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「あっしには関わりのねえことでござんす・・・」の名セリフと共に一世を風靡し、「市川崑劇場」と銘打った市川崑イズム満載の傑作テレビ時代劇。
木枯し紋次郎のキャラクターは、人間不信に徹したニヒリスト。
明日に目的を持たず、ひたすらに急ぎ旅を続ける男だ。三度笠は破れ、衣服もボロボロ。それまでのイキな旅烏とは一線を画す、リアルな泥臭さが漂っています。また、毎回豪華なゲストが出演するのも魅力です。
往時の放送が、なんとハイビジョンとして蘇りました。
えええっ!と驚かれる方も少なくないでしょう。
試写会でも、当時ままの映像も比較上映されましたが、はっきり言って退色して、傷だらけ。しかも縦横比は当然4:3のものがです。
ところがですぞ、HD化された映像は、新作を撮り下ろしたものと遜色変わらないほど、鮮やかで、くっきり。ゴミひとつなくなっています。
ちゃんと横幅も横長のHDスケールに映像が拡張されています。一体どうしてこんな魔法のようなハイビジョン化が可能となったのでしょうか?
その秘密のまず一番に、徹底して古いフィルムを何度も徹底的に洗浄して、汚れやホコリを除去すること。そしてデジタル処理にあります。洗浄しても残る赤い斑点を、コンピューター処理で落し、それでも残る傷については、デジタル変換後に手作業で画像処理。最後に彩度や色調を調整して、くっきりしたデジタル画像のできあがりです。
横幅を拡張する秘密は、元々の撮影フィルムに横幅部分が残っていて、それを復活させて活用しています。フィルム撮影のテレビ映画では、テレビに合わせて両端を切り落として放送していたのです。HD化にあたり、当時のカメラマンの立ち会いの下、単に切り落とした横幅を復活させるよりも、上下のバランスも調整するのだそうです。
こうしてわずか1時間の1話分の映像をHD化するのに50時間もかかるそうです。『紋次郎』全20話で、何と1000時間もかかったと言います。その甲斐あって大変美しい映像が蘇りました。
●もっと知りたいハイビジョンの過程はWEBサライHPで!(9/15掲載)
http://www.webserai.jp/
またこの日は時代劇評論家の方から、詳しい紋次郎ネタが次々、披露されました。
監修として市川崑が招かれ、自身、第1〜3話と最終回(18話)の計4本を自ら監督しています。市川監督が、『紋次郎』の監督を引き受けたわけは、ATGで『またたび』をプロデュースするのに自己資金が必要なため、資金稼ぎとして『紋次郎』の企画を引き受けたのだそうです。
このとき市川監督は全く渡世のことなど知識はなかったそうです。だから『紋次郎』の企画に入るのに当たり、時代劇のベテランスタッフが揃っていた大映 京都撮影所のスタッフから指導を受けたり、独自に調べたりしてしたからこそ、凄くリアルティのある紋次郎像を造ることが出来たのだそうです。
当時の股旅物といえば、派手な衣装に三度笠が当たり前でした。当時の渡世人のボロ着のままに登場させた紋次郎は、時代劇に革命をもたらしたといって過言ではないでしょう。
ところで、紋次郎シリーズにおいて当初の市川監督の構想では、第2話の「地蔵峠の雨に消える」で紋次郎をかっこよく登場させ、第3話の「峠に哭いた甲州路」で、たった一人会いたい人を求めて旅をする紋次郎の心情を表し、本来第3話の予定だった「川留めの水は濁った」でその人物は姉のお光であったと明かすという運びだったそうなのです。
市川監督はたびたび原作にない姉のお光ことを紋次郎に語らせています。しかし原作にこんなセリフは書かれてはいません。
お光の存在は、テレビシリーズではキーマンに位置づけられています。普段人に絡まない紋次郎でも、姉のお光に似ているというだけで、助っ人として自ら絡んでいくなど、らしくない行動を取ります。もう一歩で間引きされかかったところを、お光に助けてもらったという経験を持つ紋次郎にとって、姉のお光の存在は、単なる姉弟ではなく命の恩人でもあったのでした。
その第3話が前倒しになって第1話となったことについて、実はこんな裏話もあるそうです。放送開始が元日であったのにもかかわらず、暗い内容なのを気にしたフジテレビのスタッフが市川監督と相談して、小川真由美が出演する第3話のほうが華があるとして、急遽第3話を第1話に持ってきたそうなのです。
本当は、第2話が初回だった「紋次郎」そういう目で、HD化された映像をぜひ確認されてみてください。
●時代劇専門チャネル『木枯らし紋次郎』HDサイト ※10月12日(月)より放送開始
http://www.jidaigeki.com/special/0910_1/
●第1話「川留めの水は濁った」ストーリー
賭場では壺振りの女、お勝と旅人に扮した弟がイカサマで儲けていた。
その儲けた金を弟が姉を裏切り持逃げ出した。それを見ていた紋次郎は五十両を奪い姉に届ける。この女は紋次郎の死に別れた実の姉に瓜二つだったのだ。そのお勝から親愛なる姉の嫁ぎ先が先程の賭場の代貸で更に姉を見殺しにした事が判明した。その時、紋次郎は!
●キャスト
木枯し紋次郎 : 中村敦夫
お勝 : 小川真由美
茂兵衛 : 植田峻
佐太郎 : 小池朝雄 他
追伸
それにしても、この日の試写会はそのあと凄くレトロな神保町の喫茶店で懇親会が付いており、なんとアルコール飲み放題。そして食事も食べきれないほど沢山でてきました。
これを企画したサライネットの皆様の大判振る舞いに感謝です。
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初めまして。
37年前紋次郎に惚れ込み、今また焼けぼっくいに火がついたお夕と申します。
紋次郎がHD化され帰って来た事を嬉しく思っています。これを機に、リアルタイム時を知らない若い人たちにもファンが増えることを期待しています。
傑作は時代を超えても傑作であることは証明済みですが、美しい映像で復活されたことに、天国の市川監督もお喜びのことと思います。
記事にしていただき、ありがとうございました。
2009/10/1(木) 午後 11:07 [ お夕 ]