映画ほど楽しいものはない…よね
『トータル・リコール』 今も色褪せぬ”職人技” 日本中が熱狂した世紀の天体ショーも過ぎ・・・
って感じで前フリから始めたいんですが
今回は紹介する作品、かなり脇道に話題がそれちゃう予感がするので
サッサと書き出すことにしましょう
かなり古い作品で、どんな基準で選んでるのか?って聞かれると
おいらの気分ひとつ…としか答えようがないんですけどねぇ
『トータル・リコール』 (1990)
53歳の若さで亡くなったSF作家”フィリップ・K・ディック”の短編小説
「記憶売ります」が原作でございます
彼の小説は日本ではSF愛好家以外にあまり知名度は高くないのですが
多くの作品が映画化されていて、その点では”S・キング”に匹敵するかも?
ちなみにご紹介すると…
・「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」→「ブレード・ランナー」 ”H・フォード”
・「少数報告」→「マイノリティ・リポート」 ”T・クルーズ”
・「報酬」→「ペイチェック 消された記憶」 ”B・アフレック”
・「ゴールデンマン」→「NEXT ネクスト」 ”N・ケイジ”
・「調整班」→「アジャストメント」 ”M・デイモン” ・・・etc
どれもトップスターが主演した話題作ばかりですよね〜♪
現実と虚構の間で個人の存在意義を明確にしようってテーマが
多いのがディックの特徴です
で、映画の方に戻りましょうか…
当時「飛ぶ鳥を落とす勢い」だった”アーノルド・シュワルツェネッガー”を主演に
彼のイメージに合わせた痛快娯楽作品になっています
2084年、美しい妻と地球で平凡な生活を送っている肉体労働者のダグは
なぜか心が火星に引きつけられる日々が続いていた
植民地と化した火星では、民衆は空気供給を一手に握る独占企業に隷属し
虐げられた暮らしに抵抗しレジスタンス活動が激化しつつあった
一方ダグは思いあまって、ある日”記憶移植”を行う「リコール社」を訪れ
火星への疑似旅行をしようとするがトラブルに見舞われる
自分の脳からかつて火星に居たという記憶が消されていたと知る
その時からダグの火星に隠された真実を求める危険な旅が始まる・・・。
な〜んも考えずにガリガリ岩を砕く”ガテン系”の姿がよく似合うシュワちゃん
(後半、チラッと見せるスーツ姿には”着せられてる感”ありあり
SFアクションに上手に”巻き込まれ型サスペンス”のテイストを織り込んだのは
『ロボコップ』で一気に知名度が上がった”ポール・バーホーベン”監督です
90年代にヒット作を連発したんですが…最近はあまり名前を見なくなっちゃいました
この作品で彼は「カルコロ」という映画製作会社と契約したんですよね
「カルコロ」って『ランボー・シリーズ』で右肩上がり急成長のスタジオで
この後にシュワちゃんの『ターミネーター2』で絶頂期を迎えます
バーホーベン監督とも”シャロン・ストーン”とのコンビで『氷の微笑』を製作
ウハウハ状態で『ショーガール』を撮らせたら・・・これが大コケ
倒産の一因になったといわれております
(余談ですが『ショーガール』では見事”ラジー賞”を射止めちゃいました
授賞式にご本人が登場するという数少ない事例として話題になりました)
度々、大きく脱線しちゃいますが…
ストーリー云々より、そっちの方が面白い話題が多いもんで
次の脇道は、キャストでしょうねぇ
まさに「美女と野獣」って感じ、ダグの奥さんを演じているのは
先にも述べた”シャロン・ストーン”ですよぉ〜
ここまでは、まだ脇役のカワイイお嬢ちゃん的な役どころが多かったのですが
ここもキュートな奥さん役…かと思いきや
記憶の断片を思い出し真相に迫ろうとした旦那さんを亡き者にせんと
肉弾戦を挑む女豹に変貌!シュワちゃんを相手に互角の戦いの大活躍
観客に強烈な印象を与えることに成功
『氷の微笑』へと続く確かな手応えを掴んだ記念すべき作品となったのは確かです
そして、この作品で外せない強烈な個性を見せてくれたのが
執拗にダグの命をつけ狙う悪役リクター役の”マイケル・アイアンサイド”
コアなファンの熱狂的な支持を受ける”D・クローネンバーグ”監督の
記念すべきメジャー作品『スキャナーズ』で主役より目立ち過ぎる敵役を演じ
有名になった方で、その能力はここでも充分に発揮されています
地元カナダでは「カナダのジャック・ニコルソン」と称されるくらいの名優です
(実際、ちょっと雰囲気が似てるかも?ですねぇ 苦笑)
『スキャナーズ』以降も『面会時間』や『トップガン』にも出てますし
監督と組んだ『スターシップ・トゥルーパーズ』での鬼軍曹役はハマッてましたよね
キャリアは豊富で130本を超える作品に出演しTVドラマ『ER』にも・・・
最近では『ターミネーター4』にも顔を出され、健在ぶりをアピールしてくれました
原作は1966年のもので、映画も20年以上も昔のものなんで
今から考えると、かなり笑える未来の設定が描かれております
未来のタクシーにはロボットの運転手(上半身だけ!)が乗ってたり
大きなX線投影装置(?)で危険物の有無を調べたり・・・
もはや現実のほうが数段進歩しちゃってますよねぇ
そんなテクノロジーのギャップを笑いながら観るのも楽しいかも
さてさて、肝心のストーリーなんですが…
すでにドル箱スターだったシュワちゃんの”売り”だった過激なアクション路線を
しっかり受け継いで演出してますので、これまた派手な展開が続きます
今回は正義の味方ってレッテルを張ってないんでやりたい放題
追手の銃弾をかわす為に一般市民を堂々と盾にしちゃう暴挙に出るほど
とにかく死屍累々ってこの事か〜って程に過剰なバイオレンスシーンがあったり…
地球と火星を舞台に大暴れするシュワちゃんでございます
火星へ行ってからは、搾取されてる下層労働者の為に
一応は正義の味方らしく振舞おうとはするのですが・・・
相変わらずドンパチを繰り返す有様の困ったちゃん
さぁ〜て、実はここからが今回の本題なんですよ
(じゃぁ、今までは何んだったん?って言われそうです
今では、どんなに奇想天外なあり得ない場面だってCGを使えば
スクリーンの中に描くことが可能になっていますよね
最近ではどれだけオリジナリティある画造りが出来るかが勝負って雰囲気で…
この『トータル・リコール』と同時期に公開された『アビス』
興業的にはイマイチでしたが、”J・キャメロン”監督が作品の中に取り入れた
実験的な手法がコンピューターグラフィックによる特殊効果だったのです
当時はまだ稚拙で部分的な演出の一手段に過ぎなかったCGで
映画業界では「特殊効果職人」が重要な地位を得ていたのです
今作でも、「特殊効果職人」の超絶技がオンパレード!
追手の追跡から逃れるために、頭に仕込まれた追跡装置を取り出すシーンですが
ありえない大きさの機械を鼻から引っ張り出すって状況
リアルなシュワちゃんの頭部を作りあげて見事に表現して見せたのが
職人”ロブ・ボッティン”その人なのであります
『トータル・リコール』で一番有名なのが
火星に潜入しようとする主人公が
正体を暴かれてしまう
熟年のおばちゃんの頭が
ギョワギョワとスライスされ
中からシュワちゃんがこんにちは〜 これにはド肝を抜かれた人も多かったのでは?
全編を通して様々な視覚効果が満載で
これを一手に担ったのがボッティンなんです
特殊メイクアップアーティストの神様である
”リック・ベイカー”に15歳で弟子入りし
あらゆる技術を習得した彼は
20代の若さで独立し自らの工房を立ち上げ
『ハウリング』で人が狼男に変貌する
驚愕のSFXを作り上げ脚光を浴びます
続いて手がけた『遊星からの物体X』
観た誰もが悪夢にうなされてしまいそうな
グロテスクなエイリアンは映画史上に残る
画期的なもので、CG全盛の今でもアレを超える
インパクトあるモノは登場してないですね〜
アナログな技術を結集したボッティンの技を堪能する為の映画って言っても
過言ではないくらいに彼の職人技が惜しみなく披露されてて興奮しちゃいます
こ〜んなクリーチャーもワンサカ出てくるので一時停止でジックリ確認
CGでも表現出来ちゃうんでしょうが…この”手作り感”がイイ味出してるんです
今では、どんなB級作品でも乱造気味のCG効果
監督のイメージを映像化する為に多くのスタッフが汗を流しているのでしょうが
その中に”個人の技”の光は見出せないのが現実
監督の無茶とも思えるような要求に対して、職人の意地を見せつけるかのように
受け継がれて来た技術と斬新なアイデアで、それに応えて来た特殊効果職人
スクリーンに写されたその映像は何だか輝いて見えるように感じちゃいますね〜♪
古くは『キングコング』の”W・オブライエン”に始まり
”ハリーハウゼン”らが礎を築きあげて来た特殊効果の歴史は
”R・ベイカー”ら当時の若手がしっかりと継承しながら新たな技術を
次々と導入しながら切磋琢磨を繰り返し、数多くの職人を輩出して来ました
しかし、そんな職人たちも昨今のCG技術によって匠の技を披露する場を
失いつつあるって”絶滅危惧種”的な存在になりつつあります
CGによって描かれる「あり得ないリアル」を見慣れてしまった世代にとって
アナログな特殊効果職人のどこがチャチなSFXは逆に新鮮に見えるのかも??
そろそろ空模様も不安定な梅雨時が近づいて来てますね
雨の休日にはこんな作品で鬱陶しさを晴らすのも面白いかもしれないですね。
結局『トータル・リコール』の本編には
まともに触れなかったような気がしますが…ご勘弁を
書き忘れそうになりましたが・・・
この夏、この作品のリメイク版が公開されるそうです
主演には、お久しぶり〜って感じの”コリン・ファレル”
で、S・ストーン姐が演じた奥さん役には”ケイト・ベッキンセール”
監督は『アンダーワールド』シリーズや『ダイ・ハード4.0』の”レン・ワイズマン”です
もちろんCG効果がたっぷりの作品でしょうねぇ〜
ただ、ちょこっと似ているシーンがあったりして、粋な監督の遊び心も随所に…
オリジナルをリスペクトしてるみたい
新作を観に行く前の”予習”の意味で手にとってみてくださいね |

