ハイサーイ!私の徒然草

"へちま" と "へちまのたわし"、"温故知新"と"他山の石"

全体表示

[ リスト ]

井上由美子ドラマスペシャル「春さらば」

 ドラマの副題にある介護詐欺女といえばあまりいい響きはないけれど、根っからの悪人ではない。親から家を追われて、"逃げた男"の子を産み、夜の仕事もしたが子のために止め、介護士になる。年収は250万円で生活は難しい。介護詐欺に手を染める。

 その娘になり切って誠心誠意お年寄りに尽くす。その一番大きなものは、お年寄りの話に心から耳を傾ける、心の通じあう話し相手になる。お年寄りたちはこの介護士に死ぬまで世話になりたいという。

 おばあちゃんは同居する家族を全く信用していないし、こういう時代は金(きん)が一番安全だという介護士に、金を買ってくれるよう、家族に内緒で自分の隠し持っていた180万円を渡す。

 おじいちゃんには子がいるが子は困った時以外は寄り付かない。会社倒産のとき妻子を債務から守るために離縁した。母親がその後亡くなった。子は父親を恨んだ。会社倒産のときに隠しておいた大金は墓場にもって行けるわけでもなし、子にやるくらいならドブに捨てるという。介護士は、もっと役に立つ方法で使っては如何ですかと、介護施設への寄付のチラシを見せる。領収書もとらずに大金をこの介護士に預ける。

 店の資金繰りに困った息子が父親にお金を借りに来るが貸さなかった。日頃寄り付きもしないのに、二度と来るなと追い返した。韓国ドラマを見ていても、それは当たり前のことである。子は店を自力で立て直した。困ったときに親の助けを受けた子は、困ったときに自分の力で立ち上がれなくなるという。

 口のきけない画家のお年寄りは、誰も寄り付かない。全財産をこの介護士に譲るという遺言状を残して突然倒れてなくなった。生前にこの介護士の絵を描いていてプレゼントしていた。この画家のお年寄りが亡くなると、今まで寄り付きもしなかった親族が遺産相続を巡って集まって来る。遺産をもらうのは当然だと思っているらしい。虫のいい話である。遺留分すらありはすまい。このお年寄りはこの介護士に遺言した。遺言状は有効だった。

 このお年寄りたちは介護士の倍も生きて、苦労をしてきているし、まるっきりだまされたわけではない。わかっていたという。お金にはあまり執着はなかった。財産を墓の中までもって行くわけにはいかない。これから先きもこの介護士に世話になれるのだったら安いものだ。

 どう決着するのかと思っていたら、介護士は警察に捕まる。こうでもしなければあなたは今後も同じことを繰り返すに違いないと思ったと言った。お年寄りの話を聞いて涙した女はお金を返した。しかしお年寄りたちは、お金を返せばすむというものじゃない。償いとして今後私達が生きている限り、介護士として私達の世話をすると約束しなさいという。あなたの世話になりたいという。

 お年寄りが今何を言いたいか、今何をのぞんでいるか、お年寄りの身になって感じ、考え、話し相手となり、お世話をして、しあわせにして、その報酬としてお金をもらったという。詐欺には違いない。お金が目的でやさしさを演じていたと同時に、心から尽くしていたことも間違いない。現実には考えにくいけれども、そこがドラマである。原作者のメッセージである。

 この介護士も根っからの悪人ではなかった。何も詐欺まがいのことをしなくても、全財産をはたいてでも、このくらいのお礼はしたくなるのが人情である。私だってそうしたかもしれない。このドラマを見ているとこの介護士を詐欺とは言いたくはない。

 このドラマは現代日本の家族の人間関係と介護制度のあり方への問題提起である。単なる事件ものではなくてほっとする決着だった。

 2009.05.18

閉じる コメント(0)

コメント投稿
名前パスワードブログ
投稿

閉じる トラックバック(0)

トラックバックされた記事

トラックバックされている記事がありません。

トラックバック先の記事

  • トラックバック先の記事がありません。


.

こはるびより
人気度

ヘルプ

Yahoo Image

  今日 全体
訪問者 8 19109
ブログリンク 0 5
コメント 0 251
トラックバック 0 5

開設日: 2009/5/24(日)


プライバシーポリシー -  利用規約 -  ガイドライン -  順守事項 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2012 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.