みずき〜「草の根通信」の志を継いで〜(資料庫)

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上記の金さんの論攷の指摘には肯えるところも少なくありません。が、金さんが左記の指摘をする問題提起の作法、あるいは論文の書き方の作法といってよいものに私は少なくない違和感を持ちます。

「日本人リベラル・左派」の朝鮮学校排除問題についての論の欠落点を指摘する上記の金さんの論攷は400字詰め原稿用紙にしておよそ16枚分ほどになり、ブログ記事としてはいささか長文です。しかし、長文であること自体が別に問題なのではありません。冗長ということでもない限り、自身の論の展開に必要ということであればどんなに長くなってもよいわけです。問題は、「日本人リベラル・左派」の論とはこういうものではないか、と自らが仮定したいわば架空の論でしかない論を「こうした『戦略』は、何重にも間違っている」などとして、その長文の大半、というよりほとんど全文を費やして反論、批判する金さんの執筆姿勢です。

金光翔さんは、「日本人リベラル・左派」が見落としている/欠落させている論点は「在日朝鮮人の歴史的経緯に基づいた権利」という視点であるとした上で、その「日本人リベラル・左派」の見落とし、あるいは欠落させている視点が仮に「意図的(「戦略」的)なものであるならば、それは極めて問題である」、として持論を展開していきます。金さんはその論攷の最後で「歴史的経緯に触れずに外国人の一般的権利の問題として捉える反対論が、意図的な(「戦略」的な)ものではなかったことを願う」という但し書きを挿入してはいます。が、「日本人リベラル・左派」の視点には欠落がある、「意図的(「戦略」的)なものであるならば、それは極めて問題である」、という仮定の論を前提にした上で、その論をほとんど全文に渡って批判していく、という論文の書き方の作法は、マッチポンプ的な論文作成の手法として強く批判されなければならない姿勢だろう、と私は思います。

そして、私の見るところ、「在日朝鮮人の歴史的経緯に基づいた権利」の問題についての視点の欠落が、金さんが「仮定」として指摘するように「日本人リベラル・左派」の側の「有力な反対論のほとんど」が「意図的(「戦略」的)なもの」である、ともいえないように思います。また、金さんの左記の認識は事実としても誤っているようにも思います。

たしかに日弁連、また単位弁護士会や地方自治体議会などの声明や要請書には散見した限りにおいて「在日朝鮮人の歴史的経緯に基づいた権利」の問題は触れられていないようです。しかし、左記は、議会や弁護士会という組織としての声明の性質によるものというべきでしょう。私のブログにまとめている「朝鮮学校排除問題」のリストの声明や見解を一覧しても「在日朝鮮人の歴史的経緯に基づいた権利」の問題について言及しているものは少なくありません。たとえば、

■「資料:朝鮮学校無償化除外問題(2) 師岡康子弁護士インタビュー」
「彼女(筆者中:師岡弁護士)は《在日朝鮮人に対する日本政府の差別及び日本社会の差別的態度を見ると、北朝鮮に対する外交問題という「仮面」をかぶっているが、本質的には植民地時代から続いている植民地主義に根を置いた民族差別だ》と言った」

■「資料:朝鮮学校無償化除外問題(10) 「子どもはお国のためにあるんじゃない!」市民連絡会声明」
「言うまでもないことですが、戦後日本政府は朝鮮半島出身者を「朝鮮籍」としました。祖国が分断された後も、「どちらかを選ぶことはできない」と、韓国籍を取得せず、朝鮮籍のままでいる方も多くいます」

■「資料:朝鮮学校無償化除外問題(12) 外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク要請書」
「朝鮮学校は、戦後直後に、日本の植民地支配下で民族の言葉を奪われた在日コリアンが子どもたちにその言葉を伝えるべく、極貧の生活の中から自力で立ち上げたものです」

■「資料:朝鮮学校無償化除外問題(14) 「韓国併合」100年 日韓市民ネットワーク・関東要請書」
「また、今年2010年は、「韓国併合」100年に当たる年です。鳩山首相は、昨年11月にシンガポールで開催されたAPECで、「この地域では、ほかならぬ日本が、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた後、60年以上がたった今もなお、真の和解が達成されたとは必ずしも考えられていない」と演説されました。(略)そうであるならば、なおのこと高校授業料無償化政策から朝鮮学校の生徒を除外するなどということがあってはならないと考えます」

■資料:朝鮮学校無償化除外問題(29) 文科省申入れ報告と要請書 「韓国併合」100年−2010年運動(2010年3月20日)
「「韓国併合」から100年を迎える時点に、日本政府は朝鮮半島との不正常な関係を正し、過去を清算して和解・平和・友好関係を築くよう積極的に取り組むべきでしょう。それを真に望む朝鮮半島の人々は、今回の高校無償化法案をその試金石として注視しています」

など。

各声明や見解におけるこの問題についての指摘は上記に見たとおり短いものですが、これもやはり声明や要請書という文書の性質によるものというべきだろうと思います。金さんが「日本の任意の反対声明を、韓国の『真実と未来,国恥100年事業共同推進委員会声明』と比べてみれば」、日本の反対声明が在日朝鮮人社会の形成の歴史的経緯・必然性に触れていないことは「明らかであろう」という韓国の声明の当該部分も「日本が朝鮮を強制併合して100年を迎える時点に、日本政府はアジアでの過去清算に先立ち、内部的な過去清算に積極的に取り組むべきだろう。植民主義清算を真に望む世界の人々は、今回の高校授業料無償化政策をその試金石として注視している」という短いもので、日本の声明や見解が特に短いというわけでもないように私は思います。やはり声明や要請書という文書の性質がそうさせるのだろう、と私は思います。

上記の私の金論攷に対するコメント、あるいは評価を述べた上で、金光翔さんの同論攷を私のブログの「朝鮮学校無償化除外問題」リストの中につけ加えさせていただきたいと思います。もちろん、金さんの指摘には仮定上の問題への作為的反論という私として問題としたいところを除いて、傾聴に値する指摘も少なくないからです。

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