように恐怖政治の時代だけで、とてつもない人間の血が流れている。王様の首を飛ばしたというだけでフランス革命は過激ではあるが、それだけで済まなかった。

アラブ諸国でも革命が起きつつある(<アラブ大変動>を読む参照)。血も流れている。日本でも革命が起きてもいいんじゃないかってくらい、混迷している。

キーワードは格差と選挙じゃないだろうか。フランス革命もアラブでの革命もこの2つが引き金になっている。

日本でも世代間格差が問題視されている。とはいえ、なかなかこれに反対するムーブメントにならないのは、その矛先が親世代に向かってしまったりするからに思える。年金の支給額が下がってしまったら、結局は国ではなく自分が面倒みなきゃいけないことになって、あんまり問題の根本解決にならない。これが世代間格差でなく、身分格差に固定されてしまったら、一気に怒りは増大するだろう。

選挙についても、結局は高齢者の数が多いので、どうしても高齢者よりの政策が選ばれてしまう。とはいえ、これも時間が解決してくれるようにも思える。人口減少が色々と問題視されているが、日本という島国で1億人以上も生活することが適切かどうかは分からない。人口が減るとそりゃ色々と問題はあるだろうけれど、人口がずっと永遠に増えていくなんてありえないのだから、じわじわ減らして、どこかに軟着陸するしかないんじゃなかろうか。

日本ではまだ革命は起きない。若者に意気地がないとか、気力がないとかそういう理由ではない。時間をかければ解決できるし、明日食べるものがないとかそんな切実な状態ではないからだ。たぶん。

本書で知ったことを挙げておこう。

『タレイランの相貌で唯一の個性になっているのが、先が僅かに上向いた鼻である。そっくり同じ形を受け継いでいるのが、有名な画家のドラクロワだ。これも隠し子のひとりだといわれている。』

タレイラン恐るべし。苛烈なフランス革命を生き延びた、老獪な男だ。個人的には結構、好きなんだけどなぁ。こういうタイプ。

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読書感想文12−27、28、29:小説フランス革命 5、6、7

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いやぁ、小説フランス革命が面白い。一気に3冊分まとめちゃいます。

別に数を増やしたいとかそういう意図はないです。

こういう連続ものってどうカウントしたら良いだろう。まあ、あんまり冊数って関係ないんだけれどね。ハードカバーだと1冊だけれど、文庫本だと上下巻になるっていうのもあるし…。

あんまり統一的なカウント方法は決めてないけれど、上下巻は1冊として、続き物は1冊ずつって感じにしてます。

さてさて、遂にミラボーが死に、パワーバランスが変わってくる。

王の気持ちはこんな感じだ。

『ミラボーが死んだのでは、俄に話が違ってくる。もう議会と協調する術も、民衆と宥和する術もない。それも私のせいでなく、議会が無能で、民衆に分別がないからだ。』

ということで、王は逃げる。もうダメってことで。勇ましく逃げる。

ところがだ、捕まる。御存知のとおり。

『「私こそ諸君らの王である」』

と開き直るが、はてさて、ここから血みどろの恐怖政治が始まっていくんだよね。かわいそうな王様。

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読書感想文12−26:2022―これから10年、活躍できる人の条件

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ぼくの読書のラインナップ(を分かっている奇特な方はいないと思う)からはちょっと珍しい本だと思う。こういう自己啓発的なものを読まないからだ。

そもそもこの本は、図書館で借りたわけでも、書店で買ったわけでもない。知人からお借りしたものだ。知人に勧められた、というとそうでもなく、その人もこの手の本をあんまり読まないのだけれども、何かの表紙で著者の神田昌典さんを知ったので読んでみたとそうな。ぱっと読めるし、全部信じこむ必要はないけれど、まあそれなりに面白かったよとのこと。

前置きがちょっと長くなってしまった。「これから10年、活躍できる人」なんてむず痒いことを言われると、ちょっと気になるタイトルではある。30代半ばになってくるとこれからの10年っていうのが、何となしに気になってくる。いや正直に言おう。すごく気になる。

気になる理由は、10年後がどうなっているか皆目見当もつかないからだ。働いている組織があるかどうかもわからないし、政治がどうなっているかもわからないし、そもそも日本がまだあるのかも怪しいくらいだ。それくらい先行きは不透明で、不明瞭で、不安だ。反面、そういう状況が楽しいとも言えたりするから、人間の心理とは不思議なものだ。

本書は、著者の神田さんによる予言の書とも言える。おお、こうやって感想文を書きながら、早くも胡散臭い感じがしてくる。ちょっと一部を挙げていこう。

『このまま沈没すると見なされている日本が、再び輝かしく浮上する。オセロゲームの、黒で埋めつくされそうな面を、一瞬でパタパタと白に変える爽快感を日本人は経験するだろう。』

何とまあ。嬉しい予言ではないか。世の中に流布しているのは、それはもう悲惨なものばかり。地に落ちるとか乗っ取られるとか焼け野原になるとか。オセロのように一発逆転。これは確かに爽快だろう。

『いまや会社の寿命は「確実に10年を切った」「もはや3年」という見解もある。(中略)大きなトレンドとして、会社が繁栄を謳歌できる時間は急速に短くなっているということは言えるだろう。』

確かにそうかも。会社の栄枯盛衰のタイムスパンは短い。携帯のソーシャルゲームもあっという間にダメになるかもしれない。やったことないからよく分からないけれど。通用するビジネスモデルの賞味期限が短く、この会社がノっていると思っても入ったじきにはすでに斜陽を迎えているなんてことは珍しくないかもしれない。

『事業は、いまや社会的活動によって広がる道筋ができつつある。そして社会的事業なら、NPOのほうが柔軟かつスピーディに動ける。一時、企業内ベンチャーが流行った時期があったが、今度は企業からスピンオフするNPOが増えるのではないか。』

チェンジメーカー〜社会起業家が世の中を変えるを思い出す。あんまりメディアでは聞かなくなった感じがするけれど、社会起業というのは今後の選択肢としては十分に有り得ると思う。企業内ベンチャーに代わり、企業内NPOっていう可能性については考えたことがなかった。特に若い世代には、社会を変えたいという欲求は強いだろうし、企業側もそれが新しいビジネスや企業イメージ戦略上フィットするなら支援してくれるかもしれない。こういう取り組みが進むっていうのは理解できる。

『40代のうちに、ライフワークを見出そう。起業に対する壁は限りなく低い。再就職する壁は極めて高い。』

今の30代は、残念だけれど、逃げ切れない世代だ。そして40代は逃げ切りたいと考えるので、保守的だし、何かを変えようとはしないだろう。そして、そんな40代が上司だと、悲惨なわけで、彼ら彼女らの逃げ切りのための逃げ道を用意することが仕事になっている場合もあるだろう。

何も世代間闘争を呼びかけているのではない。むしろ、自分が40代ならそういう戦略を取るだろうし、そのことがすぐに悪いとも言えない。っていうか、そういう戦略って悲惨だなとも思うわけだ。

ぼくたちは逃げ切れない。だからこそ、考えないといけない。逃げ切る方策ではなく、生き抜く知恵を生み出さないといけない。

『本当に熱中できる仕事に、リスクはない。』

心のどこかを熱くしてくれる言葉だ。でも本当に熱中できる仕事ってなんだろう。振り返ると、どんな仕事もそれなりに小器用にうまく処理し、発展させ、完成させてきた(もちろん失敗もあった)。仕事っていうのは、誰かを笑顔にすることで、その誰かが、上司だったり、お客さんだったり、違う組織のカウンターパートだったりする違いがあるだけだ。

本当に熱中できる仕事かぁ。どうも来た玉を打つっていうのが性に合っているんだよなぁ。こうやって本を読んで、まとめて、アウトプットするっていうことには熱中できるかもしれない。でもこれって仕事かなぁ。

『日本の資本主義の父と呼ばれた渋沢栄一氏は、当初から資本主義が暴走するのを知っていて、それを食い止めることができるのは、道徳だと。(中略)彼は『論語と算盤』という本を著し、生涯にわたってビジネスと道徳の一致に取り組んだ。』

さいごに、渋沢栄一について。ちょいちょいいろんな本を読んでいると渋沢栄一が登場する。ビジネスと道徳の一致っていうのは、その試みの大切さと難しさをしみじみと感じる。

資本主義が血も涙もなく、人を人として扱わない、っていうイメージは多くの人間が持っているように思う。とはいえ、資本主義は、資本を蓄積することだけが目的であって、幸福とか正義とか道徳とかそういうものは、蓄積するために必要であれば利用するだろうし、必要でなければ排除する、っていうだけのことだと思う。だからこそ渋沢栄一の試みの壮大さと無謀さに感嘆してしまう。

神田さんの本を初めて読んだけれど、確かに読みやすく、訴えかけるものがストレートで、ぐっと来るものもあった。まさに自分の世代に向けて書かれている本で、この本に感化される30代も少なくないだろう。

2022年はそんなに遠いところではない。10年後を見据えながら、熱中できる仕事ということを考えてみたい。読書会っていうのをやっているみたいなので、ちょっと行ってみようかなぁ。案外、こういう会って苦手なんだよなぁ。

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読書感想文12−25:米国製エリートは本当にすごいのか?

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スタンフォードでの留学経験をとおして、アメリカのエリートとエリート教育について書かれたのが本書だ。

ちょっと気になった箇所を挙げておこう。

『スタンフォード大学の敷地は、合計3310ヘクタール。この広さは東京ドーム709個分にあたります。(中略)大学が一つの町を形づくっているのです。』

え!?まじで!?広すぎる。杉並区が34.02平方キロということで、ほぼ同じ。まあ、区ですよ。もはや。

『同じ民族ばかりで固まって、周囲と溶け込めなくなる理由は、語学や文化の問題というより「単に数が多すぎること」にあるのではないか、ということです。』

これはなるほどね、って思った。同じ民族が固まってしまう問題は、多すぎるから。

『米国の学部に法学部はありません。ロースクールは大学院にしかないのです。弁護士や裁判官になりたい人は、学部で法律以外のことを勉強した後、ロースクールに3年間通い、弁護士になるというのが通常ルートです。』

これは知らなかった。日本だと法律しかしらない弁護士とか裁判官が多いものね。

『経済学は「自立した賢明な市民を育てるための学問」と言い換えてもいいでしょう。自己責任、個人主義を徹底している米国では、人生において常に、自分自身で判断を下すことを求められます。そのとき、よい答えを導くための指針となるのが、経済学だということです。』

最近、経済学をかじりつつあるので、気になった。経済学を学んだから賢明と思うのは愚かなことだけれど、それでも経済学は生きていく上で必修だと思う。って最近、ぼくも学んだんだけれど。。。

『米国は「世界で最も大きな島国」です。経済は世界最大、国土は肥沃、左右を海に囲まれ上下はカナダ、メキシコという友好国。』

ふむふむ。案外、アメリカ人は自分の国大好きで、海外に行かないらしい。英語できるのに。
さて、堤未果さんのルポ 貧困大国アメリカ IIに比べると(比べてスミマセン)、どうも薄っぺらい印象がある。

そもそも、エリートや国家という枠組みでの考え方がどうも時代遅れな感じがする。別にアメリカがっていうのを考えるのって今更感があってイマイチ深みに欠ける。もはや、アメリカに強い興味のある若者は少なくなっているのではないだろうか。

新鮮味や知的興奮はあまりなく、まあこんな感じだろうかという想像どおりの印象で、さくさく読み進めることができた。そして、読み返すことはないと思う。

とはいえ、著者のように海外の一流大学に留学するような方が出てくるのは素晴らしいし、どんどんチャレンジすればいいと思うし、全く否定はしない。でもでも、どうも50代くらいの方にウケるように書かれた文章であり、若い人たちがこの本から強い刺激を感じるのだろうかと思ってしまう。

なんというか、割りと若い方が書いている割に、落ち着き過ぎで、無難で、どれもコピー・アンド・ペーストっぽい。2年間もスタンフォード大学で学ばれて、読者層の知的レベルをよほど低く想定して書かれておられるのだろう。とはいえ、書籍としてはもうちょっと深さや重さが欲しいなぁ。

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読書感想文12−24:王妃の離婚

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小説フランス革命以降、すっかり佐藤賢一さんにハマっている。本書はまさに傑作。こんな作品があったとはという驚き。現時点で今年ベスト。こういう小説が、日本語で書かれていることに感謝したいほど。ほかも読みます。

ちょっと抜き出してみよう。

『それは離婚裁判だった。どこにでもある、ありふれた人間の悲喜劇が、これほどの注目を集めたのは他でもない。裁判の原告は、名をフランス王ルイ12世といった。離婚を求められた被告ジャンヌ・ドゥ・フランスとは、この国の王妃のことだった。(中略)1498年9月13日、苟も一国の王妃が被告として、今まさに証言台に立とうとしていた。』

そう、王と王妃の離婚劇で、王妃には全く勝ち目がない。

『公の裁判になっていた。そこは法という名の正義が、全てを司るべき舞台だった。神学に裏付けられ、聖書の精神を反映するカノン法の正義とは、突き詰めれば神の教えなのである。』

しかし、「カノン法の正義=神の教え」は王の権力によって歪められる。

『許せないのは暴君の面差を受け継いだ娘ではない。その権力を受け継いで、世界をおもうがままに動かそうとする、フランス王ルイ12世のほうなのだ。自明の真実に目を向けたとき、フランソワの心中にふっと自問がよぎっていた。
−俺は権力を恐れているのか。』

今、この部分だけ読んでもぐっとくる。

『結婚は一瞬の美しさを永遠にまで高めながら、神秘の力で宝の箱に封印する。それは、どこか人間の死に似ていた。(中略)いつだって死人は美しい。純化された思い出に守られながら、いつまでも汚れることがない。結婚だって同じだ。一瞬の輝きさえあったなら、人生は永遠に肯定される。』

結婚は一瞬の美しさを永遠にまで高めながら、神秘の力で宝の箱に封印する。いい言葉だ。妻と不仲になったら思い出そう。純化した美しさは、人生を永遠に肯定するんだ。

小説らしく、最後には思ってもいない展開になる。映画に見合う壮大なスケールと、複雑な人間関係を描いた舞台が融合したような傑作だ。読んでない人は幸せだ。これから読めるのだから。

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