|
日曜日に家族でデパ地下に行ったときのこと。
鮮魚コーナーで、生きたサワガニが販売されていた。がさがさうじゃうじゃとサワガニがいるので、2歳の息子に見せてあげてた。
売り場のおばさんが「ぼうや、何匹か持って帰る?」って言うけれど、生き物を持って帰っても、共働きだし、すぐに死なせてしまうし、その処理に困るし、敬遠した。
愛想笑いをして、その場をちょっと離れていたら、妻が「くれるって言うから、もらっちゃった」と3匹サワガニの入ったビニル袋を持ってきた。
やれやれだ。
夕ご飯を食べ、子どもを寝かしつけ、のんびりしていると、食卓でがさがさ音がする。
何事?と思うと、サワガニだ。急に活発に動き出した。ビニル袋に閉じこめられているのもかわいそうに思い、今から3匹のためだけに油を熱し、素揚げにするのも面倒になり、仕方なく住処を作ってあげることにした。
100均のバケツに水道水を入れる。どの程度の深さにすればいいのか見当がつかない。困ったなあ。石のようなものでもあれば、逃げ場になるんだけれど。
「石ならあったんじゃないかな。」と妻。
確かに窓際に謎の石があった。小さな孔がたくさんある赤茶けた石。じいじの石だ。
ぼくの父親(息子にとって祖父なのでじいじと呼ばれる)は、節約家だ。早い話がケチだ。数あるケチ伝説はまた別の機会に譲るとして、旅行先で石を拾うのが好きなのだ。タダの土産だからだ。
別に珍しかったり、価値のある石ではない。何かしらじいじの琴線に触れた石を拾う。重たいのでばあばにこっそりと棄てられたりするけれど、懲りずに拾う。
どこで拾ってきたか分からないけれど、石がジップされたビニル袋に入って、窓とカーテンの間の誰の目にも触れないところに放置されていた。
初めて役立つじいじの石。
バケツに入れる。杉の葉っぱも入れる。それっぽい住処になった。
エサをやるか。冷蔵庫にある煮干しをちぎって入れる。
ちょっと目を離していると、器用にハサミで掴んでもしょもしょ食べてる。案外、カワイイものだ。
すっかり情が移ってしまう。もう素揚げにして食べることはできそうにない。
よく見ると姿形がそれぞれ違う。一番大きいのは、ぼうっとしている。名前を「ぼー」に決定。中くらいのは、ひざが茶色になっている。じゃあ、名前は「にー(knee)」で決定。小さいのは、じーっとこっちを見ている。ふむ。「しー(see)」にしよう。
ユニット名は、「にー」と「ぼー」と「しー」で「にぼし」。うーん、エサを名前にするクセはそろそろ控えた方が良いかな。大学生の頃に近所にいた黒猫に「ちくわ」と名付けたのが懐かしい。
冗談はさておき、サワガニは新しい家族の一員になった。飼育係はぼくになりそう。
いつまで命が持つか分からないけれど、有事の際を除き、食糧になることはないだろう。
ビビリの息子はサワガニが怖いらしい。バケツに近づこうともしない。
やれやれだ。
|