「境界に生きた心子」

一言メッセージ :境界性人格障害の彼女と過ごした日々のノンフィクション[新風舎・刊](海原純子さん推薦/心療内科医・医学博士)

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「無意識の彷徨」

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「無意識の彷徨」 (9)

 
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/46947072.html からの続き)

  
○街景

  友辺の車が走っている。
 

○車の中

  運転している友辺。
  助手席になつみ。
友辺「尋常じゃないな、あの驚き方は」
なつみ「過去に何か、ああいう音に関わるシ
 ョッキングな体験があったのかもしれない。
 光が印象に残ってるっていうのも気になる
 し」
友辺「俺も子供のとき、古くなった牛乳をカ
 ルピスと間違えて飲んでピーゴロんなって
 さぁ、それからカルピス飲めなくなったな
 (笑)」
なつみ「彼は母子家庭だったね。子供に一番
 大きく影響するのはふつう親との関係だけ
 ど……」
友辺「その母親も西脇が9才のときに亡くな
 って、今の伯父夫婦に引き取られた。でも
 夫婦の話では、西脇は母親の死のことを覚
 えてないそうなんだ」
なつみ「9才で……不自然ね」
友辺「それ以前の母親の記憶もあまりないら
 しい」
なつみ「ふーん、母親との関係に何か問題が
 あったのかな」
友辺「(思いを馳せるように)……自分の過
 去の一部を覚えてないなんて、どんな感じ
 なんだろうね?」
なつみ「………(思案)」
  車は踏切に差しかかり停車する。
  カンカンと警報機が鳴り遮断機が降りる。
  警報機が赤く点滅する。
  電車が音をたてて滑り込んでくる。
 

○闇

  点滅する赤い光(前のシーンから続い
  て)。
  カンカンという音が被さる。
  後ろ姿の則子が漂うような感じで歩いて
  いる。
裕司の声「………お母さん……」
  ゆっくりと振り向く則子。
  顔がぼやけて誰だか分からない。
裕司の声「お母さん……?」
  点滅する光と音。
  則子は何かを求めるようにこちらへ手を
  差し伸べる。
  則子の体が遠ざかっていく。
  苦悶しているように見える。
  光と音が大きくなる。
  則子、懸命に求めるがどんどん遠ざかり、
  電車の轟音にかき消されるようにふっと
  消えてしまう。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/46997596.html
 

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