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2005年04月25日

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ライブドア騒動のおかげで「ネットとテレビの融合」という話題が色々なところで議論されるようになっています。残念なことに、そうした議論では誤解がかなり多いように感じています。例えば、「どうせデジタル放送になったらテレビからインターネットに繋がるんだから、URLなんてCMで放送しなくてもいいよ。」などというのがその良い例なのです。

明確に言えることですが、日本ではデジタル放送&対応受信機を使っても今のインターネットにはスムーズにつながりません。


なぜ?テレビ局がそうしたからです。

日本のデジタル放送受信機のネット対応力


ご存知の方も多いともいますが、テレビをどうインターネットにつなぐのかという話はメディア業界、家電業界、IT業界の中では、デジタル放送受信機仕様議論の一環として、かなり考えられてきているトピックなのです。

例えば、世界情報通信サミット2000(ネット会議)などでは、マイクロソフトの古川会長や、グローコムの会津さん、池田さん、マッケンナの校條さんといった素晴らしいメンバーで「デジタル放送・デジタル家電」について議論をしています。

その中での重要な発言を紹介しましょう。まずはマイクロソフトジャパン会長の古川さんのコメントです。

「郵政省のBSデジタルデータ放送委員会とARIBに約1年間参加して、孤軍奮闘して参りましたが、委員会の最終結論としてHTMLおよびインターネットの世界とは全く無縁の世界のどこにも存在しないXML・BMLなる方式を採用してしまったことを憂いております。」

会議中に四面楚歌で、会議の席では、「古川君、インターネットのような邪悪なものを放送の世界に持ち込まないでくれたまえ」とまで発言された方もおりました。」

BSデータ放送における方式は、HTMLのタグは全く無視され表示もされないので、インターネットの世界で記述されたあらゆるコンテンツを全面書き換えをしない限り表示できない。という事実をご存知の方は、まだ少ないと思います。」

日本のBSデジタル放送機器にはイーサネットの口が必ずつきます。しかし、古川さんの発言から分かっていただけるとおり、

XML・BML方式が採用されているため、今、我々がPCから見ているインターネットコンテンツはデジタル放送受信機では表示できません。


よって、デジタル放送になっても、「インターネットへのリンクが出てテレビ上からその企業や商品のHPにいける」なんてことは簡単には出来ません。

デジタル放送受信機からネットにつなぐ方法としては、郵政省が「放送政策研究会」(第3回会合)の中で以下のように答えています。

「今の方式では、ホームページをデータ放送で流せないではないかということですが、これは、放送側で簡単な変換器を通すことによって自動的に映すことができるということで、問題ないと認識しております。」

しかし、これが現実的ではないことは、「■問題ではない?:テレビCMからURLが消える日■」「■テレビ局によるCM内容規制(質問への回答)■」をご覧頂いている方にはお分かりいただけると思います。

「ネットに繋ぎたくないのでCMでのURL表示時間を規制している」といわれているテレビ局が、従来のHPをテレビで表示することに協力するとは考えにくいですよね。

また上記以外の方法としては、テレビの放送画面からであれば(1)企業がテレビ局から許可を得てリンクを表示してもらい、(2)企業がBMLでコンテンツを新たに用意するという方法があります。

更に、放送画面以外であれば、(1)受信機メーカーがHTMLブラウザを搭載して、(2)受信機メーカーにそのHTMLブラウザの画面(例:Tナビ)からリンクを表示してもらうという方法があります。(テレビのリモコンでURLを顧客に入力してもらうのは非現実的ですから)

どちらにせよ他社(テレビ局か受信機メーカー)の許可の下でしか、デジタル放送受信機にHPを表示することは難しいわけです。


ネット対応力が低くくなった背景


デジタル放送受信機のネット対応力が低くなった理由について、日経は「次世代BS/CS端末はWebブラウザー非搭載 “テレビとネットの融合”は絶望的」の中でまっとうな分析をしています。

「端末へWebブラウザーを搭載すれば,企業がユーザーに放送局を“バイパス”させて自社サイトに誘導できるようになる。これは放送局自身が企業とユーザーを結ぶ“ゲートウエイ”となって手数料などの収入を得る,現在想定しているビジネスモデルを根本から揺るがす。」

「Tコマース(テレビを利用したeコマース)参入を狙う企業は,放送局と契約した上で,BMLコンテンツを用意する必要が出てくる。Tコマースへの参入を希望する企業にとって,そのハードルは非常に高いものになりそうだ。」(カッコ内hbiki補足)

また、別件ですが、テレビ受信機を作っているメーカーは、自社製品の競争力をあげる(=顧客の利便性向上)ために、テレビの画面に独自の付加機能を加えることが許されていません

どれだけユーザーにとって便利なるかは関係ありません。それがテレビ局にとってどういう利点があるかだけで、その機能の搭載の可否が判断される傾向が強いのです。


テレビの2画面表示やワイドテレビ対応などは、受信機メーカー側がテレビ局側に対して、長い長い時間をかけて許可を得た賜物であり、例外的な事例なのです。

テレビ局はテレビの画面は自分達のものであり、自分達が全て決めると思っているのです。


ですから、テレビを見ながらその画面の中にネット検索画面を表示することや、テレビの内容に関係するHP画面を表示したり、自社のCM中に関連HPを表示するなんてことは、受信機側から見ても夢のまた夢だといえます。松下のネット対応テレビも画面を切り替えないとダメですよね。それにはこういう理由があるのです。

更に、現在BSデジタル放送を使われている方ならお気付きでしょうが、デジタル放送では各局のデータ放送を含む画面のUIが異なります。これは、

「データ放送画面は、各放送局がARIBの規定したBMLおよびデータ放送運用規定に基づき作成する。しかし、画面デザインや画面遷移等の設計は、各放送局に委ねられた範囲(アライド・ブレインズ)

ためなのですが、この影響でユーザーは各チャンネル毎に操作を覚えなければならないのです。ここからも、テレビ局がいかにユーザー(視聴者)の都合を無視しているかが垣間見れます。

なぜテレビ局はネットを嫌うのか


こうした動きを見ていると、「テレビ局はテレビの画面を支配することで、視聴者とスポンサー企業の間になにがなんでも入ろうとしている」ことがみえてきます。つまり、テレビ局は自らの既得権をどうしても守りたいのです。

そして、
(1)テレビ局によるテレビ画面支配を揺るがす
(2)視聴者とスポンサー企業を直接つないでしまう
という点で、

ネットはテレビ局の大切な既得権益を失わせるとても危険な存在なのです。


よって、テレビ局がネットを嫌うのは当然といえば当然でしょう。

おまけ


こうした動きはビジネスをやる上で当然だと思います。自らの利益の源泉を他の業界に差し出すなんてことはするほうがおかしいでしょう。しかし、私がとても嫌なのは、ユーザーの利便性を無視してまで、BMLを採用させたり、機能追加をさせなかったり、UIの統合を進めなかったりしていることを棚に上げて、

テレビ局が自らの既得権益を守る際に、「公共性」を錦の御旗にすることです。


「公共性」を主張するのであれば、BSデジタル放送受信機へのHTMLの採用、受信機メーカーによる付加機能追加の自由化、テレビ局間でのUIの統合をまずは実現して欲しかったですね。BMLについてはもう手遅れですが・・。

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