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歌舞伎、宝塚歌劇団、劇団四季・・・大好きな舞台の感想をつらつらと♪

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【お茶会Review】宝塚宙組 北翔海莉 「クラシコ・イタリアーノ/ナイスガイ!」お茶会―Final―

――はじめての方はその1からお読みください――
その1 http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/61570941.html

《My Way》

ひな壇に戻った北翔さんは、傍らの譜面台に目を落とし、次の準備をはじめるようにそれの位置を整えながら話し出しました。

「専科入りの発表があってからというもの、たくさんの方が私に声をかけて下さいます。
紫吹淳さんや――いちばんは大空さんなのですが、観劇にいらした湖月わたるさんも楽屋に来て下さって、新専科でのご自分の経験や、アドバイスを色々と教えて下さいました。
たくさんの言葉を頂いた中で、皆さんが口を揃えて仰るのは「新専科で得た経験は、それからの自分を支えてくれる」ということでした。
宝塚にいる間はもちろん、宝塚を巣立った後にこそ、それを痛感すると。
間違いなく、苦労はするよ!って(笑)でも、得るものは確実に大きい。
同じ道を行った先輩方がそう、教えてくださいました。

誰一人、楽しいだけで生きてる人なんていないです。
誰だってそうです。
皆さん一人一人、それぞれの立場で、状況や悩みは共通じゃないですけど、毎日、頑張ってる。
体調が思わしくない方だっていらっしゃる。大きなプレッシャーの中で過ごしている方もいらっしゃる。
そんな皆さんを劇場にお迎えして、そのひと時を私たちに託して下さるのだから。
舞台が終わって帰るそのときに、その方の記憶の中で歌い、踊る私を「北翔も、しっかりやってたな。よし、私も!」そう思って頂けるように、私、心を込めて、精一杯やりますから。
前に進みます、皆さんと一緒です。
一緒に行きましょう。私、ここにいますから。

今の私の気持ちに一番ぴったりな歌です。『My Way』、聞いてください。」

源兵衛先生のピアノの音色、それだけを伴って、何にも持たず身一つの、歌そのもの。
それだけで。

歌は、優しく始まります。
過去への、うっすらと甘い追憶。
がむしゃらに、導かれる道を走った記憶・・・胸で暴れる心臓の鼓動も、限界にたどり着いたと信じたその瞬間も、今思い起こせばやはり幼く、未熟なものだった。
ただ、その過去だけが、幼い記憶だけが、今ここにいる「自分」を愛しいと認めてくれる。
縋り、委ね、自分を支えることのできる唯一の存在―「自分」を創ってきた、記憶。

甘く、優しく懐かしく歌う声は、なんというか、自分を、赦しているかのように聞こえました。愛しんでいるかのように。
それは自己愛というのじゃなく、なんと表現したらいいのだろう・・・厳しい人が、特に芸に厳しい人が、一番嫌悪し憎むのって、自分自身をじゃないかと思う。
自分の未熟を、自分の弱さを、今を作り上げてきた自分の過去を。
けれど自分は自分でしかない、逃れたくとも魂が肉体を捨てることができない以上、その内面の愛憎劇は、血を噴いたことだろうと思うのです。
その上でたどり着いた赦し。愛しさ―――
北翔さんは、今、自分を信じることを得たんだとわかりました。
そして、自分に、ほかならぬ自分の未来を委ねることをも、決めたんだとわかりました。

導かれた道は、自分の後ろにだけ。
ここから歩む道は、自分の目が見、自分が体を向け、自分が決めて踏み出す一歩一歩。
その道が、どこに繋がるのか。なにに向かうのか。
冷静な傍観者として、今、タカラジェンヌとしての北翔さんの前に、誰かが準備してくれた既成のレールはないように思います(これは私一個人の感覚で、本当のところはわかりません)
遠くにぼんやり、夢だけ残して。
ファンそれぞれが胸に抱く夢と、期待と、希望は、いろんな方向に、いろんな場所に埋まっている。
北翔さんは、どこを目指すの?
地図もないままに――イヤ、地図はありますね。彼女の胸の中に――歩き出そうとしている。

私には愛する歌があるから
信じたこの道を私はゆくだけ
すべては心の決めたままに

激情が乱れた奔流となって、毅然と整った曲を破って溢れたのはこの歌詞の一瞬です。
迸るように力強かった熱唱の記憶が、今も鮮やかです。
すごかった。
本当にすごかった、北翔さんの『My Way』。

ファンができることは応援だけです。道を切り開くのは舞台成果だけです。
望むべくは、彼女が自ら選んだ道を、力強く全うすることが叶いますように。

《フィナーレ!》

腹の中にあるものを全部、全部押し出すような力強いロングトーンを断ち切った時、会場はもう、興奮とも呆然ともつかぬ異様な気配に包まれました。
泣いている人もいる、すぐにはものも言えない雰囲気の人も、ただめちゃくちゃに拍手する人も。
声を断ち切った一瞬後、パッと、まるで仮面を外したかのように北翔さんが笑顔になった。
ちょっと恥ずかしそうな、照れくさそうな、素の笑顔。
これがフワッと白くて、もうすっごいかわいらしくて、客席もつられて笑顔にならざるを得ません(笑)
一瞬前の歌手の姿が、別の次元の夢のように思えました。

そしてそのまま、お茶会はグランド・フィナーレ!

終宴を飾るいつもの歌。

♪お名残惜しいけれど お別れの時です
楽しいひと時に時間を忘れました
流れる時をとめられるなら
でもそれはできません またお会いしましょう♪

ちょっとクラシカルなメロディラインで、言葉をそのまま音楽に乗せたみたいな、子供たちがお別れに歌う「みんなのうた」的な印象の歌。
コレを北翔さんが歌うと、なんというかなぁ、「アー終わっちゃう!」っていう残念とか、寂しさとか、そういう「ちょっぴりネガティブ」をもう不思議なくらい「今日も楽しかった!」という100%の喜びに変換させちゃうんです、これホント、もはや魔術!!
面白いよー!何がって自分の感情の流れが(笑)
あっけないぐらい気持ちを手玉に取られて笑っちゃうぐらい。
次回、実際に体験してみたい方は、0120−○○―○○○○へ今すぐお電話を〜♪

そして、客席を練り歩きながら・・・
先ほどの抽選会で、最後の当選者が座っていたお席に歩み寄り、その方を覗き込むようにして。

♪楽しい時でした
○○さんと知り合えて 嬉しく思います♪

お名前入りのお歌をプレゼント(>▽<)これが抽選会で一番ビッグな、大当たりです!

ノリノリの北翔さん、最後は最後尾列の端に座っていた若い男性と息のあったハイタッチでパーン!と手を合わせ、会場を振りかえると、大きく手を振って元気に扉の向うに消えていかれました。

楽しいひとときは、これにて終宴。
今回も、笑って、泣いて、ジーンとして、背筋もシャンとさせられる。
とっても素敵なお茶会でした(^^)

―ついにFin!お読み下さってありがとうございました♪―

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【お茶会Review】宝塚宙組 北翔海莉 「クラシコ・イタリアーノ/ナイスガイ!」お茶会―その10―

――はじめての方はその1からお読みください――
その1 http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/61570941.html

《「おたのしみ」は、ご一緒に。》

次なるプログラムは「おたのしみ」。
コレは何かといいますと、毎回、北翔さんがご自身で!プロデュース企画される趣向の一幕。
その時々によって、ドキドキの最接近戦!?握手会、公演のお役をキッカケにお稽古を積んだ楽器の演奏、もはやミニ・コンサート!のボリュームでたっぷり聴かせてくれるお歌・・・とさまざま。
毎回プロデューサーの胸一つですので、なにが飛び出すやら!?の文字通り「お楽しみ」メニューなんです。
今回は、ゲストに迎えた源兵衛先生に、据えられたグランドピアノ、譜面台・・・そりゃもちろん「お歌」です!いやったぁ!!(>▽<)

「今日は、皆さんとご一緒に歌いたくて。
ちょっと早いですが『きよしこの夜』を。プログラムの裏表紙が歌詞カードになっていますのでご覧下さい。
まず私がお手本で歌いますから、聞いていてね。次は皆さんですからね!」

そう言いながらひな壇から降りてきて、客席をゆっくりと歩きながら歌い始めます。
歌い上げる、っていう感じじゃなくて、まるで先生が目の前の生徒達に歌を渡していくかのような、かんで含めるような優しい、綺麗な声。
ボーカルに個性の芯がびしっと通った「北翔海莉」の歌じゃなくて、美しく優しい「この歌そのもの」を伝えようとするかのような歌声です。

曲調のクライマックス。
それまではまるで目の前の人に照準を合わせて歌っている印象だった声を張って、視線を上げて会場全体を仰ぎ、歌声そのものをばーっと広げるように、扇状に放つみたいに歌う。
なんというかね、その瞬間、ふわーっとした、あたたかい、優しい声の膜が会場全体に広がり、客席の上にふんわり落ちてくるような感じがしました。
一瞬ぼんやりする客席に「はい!次、皆さん!!」
会場が歌い始めます。
歌詞を先んじてちょっと早口で歌いながら、うん、いい!みたいな笑顔で会場を歩き回る北翔さん。すると当然のことながら客席の視線は・・・

「ちょっと皆さん、私のこと見なくていいから!歌詞カード見て!!」

会場から笑いが起きます、そりゃ無理です先生(笑)
そしてだんだん・・・完全ワタクシゴトなんですが、客席を歩いて北翔さんが近づいてくる!!
そうなるとね、視線はもう強制的にそっちにいっちゃう。でも先生厳しいし(笑)妙にテンションは上がっちゃうから、自分の歌声スピーカー調節が狂っちゃって、結構、しっかり歌っちゃいました。
大人仕様の口パクレベルじゃなく、完全に乗せられちゃって。
でも、こんな綺麗な歌を、自分の中にある綺麗な声で(上手い下手じゃなくてね)、歌うことって最近なかった。
北翔さんは「ご一緒に、歌いたくて」と言いました。
なんというか、彼女は、歌のもつ美しさとか、浄化作用じゃないけれど、そういうものを、客席にいる人たちに体感して欲しかったんじゃないかって、プレゼントしたかったんじゃないかって、って感じました。
歌の力を、ご自分こそが知っているから、信じているから。
イングリッシュバージョンから日本語バージョンと歌い繋いで、客席の声がかなりしっかりと盛り上がっていることに、北翔さんはとても嬉しそう!
歌い上げたとき、客席に向かって拍手しながら「ありがとうございます、すばらしい!」とお褒めの言葉。
客席も、一度くらい熱が上がったみたいな(笑)あたたかい高揚感に包まれました。

―ついにFinal!へ続く―
http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/61726789.html

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【お茶会Review】宝塚宙組 北翔海莉 「クラシコ・イタリアーノ/ナイスガイ!」お茶会―その9―

――はじめての方はその1からお読みください――
その1 http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/61570941.html

《大人、乙女化抽選会(笑)》

毎度おなじみの抽選会。賞品は公演プログラムやプロマイドなどですが、ファンにとっての最強プレゼントは「北翔さん自らのお手渡し」ってトコでしょう♪
「あたるわけないよぉ〜〜〜」と口は言いつつ、万が一?の期待と緊張で妙にイソイソと、髪など整え始める会場の空気がおかしいの(笑)

半券が入った抽選ボックスを掻き回す・・・と、源兵衛先生が即興のピアノで効果音を添えてくれます。
その豪華さにちっちゃく「わぁお!」って感じのアメリカンな笑顔を見せ、めっちゃ嬉しそうに「プレゼンターな自分」を演出しまくる北翔さん。
自ら「じゃかじゃん!!」と効果音をつけるも、源兵衛先生のピアノとずれて「ああっ!!」と悔しがること限りなし。
二回目は、源兵衛先生凝視でタイミングをはかり・・・スリリングなるも、どうにか合わせる。ちょっと嬉しそう(笑)
そして三回目は、もうすっかり息を合わせて熟練の「ジャカジャン」コンビネーション!
カンがいいんだろうなぁ、間が見事なんですよ。こんなちっちゃいとこも上手いな〜。

抽選会って・・・これねぇ、名前を呼ばれた方がビックリから立ち直る時間も与えられず、操り人形のごとく雲を踏む感じでひな壇に誘導され、笑顔できっちり相手の目をのぞきこんでくるリアル北翔さんに照れちゃうのか、怯んじゃうのか(!?)、もはや顔を上げられずに手だけ凝視してたりとか、チラッと顔をあげるなり目を逸らちゃったりしてるのが・・・
もはや、いまどきベタすぎて古典化した初恋ティーンエイジャー状態(笑)
いや、皆さん、乙女ですか!?(笑)
・・・イヤ、笑うべきではないっ!!本人、我に返ったときに「ノオオーーーー!!!自分ノオオオーーー!!」ってレポート20枚クラスの反省をしているに違いない。

でも、本音言うと、無理ないんですよ。なんというかね、ぽわーんと白く発光するマシュマロみたいなんですよ、素の北翔さんの雰囲気って。
間近で直視すると、なんというか・・・時間の流れがちょっとゆっくりになる感じ。普段より、空気の中の白の明度があがるみたい。
なんなんでしょうね?
世界平和を目指すなら「一家に一台、北翔海莉」みたいな。・・・みたいな、ってなんだ!?意味不明ですけど(笑)
この人が、マリオ?あまつさえルノー!?ハミルトン卿!!(愕然!!)

・・・かと思えば、ベテランファンさんは北翔さんとごく自然に笑いあって、ちょっと会話まで交わしちゃったりしてる。
うーむ、やはり、ファンをやるにも修行が必要ですなぁ。

賞品の抽選がすべて終わってから、もう一枚、くじを引きます。
これが北翔さんのお茶会のお約束事項なんです。
引き当てた半券の座席番号を、客席に目を走らせて確認し「はい、わかりました」ときっぱり告げます。それで、その場はおしまい。
お茶会初めての方たちが(何だろう?)と、ちょっぴりざわめくのもいつものこと。
最後のスペシャル当選者は、お茶会の最後にビックなサプライズが待っているんです。それはまた、後のお楽しみ。

―その10へ続く―
http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/61699180.html

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【お茶会Review】宝塚宙組 北翔海莉 「クラシコ・イタリアーノ/ナイスガイ!」お茶会―その8―

――はじめての方はその1からお読みください――
その1 http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/61570941.html

《韓流ツアー@リアルタイムレポート》

(体調を崩してしまった)翌日は休演日で、その日は宙組のみんなで韓流ツアーに出掛けることになっていたんです。
専科の汝鳥さんが韓流大好きで、みんなで一緒に新大久保で韓国料理を食べよう!って企画を立ててくださって。
とっても楽しみにしていたんですが、「韓国料理は香辛料もきついし、今はさすがにやめたほうがいい」ということで、私は泣く泣く参加を取りやめることに。
そうしたら、まさこさん(=十輝いりすさん)が力強く「まかせて!!私たちがみっちゃんの分まで頑張るから!!」と。
・・・まかせて、って言われても・・・(^^;)

そうして、韓流ツアー当日。
私は家でおとなしくおかゆとか食べてるところに、ピロリロリン♪と携帯メールの着信が。
なに?と思って見ると、まさこさん。

「今、店につきました!!」

あっ、そうですか。(ぱたっと携帯を伏せる仕草。)と思って、またしばらくするとピロリロリン♪
・・・今度はなに?と思って見ると、またまさこさん(←想像どおり。)

「お料理、注文しました!!」

あっ、そうですか。と思っていると、三度ピロリロリン♪
・・・今度は・・・と思って見ると、またまたまさこさん(←もはやお約束。)

「お料理がきました!!おいしーーーー(>▽<)♪♪」

・・・そうですか・・・こっちはおかゆさん食べてますけど(T▽T)

それからは食事に集中しているのかしばらく何もなくて、忘れたころにまたピロリロリン♪(もはや誰から、とも仰いませんが主語は明確です(笑))
「見て見て!!」ってタイトルだったので、何だろう?と思ってメールを開いたら、そこはド○キホーテでしょうか、まぁそんなところで、トナカイの被り物を装着したまさこさんが満面の笑顔で収まっている写真がドーンと。
・・・この人はいったい、なにをやっているんだろう。
その写真を見ながら、そうだ、今度のお茶会でこの被り物を使おう。ってひらめいて。このトナカイ、たぶんお土産にくれるんだろうなって思ってたんです。
ワケわかんなかったけど、まぁ、お茶会余興のネタをくれたからいいか。ということで納得して。

翌日、色々とお土産をくれるまさこさんに、いやそれはいい、トナカイはどうした、と聞きましたら「え?トナカイ、買ってないよ」って。
(↑えっ(@▽@;遊んでただけですか!?夜中のド○キで!?)
でももうこっちはトナカイ気分が盛り上がっちゃってるんですよ、どうしてもアレが欲しい!と、みずからド○キホーテまで探しにいったんですが、売ってない。
それから、探しましたよね〜!!ありとあらゆるところを。(←余興に妥協なし!さすらいのトナカイハンター。)
そして見つけたのが、さっきの(オープニングで登場した)トナカイです。

―その9へ続く―
http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/61690767.html

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【お茶会Review】宝塚宙組 北翔海莉 「クラシコ・イタリアーノ/ナイスガイ!」お茶会―その7―

――はじめての方はその1からお読みください――
その1 http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/61570941.html

次のエピソード。
赤裸々すぎる、という感想を持たれる方もいらっしゃると思います。
北翔さんの口調も、その場の状況も伝えきれない文章でWebにUPして、本意を損ねた印象を伝えてしまうのでは、と、この部分のカットも考えました。
ただ、記事文末に記載したのですが、私はこの話を聞いてとても多くのことに気付き、理解することができました。ファンとして、大きなことだったと思っています。
絶対に誤解として伝えたくないことは、北翔さんは、この話を武勇伝・・・じゃないですが、そんな意味を含めたり、同情を請うたり言い訳に使ったり、そんなことでは絶対にないのです。
北翔さんファンの方に、宙組ファンの方に、宝塚を愛する方に、お伝えできればと思いました。
問題があれば、すぐに削除いたします。

《壮絶なる舞台裏》

初日開けてすぐの組総見の日、たくさんの方がご観劇くださいましたのに、私、出で皆さんにご挨拶することができなくて。
本当にごめんなさい!(真面目な顔で、ファンの皆さんの顔を見渡しながら謝罪。)

実はあの日、急性胃腸炎になってしまったんです。
その日は朝から、なんだか胃のあたりがむかむかして「おかしいな」とは思っていたんです。
変なもの食べていないよなぁ、お酒だって・・・まぁ飲んだけど、そんな翌日に残るような飲み方はしていないし、などと色々思い起こしてはみたんですが、原因はわからない。
開演時間も迫ってくるし、とにかく一度、こう(とReverseするしぐさをして)全部出しちゃいまして、これで大丈夫だ!と公演に臨んだんですが・・・
そこからもう、悪化の一途。
袖に入るたびに出せるものは出して、舞台では歌って踊って、また袖に入って――を繰り返していたんですが、際限がないんです。この体のどこにそんなに入っているんだ!?って、途中からはもう、可笑しくなってきちゃったぐらい。

ピークは、(ショーの一場面で)せりあがった台に乗ってこう、バーッと歌い上げるところがありますでしょう。
曲調の盛り上がりと同時進行で、こっち(と胃からのセリ上がりをジェスチャーで表現しつつ)も上がってくるんです。
内心(無理無理ムリムリ〜〜〜〜〜!!)と叫びながら、でもどうにか無事歌いきって、そこが限界でした。
その後に出てくる美穂圭子さんにせめてアイコンタクトで後を託したかったんですが、そんな余裕もなく、先輩相手に目礼状態でそのまま袖に引っ込みました。

でもその後、もう一回、ジャズの場面に出なくてはならないんです。
袖で私の様子を目撃した人たちは「これは無理だ」と思ったそうで、次の場面に一緒に出る子達は「北翔さんは歌えないかもしれない。もしかすると(銀橋に)出てこないかもしれない!」と、その覚悟を決めて舞台に飛び出していったそうです。
けれど、私のほうは袖で復活して、普通に出てきたかと思ったら、何事もなかったかのように歌っている。
みんな踊りながら「あ、あれっ!?北翔さん元気になったの!?」って思ったそうなんですが、再び袖に入るとまたダメで。

あのあと『セクシャル9』のシーンがありますでしょ。
あそこはすごい早替わりになるので、(ジェンヌさん)ひとりに対して衣装部さんがひとり、専属でついているんですね。
けれど大人数・・・というか『セクシャル9』なので9人ね(笑)一気に着替えるわけで、衣装部さんもそんなに人手がないので、ここは、私が十輝さんの担当として早替わりのお手伝いをしているんです。
あの日も、早替り室で待ち構えてるこっちはもう、胃痛で体を伸ばすことができない(体を半分に折りたたんだカギカッコ状態で。)
そこにドッとみんなが駆け込んできまして、十輝さんが(カギカッコな北翔さんを覗き込んでカギカッコ状態になりながら)「北翔さんすみません!!お願いします!!」って謝ってくる。
こっちは言葉もなく(いい、いいから!!というジェスチャー。)
いつもどおりに着替えは済んだんですが、最後、ジャケットが!(こっちは腰が伸びないから出す位置が低い。そして長身の十輝さんの肩は高い!という状況を、素晴らしい演技力で再現。事態は深刻なんだけどその状況がおかしすぎて大爆笑!)

後から、十輝さんに「あの日はさすがに他の人にお願いしようかと思ったんですが、早替わりだけはすべて分かってくれている人じゃないと上手くいかないから、北翔さんにお願いしました」と言われました。
早替わりは、単にお手伝いといっても人ごとにクセもありますし、その人にとってやりやすい手順というのがあったりするんですね。(手伝うほうがアイテムを)差し出す角度とか、タイミングとかの息が狂うとスピードを妨げて、間に合わなくなる可能性があるんです。
「でも、私と北翔さん息ぴったりなのか、この早替わりでいつも私1番なんですよ(^▽^)♪」って言ってました。
まぁ、頼りにしてもらえるのは嬉しいことなんですけれど(笑)

公演が終わったらもう動けなくなってしまいまして、そのまま病院に直行(^^;
それで、皆さんにも失礼をしてしまいました。
でも、病院で点滴をしていただいたら即復活して、けろりと元気になっちゃいました。

―――この話、北翔さんの口から聞いたときには、その話術も相まって、なんというか・・・バックステージでのびっくりハプニングというか、今だから笑って話せる系のネタとして、会場の皆さんも笑ったり驚いたりという朗らかさのなかで楽しく話を聞いていたのですが、文字に起こしてみたとき、そのあまりの状況にあらためて衝撃を受けました。
「頑張って、出来た」という状況じゃないのですよね。
「頑張ったけど、ダメだった」なんて結末は、前提そのものがないのだから。

「北翔さんは歌えないかもしれない。もしかすると(銀橋に)出てこないかもしれない!」
舞台に飛び出していった人たち、どれほどの覚悟だったろうと思います、満場の視線がどれほど怖かったことか。
初見の方であったとしてもなにかがおかしいことは察するでしょう、そして大半はリピーターですから100%の誤魔化しは不可能です。
それでもショーを繋ごうと、きっと一点の曇りも不安もない笑顔でショーを成立させようとしたんだろうと思うのです。
最悪の事態は回避されましたけれど、舞台って、そういう凶器みたいな危険を常に背中に隠し持っているものなのだと改めて気付かされました。
考えてみればあたりまえですよね、生身の人間がやっているのだから。
舞台に関わる何十人、いや百を超える「生身」に何のトラブルも起こらず、いつもどおりの舞台が成立する、それこそが奇跡。
舞台は奇跡を積み重ねてそこにあるんだってこと。
そして、万万が一、誰にトラブルがあったとしても、他の全員がまるで傷口を塞ぐかのようにして「作品」を護るのでしょう。

そして、十輝さんとのエピソード。
まるで、軽やかな笑い話のように語られましたけれど、その実、二人の意識、そのつながりには凄みすら漂う気がしました。
一般的なレベルの「思いやり」とか「優しさ」を言うのなら、この状況にある「仲間」に負担をかけるのは当然避けるでしょう。
「やらなくていい、今日はやらなくていい。別の人に頼めばいいんだから」
お互い、その「優しい」言葉を考えなかったはずもない。

すべての状況を理解した上で、十輝さんは北翔さんに託した。
すべての状況を引き受けた上で、北翔さんは十輝さんの希望を断らなかった。
個人的な負担や、感情や、利害じゃなくて、現実的に「早替わりを成功させるために」。
「舞台を成功させるため」には、それがベストだったから、その日も北翔さんは十輝さんのサポートに付いたのでしょう。
失敗なんて、するわけがない。そう信じて、十輝さんは早替わり室に飛び込んできたんだろうと思います。
そして、その日も北翔さんは確実に彼女を、舞台に送り出した。
そして、そんな二人を、周りの人は見守っていたんだと。
その日、「いつもどおりに」セクシャル9ははじけるようなパワーで舞台を勤めたはずです。
舞台は、結果がすべてだから。

思いやりとか、優しさとか、信頼とか、言葉で言うのは簡単だけれど。
彼女達の関係、そのスケール感が、違うなと思いました。

―その8へ続く―
http://blogs.yahoo.co.jp/hana_yukiyanagi/61685072.html

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開設日: 2005/2/18(金)


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