ナイジェリアの生活日記

ナイジェリアに出会って10年。ナイジェリアでの日常生活を綴ります。

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女性に対する暴力

11月25日は国連が定めた「女性に対する暴力撤廃国際日」です。日本でも、ここ2週間は「女性に対する暴力をなくす運動」週間のはず。
ナイジェリアでの女性に対する暴力はどんな状況なのか。すごそう、というのは想像つく。
国際的な人権NGOであるアムネスティインターナショナルが、ナイジェリアでの女性に対する暴力について今年レポートを出している。
ここでいう「暴力」は殴る、蹴るというだけでなく、言葉による暴力や、無視、いやがらせなども含む。
女性に対する暴力の英語は、VAW(Violence Against Women)だけど、women だけでなくmenに対する暴力もあることからGender -Based Violenceという呼び方もする。ジェンダーと開発の世界では、women よりもggenderという言葉を使って、社会の中での女性と男性の力関係や、性別でなく女らしさ男らしさという概念に目を向けさせようとしている。でも、暴力に関しては、私は「Violence against Women」の方を使いたい。
圧倒的な被害者は女性だし、身体的な暴力に関しては、一般に力の強い男性(男性全員が強いってことじゃないけど)が、より力の弱い女性に(抵抗しづらい女性に)暴力を振るうのであって、武器を持っている人と持っていない人の戦いというくらい、両者は平等じゃない。

ナイジェリアでは女性に対する暴力の殆どは世帯の中、コミュニティの中で起こっている。
南部アフリカ諸国に比べてナイジェリアは性犯罪が少ないと聞く。でも世帯の中、コミュニティの中では頻繁にあるらしい。Marital rape(配偶者によるレイプ)は、そもそもレイプだと思われていないし、「家庭内の問題」とされ犯罪という意識もない。また父親が娘をレイプ、親戚によるレイプも多い。拡大家族の中で父と娘のつながりが親子という私達が考えるような関係ではなかったり、親戚が一緒に住んでたり訪問が多かったりで、加害者になりそうな人との接触がそれだけ増える。
殴る、蹴るという暴力ももちろん多い。暴力のために耳が聞こえなくなったり骨が折れたりで病院に運ばれることもある(病院にいけるのはましなほうだけど)。で、病院の人が「暴力」として通報することもあるそう。また、青酸カリを顔にかけるという暴力も多い。妻に他に相手がいるのではと疑って、他の男性を見つけられないように青酸カリを顔にかけるというのだ。こういう事件は新聞によくのるらしい。
だけど、これらを「犯罪」として追及することが難しい。それは操作をする警察や裁判所関係者の女性に対する暴力への理解がないことによる。加害者の男性は世間からも加害者だとは見られない。まだまだ、「家庭内暴力」は暴力ではなく家庭内に起こる当たり前のこととみられてしまう。それに親戚一同が問題を取り上げることを「恥」とするので、通報しようとする勇気を出せた女性は孤立してしまう。

こういう家庭内暴力をめぐる問題は日本など先進国でも変わらない。離婚すればいいのに、って思うけど、経済力がない女性は離婚イコール食べていけないことになる。それに実家が受け入れてくれる可能性も低くて、路頭に迷ってしまうのだ。だから暴力に毎日耐えるしかない。それに「家庭内暴力」が犯罪であること、女性に対する暴力が人権に対する違反であること、なんて情報はどこからも入らない。

日本であれば、被害にあう女性に対してシェルターがある。でもナイジェリアではほとんどない。
もちろん女性に対する暴力に取り組むNGOは活動している。最大手は前大統領の妻であり、本人も法律家なんだけど、彼女が作ったNGOは女性に対する暴力をやめさせる啓発活動に取り組んでいる。
法律の改正を働きかけること、警察や裁判所など役所の人々への啓発活動、一般住民への啓発活動、シェルターの確保などなど、やることはたくさん。

「人間の安全保障」という概念が日本の援助の中心におかれている。大きな2つの柱として「欠乏からの自由」と「恐怖からの自由」という目標を掲げている。「恐怖」は紛争だけでないはず。一つ屋根の下に暴力を振るう夫や父が住んでいて、その屋根の下で起こることは誰も取り上げてくれないとしたら、それだって「恐怖」だ。そんな恐怖に毎日接して暮らしている女性がたくさんいる。

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