橋都浩平のcanopy walk

みなさんこんにちは。イタリアと自転車と美術を愛する中年(老年?)医師です.

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雪の思い出:白い恐怖

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23日に降った雪のため,翌24日には写真のような格好で出勤しました.スキー用のスノーブーツと山用のストックです.大げさな,と言うことなかれ.ここ拝島は都心とは気温が全く違いますので,積雪の状況も全く違います.駅から病院までの道には,しっかりと雪が積もって,一部は凍り付いており,このスタイルで正解でした.年寄りは転ぶと骨折をしやすいので,何といっても転ばぬ先の杖です.

雪については,どなたもさまざまな思い出を持っておられると思います.僕が子どものころは,確かに今よりも寒く,雪もしょっちゅう降っていたと思いますし,また積もった雪も消えにくかったような印象があります.最近このブログにも書きましたが,子どものころ,雪が降ると姉妹達と近くの傾斜のある畑でそり遊びをしたり,雪だるまを作ったり,雪合戦をしたりしました.雪合戦は中学の時にも,学校の近くの原っぱでやりましたが,これくらいの年齢になると,雪合戦といってもかなり激しく,雪玉の硬さとスピードも相当なものですから,かなり痛かったのを思い出します.

さて僕の雪に関する一番の思い出は,「白い恐怖」とでも呼ぶべきものです.高校生の時だったと思いますが,友人達と赤倉温泉,現在の妙高高原にスキーに行ったことがありました.この年は豪雪で,毎日のように雪が降り,夜中に雪が降り積もると,翌朝のスキー場は50cmもの新雪におおわれます.現在のような圧雪車がない頃ですから,ゲレンデはふかふかの新雪のままで,最初のうちは滑るのも一苦労でした.

新雪だとスピードも出ないので,ある意味では安心なのですが,ある時,思わぬスピードが出て,スキーのコントロールができなくなり,巨大な吹きだまりに突っ込んでしまったことがありました.そうすると僕の全身が完全に雪の中に埋まってしまい,真っ白な世界に閉じ込められてしまいます.いくらもがこうが,周りの景色はもちろん,空も見えず,そうなるとどちらが上なのか下なのかも分からなくなってしまいます.人間には三半規管があるのですから,少なくとも重力の方向は感知できそうなものですが,こうなるとそんなものは役に立ちません.こっちが空かと思われる方向に,やみくもにストックを突き出すだけです.

そうしてもがいているうちに,なかなか雪の中から現れない僕を心配して,友人達がストックとスキーで掘り出してくれました.ようやく空が見えて,ああこっちが上だったのか,と分かった時のほっとした気持ちは,今でも思い出すことができます.雪崩に襲われた時には,おそらくそんな状況になってしまい,パニックになってしまうのではないでしょうか.

普通に生活している状況で,僕たちが上下を見失うことはまずありません.それには内耳が大きな働きをしていることは確実ですが,それだけではなく,やはり視覚によって方向を確認できているのも大きいと思います.重力の方向を感知してくれるはずの内耳の三半規管も,視覚の助けがなければ,意外と役に立たないことを思い知らされた数分間の「白い恐怖」の体験でした.

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