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映画音楽・サントラ

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ハーモニーベイの夜明け

ハーモニーベイの夜明け


曲目/
1. メイン・タイトル (Instinct) 3:19
2. 野性の中で Into The Wild 8:48
3. 森への回帰 Back To The Forest 2:30
4. 皆が向かうところEverybody Goes 3:07
5. ジャングルでの殺戮 The Killing 8:56
6. 暴動 The Riot 2:10
7. 脱出 Escape 3:20
8. エンド・クレジット End Credits (Instinct) 6:26

作曲/ダニー・エルフマン

VOLCANO CPC8-1087

イメージ 1


ハーモニーベイの夜明け
原題  Instinct
監督	ジョン・タートルトーブ
脚本	ジェラルド・ディペゴ
製作	マイケル・テイラー
バーバラ・ボイル
音楽	ダニー・エルフマン
配給	 タッチストーン・ピクチャーズ  東宝東和
日本公開	2000年4月15日 
上映時間	124分
製作国	 アメリカ合衆国
製作費	$80,000,000[1]
興行収入	$34,105,207
 直訳すれば「本能」というこの映画、ルワンダの密林の奥深くで、国立公園のレンジャー2人を惨殺したとされ、アメリカへ強制送還されたマイアミ大学の元教授、イーサン・パウエルの事を指しています。彼は研究のため訪れた東アフリカで行方不明になっていました。じつは、彼はゴリラと一緒に生活していたためか、心を閉ざし、原始人のように振る舞うのでした。まわりは心を閉ざした彼を精神異常とみなし、全米最悪の重罪犯刑務所「ハーモニーベイ」に投獄されることになります。邦題はここから取られていますが、ヒットした「ショーシャンクの空の下に」や「羊たちの沈黙」のような内容からそういう事を思いついたのでしょう。日本でもロードショー公開はされませんでした。まあ、興行成績からいっても大失敗した作品で、唯一の救いは、アンソニー・ホプキンスの名演技でしょう。小生とは腐れ縁で、1968年のデビュー作ともいえる「冬のライオン」から注目をしていました。映画としては、精神医役の黒人俳優、キューバ・グッディングJrが第22回スティンカーズ最悪映画賞にノミネートされていました。

 まあ、そんな事で作品として取り上げるのは止めにしましょう。ここでは映画音楽として取り上げる事にします。作曲はダニー・エルフマン、重厚ながらややダークな感じの多いエルフマン作品ですが、ここではちょっと雰囲気が違います。オーケストラサウンドのなかに打楽器を多用していかにもアフリカ的なサウンドに仕立て上げているメインタイトルは彼の作品の中でも異色な響きがして好きです。まあ、こういう音楽は映画を見ていない人は耳にする機会もないでしょうし、ましてやヒットしていないとあっては余程のサントラファンでないと聴いた事もないでしょう。そんなことで、ここではメインタイトルを聴いてみましょう。


 ダニー・エルフマンの作品で一般に知られるようになったのは「バットマン1989」辺りからでしょうか、続いて「ミッション・インポシブル1996」、最近では「スパイダーマン2002」、「アリス・イン・ワンダーランド 2010」などが知られているでしょうね。同じくアフリカの動物と触合いを描いた映画にシガニー・ウェーバーが主演した「愛は霧のかなたに」がありましたが、こちらは音楽は御代モーリス・ジャールが担当していました。そこではやはりアフリカン・ビートと女性コーラスが上手く取り入れられていました。しかし、肝心のサウンドは当時の流行であったのかシンセサイザー・サウンドが中心になっていました。ここでは、そういうジャールの音楽を踏襲しながらも、オーケストラサウンドをベースにして深みのある音楽を書いています。2曲目の「野性の中で」ではその女性コーラスを配してアフリカの自然の懐の深さを表現しています。途中でピアノ・ソロやヴァイオリン・ソロを挟み込み、アルバムの中では一番聴きごたえがあります。

 

 サントラでタイトル曲は映画のオープンと被ってしまい、監督の演出方針の違いから全曲使われない事があります。しかし、エンドクレジットは違います。どの映画でも、エンドクレジットが延々と流れますから、ある意味作曲家の腕の見せ所はこの部分が一番という事になるでしょう。ここでも、エルフマンはこの映画のための音楽をダイジェスト的に網羅したナンバーに仕立てています。映画は、映画は出来損ないの『ショーシャンクの空に』に成り下がっているし、最後は「カッコーの巣の上で」のラストシーンからのパロディのようになっていますが、音楽だけはしっかりとした作品になっていて、ウルフマンの存在感を示しています。こういう音楽を聴くにつけ、作品が転けると浮かばれないなぁという気になってしまいます。それでは、そのエンディングテーマです。


 興味のある人は、レンタルでもして見るぐらいがちょうど良いでしょう。トレーラーではありませんが作品をダイジェストしていますので、ご覧下さい。映像と結びつくと音楽が生き生きしているのが分かります。


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高校教師〜禁断の愛と知らずに〜

高校教師〜禁断の愛と知らずに〜オリジナルサウンドトラック


曲目/
1.ぼくたちの失敗プレリュードヴァージョン 2:32
2.ぼくたちの失敗 3:24
3.男のくせに泣いてくれた 2:14
4.君と淋しい風になる 2:46
5.ぼくたちの失敗ロンリーヴァージョン 2:56
6.男のくせに泣いてくれた 3:20
7.ぼくたちの失敗スキップヴァージョン 1:53
8.ぼくが君の思い出になってあげよう 3:36
9.男のくせに泣いてくれたピアノソロヴァージョン 3:18
10.君は変わっちゃったネ 3:03
11.ぼくたちの失敗オーケストラヴァージョン 3:43
12.みんな夢でありました 3:20

歌/森田童子(2)(4)(6)(8)(10)(12)
インスト編曲/千住明(1)(3)(5)(7)(9)(11)

1993年

ワーナーミュージック、WPCL-757


イメージ 1


 残念ながらテレビドラマはリアルタイムで見ていません。いえ、正直に行ってダイジェスト版ぐらいしか見ていません。でも、サントラというだけで買ってしまった一枚です。まあ、多少フォーク世代に身を置いたものとしては「森田童子」ぐらいの名前は知っていました。ドラマは1993年に放送され、話題になり最終回の視聴率は33%を超えた大ヒットになりました。そんなことで映画化もされたようですが、勿論そちらも知りません(^▽^;)。個人的にはドラマよりも音楽が気に入ったといっていいでしょう。テーマ曲とした使われた森田童子の「ぼくたちの失敗」はオリジナルは1976年に発表されたセカンドLPの「 マザー・スカイ=きみは悲しみの青い空をひとりで飛べるか=」に含まれていました。このドラマは脚本を野島伸司が書いていますが、その彼が高校時代に彼女の歌を聴いて印象に残っていたといいます。そんなことで、映画版「高校教師」でも同じ森田童子の「たとえばぼくが死んだら」が主題歌に使われていました。

 これは決して森田童子のアルバムという訳ではないので彼の歌は6曲しか収録されていません。そして、このドラマの音楽の担当は千住明でした。ですから半分は彼の編曲によるバージョンがこのアルバムには収録されています。この編曲は秀逸です。冒頭の「ぼくたちの失敗」プレリュードバージョンは弦楽アンサンブルにピアノ、ハーモニカ、そしてクラリネット、トロンボーンという編成のアレンジでドラマのシリアスさと緊張感を煽っています。


 それまでのドラマはヒット曲とタイアップして人気に便乗するというパターンがメインでしたが、このドラマは過去の作品にスポットを当ててリバイバルさせるという手法をとりました。多分このドラマがきっかけで過去のヒット作を流用する、又はカバーしたものを使用するという事が多くなったと思います。そういう意味でもターニング・ポイントとなった作品では無いでしょうか。この主題歌がヒットしたので、ドラマでは森田童子の次の作品がエンディングで使用されています。

男のくせに泣いてくれた(第4話エンディング)
G線上にひとり(第5話エンディング)
ぼくが君の思い出になってあげよう(第7話エンディング)
君と淋しい風になる(第8話エンディング)
君は変わっちゃたネ(第9話オープニング)

そんなことで、このサントラアルバムに収録されています。しかし、「G線上にひとり」は収録されていません。何故なんでしょう。不思議です。
森田童子の歌はYouTubeに既にアップされていますので、そこ化に引用して聴いてみましょうか。最初は主題歌の「ぼくたちの失敗」です。


つづいて「男のくせに泣いてくれた」です。


 サントラならちゃんと収録すべきです。という事で、ここではこの曲も取り上げます。


そして、ラストに収録されている「みんな夢でありました」です。この映像のバックは歌の背景にもなっている東大紛争の模様が流れています。


 さて、脚本の野島伸司は千住明がお気に入りのようで、作品の半分以上は彼が手がけています。そして、このコンビの最初の作品がこの「高校教師」という訳なんですね。このアルバムには「ぼくたちの失敗」が4バージョン、「男のくせに泣いてくれた」のピアノバージョンが収録されています。なかなかいいアレンジで、こういう曲が聴けるのがサントラ盤の嬉しいところです。最後に、「ぼくたちの失敗」のオーケストラバージョンを聴きましょうか。


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スター・トレックがいっぱい

スター・トレックがいっぱい


曲目/
1.パイロット版「THE CAGE」
2.パイロット版「WHERE NO MAN HAS GONE BEFORE」

作曲・指揮/アレクサンダー・カレッジ

P:ニール・ノーマン

CRESCENDO GNPD-8006
KING K32Y-4017

イメージ 1


 「スターウォーズ・シリーズ」なんかはジョン・アィリアムズがシリーズ通してスコアを書いていますが、おなじSFものでも「スター・トレック」ものは作品毎にスコアを書いている作曲家が違います。もちろんこの作品、オリジナルはテレビシリーズでしたからそちらの方が本家本元といえるでしょう。アレクサンダー・カレッジ作曲によるオリジナル・テレビシリーズ(TOS)のテーマ曲はずっと親しまれ、オリジナルのシリーズ以外にも、日本では「大陸横断ウルトラクイズ」の主題曲としても使われましたので知らない人はいないでしょう。1964年に最初の企画がなされますが、紆余曲折を経て実際の放送が開始されたのは1966年9月でした。この記念すべきファーストシリーズは、アメリカでは1966年9月8日 - 1969年6月3日放映にかけて放送されました。最初のシリーズは日本では「宇宙大作戦」と「スパイ大作戦」にあやかったタイトルがつけられていたのも懐かしいところです。

 この本放送に先立ちパイロット版が2本制作されています。その第2作「光るめだま」で、ウィリアム・シャトナーがジェイムス・カーク船長役となり、企画にO.Kが出ています。余談ですが、この「光るめだま」のCDが発売された時、まだ、CDプレーヤーも持っていないのにCDだけ先に手に入れたのを覚えています。そうです、普段はクラシックを中心に取り上げていますが、そのクラシックのCDよりも先に、真っ先に手に入れたのがこのCDでした。これ、レコードでは発売された事が無かったんですよね。でもって、CDにはジェフリー・ハンターをクリストファー・パイク船長役とした最初のパイロット版「The Cage」の音楽も収録されています。上記のジャケットはその時のものです。1986年の発売です。CRESCENDOは当時はキングレコードから発売されていたんですな。で、下のテーマ曲はその「The Cage」に使われていたもので、実際のテレビシリーズのものとは若干アレンジが違います。1曲目がメインタイトルで、2曲目はエンド・タイトルになります。




 さあ、実際のテレビシリーズでは堂なっていたでしょうか。聴き比べです。1966年間ファーストシリーズのタイトルです。日本語版でどうぞ。


 ところで、最初のシーズンが終わってしまうと、第2シリーズまでかなり間があいてしまいます。その間に制作されたのがアニメ版のスタートレック(1973年 - 1974年放映)です。こちらも、テーマ曲はアレクサンダー・カレッジの音楽が使われています。


 しかし、スター・ウォーズがヒットすると「スター・トレック」にも映画化のチャンスが巡って来ます。オリジナル・キャストでようやく、1979年に「Star Trek Motion Picture」が公開されます。映画化に際してはジョン・ウィリアムズに匹敵する大物が必要だという事で、第1作では大御所のジェリー・ゴールドスミスが担ぎ出されました。彼は1968年には「猿の惑星」、1978年「カプリコン1」、そして1979年「エイリアン」とSF作品を手がけています。その彼が手がけた音楽は、これまた「スター・トレック」に相応しいテーマを用意しました。それが下記の曲です。


 ただ、オリジナルのテーマ曲を期待していた向きにはちょっと不評のところもありました、そんなことで第2作の「カーンの逆襲」では新人のジェームズ・ホーナーが抜擢されます。これ以前には「宇宙の7人」とか「インキュバス 死霊の祝福」なんかがありますが、いわゆるB級映画です。ホーナーは作品がテレビシリーズのエピソードの続きだという事を受けて、オープニングはアレクサンダー・カレッジ作曲のTVシリーズのメインテーマ(その冒頭のファンファーレのみ)から始めて、担当作曲家オリジナルのテーマに展開させるという手法をとります。これは成功しました。以後のシリーズはこの形が定着します。という事で、テレビシリーズとの違和感が無くなり、彼の手腕は評価され続く第3作も音楽は彼の手に委ねられます。ホーナーはその後は破竹の活躍で、「タイタニック」では見事にオスカーを手にします。個人的には、このスタートレック2の音楽が一番好きです。エンタープライズがドックを離れるシーンなんかはこの音楽がぴったりの様な気がします。


 劇場版の第4作は気分を変えて今度はレナート・ローゼンマンの登場です。ちょいと古い人は「エデンの東」とか「理由なき犯行」を思い浮かべるでしょう。何となれば、ジェームス・ディーンは彼の教え子だったんですねぇ。そんな懐かしい名前が登場して個人的には狂喜しました。こんな音楽を付けました。


 5作はジェリー・ゴールドスミスの再登場、6作目の「スタートレックVI 未知の世界」はクリフ・エイデルマン、第7作はデニス・マッカーシーと迷走し、第8作、第9作、第10作とジェリー・ゴールドスミスが返り咲きます。しかし、2004年にジェリー・ゴールドスミスが亡くなると2009年公開の「スター・トレック 」はマイケル・ジアッキーノのバトンタッチされました。原点に立ち返ったこの2009年のスタートレックはテーマこそオリジナルですが、エンドクレジットではちゃんとカレッジのテーマ曲を折り込んでいます。でも、このテーマ何処となくダニー・エルフマン(バットマンを担当)を思い起こしてしまうのは小生だけでしょうかね。(^▽^;)


 一つのシリーズでこれだけテーマがあると混乱してしまいますが、これが映像とくっつくとちゃんと音楽が生きているから不思議です。最後に、第8作までの音楽を一つに纏めた映像を見てみましょう。ただし、全曲聴くには1時間近く要しますから心して聴いて下さいね。ただ、この音源サントラと銘打ってますが、オリジナルスコアを使った演奏ものです。

 

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カール・ディヴィス/映画音楽傑作集

GREAT MOVIE THEMES


曲目/
1.Williams:レイダース 失われたアーク - メイン・テーマ 5:45
2.Barry: 愛と哀しみの果て- メイン・テーマ 3:57
3.Elfman: スパイダーマン - メイン・テーマ(a.ジョン・ワッソン) 5:12
4.Williams: シンドラーのリスト - メイン・テーマ(a.ジョン・ワッソン) 4:31
5.Zimmer: グラディエーター - メイン・テーマ(a.ジョン・ワッソン) 6:33
6.Davis: チャンピオンズ-チャンピオンズのテーマ 3:12
7.Davis: チャンピオンズ-グランド・ナショナル 2:22
8.Shore: ロード・オブ・ザ・リング - 組曲「2つの塔」(a.ジェリー・ブルベーカー) 8:27
9.Vangelis: 炎のランナー - メイン・テーマ(a.アンディ・ヴィンター) 3:32
10.Norman: ジェームス・ボンドのテーマ(a.ニコラス・レーネ) 3:29
11.Horner: タイタニック - メイン・テーマ(a.エドワード・ピーク) 8:21
12.Silvestri: フォレスト・ガンプ - メイン・テーマ(aカルヴィン・カスター) 6:07
13.Barry: ダンス・ウィズ・ウルブス - メイン・テーマ(a.ニコラス・レーネ) 4:11
14.Williams: ハリー・ポッターと賢者の石 - ハリーの不思議な世界 4:40

指揮/カール・ディヴィス
演奏/ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団

録音/2007/04/02,03 フィルハーモニック・ホール、リヴァプール
P:アドリュー・ウォルトン
E:フィル・ローランド

NAXOS 8.570505

イメージ 1


 先にカール・デイヴィス/ロイヤルフィルの007を取り上げましたが、カール・デイヴィスという名はポップスファンにもかなり馴染みがあると思います。ポール・マッカートニーの「リヴァプール・オラトリオ」を編曲、これを指揮したことでも有名ですからね。小生も以前、映画音楽として「ウェスト・サイド・ストーリー」を取り上げたことがあります。映画音楽も作曲するというから、日本の山本直純みたいな人なんでしょう。日本ではちょっとは知られた「チャンピオンズ」という映画の映画音楽も書いています。このアルバムでもちゃっかり自作のこの作品を演奏しています。(^▽^;)もともとはアメリカ生まれですが、イギリスBBC製作の「The World at War」の音楽を手がけたことでイギリスでブレークしました。そんなことで,このロイヤル・リヴァプールフィルのポップスの監督を8年ほど務めていました。

 そんな縁で,このアルバムが録音されたのでしょう。びっくりするのはこのアルバムがナクソスから発売されていることです。ま、ナクソスはクラシックの文庫化を推進しているレーベルですが,これまでにも話題となるようなポップス、ジャズのアルバムも発売しているのですから驚くには値しないのでしょうが、遂にこういうものまで手がけるようになったのか、という感慨です。

 カール・デイヴィスは奥さんはイギリスの人で,すっかりイギリスに根付いています。そういうことで,ここでの選曲もイギリスで人気のある映画音楽を演奏していると見ていいでしょう。「炎のランナー」なんて典型的なイギリス映画ですからね。さて、曲目を見ると007がダブっています。この編曲はニコラス・レーネとなっていますが、多分ニック・レーネと同一人物でしょう。ニコラスの愛称がニックですから。アレンジも一緒です。ただ演奏を比べてみるとこれがポップス慣れしているオーケストラとそうでないオーケストラの違いがはっきりと別れます。そういう意味ではロイヤル・フィルの方が一枚上手です。ドラムスが入ってもちゃんとバランスがとれた演奏をします。そこへいくと、リヴァプール・フィルは元々がシンフォニックオケですからドラムスとの共演は今イチというところでしょうか。サウンドポリシーの違いがあるのかもしれません。テンポもリヴァプールの方がやや遅いのですが,全体がクラシカルな音の出し方をしているので音が散ってしまっているような印象です。ただ、これはドラムスのサウンドが入っているというアレンジのせいかも知れません。それ以外の演奏は、デイヴィス自身の編曲も含めて中々シンフォニックな演奏でアルバムトータルとしては楽しめる構成になっています。

 曲もアップテンポ有り,しっとりとしたストリングス中心の曲有りとバラエティに富んでいて映画音楽の持つ魅力をきっちりと伝えてくれています。ジョン・ウィリアムズの「レイダース」や「ハリー・ポッター」などはポピュラーな曲ですからおなじみでしょうが、同じヒットした「スパイダーマン」の音楽がどんな曲だったか分かる人はいるでしょうか。音楽はダニー・エルフマンが書いていますが,この人の音楽は「バットマン」にしてもややくらいイメージの曲が多いので曲のイメージが中々わきません。この「スパイダーマン」もSFXやアクションシーンに目をとられて音楽の記憶はほとんどないのではないでしょうか。そういう意味では映像を引き立てる良い映画音楽といえるのですが、主題曲が無かったために音楽をイメージすることが出来ないというところが辛いところです。ただ,小生としてはこういう音楽の方が好きです。ここでも、重厚なオーケストラサウンドで,このテーマ曲の魅力を改めて呼び起こしてくれる演奏になっています。一つ,そこら辺りから聴いてみましょう。

 

 これは、カール・デイヴィスのアルバムですから,ここはやはり,「チャンピオンズ」の音楽を取り上げてみましょう。実は、このタイトルナクソスのホームページでは「チャンピオン」と表記されています。しかし、日本での公開タイトルは「チャンピオンズ」と複数形になっていますし、原タイトルもそうなっています。映画を知らない人が、文章を作ったとしかいえません。何しろ、この映画は人と馬の両方がチャンピオンになった物語ですから複数形が当然なのです。映画は、癌を宣告された実在のボブ・チャンピオンの物語です。人気の絶頂期にガンの宣告を受けたボブ・チャンピオンと、同じく骨折事故で廃馬寸前となった名馬が、再びコンビを組み奇跡的なカムバックを遂げるという物語です。1984年の映画で、個人的にはリアルタイムで見た映画です。しかし,音楽の記憶はさっぱりありません。感動的な映画だけに、それだけストーリーに没頭したんでしょう。ということで、この音楽を聴いて改めて映画のシーンを思い出した次第です。テーマ曲はしっとりとしたものですが、ここではもう一曲収録されている「グランド・ナショナル」を聴いてみましょう。勝利のレースのシーンのバックに流れていた音楽です。


 「炎のランナー」はオリンピックを題材にした映画ですが、陸上でイギリスが華々しい活躍をした1924年のパリオリンピックが舞台となっています。音楽はヴァンゲリスが担当し、シンセサイザーのサウンドが新鮮な感動を呼びました。ここでのアレンジはアンディ・ヴィンターが担当していますがピアノを上手く使いそこにハープがいいアクセントの装飾をつけています。上手いオーケストラの使い方です。


 イギリスといえばタイタニック号が出航したところです。そういう意味ではイギリス映画なのでしょう。ここでは、ジェームス・ホーナーの書いた音楽を、8分以上の素晴らしいアレンジでこの大作映画の魅力を伝えてくれます。元々ジェームス・ホーナーのフルスコアがありますから、そこから如何に映画をイメージするサウンドを纏めるかということですが,アレンジャーのエドワード・ピークがいい仕事しています。冒頭はアイリッシュ目ダンスのメロディが流れますが、映画の中の曲を巧みに組みあわせて組曲風のアレンジになっています。カール・デイヴィスは同じ作曲家として、実に雰囲気豊かにこの曲を演奏しています。最後にこの曲を聴いてみましょう。


 そうそう、この「タイタニック」、今年4月6日から全世界同時封切りで3D版が公開されます。何でも今年は、タイタニック沈没100周年だそうです。ちなみに時差の関係で日本は最速公開となるそうです。

 さて、このアルバムは好セールスだったのか、第2弾も制作されています。機会があったら、何れそちらも取り上げてみます。

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007/ジェームス・ボンドのテーマ

James Bond Themes


曲目/
1 The James Bond Theme 3:12
2 From Russia With Love 3:00
3 Goldfinger 3:03
4 Thunderball 3:49
5 You Only Live Twice 3:55
6 Diamonds Are Forever 2:54
7 Live And Let Die 2:43
8 The Man With The Golden Gun 3:19
9 Nobody Does It Better 3:34
10 For Your Eyes Only 3:08
11 Living Daylights 2:50
12 Golden Eye 4:12

編曲/ニック・レーネ
指揮/カール・ディヴィス
演奏/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

録音/1997

Platinum Entertainment – 2880

イメージ 1


 先日YouTubeでプロムスのポップス編を取り上げた時、007の音楽で、ロイヤルフィルを指揮したカール・デイヴィスのアルバムがあることを思い出しました。捜索の結果ようやく見つけることが出来ました。第1作が公開されたのが1962年、6代目のジェームス・ボンドのダニエル・クレイグになっても未だに続いているシリーズです。作品数こそ少ないものの長寿シリーズとしてはとてつもない作品になってしまったものです。小生は世代的には007シリーズと時代をともにしています。初代ショーン・コネリーの強烈な個性によるインパクトは忘れられませんが、それにもまして、魅力的な映画音楽に見せられました。何といってもジョン・バリーによる素晴らしい音楽に魅了されました。決して主題曲ではありません。確かに主題曲はその時はヒットしますが、いつの間にか忘れ去られてしまうものも多くあります。音楽としての「ロシアより愛をこめて」なんて今でもこうして演奏されますが、それをマット・モンローが歌い手だったたことをどれだけの人が覚えているでしょう。シャーリー・バッシーの「ゴールド・フィンガー」、「ダイヤモンドは永遠に」なんかも覚えている人は少ないのではないでしょうか。「死ぬのは奴らだ」なんてポール・マッカートニーが歌っていたんですよ。多分、記憶が正しければ、これらタイトルソングを1枚に集めたアルバムは発売された事が無いのではないでしょうか。それが映画音楽としての演奏ものではこうして1枚のアルバムにすることが出来ます。

 007モノは好きで、過去にもローランド・ショウのアルバムを取り上げたことがあります。
http://blogs.yahoo.co.jp/geezenstac/48471531.html

 先のプロムスの映像でも、イギリスでは毎年のように007の音楽が何らかの形で演奏されています。イギリス人にとって007はエバーグリーンな音楽なんですね。そんな中でも愛されているのはやはりジョン・バリーの音楽です。音楽の質が違います。フルオーケストラでの演奏に耐える内容を持っています。一般にはモンティ・ノーマンの作曲した「ジエームス・ボンドのテーマ」が有名ですが、この曲エレキギターがブームの時に作曲されたせいもあり、サウンドてにはデケデケ音楽です。カール・ディヴィスのここでの演奏はエレキギターこそ使っていませんが、サウンドはドラムスがリズムを刻むいわゆるポップス調の演奏には変わりありません。それでも、編曲のニック・レーネは苦心してオーケストラサウンドに仕上げています。

 ところが、2曲目の「ロシアより愛を込めて」ではこのサウンドが一変します。ドラムスが入ってないのです。つまりは純粋なオーケストラの編成の音楽になっています。映画ではマット・モンローの歌がメインになっていましたが、作曲したライオネル・バートもジョン・バリーの音楽を意識したメロディアスな曲を書いたものです。もともと、ジョン・バリー自らがオーケストラ演奏したものがありますから、オーケストラだけでも雄弁にこの音楽を語れる仕上がりにちゃんとなっているのです。ここでは、そのオーケストラ版の「ロシアより愛をこめて」がきっちり演奏されています。

 

 これは、次ぎの「ゴールド・フィンガー」でもいえます。この曲はジョン・バリーが主題歌も書きました。メロディはストリングスが演奏していますが、これが品があってシャーリー・バッシーの歌声が無くても、ちゃんと「ゴールド・フィンガー」だということを主張しています。これも、ジョン・バリーの元々のオーケストレーションがありますからそれに近い形で演奏されています。わざわざ手を加えて変なアレンジにする必要がないんですね。でも、この曲ではドラムスのシンバル系のサウンドだけは使われています。つづく、「サンダー・ボール」も同じことがいえます。ただ、ここではトランペットのソロを前面に出したアレンジでちょっと変化をつけています。しかし、見事なティンパニの響きがアクセントになっています。この後の、「007は二度死ぬ」、「ダイヤモンドは永遠に」まではオーケストラサウンドの醍醐味が楽しめます。ただ、後者では中盤以降はドラムスが入って来てやや興ざめです。まあ、アレンジャーのニック・レーネはジョン・バリーほどのセンスは感じられませんけれどもね。


  ところが、ジョージ・マーティンが音楽を担当した「死ぬのは奴らだ」での主題歌、ポール・マッカートニーとウィングスの「Live And Let Die」になったとたん、サウンドが一変します。ここからはベースギターやドラムスがフルに活躍し、まさにこの主題歌がロックをベースにしていることが明らかになります。そんなこともあって雰囲気ががらりと変わってしまいます。こういうサウンドはオーケストラサウンドを期待している小生なんかにとってはやや下品な演奏という気がしてしまいます。映画でもこういうド派手な音楽になっていましたが、まあ、この辺は好みの別れるところでしょう。

 「黄金銃を持つ男」もジョン・バリーの音楽ですが、はっきり言ってこの辺りからあまりメロディアスな曲では無くなって来ます。カーリー・サイモンが主題歌を歌った「私を愛したスパイ」もヒットこそしましたが、今ではオーケストラで演奏されることも稀なんではないでしょうか。ここでも、ドラムスがとベースギターがリズムを刻むので一番楽なオーケストレーションで終わってしまっています。音楽は・マーヴィン・ハムリッシュが担当していましたが全体的には評判はよく無かったようで、次作の「ムーン・レイカー」ではまたジョン・バリーに戻っています。この頃は音楽的には一番低迷していたのではないでしょうかね。また、次の「ユア・アイズ・オンリー」ではビル・コンティになります。こんなことで主演俳優はコロコロ変わるし、音楽もコロコロ変わりシリーズとしての統一性は全く失われていきます。

 ここでは最後に収録されている「ゴールデン・アイ」もドラムスのリズム・セクションが入った形で演奏され、こうなるとオーケストラで演奏する意味合いは全くありません。エリック・セラの音楽はパンチの聴いた音楽でそれなりにいい曲ですが、オーケストラサウンドとドラムスは全くあわないと言っていいでしょう。オーケストラを使うならティンパニをきちっと使ったアレンジをしてほしいものです。カール・デイヴィスは自らも作曲するのですから、そういうサウンド・ポリシーを持って演奏してほしかったところです。ちなみに、この録音は総勢59名編成のオーケストラで録音されています。多分主席クラスの抜けたポップス編成のオケの様な気がします。


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