京都を感じる日々★古今往来Part1・・・京都非観光名所案内

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名将の定義についてその他

前回まで、数回オリエント世界の征服者達を取り上げましたが、
彼らを優れた軍事指導者として評価するのは、当時のオリエント諸国家間の抗争で、軍事大国の王として征服戦争を行い勝利を重ねた実績によります。
しかし戦術や戦略を分析する資料は少ないので、軍事研究の対象にはあまり登場しませんね。

話は変わりますが、ここで改めて名将の定義を考えて見たいと思います。

日本語では優れた軍事指導者に対して「名将」という言い方が一般的に多く使われるのですが、英語の「グレート・コマンダー」「グレート・ジェネラル」「グレート・キャプテン」「グレート・ミリタリー・リーダー」等の言い方の方がしっくりくる感じです。
「名将」という言い方では、優れた軍人政治家や大征服者、或いは国民的英雄といった、狭義の意味での「戦術や戦略レベル」以外の面でも顕著な名声を得ている人物の実績が矮小になってしまう感じがします。
例えば、名将アレクサンドロス大王、名将ジンギスカンでは変な感じですね。彼らは、狭義の意味での「戦術や戦略レベル」以上の大英雄だからです。というわけで、名将100選といっても、様々な「名将」が混ざっています。


一般的に西洋の戦術や戦略論ではどのような人物が登場するでしょうか?

クラウゼヴィッツやリデル・ハートなど日本語で読める戦術関係の書物では御馴染みの人物たちで、まず一番に名前が浮かぶのは、

古代では、エパミノンダス、フィリポス2世、アレクサンドロス、ハンニバル、スキピオ、カエサル、ベリサリウス、ナルセス、中世ではジンギスカン、スブタイ。近世以降では、ヴァレンシュタイン、グスタフ・アドルフ、クロムウェル、テュレンヌ、コンデ、モンテクッコリ、リュクサンブール、オイゲン、マールボロ、ヴィラール、カルル12世、サックス、フリードリヒ2世、ウルフ、ナポレオン、ウエリントン、ネルソン、カール大公、ブリッヘル、スヴォロフ、ムーア、リー、ジャクソン、グラント、シャーマン、モルトケ・・・・
といった人物です。西洋軍事の好きな方ならまず思い出す人物でしょう。
軍事的研究の対象とされてきた所謂、一流の名将かもしれません。


ただ名将100選となると数も足りませんし、時代や国家間のバランスも必要です。
やはりある種の定義も必要のようです。

○まず、世界史上の大征服者(例えば、キュロス2世、アレクサンドロス、ジンギスカン、ティムール、ナポレオン等)

○歴史を変える重要な戦で勝利(アレクサンドロス、カエサル、ウイリアム1世、ナポレオン、ウエリントン等。ただしこの定義に当てはまる名将は以外に少ないです。アメリカ史上最も重要なサラトガの戦いの勝者ゲーツ将軍のように、その後敗北し名声を失うなど出来の悪い人物が歴史的勝利を挙げる場合も多いですね。)

○新戦術など後世のモデルとなる戦いを実施(ハンニバル、フリードリヒ2世、ナポレオン、モルトケ等)

○武器の使用方法や戦術、隊形の改良等により軍事の発展に寄与
(エパミノンダス、フィリポス2世、エドワード1世、ゴンザロ・デ・コルドバ、マウリッツ、グスタフ・アドルフ、ヴォーバン、フリードリヒ2世、ナポレオン等)

○自身優れた軍人であり、また戦術に関する傑出した著作を著す(モンテクッコリ、サックス、カール大公等)

まあ細かく分類するのも意味は有りませんが・・

○生涯を通して、多くの敵に対し数多くの戦いで勝利した(スブタイ、テュレンヌ、スヴォロフ等)

○若くして素晴らしい軍事の才能を発揮(アレクサンドロス、スキピオ、コンデ、オイゲン、ナポレオン等)

○独立戦争など、政治的視野を必要とされる中で戦争全体を指導し成功(ワシントン、ボリーバル等)

○強大な敵との戦いで、祖国等を守り国民的英雄とされる(ジャンヌ・ダルク、ヤン・ジシュカ、フニャディ・ヤーノシュ、スカンデルベグ等)

○同じく十字軍のイスラム対キリスト教などシンボリックな戦争で活躍(サラディン、バイバルス等)

○戦局を見渡す能力・視野の広さ。政治的見地から個々の戦いを一連の戦争全体の中で位置づける能力に秀でる(マールボロ、ナポレオン、グラント、モルトケ・・)

○戦争遂行の決意、攻撃精神に秀でる(アレクサンドロス、カエサル、ナポレオン、ネルソン、スヴォロフ、ブリッヘル、リー、ジャクソン、グラント等)

○常に冷静沈着な名指揮官(マールボロ、ウエリントン等)

○常に敵より少数の兵力で連続した勝利を得る(ベリサリウス、リー等)

世界名将100選となると、その人物や実績の歴史的な重要性、その戦いの世界史上における影響力、武器や戦術の発展に貢献度、そして司令官としての資質という観点も最終的には必要になってくるかもしれません。



では、これらの定義に当てはまる日本の名将は存在するのかについて考えて見たいと思います。
前に世界の戦場のリストを列挙しましたが、日本の有名な戦いはどうだったか確認しておきます。

日本史上の戦いで、海外で紹介されているものを見てみると、オスプレイのキャンペーン
シリ−ズが川中島の戦い、長篠の戦い、関が原の戦いを1冊ごと取り上げてくれています。
しかし、頻度の高いものは、博多湾(文永の役、弘安の役)と、日露戦争の旅順戦、奉天会戦、対馬沖海戦、そして第2次大戦のパール・ハーバーから沖縄に至る主な戦場です。

「The Great Battles of Antiquity : A Strategic and Tactical Guide to Great Battles that Shaped the Development of War 」という古代の戦争に関する本があります。中国、朝鮮半島、日本に関して取り上げている戦争が面白いので紹介します。日本では、一の谷、元寇ですね。


○メギドの戦
○カデシュの戦
○サルゴン2世のウラルトゥ戦争
○ギリシアの戦争(マラトンの戦、レウクトラの戦、カイロネイアの戦)
○中国の戦争(城濮の戦、桂陵の戦、井陘口の戦)
○アレクサンドロス大王の戦争(グラニコス河の戦、イッソスの戦、ガウガメラの戦)
○ハンニバルの戦争(トレビアの戦、トラシメヌス湖畔の戦、カンネーの戦、ザマの戦)
○キュノスケファライの戦
○カエサルの戦争(アレシアの戦、ディラキウムの戦、ファルサロスの戦)
○トイトブルク森の戦
○アドリアノープルの戦
○朝鮮の戦争(薩水の戦)
○ヘースティングスの戦
○モンゴル帝国(サヨー河畔の戦)
○日本の戦争(一の谷の戦、九州博多湾の戦)
○スイスの戦争(モルガルテンの戦、ロウペンの戦、センパハの戦)
○コンスタンチノープル包囲戦


世界の著名な文明史、世界史を見ると、日本の国が世界史上に登場するのは、織田豊臣時代が少し取り上げられ、主に江戸時代からです。
それ以前の歴史は省略されがちで、やはり対外戦争として元寇が取り上げられる割合が多いです。

ということで、世界の歴史家が見るところでは、日本史上最大の歴史の運命を賭けた戦いは元寇のようです。しかし元寇は名将不在の戦いでした。

一般に我々が思い浮かぶ人物は、国内の小規模な戦いの勝利者です。
では本当に世界的な優れた武将はいるのでしょうか。次回に続きます。

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