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2012年新たな年を迎えて、心機一転頑張りましょう。

桜庭一樹

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桜庭一樹「ファミリーポートレイト」

桜庭一樹「ファミリーポートレイト」

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桜庭さんの作品を読むのは4作目。
読む前、私はタイトルの印象から「荒野」のような家族の物語をイメージしていた。しかし「荒野」の瑞々しい思春期の空気感とはまったく異なり、むしろ「赤朽葉家の伝説」の目まぐるしい壮絶な人生の移り変わりや、「私の男」の退廃的な親子の絶望感に近く、むしろ凌駕しているかもしれないと思った。

本作品は二部構成となっている。前半は幼いコマコと母親マコの10年間の奇妙で壮絶な逃亡生活を、後半はマコを失った後の作家になって売れるまでの20年間を自分自身を削って作品を書き上げる作家の生き様を書いている。後半は作家にまるで桜庭さん本人の叫びを書きだしているのかなとも感じる。

500ページを超えるボリュームもさることながら内容の濃さに打ちのめされる。
現実離れしているとか、設定がおかしいなど、ツッコミどころは多いかもしれない。
しかしこの世界にぐいぐい引きこまれ圧倒される筆力がある。
賛否両論かもしれないが、私は久しぶりにガツンときた。

桜庭一樹、恐るべし!

内容紹介
あなたとは、この世の果てまでいっしょよ。呪いのように。親子、だもの。

直木賞受賞後初の書き下ろし長編1000枚。
全身全霊感動のエンディングを迎える、恐るべき最高傑作!

ママの名前は、マコ。マコの娘は、コマコ。うつくしく、若く、魂は七色に輝く、そしてどうしようもなく残酷、な母の“ちいさな神”として生まれた娘の5歳から34歳までを描く。
怒涛のごとき展開と濃密な物語に圧倒されながらページを繰る手が止まらない第一部「旅」、紙上の文字がいまにも叫び出しそうな言葉の力に溢れ、この作品を同時代に読めた喜びに震える第二部「セルフポートレイト」――二部構成となる本書は、進化と深化が止まらないモンスター作家・桜庭一樹の新たな金字塔となった!  面白くて、どこまでも凄い!!! 

内容(「BOOK」データベースより)
あなたとは、この世の果てまでいっしょよ。呪いのように。親子、だもの。ママの名前は、マコ。マコの娘は、コマコ。『赤朽葉家の伝説』『私の男』―集大成となる家族の肖像。

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桜庭一樹「私の男」

桜庭一樹「私の男」



前回は『赤朽葉家の伝説』で桜庭さんの世界を堪能させてもらった。
今回は第138回直木賞受賞作「私の男」が回ってきた。

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「私の男」というタイトルもそうだが、装丁の絵も裸の男女が描かれており、
何やら艶めかしい雰囲気を醸し出している。
さて、どのような話だろうか。


私の男は、ぬすんだ傘をゆっくりと広げながら、こちらに歩いてきた。 
日暮れよりすこしはやく夜が降りてきた、午後六時過ぎの銀座、並木通り。 
彼のふるびた革靴が、アスファルトを輝かせる水たまりを踏み荒らし、 
ためらいなく濡れながら近づいてくる。 


いきなり「私の男は、・・・」から物語は始まる。
数ページで「私の男」は『おとうさん』だということが解かるのだが、
その『おとうさん』は私『花』が幼い頃、震災で両親を失い、
天涯孤独になった時に引き取ってくれた親戚の若い叔父さんなのだ。
複雑で特異な家庭環境なのだと知らされる。
そしてこの二人には只ならぬ雰囲気が漂う。


全体は六章からなり、章が変わるごとに時代は過去にさかのぼっていく。
視点もその都度、『私』=花、花の結婚相手、『私の男』=淳悟、ふたたび花と移る。
他者の視点もまじえたことで、物語は厚みを増している。


最終章、震災で一人きりになった九歳の花を見つけ、花を護ると心に決した
二十五歳の淳悟が、これからの二人の未来を信じ歩いていく。


時代を遡っていき、二人にとって最も幸せだった日々で結ぶ。
重くせつなく悲しい物語なのに、読後はほのかな光が心に残る。


     ◇     ◇     ◇     ◇

物語の中で、花と淳悟が暮らしていた場所。
物語の前半では二人とも「キタ」と言っている。
私は途中まで北朝鮮なのかなと感じていた。
しかし、そこは北海道はオホーツク海に面した小さな町「紋別」だった。
「えっ」「紋別なのか・・」

ちょっと驚いた。何故なら実家が紋別にあるからだ。
実家と言っても、自分はそこで暮らしたことはない。
子供の頃育ったのは北海道のもっと内陸の山あいの町で、
私が大学に入って実家を離れてから、親が紋別に移り住んだのだ。
もちろん正月や夏休みには実家に帰省していたので、
紋別も幾分馴染みはある。

だから、びっくりした。まさか紋別が舞台とは。
確かに小さな町で随分昔にJRも廃線となり、寂しい。
しかし、カニやホタテやボタンエビなど魚介類は美味しい。
冬には流氷が流れ着く、クリオネやあざらしがマスコットだ。

作品中の情景は目に浮かぶ。
私自身は紋別で流氷を観たことは一度しかない。
それも町の丘の上から、一面が真っ白になって陸との境が
わかりづらくなった海を見渡しただけで、間近に流氷を観たことはない。
流氷に乗るなんて、そんな怖いこと。



そんなことも重なり、とても印象深い作品だった。


桜庭一樹インタビューより 
 これまで言葉にされたことがないことってあると思うんです。男女の間でも、家族の間でも。日本にもともとLOVEという概念はなかった、という話がありますけど、わかるなあ、と思うんです。「愛」という言葉を当てたときから、それまで名付けようのなかった概念が確認された。それと同じように、家族の情愛と男女の愛情がごっちゃになってしまった感情を名付けようとしたら、「私の男」と名付けるしかなかった。 
 私はこの小説で、ふだんあまり意識されていないことに名前を与える行為をしたかったんだと思います。そのために、かたちのないもの登場人物たちを作って、人間のかたちを与える作業をしました。それはこれまで書いてきた小説とは違う重さのあることでしたね。 

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桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」

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桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」



桜庭さんの作品は初めて。
お恥ずかしいことながら、つい先日の直木賞受賞のテレビ報道まで
桜庭一樹さんは男性だと思っていたので、テレビを見て驚きました。
有川浩さんといい、三崎亜記さんといい、
最近はペンネームでは男女の区別がつきませんね^^。


装丁は真っ赤な紅葉。タイトルは内容とぴったり。
しかし赤朽葉家というのは言いにくいし、馴染みにくい。
でも読み終わる頃にはしっくりしてくる。固有名詞ですから慣れですね。



製鉄一族を支えた三代の女たちを描く


製鉄一族を支えた三代の女たちを描く瞠目の雄編。
ようこそ、ビューティフルワールドへ。


三代に渡る物語のこの作品は、時代の味わいがあってなかなか良かった。
語り手の赤朽葉瞳子が、幼い頃から聴かされてきた祖母と母の物語と自分自身の物語。
瞳子は祖母や母から昔の話を聴くのが大好きだった。
三部構成からなる赤朽葉家の伝説だ。


第一部『最後の神話の時代』は千里眼の祖母、赤朽葉万葉の物語。

祖母のことなのに、ずっと遠い昔の伝説を聴いているような気がする。
中国地方独特の山脈に住みついているサンカなどと呼ばれている不思議な辺境の一族の血を引いており、
千里眼を持っていることがより一層遠い伝説らしさを醸し出しているのだろう。
第一部は1953年から1975年、終戦後から高度経済成長時代を生き抜いていく赤朽葉万葉。


第二部『巨と虚の時代』はまさしく「あいあん天使」の母、赤朽葉毛毬の物語。

母は不良少女となり、次第にレディースの頭として中国地方を征する。
その後、レディースを題材にした大ベストセラーの少女漫画「あいあん天使」を書き、
その一生をを一気に突っ走っていく。
第二部は1979年から1998年まで昭和後期からバブル景気を駆け抜けた赤朽葉毛毬。


第三部『殺人者』は語り手である赤朽葉瞳子の物語。

第三部の時代は2000年から未来にかけて。
至って普通の女の子である瞳子は自分には祖母や母のような伝説は何もないと言う。
そんな中でも祖母の最後の言葉に秘められた真実を追って祖母の伝説を紐解いていく。
平凡ながらも地元に開設されたコールセンターを辞める場面はで毅然とした一面を見せ、
爽快な気分にさせてくれた。


多彩な脇役たち


主役の3人に加えて様々な多彩な性格の脇役達も盛り上げてくれる。

万葉が嫁ぐことを決めた赤朽葉家を統率する恵比寿様のようなタツ。
万葉が幼い頃から千里眼で見ていた製鉄所の職人の隻眼の穂積豊寿。
万葉と同じ年で黒菱家のお嬢様の黒菱みどり。
万葉の夫の妾の寝取りの真砂。
万葉の長男である泪、次女である鞄、次男である孤独。
万葉の長女である毛毬の親友、穂積蝶子。
真砂の子である寝取りの百夜。
毛毬を漫画家に育てた編集者の蘇保有。
瞳子の気の弱い彼氏。


強烈だけど何故か憎めない愛らしさを持っている黒菱みどり。
自殺してサンカに連れていかれた兄を捜して、万葉とみどりが山を彷徨う場面は印象的だった。

母親譲りの強烈な寝取り女である百夜は哀しいかな毛毬には最後まで認識されていない。
それでも死ぬまでその性は捨てられなかった。



ようこそ、ビューティフルワールドへ


瞳子は少しずつ万葉の伝説を紐解いて行くが、そうしていく中で自分を見つけていく。
鳥取県の紅緑村、この脈々と引き継がれていく伝説の中に、自分も居ること。
そして生きていくことを。


ようこそ、ビューティフルワールドへ。
とても胸に響くセリフとなった。


自分も生きてきたこの時代を振り返りながら、懐かしくも伝説のそばにいたんだなと思うと
とても愛おしく感じる作品だった。




【Amazon.co.jp特別企画】著者からのコメント
 みなさん、鳥取県紅緑村から、こんにちは。桜庭一樹です。
 この『赤朽葉家の伝説』は2006年の4月から5月にかけて、故郷の鳥取の実家にこもって一気に書き上げました。わたしは山奥の八墓村っぽいところで生まれ育って、十八歳で東京に出て、小説家になりました。昭和初期で時が止まったようにどこか古くて、ユーモラスで、でも土俗的ななにかの怖ろしい気配にも満ちていて。そんな故郷の空気を取り入れて、中国山脈のおくに隠れ住むサンカの娘が輿入れした、タタラで財を成した製鉄一族、赤朽葉家の盛衰を描いたのが本書です。不思議な千里眼を持ち一族の経済を助ける祖母、万葉。町で噂の不良少女となり、そののちレディースを描く少女漫画家となって一世を風靡する母、毛毬。何者にもなれず、偉大な祖母と母の存在に脅えるニートの娘、瞳子。三人の「かつての少女」の生き様から、わたしたちの「いま」を、読んでくれたあなたと一緒に、これから探していけたらいいなぁ、と思っております。
 実家での執筆中、気分転換にと庭に出たら、犬に噛まれました。(甘噛みではありません)屋内では猫に踏まれました。あと、小腹がすいたと台所で冷蔵庫の中を物色していたら、父に「こら、ゴン!」と、犬と呼び間違えられました。執筆のあいだ、いろいろなことがあり、いまではなつかしい思い出です。

桜庭一樹 

出版社 / 著者からの内容紹介
「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。2006年を締め括る著者の新たなる代表作、桜庭一樹はここまで凄かった! 

アフィリエイト   私のおすすめ:
赤朽葉家の伝説

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