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瑕疵補償費が急増 ゼネコンの収益圧迫2006102建設通信
竣工引き渡し後に発生した瑕疵(かし)に伴い、ゼネコンが補修する費用(補償費)が膨らんでいる。補償費の大部分は、民間建築工事が原因と見られ、「土木から建築にシフトしているため」や「クレームの多いマンションの売上増が原因」との見方がある一方、「価格競争の激化や技術力の低下が、品質の悪化につながっている」と危機感を強める企業も少なくない。補償費の増加は、収益を圧迫するだけでなく、企業ブランドにも直結する問題だけに深刻で、その対策を急ぐゼネコンが増えている。
「竣工後のクレーム処理が増えている」との声は多いが、補償費の急増はゼネコン各社の決算からもみてとれる。完成工事の責任補修に備え、過去1−3年間の補修実績をベースに算定し、計上するゼネコンが多い「完成工事補償引当金」が、完成工事高の伸びを上回るピッチで増えている。
上場ゼネコンの2005年度完工高で上位23社を対象に、2003−05年度の3カ年を単体ベースで比較すると、完工高総額は6.3%の伸びだったのに対して、同引当金総額は46.3%も増えた。引当金を完工高で除した比率も、0.118%から0.163%に高まった。企業別に見ても、同比率が0.2%を超える企業は、03年度に4社だったが、05年度は3倍の12社と半数を超えた。
もちろん、すべての企業が一様に上昇している訳ではなく、良好な比率を維持しているゼネコンもある。また、「完工高の1000分の1を計上」するピーエス三菱のように、実績ベースで算出していない企業もある。
補償費が増えた要因として、「クレームが多い海外工事の影響」とする見方もあるが、ゼネコン側は、「大部分は民間工事」や、「マンションを中心とした民間住宅」をあげる声が大勢を占める。国土交通省も、「公共工事で、大手や準大手ゼネコンの施工品質はとくに問題視していない」と話す。あるゼネコンの品質管理部門トップは、「官公庁工事は検査が厳しい。仕様もきっちり決まっており、一定規模のゼネコンならば、品質に問題は出ない」と説明する。
民間建築で補償費が増加するのは、大きく2つの要因がある。
一つは、公共事業の減少と民間設備投資の拡大を受けて、クレームが出やすい建築の比重を企業側が高めているためだ。ある準大手ゼネコンは、「建築が伸びる中、仕方がない部分もある」と半ば諦め顔だ。土木から建築へのシフトを急ぐあまり、「技術者が対応しきれていない」との声も漏れる。
別の準大手は、高水準の供給が続く「マンションは、ほかの用途に比べて補償費が膨らみがち」と分析する。あるマンション工事の現場所長は、「工期が厳しい場合、躯体はしっかりやるが、仕上げはやっつけ仕事にならざるを得ない」と事情を明らかにしている。
もう一つの理由が、受注競争の激化や技術力の低下に起因する品質の悪化だ。あるゼネコンは、「技術力が低下し、漏水、タイル剥離、コンクリートのひび割れによるクレームが増えている」と危機感を募らせる。別のゼネコンは、「効率化がゆき過ぎた」と反省する。竣工後のクレーム処理だけを専門に手がける組織を設けた結果、クレームで得た情報が施工に生きず、同じクレームを繰り返すケースが出てきた。
補償費の増加を受けて、ゼネコンが対策の強化に乗り出した。あるゼネコンは、「社員や専門工事業者に対する教育がおろそかになっていた。教育制度を再構築している」と明かす。別のゼネコンは、「補償費の削減に取り組んでいるが、その一環として現場パトロールの回数を増やした」と話す。クレーム処理を専門に手がける組織を設けたゼネコンは、「施工部隊も、一定期間はクレーム処理を経験してもらい、分業の溝を埋める」取り組みを始めた。
品質の確保を急ぐゼネコンだが、競争の激化や技術力の低下といった建設業界が構造的に抱える課題が根本にあるだけに、その解決に特効薬はない。一方で、顧客や社会が要求する安全や安心は高度化しており、その期待にこたえるためにも、品質を高める地道な取り組みの積み重ねが求められている。
調査対象は、淺沼組、安藤建設、大林組、奥村組、鹿島、熊谷組、五洋建設、清水建設、錢高組、大成建設、鉄建、東亜建設工業、東急建設、東洋建設、戸田建設、飛島建設、西松建設、ハザマ、長谷工コーポレーション、ピーエス三菱、フジタ、前田建設、三井住友建設の23社。
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