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某所で予定している動物園関連の講演会抄録内容。
動物園〜楽しみながら学ぶ!〜
若い頃、動物園で働くことが楽しくてしかたなかった。毎日、野生動物に対する感動と体験と勉強の連続だったからだ。それほど知的なわくわく感に満ちていたので、一日12時間以上動物園に居ても苦にはならなかった。その結果、出勤は星空の下を歩き、帰宅時にも星空の下を歩くことになったが…。
その当時、たまの休暇を利用して繁華街をぶらついていたら、デパート勤務している高校時代の同級生にばったり出会った。その彼が、「動物園はええよな、何もせえへんかてお客さんが来るんやから。デパートは、お客さんに来てもらえるまでが大変なんやで。」と言った。「へえ〜、そうなんや。」と、その時には軽い返事をしただけだった。しかし、彼の言葉の重さを後で痛感することになる。
あれから約20年後そして現在まで、全国の動物園は来園者数の減少という危機に直面している。その大きな原因は、同級生が言ったように「何もしないでもお客さんが来てくれる」と錯覚していたことにある。唯一、来園者数激減のため閉園直前にまで追い込まれた旭山動物園は、その錯覚にいち早く気づき、職員が一丸となって対策を講じた。それが、世界的にも知られている奇跡を生んだ。
かつては、動物との触れ合いを自分だけの楽しみとしていたのだが、それは大きな誤謬であった。動物園で得られる感動や喜びを積極的に市民に知らせ、共有することが必要であったのだ。これからの動物園は、デパートのようにお客さんに来ていただくための努力をし、デパートのように来園者に最上のおもてなしを用意しなければいけない。
では、その「最上のおもてなし」とは何だろう?
それは、私が若い頃に経験した野生動物に対する感動を、動物園の存在意義を十分に認識しながら、来園者にも体感してもらうことに他ならない。動物園の存在意義が、レクリエーション、教育、保全、研究であるのなら、それをいかに楽しさのレベルまで高めて共感してもらえるのかが重要な鍵になると思う。
すなわち、動物園を楽しみながら学べる場にすること、それが他のレジャー施設ではなく動物園へ足を運んでもらうことの意義になるはずだ。その意義は、すでに明治8年に内務省へ提出された動物園設立の意見書に既に記されている。
「ココ(動物園)ニ遊ブモノヲシテ、タダニ一時ノ快楽ヲ取リ、ソノ精神ヲ養フノミナラズ、カタハラ眼目ノ教エヲ享ケ、識ラズ知ラズ開知ノ域ニ進ミ・・・」
動物園を感動し楽しみ学ぶことのできる極上の場にしたい!
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