希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)

歴史をふまえ、英語教育の現在と未来を考える和歌山大学江利川研究室・兼江利川個人のブログです。

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竹下和男著『英語天才 斎藤秀三郎』を推薦します。

竹下和男著『英語天才 斎藤秀三郎』(日外アソシエーツ、4998円)が刊行されました。

近年における英語教育史研究の快挙と言ってよいでしょう。

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著者の竹下氏から恵贈いただき、一気に読みました。
そして、たいへん感銘を受けました。感動、といった方がよいかもしれません。

明治以来の日本の英語教育発達史を考えるとき、まっ先に浮かぶ一人が斎藤秀三郎(1886-1929)です。
日本が生んだ世界の英語学界に通用する巨人です。

しかし、大村喜吉先生の名著『斎藤秀三郎伝』(1960)が吾妻書房の廃業で絶版になってしまった今、斎藤の学問的業績と人となりを伝える本はありませんでした。

竹下氏は長らく民間にお勤めの後、現在はイグザモニックス研究所を主催されています。
氏の英語力には定評があり、私もこれまで大いに学ばせていただきました。

その竹下氏が、このたびの『英語天才 斎藤秀三郎』で斎藤秀三郎の英語学研究の凄さを再認識させたことは、きわめて意義あることだと思います。

とりわけ、「斎藤が100年前に提唱したIdiomologyは今日のPhraseologyとほぼ同じもの」(18ページ)という指摘は卓見です。
しかし、その点を本当に理解している研究者は内外に多くはありません。
その意味でも、本書は「斎藤秀三郎再発見」の大きな起爆剤になるでしょう。

論述がたいへん明解で、資料が豊富なため、学問的な価値は極めて高いと思います。

また、後半の【資料編】では、斎藤秀三郎の主要な著作の目次と具体的なサンプルがたくさん集められているため、斎藤の生の資料に直接アクセスすることができます。
これは大村先生の著作にもなかった新機軸で、本書の価値を大いに高めています。

日本人の英語研究のレベルは世界最高水準だったのだ、ということを再認識させてくれます。

「終わりに」は、第一級の現代英語教育批判で、大いに共感しました。
軽薄な「コミュニケーション重視策」(英会話偏重策)への痛烈な批判です。

本書の副題「英語教育再生のために、今あらためて業績を辿る」が、著者の問題意識を鋭く表現しています。

その意味でも、本書はすべての英語(教育)関係者の必読書です。
心から推薦します。

閉じる コメント(11)

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宇宙の成り立ち、古代文明の有様、外国の実情などを知る場合にも、我々は英語を使わなくてはならない。
外国人が我々日本人を理解する場合にも、英語を通して行われている。かな・漢字を通して理解されているわけではない。
だから、英語は、我々にとって単なる一外国語ではなく、とりわけ重要な国際語というにふさわしい情報交換の手段となっている。

英語圏に行けば、片言の英語でも通じる。暮らしてゆける。
完全な英語でなくても、英語環境がととのっているから通用するのである。
英語環境がととのっていれば、そのうちに、英語も上達する。


http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812

2011/3/31(木) 午前 10:19 [ nog*1*391j* ]

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どうも、こんにちは。「受験英語と日本人」を昨日購入して読んでる
最中です。ミヨシさんの本からのエピソードが最初の方で出てきて、「おお」と思いました。ひとつだけ言わせてもらうと、筒井正明先生の参考書を載っけてもらいたかったですー。それにしても80年代後半から90年代にかけての駿台文庫は異様にクオリティの高い本が多くて今振り返っても凄いです。

2011/3/31(木) 午後 5:15 [ akrk ]

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akrkさん、コメントをありがとうございました。
おっしゃるように、筒井正明先生の御本はとても面白いですね。載せられなくて申し訳ありません。
拙著は当初の企画では200ページ程度という条件でした。それが膨大な原稿になってしまい、一生懸命に削ったのですが、結果的には326ページにもなってしまいました。本当は価格も2000円未満に抑えたかったのですが。
そうした次第で、英文法書を削って英文解釈と英作文を中心にするなどし、また筒井先生や奥井潔先生の本なども掲載できませんでした。
以上、言い訳です。
<m(_ _)m>

2011/3/31(木) 午後 7:24 [ 江利川 春雄 ]

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こんにちは。
御著書、『受験英語と日本人』を読み終えたので、少しブログで書かせて頂きました。
もっとも、僕には書評など無理なので、支離滅裂になってしまいましたが。
伊藤和夫の訳文の件などでコメントしようと何度も思いながらも、どう削っても、要約しても、500字には収まらず。
まして、本を出すとなると文字制限に悩まされそうですね。
ページ数と値段の葛藤、妥協点は結局ページ数を減らすことになるでしょうから。
レベルは違いますが、僕のブログでもそう。
毎回長文なので、最後はどこを削るか・・・と悩みます。
というか、斎藤秀三郎に関する本が出たのですね!
斎藤兆史さんの本などで断片的には斎藤秀三郎のことは知っていましたが、『熟語本位 英和中辭典』を愛用している僕としては買わざるを得ないです。
そして、江利川さんのブログのレギュラー、受験を伊藤英語から考える者さん、僕のブログも見て頂いているとのこと、有り難うございます。 削除

2011/4/1(金) 午後 8:19 [ まさんた ]

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まさんたさん、拙著を紹介してくださって本当にありがとうございました。
読ませますねー。単なる紹介ではありません。
「知の冒険旅行」といった感じで、近代日本の英語学者の業績にダイナミックにジャンプしながら、議論を膨らませ、深めていく力量に圧倒されます。
豊かな蓄積なしには、とても書ける文章ではありません。
感謝です。

2011/4/1(金) 午後 10:52 [ 江利川 春雄 ]

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まさんたさん
どういたしまして(^^)d
駿台関係者(主に入不二氏)と私以外の視点から見た伊藤和夫像を知るのが私は好きで、まさんたさんの『解釈教室』に関する考察は考えさせられます。もちろん江利川先生の伊藤和夫評も考えさせられることが多く、私にとって貴重なソースです。
だいぶ昔のことですが、エール出版社の『○○合格作戦』のどれかだったと思いますが、表三郎氏が「『解釈教室』には間違いが含まれている」と語ったとする文章が載っていました。ひょっとしたら、現在まさんたさんがご指摘なさっている部分なのかもしれません。他方「校正は一体何をしていたんだろうか?」と思ってしまいます。
何はともあれ、今後とも宜しくお願い申し上げます。m(__)m 削除

2011/4/2(土) 午前 0:41 [ 受験を伊藤英語から考える者 ]

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今更ですが、『英語天才 斎藤秀三郎』を読んでいます。
江利川先生のこの記事で知って、ずっと「読まねば」と思っていたのですが、今になってしまいました。
しかし、非常に興味深い本ですね。
舶来の何とかという方法にだまされず、文法を基礎に、しかし文法には頼り過ぎず、日本人のための英語学習法の確立を解いているところなど、全く伊藤和夫の主張と同じではありませんか。
100年前から答えは出ているのに、英語教育に関しては、相変わらずインチキがまかり通っているのだということを痛感しました。 削除

2012/1/30(月) 午後 11:57 [ シェイクスピア ]

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いま日本における学習英文法学習史を書いているのですが,まさに「100年前から答えは出ているのに、英語教育に関しては、相変わらずインチキがまかり通っているのだということを痛感しました」との思いを強くします。
なお,斎藤秀三郎の原著をぜひお読みください。著作は2メートルほどありますので困ってしまいますが。
僕は1メートルちょっとは持っていますが,とても読み切れません。
<m(_ _)m>

2012/1/31(火) 午前 1:03 [ 江利川 春雄 ]

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江利川先生の英文法学習史の本、楽しみにしております。
ところで、斎藤秀三郎の原著というのはどこで手に入りますか?
復刻版など出ているのでしょうか?
『熟語本位英和中辞典』と『斎藤和英大辞典』は持っていますが。
僕は小遣いが少ないので、オークションで落札したり、高価な古書を買い求めるのは無理です。
もし復刻版が出ているのなら、都立図書館辺りから取り寄せようかと思います。 削除

2012/1/31(火) 午前 11:13 [ シェイクスピア ]

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英文法学習史は単著ではなく,昨年の慶應シンポをもとにした大人数による本です。僕のはその一部にすぎません。
大津由紀雄さん,鳥飼玖美子さん,斎藤兆史さんなど,豪華メンバーですよ。
斎藤秀三郎の本は大空社から復刻版が出ていましたので,かなりの図書館に入っています。
MONOGRAPH ON PREPOSITIONS(前置詞大完)なんて,1300頁以上もあって,いまだに世界最高峰だと思います。

2012/1/31(火) 午前 11:47 [ 江利川 春雄 ]

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英文法学習史、いつも著書を拝読している先生方ばかりなので、ますます楽しみです。
斎藤秀三郎の復刻版の情報も、ありがとうございます。
『英語天才 斎藤秀三郎』を読み終わったら、早速探してみたいと思います。 削除

2012/1/31(火) 午後 6:17 [ シェイクスピア ]

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