無題
3
髪のさきからは電気がほとばしり、その少女の目は猛々しく一点を一心不乱に見つめていた。心配した祖母が何度か様子を見に来たが、止めることもできずただおろおろとするばかりだった。まわりの空気は恐ろしいほどぴんと張り詰めていた。長い長い夢から醒めて、スーツケース一つでバタンとドアを開けて帰ってきたとおもったら、いきなり長い間戸を開けたこともなかった忘れられていた屋根裏に飛び込んだのだった。放り投げられたスーツケースには古びた汚らしい本ばかりが詰め込まれていた。指の先から赤い血をしたたらせて、少女は狂ったように何かぶつぶつとつぶやいていた。「魔法、魔法が復活したのだ・・・。」その声は以前の愛らしい小鳥のさえずりではなく、老婆のしわがれたものに変っていた。
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