みずき〜「草の根通信」の志を継いで〜(資料庫)

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2010年3月5日

内閣総理大臣
  鳩山 由紀夫 様

高校授業料無償化政策から朝鮮学校生徒を除外することに反対する要請書

 拝啓

 時下ますますご清祥の段お慶び申し上げます。

 さて、鳩山政権が「コンクリートから人へ」の政策転換の柱として「子ども手当」支給と並び「高校授業料無償化」等を打ち出され、2010年度予算案にその経費を盛り込まれたことを私たちは心より歓迎いたします。この施策が1日も早く執行されることを強く願っています。

 しかし、今、この高校授業料無償化政策を実行するに当たり、朝鮮学校(高校)生徒を除外するという意見が閣内から出ていることに私たちは驚くとともに、深い憂慮の念を表明せざるを得ません。

 中井洽国家公安委員長・拉致問題担当相は、「(生徒が)日本が制裁している国の国民」であることを「理由」に、朝鮮学校の生徒を除外すべき、と述べたと言われています。

 鳩山首相は、「国交のない国だから、どういう教科内容かも調べようがない。同じように扱うのが望ましいかどうか議論しなければならない」と述べ、中井拉致問題担当相の意見に「理解」を示したと報道されています。

 私たちは、これらの意見に正当性を見出すことができません。事実に反し、国際人権法に反し、憲法に反しています。

 朝鮮民主主義人民共和国政府が拉致を行なったことは事実であり、金正日国防委員長も認めました。しかし、それは朝鮮学校に学ぶ生徒に何の関係もありません。金正日政権が勝手に行なったことに朝鮮学校の生徒が「責任」を負うべき理由も根拠もありません。しかも、朝鮮学校に学ぶ生徒は朝鮮籍の子どもばかりではありません。韓国籍、日本国籍の子どももいます。中井氏はこの程度の事実もご存じなく発言されているのではないでしょうか。

 朝鮮学校の「教科内容」は調べればすぐに分かることです。秘密にしているわけでもなく、隠してもいません。教科内容は日本の高校と基本的に同じです。それ故に、日本の多くの国公私立大学が朝鮮学校生徒に受験資格を認めているのです。多くの自治体が助成金を交付しているのです。鳩山首相はこのような事実を知って発言されているのでしょうか。

 また、中井拉致問題担当相、鳩山首相の発言は国際人権法に違反するものであると言わなければなりません。日本の国公立、私立、そして様ざまな外国人学校を含む各種学校授業料が全て無償化される中で、朝鮮学校のみを排除することは人種差別そのものであり、教育の機会均等を否定するものだからです。
現に、国連人種差別撤廃委員会は9年ぶりに行なっている対日審査会合で、この問題を取り上げ、「なぜ北朝鮮がやっていることで、子どもたちが責められるのか」と疑問を投げかけました。人種差別撤廃条約第2条、第5条e項()(注1)に違反すると見なされたのです。

 また、このような差別は、教育権を含む社会権を保障、実現していく上での無差別原則を規定した国連社会権規約第2条第2項、第13条2項c(注2)に違反します。当然、子どもの権利条約が規定する高等教育に関する均等な利用機会保障義務、第28条1(c)(注3)にも違反します。

 何よりも法の下の平等(第14条)、教育の機会均等(第26条)を謳った日本国憲法の規定に反することは明白です。

 高校授業料無償化という政策を実行していく時に、このような人権法・憲法に反し、「友愛」精神に悖る行為を伴うようなことがあってはなりません。

 また、今年2010年は、「韓国併合」100年に当たる年です。鳩山首相は、昨年11月にシンガポールで開催されたAPECで、「この地域では、ほかならぬ日本が、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた後、60年以上がたった今もなお、真の和解が達成されたとは必ずしも考えられていない」と演説されました。鳩山政権が打ち出した「東アジア共同体」は、このような歴史認識に基づいて構想され、実現を目指しているものと推測されます。そうであるならば、なおのこと高校授業料無償化政策から朝鮮学校の生徒を除外するなどということがあってはならないと考えます。

 「命を大切にする」政治を目指す鳩山政権、「東アジア共同体」構想を推進する鳩山政権が、高校授業料無償化を実現するに当たり、朝鮮学校の生徒を含むこの国の高校に学ぶ全ての生徒を対象として実施されるよう強く願い、要請いたします。

敬具

「韓国併合」100年 日韓市民ネットワーク・関東
連絡先:港区六本木3−5−11 松本記念会館内         
       中山法律事務所気付
電 話:070−5015−1250


(注1)人種差別撤廃条約
第2条 1 締約国は、人種差別を非難し、また、あらゆる形態の人種差別を撤廃する政策及びあらゆる人種間の理解を促進する政策をすべての適当な方法により遅滞なくとることを約束する。
第5条  第2条に定める基本的義務に従い、締約国は、特に次の権利の享有に当たり、あらゆる形態の人種差別を禁止し及び撤廃すること並びに人種、皮膚の色又は民族的若しくは種族的出身による差別なしに、すべての者が法律の前に平等であるという権利を保障することを約束する。
(e)経済的、社会的及び文化的権利、特に、(v)教育及び訓練についての権利

(注2)国連社会権規約
第二条  2 この規約の締約国は、この規約に規定する権利が人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位によるいかなる差別もなしに行使されることを保障することを約束する。
第十三条 2 この規約の締約国は、1の権利の完全な実現を達成するため、次のことを認める。
(c) 高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。

(注3)子どもの権利条約
第28条  1.締約国は、教育についての児童の権利を認めるものとし、この権利を漸進的にかつ機会の平等を基礎として達成するため、特に、
c.すべての適当な方法により、能力に応じ、すべての者に対して高等教育を利用する機会が与えられるものとする

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