左團次の目じり―高島屋三代共演『新版色相方』
市川左團次、男女蔵、男寅の祖父親子三代共演の「新版色相方」は、なんとも言えないほのぼのとした舞台だった。 左團次の駕籠かき次郎作実は石川五右衛門、男女蔵の駕籠かき与四郎実は真柴久吉は、さすが親子だけあって、息の合った踊りっぷりだ。特に住吉踊りの所作での呼吸の合い具合は、見ていて気持ちが良かった。 そして、男寅の禿ゆかりは、はたしてこれがあの左團次の孫かと思うほどの可愛らしさ。ただ、声はまだ男の子の声だ。 とにかく、男寅は懸命に踊ろうとしている。当然、出来はまだまだ。だから、なかなか決まらない。だが、それでも懸命に振りを決めようとしている。それがあまりに健気なので、ますます、可愛く感じるのである。 それを横で見ている左團次の目じりは、終始、下がりっぱなし。だから、石川五右衛門にしては、なんとも迫力不足で、大泥棒というより、すっかり一人の好々爺の顔になってしまう。 だが、それは見ていて、かえって好感が持てた。 とにかく、高島屋の今を寿ぐ、そんな、見ているほうも、すっかり好い気分にさせる舞台だった。 (於NHK教育『芸能花舞台』再放送、七月九日所見) |
