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著者: 村松 友視著
本体価格: \1,600
出版:幻冬舎
サイズ:四六判 / 277p
ISBN:4-344-00347-0
発行年月:2003.5.25
●安原顕の伝記というより、安原顕へのオマージュ
bk1の「『ヤスケンの海』刊行記念特別対談 村松友視×見城徹」のコラムを読んで、思わず買ってしまった。「ヤスケンって、誰?」というレベルの読者である。
本書は、安原顕(ヤスケン)の評伝、伝記というよりは、村松友視によるヤスケンにまつわるエッセーである。オマージュという言い方もできるかもしれない。ヤスケンの生い立ちに関する評伝的な章もあるのだが、むしろ、この本の本質は、出会いのエピソードや、中央公論社でともに過ごし、仕事をする中で起きたいくつもの「事件」を中心に語られた、「同僚」ヤスケンに関するエッセーである。
もちろん、著者に安原顕の伝記を書く意図など初めからなかっただろう。ヤスケンとの思い出を綴ったのであり、あくまでも著者の視点からヤスケンについて語られている。客観的な評伝でも、ヤスケン自身を主人公にした物語でもない。著者村松友視との接点から見ての「安原顕伝」であり、彼の残した事績をひととおり知りたいという読者の欲求には応えられないかもしれない。しかし、そういったスタンスであればこそ、安原顕という男の生き様が活写され、選りすぐりのエピソード満載で、息つぐ暇なく読ませてくれる。さすが、著者の筆力のなせる業である。評伝的な部分は、安原顕本人の文章からの引用が多く、本書全体のバランスを考慮して設けられた章、という位置づけではないだろうか。
本題とは関係ないが、本書で一点気になったのは、ヤスケンが学生時代に精を出した、万引きに関する記述である。とりあえず、ヤスケンの文章からの引用に括弧付で茶々を入れているが、「ヤスケンの天才的な」生き方と美化されているように感じられなくもない。正義派の私としては、ことさら挿入しなくてもよいエピソードであったと思う。そもそも、ヤスケンのすべてを描こうとした作品ではないのであるから。
万引きの件を除けば、ヤスケンが、会った人を魅了してしまう人間であることは確かのようだ。bk1の他の書評を読んでも、そう感じる。そして、本書を読んだ人が、ヤスケンという人間に興味を抱かされてしまうことも確かなようだ。
(03/7/13)【蔵】
<この本の詳細>
http://www.bk1.co.jp/product/2550443/p-gotoy52446
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