その指標を無効化する「新たな指標」を持てる製品のみ世に送り出している

--------------------------------------------------
09:技術進歩だけではイノベーションは生まれない
--------------------------------------------------
■購入行動に影響を与える「新指標」を生み出す
ジョブズは1985年に、経営不振からアップルの会長職以外を解任されてしまいますが、
1996年に再び同社に返り咲き、以後革新的な製品を世に送り出します。

復帰後のジョブズは破竹の勢いで革新的な製品を繰り出しますが、注意深く観察してみると、全ての製品が、「過去の指標」を変更する意図を持って生み出されているのです。
極めて緻密に既存流通製品の指標を抽出し、
支配的だった指標を差し替える新たな「指標(戦略)」を製品設計で打ち立てているのです。
復帰後のジョブズは従来の市場を支配する「既存指標」を徹底的に分析し、
その指標を無効化する「新たな指標」を持てる製品のみ世に送り出している
といっていいでしょう。

【スティーブ・ジョブズのイノベーション】
(1)「既存の指標」の発見
・工業製品的なデザイン
・処理能力や価格競争
・商品単体で完結する機能性
・通話や通信の高い技術
(2)敵の指標の「無効化」
・お洒落なデザイン
・感覚的な操作
・ネットワーク型の利便性
・オープンソースによるアプリ開発
(3)「新指標」で戦う
・プラットフォーム化し、技術競争
・価格競争からは一線を引く

イノベーションを作り出すには、
現時点で支配的に浸透している「指標」を先ず見抜く必要があります。
体験的な学習が陥りがちな、成功体験の単なるコピーではなく、
対象の中に隠れて存在する「戦略としての指標」を発見する思考法に慣れるべきなのです


戦後日本経済の繁栄を支えた企業からは、世界中に製品を普及させる優れたイノベーションが多数生まれましたが、現在新たなイノベーションを生み出せず、過去の輝きを失いつつあることが危惧されます。
それらの日本企業の失速の要因は、ゲームのルールの中でだけ戦っていたことと、既存の指標を覆す方法を知らなかったからではないでしょうか。
戦後経済で躍進した日本企業のイノベーションは意図せぬ発見であり、現在の閉塞感は、イノベーションに必要な相手の指標を見抜く必要性をこれまで日本人が明確に理解していなかったからです。


--------------------------------------------------
「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
[単行本(ソフトカバー)] ダイヤモンド社
鈴木 博毅 (著)

内容紹介
★累計52万部の組織論の名著を23のポイントからダイジェストで読む!
★『失敗の本質』の著者・野中郁次郎氏推薦!
「本書は日本の組織的問題を読み解く最適な入門書である」

■なぜ日本は同じ過ちを繰り返すのか?

今、ロングセラーの古典『失敗の本質』が再び脚光を浴びています。
震災や原発事故への国の不十分な対応、リスク管理、情報の隠蔽……。

また、長年日本を牽引してきたソニーをはじめとする製造業の混迷、
国際競争の中で次々と日本企業が敗れていく現実を前に、
『失敗の本質』が明らかにした、日本的組織の特性に再度注目が集まっています

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支配的だった指標を差し替える新たな「指標(戦略)」を製品設計で打ち立てている

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09:技術進歩だけではイノベーションは生まれない
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■購入行動に影響を与える「新指標」を生み出す
ジョブズは1985年に、経営不振からアップルの会長職以外を解任されてしまいますが、
1996年に再び同社に返り咲き、以後革新的な製品を世に送り出します。

復帰後のジョブズは破竹の勢いで革新的な製品を繰り出しますが、注意深く観察してみると、全ての製品が、「過去の指標」を変更する意図を持って生み出されているのです。
極めて緻密に既存流通製品の指標を抽出し、
支配的だった指標を差し替える新たな「指標(戦略)」を製品設計で打ち立てているのです。
復帰後のジョブズは従来の市場を支配する「既存指標」を徹底的に分析し、
その指標を無効化する「新たな指標」を持てる製品のみ世に送り出している
といっていいでしょう。

【スティーブ・ジョブズのイノベーション】
(1)「既存の指標」の発見
・工業製品的なデザイン
・処理能力や価格競争
・商品単体で完結する機能性
・通話や通信の高い技術
(2)敵の指標の「無効化」
・お洒落なデザイン
・感覚的な操作
・ネットワーク型の利便性
・オープンソースによるアプリ開発
(3)「新指標」で戦う
・プラットフォーム化し、技術競争
・価格競争からは一線を引く

イノベーションを作り出すには、
現時点で支配的に浸透している「指標」を先ず見抜く必要があります。
体験的な学習が陥りがちな、成功体験の単なるコピーではなく、
対象の中に隠れて存在する「戦略としての指標」を発見する思考法に慣れるべきなのです


戦後日本経済の繁栄を支えた企業からは、世界中に製品を普及させる優れたイノベーションが多数生まれましたが、現在新たなイノベーションを生み出せず、過去の輝きを失いつつあることが危惧されます。
それらの日本企業の失速の要因は、ゲームのルールの中でだけ戦っていたことと、既存の指標を覆す方法を知らなかったからではないでしょうか。
戦後経済で躍進した日本企業のイノベーションは意図せぬ発見であり、現在の閉塞感は、イノベーションに必要な相手の指標を見抜く必要性をこれまで日本人が明確に理解していなかったからです。


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「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
[単行本(ソフトカバー)] ダイヤモンド社
鈴木 博毅 (著)

内容紹介
★累計52万部の組織論の名著を23のポイントからダイジェストで読む!
★『失敗の本質』の著者・野中郁次郎氏推薦!
「本書は日本の組織的問題を読み解く最適な入門書である」

■なぜ日本は同じ過ちを繰り返すのか?

今、ロングセラーの古典『失敗の本質』が再び脚光を浴びています。
震災や原発事故への国の不十分な対応、リスク管理、情報の隠蔽……。

また、長年日本を牽引してきたソニーをはじめとする製造業の混迷、
国際競争の中で次々と日本企業が敗れていく現実を前に、
『失敗の本質』が明らかにした、日本的組織の特性に再度注目が集まっています

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同じ指標を追いかけるだけではいつか敗北する

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08:新しい戦略の前では古い指標はひっくり返る
--------------------------------------------------
戦略とは「追いかける指標」であると定義できます。
従って、第二次上海戦で日本の精鋭部隊が敵陣突破に多大な日数を要したのは、
敵側が展開した「鉄量戦略」が効果を発揮していたからだと捉えることができます。

ビジネスにおいて、特定の商品が売れる理由を、
・「軽量を追求したこと」であるなら「軽量戦略」
・「耐久性を追求したこと」であるなら「耐久性戦略」
・「販売代理店数を追求したこと」ならば「販売店数戦略」
と表現することが可能です。

言うまでもないことですが、「追いかける指標」が販売に有効に作用しなければ意味はありません。
戦略の優秀性とは「追いかける指標」の有効度そのものなのですから

■戦闘の勝敗を決定する「指標」の発見

(中略)
堀は1943年の秋、大本営陸軍部第二部の参謀となり、米軍の戦法研究に入ります。
堀の考察の中心となったのは、戦闘の趨勢を決定する「指標」の存在です。
何が戦闘の趨勢を決する指標だと堀は見抜いたのでしょう。
それは「鉄量」です。
防備を固めた陣地で、自動小銃や大砲による火力を装備した戦闘では、
戦場に投入される鉄量によって勝敗が決まると堀は見抜いたのです。
銃弾、爆弾、大砲と防御の壁など、その戦場に投入できる鉄量が勝るほうが勝つということです。
「鉄量を破るものは鉄量以外にない」と堀参謀は学生時代に気づきますが、米軍の戦闘法研究を開始し、改めて「鉄量戦略」の威力を思い知らされることになったのです。

■敵の指標が効果を発揮しない領域を探す
「鉄量作戦」を見抜いた堀参謀は、戦場の現地視察や考察の上、ある結論にたどり着きます。「鉄量という指標」の影響力を発揮させない戦闘法への転換です。
・海からの艦砲射撃が効果を発揮しない、島の中央部に防御陣地を作る
・米軍への水際攻撃を仕掛ける
・基地防御壁は、敵戦艦の主砲に耐えるコンクリート厚2.5メートル

1944年9月のペリリュー島での戦闘以降、日本軍は以前の水際戦闘と銃剣による夜襲、バンザイ突撃を避け、内陸部で堅陣を構築して米軍を悩ませるようになります。
1945年2月の硫黄島では、島の地形に最適な形で内陸部陣地と地下壕、坑道の要塞を築き、一ヶ月にもわたり世界史に残る大激戦を繰り広げます。
硫黄島での戦闘は、米軍が損害において日本軍を上回る数少ない戦場となりました。

■イノベーションを創造する3ステップ
堀参謀がどんなことを成し遂げたのでしょう。

(1)戦場の勝敗を支配している「既存の指標」を発見する
(2)敵が使いこなしている指標を「無効化」する
(3)支配的だった指標を凌駕する「新たな指標」で戦う

この三つを堀参謀は成し遂げ、新戦法はペリリュー島から硫黄島、沖縄戦まで活かされていきます。
これらの戦場でも日本は最終的に敗北していますが、米軍が圧倒的な補給を受ける状態にありながら、
日本軍側はほぼ武器・食料の補給を望めない状況だったことは考慮する必要があるでしょう。

■米軍が行ったイノベーションとは
先程の「イノベーション創造の3ステップ」に沿って、
戦闘で出現した米軍側のイノベーションを解読してみましょう。

【サッチ・ウィーブ戦法】単機戦闘ではなく“機数の多さ”という指標
(1)既存の指標の発見
ゼロ戦は米軍のF4Fより旋回性能が高く、単機でF4Fはゼロ戦に勝てませんでした。米軍は無傷でゼロ戦を鹵獲しテスト飛行を繰り返したことで、ゼロ戦が強いのは「旋回性能」という指標を発見します。
(2)敵の指標の「無力化」
F4Fは二機一組でゼロ戦と対峙することで、旋回したゼロ戦がF4Fの後ろを取った際には、もう一機の味方がゼロ戦を撃墜するポイントに素早く入るようにします。これでゼロ戦の「旋回性能」は勝利の要因でなくなったのです。
(3)「新たな指標」で戦う
一時、ゼロ戦の優れた旋回性能が米軍戦闘機を悩ませましたが、二機を一組とする「連携性」という新しい指標により、米軍が空戦の優位を完全に取り戻しました。

【レーダーによる迎撃】目視という従来の指標を超えた“距離”の指標
(1)「既存の指標」の発見
レーダーが本格的に導入される前は、敵艦を探すために索敵機を空母から飛ばして、相手を発見すると母艦に無線連絡して味方機を出撃させていました。パイロットを含めた「索敵機の活躍」が重要だったのです。敵を先に攻撃する態勢をとれた側が優位に立つという指標です。

(2)敵の目標の「無効化」
索敵機の活躍では、日本軍が先に米軍を発見する事もあり、一方的な奇襲として米軍が攻撃を受ける事もありました。ところが、米軍のレーダーにより、200キロ先から日本戦闘機軍は発見され、米軍戦闘機隊は日本部隊より優位な上空で準備万端で待ち構え、一方的に攻撃を加えて勝利しました。

(3)「新たな指標」で戦う
レーダーの登場により、索敵機が敵艦隊を先に発見するという指標の効果は完全に消滅しました。新しい「レーダーの性能」という指標が戦闘を支配することになったのです。

一連のイノベーションの実現は、優位である敵が持っている指標をまず見抜くことが必要であり、その指標を無効化する方法を探し、支配的だった指標を凌駕する新たな指標で戦うことで成し遂げられているのです。

■世界市場で苦境に陥った日本の主要メーカー

自動車産業が初期から中期のころ、自動車のエンジンの馬力が高いほど性能に優れ、高価格でした。では、さらに売れるために、エンジンの馬力をどんどんたたくすればいいのでしょうか。
現実には、
販売ランキングの上位にある車種の多くは数年前から馬力はほとんど変わっていません。

制限速度がるために、一定以上の馬力は一般購入者にとって意味がないからです。
つまり、エンジンの馬力は行き過ぎると消費者の購入指標を左右しなくなるのです。
現在は「燃費がいい」という指標が王者です。


同じことが家電製品やパソコンの性能にも言えるはずです。
現在、市販されているテレビの画像は、低価格のものでも「見られたものではない」ほど汚いものは皆無です。韓国や台湾メーカーでも高性能のものはたくさんあるので、現状から多少画像がきれいになっても、購入判断を変えるような指標になりえないのです。

高い技術力を誇る日本の家電メーカーが苦戦を続けるのは、
消費者の指標を変化させるイノベーションではなく、単に技術上の高性能を追求しており、
効果を失っている指標を追いかけるからだと推測されます

「単純な高機能・高価格」という指標は、すでに無意味になってきているのです
日本のメーカーの閉塞感は、指標を差し替える意味でのイノベーションを忘れ、かつて自らが成功を収めた要因を誤解していることで生まれているのではないでしょうか。

■まとめ
・イノベーションとは、支配的な指標を差し替えられる「新しい指標」で戦うことである。
・同じ指標を追いかけるだけではいつか敗北する。
・家電の「単純な高性能・高価格」はすでに世界市場の有効指標ではなくなった。



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「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
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鈴木 博毅 (著)

内容紹介
★累計52万部の組織論の名著を23のポイントからダイジェストで読む!
★『失敗の本質』の著者・野中郁次郎氏推薦!
「本書は日本の組織的問題を読み解く最適な入門書である」

■なぜ日本は同じ過ちを繰り返すのか?

今、ロングセラーの古典『失敗の本質』が再び脚光を浴びています。
震災や原発事故への国の不十分な対応、リスク管理、情報の隠蔽……。

また、長年日本を牽引してきたソニーをはじめとする製造業の混迷、
国際競争の中で次々と日本企業が敗れていく現実を前に、
『失敗の本質』が明らかにした、日本的組織の特性に再度注目が集まっています

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「単純な高機能・高価格」という指標は、すでに無意味になってきているのです

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08:新しい戦略の前では古い指標はひっくり返る
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戦略とは「追いかける指標」であると定義できます。
従って、第二次上海戦で日本の精鋭部隊が敵陣突破に多大な日数を要したのは、
敵側が展開した「鉄量戦略」が効果を発揮していたからだと捉えることができます。

ビジネスにおいて、特定の商品が売れる理由を、
・「軽量を追求したこと」であるなら「軽量戦略」
・「耐久性を追求したこと」であるなら「耐久性戦略」
・「販売代理店数を追求したこと」ならば「販売店数戦略」
と表現することが可能です。

言うまでもないことですが、「追いかける指標」が販売に有効に作用しなければ意味はありません。
戦略の優秀性とは「追いかける指標」の有効度そのものなのですから

■戦闘の勝敗を決定する「指標」の発見

(中略)
堀は1943年の秋、大本営陸軍部第二部の参謀となり、米軍の戦法研究に入ります。
堀の考察の中心となったのは、戦闘の趨勢を決定する「指標」の存在です。
何が戦闘の趨勢を決する指標だと堀は見抜いたのでしょう。
それは「鉄量」です。
防備を固めた陣地で、自動小銃や大砲による火力を装備した戦闘では、
戦場に投入される鉄量によって勝敗が決まると堀は見抜いたのです。
銃弾、爆弾、大砲と防御の壁など、その戦場に投入できる鉄量が勝るほうが勝つということです。
「鉄量を破るものは鉄量以外にない」と堀参謀は学生時代に気づきますが、米軍の戦闘法研究を開始し、改めて「鉄量戦略」の威力を思い知らされることになったのです。

■敵の指標が効果を発揮しない領域を探す
「鉄量作戦」を見抜いた堀参謀は、戦場の現地視察や考察の上、ある結論にたどり着きます。「鉄量という指標」の影響力を発揮させない戦闘法への転換です。
・海からの艦砲射撃が効果を発揮しない、島の中央部に防御陣地を作る
・米軍への水際攻撃を仕掛ける
・基地防御壁は、敵戦艦の主砲に耐えるコンクリート厚2.5メートル

1944年9月のペリリュー島での戦闘以降、日本軍は以前の水際戦闘と銃剣による夜襲、バンザイ突撃を避け、内陸部で堅陣を構築して米軍を悩ませるようになります。
1945年2月の硫黄島では、島の地形に最適な形で内陸部陣地と地下壕、坑道の要塞を築き、一ヶ月にもわたり世界史に残る大激戦を繰り広げます。
硫黄島での戦闘は、米軍が損害において日本軍を上回る数少ない戦場となりました。

■イノベーションを創造する3ステップ
堀参謀がどんなことを成し遂げたのでしょう。

(1)戦場の勝敗を支配している「既存の指標」を発見する
(2)敵が使いこなしている指標を「無効化」する
(3)支配的だった指標を凌駕する「新たな指標」で戦う

この三つを堀参謀は成し遂げ、新戦法はペリリュー島から硫黄島、沖縄戦まで活かされていきます。
これらの戦場でも日本は最終的に敗北していますが、米軍が圧倒的な補給を受ける状態にありながら、
日本軍側はほぼ武器・食料の補給を望めない状況だったことは考慮する必要があるでしょう。

■米軍が行ったイノベーションとは
先程の「イノベーション創造の3ステップ」に沿って、
戦闘で出現した米軍側のイノベーションを解読してみましょう。

【サッチ・ウィーブ戦法】単機戦闘ではなく“機数の多さ”という指標
(1)既存の指標の発見
ゼロ戦は米軍のF4Fより旋回性能が高く、単機でF4Fはゼロ戦に勝てませんでした。米軍は無傷でゼロ戦を鹵獲しテスト飛行を繰り返したことで、ゼロ戦が強いのは「旋回性能」という指標を発見します。
(2)敵の指標の「無力化」
F4Fは二機一組でゼロ戦と対峙することで、旋回したゼロ戦がF4Fの後ろを取った際には、もう一機の味方がゼロ戦を撃墜するポイントに素早く入るようにします。これでゼロ戦の「旋回性能」は勝利の要因でなくなったのです。
(3)「新たな指標」で戦う
一時、ゼロ戦の優れた旋回性能が米軍戦闘機を悩ませましたが、二機を一組とする「連携性」という新しい指標により、米軍が空戦の優位を完全に取り戻しました。

【レーダーによる迎撃】目視という従来の指標を超えた“距離”の指標
(1)「既存の指標」の発見
レーダーが本格的に導入される前は、敵艦を探すために索敵機を空母から飛ばして、相手を発見すると母艦に無線連絡して味方機を出撃させていました。パイロットを含めた「索敵機の活躍」が重要だったのです。敵を先に攻撃する態勢をとれた側が優位に立つという指標です。

(2)敵の目標の「無効化」
索敵機の活躍では、日本軍が先に米軍を発見する事もあり、一方的な奇襲として米軍が攻撃を受ける事もありました。ところが、米軍のレーダーにより、200キロ先から日本戦闘機軍は発見され、米軍戦闘機隊は日本部隊より優位な上空で準備万端で待ち構え、一方的に攻撃を加えて勝利しました。

(3)「新たな指標」で戦う
レーダーの登場により、索敵機が敵艦隊を先に発見するという指標の効果は完全に消滅しました。新しい「レーダーの性能」という指標が戦闘を支配することになったのです。

一連のイノベーションの実現は、優位である敵が持っている指標をまず見抜くことが必要であり、その指標を無効化する方法を探し、支配的だった指標を凌駕する新たな指標で戦うことで成し遂げられているのです。

■世界市場で苦境に陥った日本の主要メーカー

自動車産業が初期から中期のころ、自動車のエンジンの馬力が高いほど性能に優れ、高価格でした。では、さらに売れるために、エンジンの馬力をどんどんたたくすればいいのでしょうか。
現実には、
販売ランキングの上位にある車種の多くは数年前から馬力はほとんど変わっていません。

制限速度がるために、一定以上の馬力は一般購入者にとって意味がないからです。
つまり、エンジンの馬力は行き過ぎると消費者の購入指標を左右しなくなるのです。
現在は「燃費がいい」という指標が王者です。


同じことが家電製品やパソコンの性能にも言えるはずです。
現在、市販されているテレビの画像は、低価格のものでも「見られたものではない」ほど汚いものは皆無です。韓国や台湾メーカーでも高性能のものはたくさんあるので、現状から多少画像がきれいになっても、購入判断を変えるような指標になりえないのです。

高い技術力を誇る日本の家電メーカーが苦戦を続けるのは、
消費者の指標を変化させるイノベーションではなく、単に技術上の高性能を追求しており、
効果を失っている指標を追いかけるからだと推測されます

「単純な高機能・高価格」という指標は、すでに無意味になってきているのです
日本のメーカーの閉塞感は、指標を差し替える意味でのイノベーションを忘れ、かつて自らが成功を収めた要因を誤解していることで生まれているのではないでしょうか。

■まとめ
・イノベーションとは、支配的な指標を差し替えられる「新しい指標」で戦うことである。
・同じ指標を追いかけるだけではいつか敗北する。
・家電の「単純な高性能・高価格」はすでに世界市場の有効指標ではなくなった。



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「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
[単行本(ソフトカバー)] ダイヤモンド社
鈴木 博毅 (著)

内容紹介
★累計52万部の組織論の名著を23のポイントからダイジェストで読む!
★『失敗の本質』の著者・野中郁次郎氏推薦!
「本書は日本の組織的問題を読み解く最適な入門書である」

■なぜ日本は同じ過ちを繰り返すのか?

今、ロングセラーの古典『失敗の本質』が再び脚光を浴びています。
震災や原発事故への国の不十分な対応、リスク管理、情報の隠蔽……。

また、長年日本を牽引してきたソニーをはじめとする製造業の混迷、
国際競争の中で次々と日本企業が敗れていく現実を前に、
『失敗の本質』が明らかにした、日本的組織の特性に再度注目が集まっています

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新しい戦略の前では古い指標はひっくり返る

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戦略とは「追いかける指標」であると定義できます。
従って、第二次上海戦で日本の精鋭部隊が敵陣突破に多大な日数を要したのは、
敵側が展開した「鉄量戦略」が効果を発揮していたからだと捉えることができます。

ビジネスにおいて、特定の商品が売れる理由を、
・「軽量を追求したこと」であるなら「軽量戦略」
・「耐久性を追求したこと」であるなら「耐久性戦略」
・「販売代理店数を追求したこと」ならば「販売店数戦略」
と表現することが可能です。

言うまでもないことですが、「追いかける指標」が販売に有効に作用しなければ意味はありません。
戦略の優秀性とは「追いかける指標」の有効度そのものなのですから

■戦闘の勝敗を決定する「指標」の発見

(中略)
堀は1943年の秋、大本営陸軍部第二部の参謀となり、米軍の戦法研究に入ります。
堀の考察の中心となったのは、戦闘の趨勢を決定する「指標」の存在です。
何が戦闘の趨勢を決する指標だと堀は見抜いたのでしょう。
それは「鉄量」です。
防備を固めた陣地で、自動小銃や大砲による火力を装備した戦闘では、
戦場に投入される鉄量によって勝敗が決まると堀は見抜いたのです。
銃弾、爆弾、大砲と防御の壁など、その戦場に投入できる鉄量が勝るほうが勝つということです。
「鉄量を破るものは鉄量以外にない」と堀参謀は学生時代に気づきますが、米軍の戦闘法研究を開始し、改めて「鉄量戦略」の威力を思い知らされることになったのです。

■敵の指標が効果を発揮しない領域を探す
「鉄量作戦」を見抜いた堀参謀は、戦場の現地視察や考察の上、ある結論にたどり着きます。「鉄量という指標」の影響力を発揮させない戦闘法への転換です。
・海からの艦砲射撃が効果を発揮しない、島の中央部に防御陣地を作る
・米軍への水際攻撃を仕掛ける
・基地防御壁は、敵戦艦の主砲に耐えるコンクリート厚2.5メートル

1944年9月のペリリュー島での戦闘以降、日本軍は以前の水際戦闘と銃剣による夜襲、バンザイ突撃を避け、内陸部で堅陣を構築して米軍を悩ませるようになります。
1945年2月の硫黄島では、島の地形に最適な形で内陸部陣地と地下壕、坑道の要塞を築き、一ヶ月にもわたり世界史に残る大激戦を繰り広げます。
硫黄島での戦闘は、米軍が損害において日本軍を上回る数少ない戦場となりました。

■イノベーションを創造する3ステップ
堀参謀がどんなことを成し遂げたのでしょう。

(1)戦場の勝敗を支配している「既存の指標」を発見する
(2)敵が使いこなしている指標を「無効化」する
(3)支配的だった指標を凌駕する「新たな指標」で戦う

この三つを堀参謀は成し遂げ、新戦法はペリリュー島から硫黄島、沖縄戦まで活かされていきます。
これらの戦場でも日本は最終的に敗北していますが、米軍が圧倒的な補給を受ける状態にありながら、
日本軍側はほぼ武器・食料の補給を望めない状況だったことは考慮する必要があるでしょう。

■米軍が行ったイノベーションとは
先程の「イノベーション創造の3ステップ」に沿って、
戦闘で出現した米軍側のイノベーションを解読してみましょう。

【サッチ・ウィーブ戦法】単機戦闘ではなく“機数の多さ”という指標
(1)既存の指標の発見
ゼロ戦は米軍のF4Fより旋回性能が高く、単機でF4Fはゼロ戦に勝てませんでした。米軍は無傷でゼロ戦を鹵獲しテスト飛行を繰り返したことで、ゼロ戦が強いのは「旋回性能」という指標を発見します。
(2)敵の指標の「無力化」
F4Fは二機一組でゼロ戦と対峙することで、旋回したゼロ戦がF4Fの後ろを取った際には、もう一機の味方がゼロ戦を撃墜するポイントに素早く入るようにします。これでゼロ戦の「旋回性能」は勝利の要因でなくなったのです。
(3)「新たな指標」で戦う
一時、ゼロ戦の優れた旋回性能が米軍戦闘機を悩ませましたが、二機を一組とする「連携性」という新しい指標により、米軍が空戦の優位を完全に取り戻しました。

【レーダーによる迎撃】目視という従来の指標を超えた“距離”の指標
(1)「既存の指標」の発見
レーダーが本格的に導入される前は、敵艦を探すために索敵機を空母から飛ばして、相手を発見すると母艦に無線連絡して味方機を出撃させていました。パイロットを含めた「索敵機の活躍」が重要だったのです。敵を先に攻撃する態勢をとれた側が優位に立つという指標です。

(2)敵の目標の「無効化」
索敵機の活躍では、日本軍が先に米軍を発見する事もあり、一方的な奇襲として米軍が攻撃を受ける事もありました。ところが、米軍のレーダーにより、200キロ先から日本戦闘機軍は発見され、米軍戦闘機隊は日本部隊より優位な上空で準備万端で待ち構え、一方的に攻撃を加えて勝利しました。

(3)「新たな指標」で戦う
レーダーの登場により、索敵機が敵艦隊を先に発見するという指標の効果は完全に消滅しました。新しい「レーダーの性能」という指標が戦闘を支配することになったのです。

一連のイノベーションの実現は、優位である敵が持っている指標をまず見抜くことが必要であり、その指標を無効化する方法を探し、支配的だった指標を凌駕する新たな指標で戦うことで成し遂げられているのです。

■世界市場で苦境に陥った日本の主要メーカー

自動車産業が初期から中期のころ、自動車のエンジンの馬力が高いほど性能に優れ、高価格でした。では、さらに売れるために、エンジンの馬力をどんどんたたくすればいいのでしょうか。
現実には、
販売ランキングの上位にある車種の多くは数年前から馬力はほとんど変わっていません。

制限速度がるために、一定以上の馬力は一般購入者にとって意味がないからです。
つまり、エンジンの馬力は行き過ぎると消費者の購入指標を左右しなくなるのです。
現在は「燃費がいい」という指標が王者です。


同じことが家電製品やパソコンの性能にも言えるはずです。
現在、市販されているテレビの画像は、低価格のものでも「見られたものではない」ほど汚いものは皆無です。韓国や台湾メーカーでも高性能のものはたくさんあるので、現状から多少画像がきれいになっても、購入判断を変えるような指標になりえないのです。

高い技術力を誇る日本の家電メーカーが苦戦を続けるのは、
消費者の指標を変化させるイノベーションではなく、単に技術上の高性能を追求しており、
効果を失っている指標を追いかけるからだと推測されます

「単純な高機能・高価格」という指標は、すでに無意味になってきているのです
日本のメーカーの閉塞感は、指標を差し替える意味でのイノベーションを忘れ、かつて自らが成功を収めた要因を誤解していることで生まれているのではないでしょうか。

■まとめ
・イノベーションとは、支配的な指標を差し替えられる「新しい指標」で戦うことである。
・同じ指標を追いかけるだけではいつか敗北する。
・家電の「単純な高性能・高価格」はすでに世界市場の有効指標ではなくなった。



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★累計52万部の組織論の名著を23のポイントからダイジェストで読む!
★『失敗の本質』の著者・野中郁次郎氏推薦!
「本書は日本の組織的問題を読み解く最適な入門書である」

■なぜ日本は同じ過ちを繰り返すのか?

今、ロングセラーの古典『失敗の本質』が再び脚光を浴びています。
震災や原発事故への国の不十分な対応、リスク管理、情報の隠蔽……。

また、長年日本を牽引してきたソニーをはじめとする製造業の混迷、
国際競争の中で次々と日本企業が敗れていく現実を前に、
『失敗の本質』が明らかにした、日本的組織の特性に再度注目が集まっています

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目標や問題の基本構造そのものを再定義し変革してみる

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07:プロセス改善だけでは、問題を解決できなくなる
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プロセス=「過程、経過」と考えると、
過程を洗練させる「プロセス改善」とは
スタートラインとなる「思想・手法」を同じままに、
その過程を最大限改良することで、
結果をより良いものにしていく作業だと考えられます。
帝国陸軍は、戦闘の基本理想として白兵銃剣主義を持っていました。
その思想の起点を同じままに、
「過程、経過」を極度に練磨させるプロセス改善で白兵銃剣主義が達成できる極限を求めた


■白兵銃剣主義の怒涛の戦果
白兵銃剣主義を練磨し、限界まで極めた帝国陸軍は快進撃を続けます。
・香港攻略戦では英軍の主陣地戦を奇襲占拠して劇的勝利
・コタバルを奇襲上陸し、大雷雨を衝いた夜襲を敢行し、制圧
・518名でやみくもに突進し、6000名守備の英軍堅陣を一日で撃破

など大東亜戦争緒戦において怒涛の勢いでした。
重砲などの火力にほとんど頼らずに白兵銃剣主義を極めることで、満州・中国・香港・シンガポールへ続く快進撃に成功した事実から、陸軍の戦略思想がますます強化されたのは、むしろ当然だといえるでしょう。

一方、日本海軍は一年半にも及ぶ猛訓練の成果で、米軍艦のレーダーで動きを察知されていた上で奇襲を受けながら、猛訓練の成果により科学装備上の不利や奇襲の効果を撥ね退けてしまった。
しかし、この快進撃は長くは続きませんでした。

■日本軍、ついにプロセス改善の限界にぶち当たる

日本軍がプロセス改善の限界点にぶち当たる日がついに訪れます
ガダルカナル島では、米海兵隊が火砲重装備で待ち構え、島内に集音マイクを据え付けていたことで、日本軍の動きが全て筒抜けでした。(日本語に堪能な語学将校までいた)。
インパール作戦では英軍が「円筒陣地」を構築し、上空から物資補給をするという新しい対策で、日本軍の夜襲と斬りこみは完全に封殺されました。
以前の戦闘では連合軍側の陣地を包囲すれば、補給が途絶えて敵が降伏したのですが、空中からの補給が継続することで、銃砲は大量に降ってくる上に、日本側の補給はほとんどが期待できないという何十もの苦痛になり、インパール作戦は失敗。餓死者が続出した「白骨街道」の撤退が始まります。

緒戦で華々しい戦果を収めた白兵銃剣主義は、
ついにプロセス改善の限界点にぶち当たってしまったのです

「プロセス改善」はスタートラインとなる思想・手法を同じままに、過程を最大限改良することで、
結果を良いものにしていく作業です。
ただ、プロセス改善での成功体験は、
努力至上主義や精神論と大変結び付きやすい性質を持っています


ガダルカナル作戦でも、インパール作戦でも、現地日本軍ほど死力を尽くした部隊はおそらくいないでしょう。彼らは決死の覚悟で戦い、事実非常に多くの日本兵が戦死しました。
それでも敵陣を突破することはできなかったのです。

「現場の努力が足りない」という安易な結論は、
直面する問題の全体像を上級指揮官が正しく把握していないことに本当の原因があるのではないでしょうか。

■「ダブル・ループ学習」で問題解決にあたる
「シングル・ループ学習」は、目標や問題の基本構造が、自らの想定とは違っている、という疑問を持たない学習スタイルです。
「どのように戦力をさらに充実させるか」が戦果を上げる唯一の対策と考えて、改善手法を検討する形式です。
「ダブル・ループ学習」とは、「想定した目標と問題自体が違っている」のではないか、
という疑問・検討を含めた学習スタイルを指します。
目標や問題の基本構造そのものを再定義し変革するというスタイルが、
ダブル・ループ学習といっていいでしょう。


ただし、このダブル・ループ学習の実行には、現地第一線の部隊が直面している問題を、組織の上層部や対策決定権者が正確に理解することが前提として必要です。

組織学習における個々人からのフィードバックを、効果的に組織全体に反映させる仕組みがなければ、そもそもダブル・ループ学習は実現できないのです。
■まとめ
・ダブルループ学習で疑問符をフィードバックする仕組みを持つ
・「部下が努力しなからダメだ!」と叱る前に、問題の全体像をリーダーや組織が正確に理解しているか、再確認が必要である。

--------------------------------------------------
「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
[単行本(ソフトカバー)] ダイヤモンド社
鈴木 博毅 (著)

内容紹介
★累計52万部の組織論の名著を23のポイントからダイジェストで読む!
★『失敗の本質』の著者・野中郁次郎氏推薦!
「本書は日本の組織的問題を読み解く最適な入門書である」

■なぜ日本は同じ過ちを繰り返すのか?

今、ロングセラーの古典『失敗の本質』が再び脚光を浴びています。
震災や原発事故への国の不十分な対応、リスク管理、情報の隠蔽……。

また、長年日本を牽引してきたソニーをはじめとする製造業の混迷、
国際競争の中で次々と日本企業が敗れていく現実を前に、
『失敗の本質』が明らかにした、日本的組織の特性に再度注目が集まっています

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日本軍がプロセス改善の限界点にぶち当たる日がついに訪れます

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07:プロセス改善だけでは、問題を解決できなくなる
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プロセス=「過程、経過」と考えると、
過程を洗練させる「プロセス改善」とは
スタートラインとなる「思想・手法」を同じままに、
その過程を最大限改良することで、
結果をより良いものにしていく作業だと考えられます。
帝国陸軍は、戦闘の基本理想として白兵銃剣主義を持っていました。
その思想の起点を同じままに、
「過程、経過」を極度に練磨させるプロセス改善で白兵銃剣主義が達成できる極限を求めた


■白兵銃剣主義の怒涛の戦果
白兵銃剣主義を練磨し、限界まで極めた帝国陸軍は快進撃を続けます。
・香港攻略戦では英軍の主陣地戦を奇襲占拠して劇的勝利
・コタバルを奇襲上陸し、大雷雨を衝いた夜襲を敢行し、制圧
・518名でやみくもに突進し、6000名守備の英軍堅陣を一日で撃破

など大東亜戦争緒戦において怒涛の勢いでした。
重砲などの火力にほとんど頼らずに白兵銃剣主義を極めることで、満州・中国・香港・シンガポールへ続く快進撃に成功した事実から、陸軍の戦略思想がますます強化されたのは、むしろ当然だといえるでしょう。

一方、日本海軍は一年半にも及ぶ猛訓練の成果で、米軍艦のレーダーで動きを察知されていた上で奇襲を受けながら、猛訓練の成果により科学装備上の不利や奇襲の効果を撥ね退けてしまった。
しかし、この快進撃は長くは続きませんでした。

■日本軍、ついにプロセス改善の限界にぶち当たる

日本軍がプロセス改善の限界点にぶち当たる日がついに訪れます
ガダルカナル島では、米海兵隊が火砲重装備で待ち構え、島内に集音マイクを据え付けていたことで、日本軍の動きが全て筒抜けでした。(日本語に堪能な語学将校までいた)。
インパール作戦では英軍が「円筒陣地」を構築し、上空から物資補給をするという新しい対策で、日本軍の夜襲と斬りこみは完全に封殺されました。
以前の戦闘では連合軍側の陣地を包囲すれば、補給が途絶えて敵が降伏したのですが、空中からの補給が継続することで、銃砲は大量に降ってくる上に、日本側の補給はほとんどが期待できないという何十もの苦痛になり、インパール作戦は失敗。餓死者が続出した「白骨街道」の撤退が始まります。

緒戦で華々しい戦果を収めた白兵銃剣主義は、
ついにプロセス改善の限界点にぶち当たってしまったのです

「プロセス改善」はスタートラインとなる思想・手法を同じままに、過程を最大限改良することで、
結果を良いものにしていく作業です。
ただ、プロセス改善での成功体験は、
努力至上主義や精神論と大変結び付きやすい性質を持っています


ガダルカナル作戦でも、インパール作戦でも、現地日本軍ほど死力を尽くした部隊はおそらくいないでしょう。彼らは決死の覚悟で戦い、事実非常に多くの日本兵が戦死しました。
それでも敵陣を突破することはできなかったのです。

「現場の努力が足りない」という安易な結論は、
直面する問題の全体像を上級指揮官が正しく把握していないことに本当の原因があるのではないでしょうか。

■「ダブル・ループ学習」で問題解決にあたる
「シングル・ループ学習」は、目標や問題の基本構造が、自らの想定とは違っている、という疑問を持たない学習スタイルです。
「どのように戦力をさらに充実させるか」が戦果を上げる唯一の対策と考えて、改善手法を検討する形式です。
「ダブル・ループ学習」とは、「想定した目標と問題自体が違っている」のではないか、
という疑問・検討を含めた学習スタイルを指します。
目標や問題の基本構造そのものを再定義し変革するというスタイルが、
ダブル・ループ学習といっていいでしょう。


ただし、このダブル・ループ学習の実行には、現地第一線の部隊が直面している問題を、組織の上層部や対策決定権者が正確に理解することが前提として必要です。

組織学習における個々人からのフィードバックを、効果的に組織全体に反映させる仕組みがなければ、そもそもダブル・ループ学習は実現できないのです。
■まとめ
・ダブルループ学習で疑問符をフィードバックする仕組みを持つ
・「部下が努力しなからダメだ!」と叱る前に、問題の全体像をリーダーや組織が正確に理解しているか、再確認が必要である。

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「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
[単行本(ソフトカバー)] ダイヤモンド社
鈴木 博毅 (著)

内容紹介
★累計52万部の組織論の名著を23のポイントからダイジェストで読む!
★『失敗の本質』の著者・野中郁次郎氏推薦!
「本書は日本の組織的問題を読み解く最適な入門書である」

■なぜ日本は同じ過ちを繰り返すのか?

今、ロングセラーの古典『失敗の本質』が再び脚光を浴びています。
震災や原発事故への国の不十分な対応、リスク管理、情報の隠蔽……。

また、長年日本を牽引してきたソニーをはじめとする製造業の混迷、
国際競争の中で次々と日本企業が敗れていく現実を前に、
『失敗の本質』が明らかにした、日本的組織の特性に再度注目が集まっています

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既存の技術を大きく変化させて、それまでの勝者を敗者に追い込む

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06:達人も創造的破壊には敗れる
--------------------------------------------------
創造的破壊を生み出す三つの要素

■(1)人による創造的破壊
「人と組織」の極めて柔軟な活用による自己革新
「米軍重要な戦略発想の核心を、ダイナミックな指揮官・参謀の人事により実行した」
▼軍事作戦
硬直的な人事体制を排除し、戦果に直結する優秀な人材をダイナミックに抜擢することで最大の戦果を生み出しました。
▼兵器開発
「人による創造的破壊」の促進に成功します。
レーダーやVT信管などの革新的技術は、いずれも民間研究所と米軍の高度なコラボレーションから生まれています。米軍は技術研究者の自主性・独立性を強く尊重することで、彼らの才能を最大限発揮させたのです。
当時のアメリカ議会は、レーダー開発に5億ドルの予算を出し、使途計画については専門家である科学者に委ねました。
民間の科学者チームは戦場に頻繁に赴き、時に陸・海軍の米軍将校と大喧嘩をしてまで性能を追求しました。自由と柔軟性を最大限発揮できる環境で、戦局を決定する最新兵器が次々生まれたのです。
一方の日本軍は、権威によって現場や優れた技術者を抑圧し、トップの考えたことが正しいという主張を繰り返して自由を認めませんでした。

■(2)技術による創造的破壊
新技術の開発による自己革新
「戦闘機や長距離戦略爆撃機が、次々と連続的に開発された。これら一連の技術革新が米軍の大艦巨砲主義から航空主兵への転換を可能にする基盤となった」

防弾装備のないゼロ戦が、当初その軽量さから優れた空戦性能を発揮して、米軍の戦闘機と互角以上の戦いを展開した。アメリカの戦闘機を製造する会社が高馬力のエンジンの開発に成功したことで、空の戦いの状況は大きく変化します。
米軍の戦闘機は、新エンジンによってゼロ戦以上の速度を出せる上に、防弾性能により簡単には撃墜されない存在になることができたのです。
注目すべき点は、新エンジンを完成させたこと自体で勝敗の結果が変わったのではなく、新エンジンが飛行速度を保ちながら「重装備・高い防弾性」を可能にしたことで、空戦の勝敗を決定する要因(指標)が変わり、ゼロ戦が敗れた点です。
単位新しい技術ではなく、“戦局を変える新技術”がカギだったのです。

日本軍は戦局を変える新技術を継続的に開発することができず、ゼロ戦が劣勢になったのちも、軽量であることにこだわりました。その上、「精神主義」「過去に勝った技術の過信」など、技術への視点も転換できずに敗戦を迎えます。

■(3)運用方法による創造的破壊
技術だけではなく「技術の運用」による自己革新
既存の技術を「運用する方法」を大きく変化させて、それまでの勝者を敗者に追い込む。

アメリカ海軍のジョン・S・サッチ少佐が開発した「サッチ・ウィーブ」です。当初ゼロ戦に苦戦したF4Fが効果的に戦うために編み出された、二機一編隊での飛行法ですが「敵に背後を取られても、回避できる」ため、一機が日本のゼロ戦にあえて囮となって背後をとらせ、後方支援機が日本機を撃墜するなどの使い方もされました。サッチ・ウィーブは「技術的な革新」ではなく、「技術の運用方法」の革新で米軍がゼロ戦に勝った事例です。米軍がこの戦法で、撃墜比率を劇的に改善したことは、技術で勝っている状態でも「運用」で負ける日本人の姿を浮き彫りにしています。無数のゼロ戦を撃墜されながら、日本側は終戦までこの運用法の存在を見抜けませんでした。
日本企業の高い技術による製品が、米国企業の戦略的な知財マネジメントによって、「戦いの仕組みを変えられて負ける」現状のその一つといえるでしょう。

相手が積み重ねた努力を無効にする仕組み
米軍は達人を不要にする「システム思考」によって戦闘方法を転換させましたが、具体的には、相手が積み重ねた努力と技術を無効にするのを理想としています。同じルールではなくルール自体を変えてしまえば、圧倒的に有利な状況を作り出せるからです。

「旧来優れた達人が頼っていた要素」を凌駕するために、ルールを変えてしまう戦略行動は、現代ビジネスシーンでも繰り返し行われ、現在の世界市場で日本企業の栄枯盛衰を左右する重大な要因となっているのです。

■まとめ
既存の枠組みを超えて「達人の努力を無効にする」革新型の組織は、「人」「技術」「技術の運用」の三つの創造的破壊により、ゲームのルールを根底から変えてしまう

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「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
[単行本(ソフトカバー)] ダイヤモンド社
鈴木 博毅 (著)

内容紹介
★累計52万部の組織論の名著を23のポイントからダイジェストで読む!
★『失敗の本質』の著者・野中郁次郎氏推薦!
「本書は日本の組織的問題を読み解く最適な入門書である」

■なぜ日本は同じ過ちを繰り返すのか?

今、ロングセラーの古典『失敗の本質』が再び脚光を浴びています。
震災や原発事故への国の不十分な対応、リスク管理、情報の隠蔽……。

また、長年日本を牽引してきたソニーをはじめとする製造業の混迷、
国際競争の中で次々と日本企業が敗れていく現実を前に、
『失敗の本質』が明らかにした、日本的組織の特性に再度注目が集まっています

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「達人の努力を無効にする」革新型の組織は、ゲームのルールを根底から変えてしまう

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06:達人も創造的破壊には敗れる
--------------------------------------------------
創造的破壊を生み出す三つの要素

■(1)人による創造的破壊
「人と組織」の極めて柔軟な活用による自己革新
「米軍重要な戦略発想の核心を、ダイナミックな指揮官・参謀の人事により実行した」
▼軍事作戦
硬直的な人事体制を排除し、戦果に直結する優秀な人材をダイナミックに抜擢することで最大の戦果を生み出しました。
▼兵器開発
「人による創造的破壊」の促進に成功します。
レーダーやVT信管などの革新的技術は、いずれも民間研究所と米軍の高度なコラボレーションから生まれています。米軍は技術研究者の自主性・独立性を強く尊重することで、彼らの才能を最大限発揮させたのです。
当時のアメリカ議会は、レーダー開発に5億ドルの予算を出し、使途計画については専門家である科学者に委ねました。
民間の科学者チームは戦場に頻繁に赴き、時に陸・海軍の米軍将校と大喧嘩をしてまで性能を追求しました。自由と柔軟性を最大限発揮できる環境で、戦局を決定する最新兵器が次々生まれたのです。
一方の日本軍は、権威によって現場や優れた技術者を抑圧し、トップの考えたことが正しいという主張を繰り返して自由を認めませんでした。

■(2)技術による創造的破壊
新技術の開発による自己革新
「戦闘機や長距離戦略爆撃機が、次々と連続的に開発された。これら一連の技術革新が米軍の大艦巨砲主義から航空主兵への転換を可能にする基盤となった」

防弾装備のないゼロ戦が、当初その軽量さから優れた空戦性能を発揮して、米軍の戦闘機と互角以上の戦いを展開した。アメリカの戦闘機を製造する会社が高馬力のエンジンの開発に成功したことで、空の戦いの状況は大きく変化します。
米軍の戦闘機は、新エンジンによってゼロ戦以上の速度を出せる上に、防弾性能により簡単には撃墜されない存在になることができたのです。
注目すべき点は、新エンジンを完成させたこと自体で勝敗の結果が変わったのではなく、新エンジンが飛行速度を保ちながら「重装備・高い防弾性」を可能にしたことで、空戦の勝敗を決定する要因(指標)が変わり、ゼロ戦が敗れた点です。
単位新しい技術ではなく、“戦局を変える新技術”がカギだったのです。

日本軍は戦局を変える新技術を継続的に開発することができず、ゼロ戦が劣勢になったのちも、軽量であることにこだわりました。その上、「精神主義」「過去に勝った技術の過信」など、技術への視点も転換できずに敗戦を迎えます。

■(3)運用方法による創造的破壊
技術だけではなく「技術の運用」による自己革新
既存の技術を「運用する方法」を大きく変化させて、それまでの勝者を敗者に追い込む。

アメリカ海軍のジョン・S・サッチ少佐が開発した「サッチ・ウィーブ」です。当初ゼロ戦に苦戦したF4Fが効果的に戦うために編み出された、二機一編隊での飛行法ですが「敵に背後を取られても、回避できる」ため、一機が日本のゼロ戦にあえて囮となって背後をとらせ、後方支援機が日本機を撃墜するなどの使い方もされました。サッチ・ウィーブは「技術的な革新」ではなく、「技術の運用方法」の革新で米軍がゼロ戦に勝った事例です。米軍がこの戦法で、撃墜比率を劇的に改善したことは、技術で勝っている状態でも「運用」で負ける日本人の姿を浮き彫りにしています。無数のゼロ戦を撃墜されながら、日本側は終戦までこの運用法の存在を見抜けませんでした。
日本企業の高い技術による製品が、米国企業の戦略的な知財マネジメントによって、「戦いの仕組みを変えられて負ける」現状のその一つといえるでしょう。

相手が積み重ねた努力を無効にする仕組み
米軍は達人を不要にする「システム思考」によって戦闘方法を転換させましたが、具体的には、相手が積み重ねた努力と技術を無効にするのを理想としています。同じルールではなくルール自体を変えてしまえば、圧倒的に有利な状況を作り出せるからです。

「旧来優れた達人が頼っていた要素」を凌駕するために、ルールを変えてしまう戦略行動は、現代ビジネスシーンでも繰り返し行われ、現在の世界市場で日本企業の栄枯盛衰を左右する重大な要因となっているのです。

■まとめ
既存の枠組みを超えて「達人の努力を無効にする」革新型の組織は、「人」「技術」「技術の運用」の三つの創造的破壊により、ゲームのルールを根底から変えてしまう

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「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
[単行本(ソフトカバー)] ダイヤモンド社
鈴木 博毅 (著)

内容紹介
★累計52万部の組織論の名著を23のポイントからダイジェストで読む!
★『失敗の本質』の著者・野中郁次郎氏推薦!
「本書は日本の組織的問題を読み解く最適な入門書である」

■なぜ日本は同じ過ちを繰り返すのか?

今、ロングセラーの古典『失敗の本質』が再び脚光を浴びています。
震災や原発事故への国の不十分な対応、リスク管理、情報の隠蔽……。

また、長年日本を牽引してきたソニーをはじめとする製造業の混迷、
国際競争の中で次々と日本企業が敗れていく現実を前に、
『失敗の本質』が明らかにした、日本的組織の特性に再度注目が集まっています

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創造的破壊を生み出す「人と組織」「技術」「運用方法」

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06:達人も創造的破壊には敗れる
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創造的破壊を生み出す三つの要素

■(1)人による創造的破壊
「人と組織」の極めて柔軟な活用による自己革新
「米軍重要な戦略発想の核心を、ダイナミックな指揮官・参謀の人事により実行した」
▼軍事作戦
硬直的な人事体制を排除し、戦果に直結する優秀な人材をダイナミックに抜擢することで最大の戦果を生み出しました。
▼兵器開発
「人による創造的破壊」の促進に成功します。
レーダーやVT信管などの革新的技術は、いずれも民間研究所と米軍の高度なコラボレーションから生まれています。米軍は技術研究者の自主性・独立性を強く尊重することで、彼らの才能を最大限発揮させたのです。
当時のアメリカ議会は、レーダー開発に5億ドルの予算を出し、使途計画については専門家である科学者に委ねました。
民間の科学者チームは戦場に頻繁に赴き、時に陸・海軍の米軍将校と大喧嘩をしてまで性能を追求しました。自由と柔軟性を最大限発揮できる環境で、戦局を決定する最新兵器が次々生まれたのです。
一方の日本軍は、権威によって現場や優れた技術者を抑圧し、トップの考えたことが正しいという主張を繰り返して自由を認めませんでした。

■(2)技術による創造的破壊
新技術の開発による自己革新
「戦闘機や長距離戦略爆撃機が、次々と連続的に開発された。これら一連の技術革新が米軍の大艦巨砲主義から航空主兵への転換を可能にする基盤となった」

防弾装備のないゼロ戦が、当初その軽量さから優れた空戦性能を発揮して、米軍の戦闘機と互角以上の戦いを展開した。アメリカの戦闘機を製造する会社が高馬力のエンジンの開発に成功したことで、空の戦いの状況は大きく変化します。
米軍の戦闘機は、新エンジンによってゼロ戦以上の速度を出せる上に、防弾性能により簡単には撃墜されない存在になることができたのです。
注目すべき点は、新エンジンを完成させたこと自体で勝敗の結果が変わったのではなく、新エンジンが飛行速度を保ちながら「重装備・高い防弾性」を可能にしたことで、空戦の勝敗を決定する要因(指標)が変わり、ゼロ戦が敗れた点です。
単位新しい技術ではなく、“戦局を変える新技術”がカギだったのです。

日本軍は戦局を変える新技術を継続的に開発することができず、ゼロ戦が劣勢になったのちも、軽量であることにこだわりました。その上、「精神主義」「過去に勝った技術の過信」など、技術への視点も転換できずに敗戦を迎えます。

■(3)運用方法による創造的破壊
技術だけではなく「技術の運用」による自己革新
既存の技術を「運用する方法」を大きく変化させて、それまでの勝者を敗者に追い込む。

アメリカ海軍のジョン・S・サッチ少佐が開発した「サッチ・ウィーブ」です。当初ゼロ戦に苦戦したF4Fが効果的に戦うために編み出された、二機一編隊での飛行法ですが「敵に背後を取られても、回避できる」ため、一機が日本のゼロ戦にあえて囮となって背後をとらせ、後方支援機が日本機を撃墜するなどの使い方もされました。サッチ・ウィーブは「技術的な革新」ではなく、「技術の運用方法」の革新で米軍がゼロ戦に勝った事例です。米軍がこの戦法で、撃墜比率を劇的に改善したことは、技術で勝っている状態でも「運用」で負ける日本人の姿を浮き彫りにしています。無数のゼロ戦を撃墜されながら、日本側は終戦までこの運用法の存在を見抜けませんでした。
日本企業の高い技術による製品が、米国企業の戦略的な知財マネジメントによって、「戦いの仕組みを変えられて負ける」現状のその一つといえるでしょう。

相手が積み重ねた努力を無効にする仕組み
米軍は達人を不要にする「システム思考」によって戦闘方法を転換させましたが、具体的には、相手が積み重ねた努力と技術を無効にするのを理想としています。同じルールではなくルール自体を変えてしまえば、圧倒的に有利な状況を作り出せるからです。

「旧来優れた達人が頼っていた要素」を凌駕するために、ルールを変えてしまう戦略行動は、現代ビジネスシーンでも繰り返し行われ、現在の世界市場で日本企業の栄枯盛衰を左右する重大な要因となっているのです。

■まとめ
・既存の枠組みを超えて「達人の努力を無効にする」革新型の組織は、「人」「技術」「技術の運用」の三つの創造的破壊により、ゲームのルールを根底から変えてしまう

--------------------------------------------------
「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
[単行本(ソフトカバー)] ダイヤモンド社
鈴木 博毅 (著)

内容紹介
★累計52万部の組織論の名著を23のポイントからダイジェストで読む!
★『失敗の本質』の著者・野中郁次郎氏推薦!
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■なぜ日本は同じ過ちを繰り返すのか?

今、ロングセラーの古典『失敗の本質』が再び脚光を浴びています。
震災や原発事故への国の不十分な対応、リスク管理、情報の隠蔽……。

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