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実際の事件に取材し、
当時の調書記録をあさり読み、研究し
再現を試み、書き上げたもので
内容のほとんどは調書や裁判記録より構成されている
著者はこのような著書を「犯罪事実小説」と呼んでいる

図書館で借りる
「日本探偵小説全集」より。
1996年6月21日初版
1998年8月21日再販
東京創元社発行 ¥1200円
796ページのうちの
392ページ

≪「神戸新聞」及び「京都新聞」昭和7年7月6日〜12月28日発表のもの≫
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昭和初期京都で「平松小笛」が首をつり、病弱な娘「千歳」と

知人から自ら預かってきた6歳と3歳の女の子が首を絞められ殺されているのがみつかった



容疑者は事件のあった夜、そこに泊り翌朝早く出ていった広川丈太郎である

小笛は丈太郎の20歳年上の愛人関係にあった

丈太郎は別れることを望んでいたが、小笛はそれを望んではおらず

二言目には「それなら死ぬ」と言っていた



小笛は鴨居に紐をかけ、首を吊り、、火鉢をまたぐような妙な格好をしていた

首筋には生前中のものと、死後についたと思われる縄の後が2条ついていた

机の上にはカタタナより知らぬ小笛の書いた遺書が3通あり、その一通に広川の印が捺してあった

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4人の屍体の胃の消化物を検査した結果、死亡推定時刻は食後7ー9時間と判断された

すると死亡時刻は午前3時ころになるが、

広川は「午前5時ころ小笛に見送られて家を出た。」と主張した


果たして広川が4人を殺したものか、
あるいは小笛が3人を殺した後、首をつって自殺したものか、が裁判で争われた


検察側は、事件発生時に広川がいたはずだから、犯人であると主張

弁護側は、消化物による死後時間の推定は絶対的なものではない、

縄の後は自縊の場合でも2条になることがある

京大出の秀才である広川が、自分の遺書を小笛に書かせるわけはない。などと主張

検事と弁護人の激しい応酬が書かれている


この事件の焦点は

学者の鑑定が絶対かどうか?

いくら高名な学者の調査結果であっても、それだけを信じ決定打として「死刑」を宣告して良いものであろうか?

(この場合死後数日たっており腐乱が酷く正確な鑑定は難しい。と各学者が言っている)


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最初に「無罪」の判決が出たのは牢獄生活一年半の後だった

家族知人はもちろんだれの目にも涙が溜まっていた

が!彼は引き続き牢獄生活に戻る事になる

(保釈の許可には検事の意見を求める必要があり、
 検事が反対意見出合った場合事件が重大であれば裁判所は
 検事の反対を押し切って保釈の許可は出せないらしい)

その翌日検事が控訴の手続きを取った

再び裁判がはじまる



そして再び「無罪」が認められる

が、この「無罪」の理由は、

判決言い渡し当日、裁判長の「犯罪の証明充分ならず」のひと言だけだった



広川は850日余りの長きにわたる牢獄生活から漸く解き放たれたのである




ここでも広川は心の平和を保つにはどうしたらよいか?苦しみ悩み数多くの書物をむさぼり読み

「満足を与えてくれたものは基督教の教えだった」と述べています

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裁判も長かったが、読み物も長かった〜

しかし、この頃の取り調べは無茶苦茶である

広川は学問も有りかなり冷静に物事を判断できる人物だったので(人物評「内気で、気が弱い」)

何とか持ちこたえたが(それでも発狂寸前だったと言う)普通ならば正常な神経ではいられまい

とにかく検事のいい分が、私が読んでいても納得がいくものではなく、本当にこのような理屈で

容疑者を長期間拘束出来たのだろうか?と不思議に思う

この時代、どれだけ冤罪で罪のない人が刑場の露と消えた事であろうか

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裁判や検証の話がほとんどなので、分からない文字や言葉が多く、調べながらの読書となった

途中少々飽きたが、それでも「読み物」としては十分面白かった


(実際の事件であり亡くなった方もおり、冤罪で苦しんだ主人公の事を思えば「面白い」というのは
 甚だ不謹慎でもありますが、この場合「読み物」としての感想なのでご容赦願う事にします)


ただ不満だったのは、

結果「自殺」という判断がおりたが、では自殺した「小笛」が何故知人の普段可愛がっていた

知人の子供二人までもわざわざ呼びよせておいて、道連れにしたのか?

まして残虐で見るに堪えない惨い姿をさらしたままにしたのか?


著者は最後の所で、「敢て書かない」としているが、それでは読者はおいてけぼりではないか?

ま、実際の事件故に関係者への配慮とも見えるが、これだけ事細かに惨劇を白日のもとに

曝らしておいて、そこだけ「謎」で終わらすのは如何なものかと思った。

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冤 = ぬれぎむ (冤を雪ぎ得る =?この「雪」は何と読むのでしょうか?どなたか教えて<(_ _)>)

無辜なからしめる = むこ (「辜」は罪の意。罪のないこと)

浩瀚 = こうかん (広大なこと。特に、書籍の巻数やページ数の多いこと。また、そのさま)

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閉じる コメント(8)

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最後の漢字は難しいですね〜。かつては冤罪が多かったのでしょうね。
証拠を科学的に検証できなかったでしょうし、最初から犯人として取り調べてたでしょうしね。敢えて書かない。。。気になって仕方がないですよね。ヒントもないのでしょうか。

2010/5/6(木) 午後 2:14 [ テラ ] 返信する

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今でも、取り調べには、いろいろ問題があるようですが。。。
裁判にしてもそのようです。
基本的には、裁判の関係者の経歴に傷がつくような無罪は出ないとのこと。
結局保身の理論が動くんですもん、ホンマにひどいことですわ。。。

2010/5/6(木) 午後 2:19 かじら 返信する

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★★若いうちに取り調べを経験しておいた方がいいかも(笑)
凶悪犯罪や学生運動ではありませんよ
検事のつまらぬ尋問に思わず苦笑したところ
反省の態度無し・・有罪罰金10万と即決されてしまいました
控訴のほうが金がかかりました・・あきらめました
他にもありました
尋問の前に検事に一礼しなかったため座らせてもらえませんでした
こちらに非がないので胸を張って答えていたところ
その態度はななんだ! やっぱりお前が原因だな
尋問が続きます
立ったまま両手を前で揉み手の様に組んでいると疲れるので腕を後ろに回して答えていると
その態度はなんだ!
そういう態度だからこの事件が起きたのだな・・有罪だ!
心証とはそういうものです
しかし・・学校で教えるわけにも行かず(笑)
難しい問題ですね

2010/5/6(木) 午後 11:41 [ コトブキ ] 返信する

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最近の冤罪事件が話題になってますが・・・ホント ひと昔の取り調べはとんでもないですね。
冤罪になった方は ほんと一握りかも・・・ 無実のまま 生涯を終えた方もいるんでしょうね。 その無念さを考えると なんとも心が張り裂けそうです。

2010/5/7(金) 午前 0:24 夏ママ 返信する

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テラさん
ここの上げたのはほんの一部で読みにくい感じ、難しい単語のオンパレードでしたが、何とか読了。それだけ引き込まれる内容でした
敢えて書かない。本当、罪ですーー;ヒントもナニも有りませんですーー;

2010/5/12(水) 午前 8:42 kinako 返信する

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カジラさん
笑えるんですよ、取調官の理屈が、でも、世間を知らない人や気の弱い人ならば、「やった」って言っちゃうと思います(苦笑
今は少しは改善されていると思いますがねぇ。

2010/5/12(水) 午前 8:45 kinako 返信する

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kotobukiさん
嫌ですよぉー!無縁でありたいです(苦笑
どんな案件だったのでしょうか?
今ではそこまでひどくはないと思いますけど・・・

2010/5/12(水) 午前 8:50 kinako 返信する

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夏ママさん
本当に…たまたまマスコミに取り上げられたから、冤罪が晴れた、と言う事もあると思います
数え切れないほど冤罪のまま亡くなった人が居り、その遺族は可哀そう過ぎます。
子子孫孫まで深い傷を受けるのですから。本人だけの問題ではありませんよね、気の毒です。

2010/5/12(水) 午前 8:59 kinako 返信する

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