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被災地を「壊死」させないために

【震災復興】復興特区という名のショックドクトリン[桜H23/12/16]

http://www.youtube.com/watch?v=a0dAT1Z0joU


 日本は今、世界大恐慌再来の危機や超巨大地震の連発などの国家的危機に直面している。だから、
今求められているのは、「強くしなやかな強靱(きょうじん)な国」をつくりあげる、あらゆる取り組みである。

≪8カ月空費したふるさと再生≫

 とりわけ急務となっているのは「震災復興」である。しかし、恐るべきことに、
最高責任者たる我(わ)が国政府は、被災地を見捨てるかのように振る舞い続けている。

そもそも、本格的復興予算といわれた第3次補正が決定されたのは、8カ月以上も時間が経過した11月だった。
この8カ月間、被災地にはカネさえあればできたことが山ほどあった。それなのに、なすべきことの大半が、
政府の無為によって差し止められてしまい、その結果、数多くの「ふるさと」がさながら壊死(えし)
するかのように、二度と回復できない状況にたたき落とされてしまったのである。

 さらにいえば、第3次補正も十分なものであるという保証などどこにもない。例えば、わずか2兆円の
補正予算が決定された7月段階で野党側が主張していた補正予算は、3次補正の金額をはるかに上回る
17兆円だった。それだけの予算が7月時点で決定されていたなら救えた筈(はず)の「ふるさと」が
数多くあったことは間違いない。

 むろん、こうした批判を向けても、政府は「復興に真剣に取り組んでいます!」と声高に反論するだろう。
しかし、政府当局者たちは被災地に赴いて被災者の眼(まなこ)を見据えたときも、そう勇ましくのたまう
ことができるのだろうか。

≪住民自助への財政出動なし≫

 我々(われわれ)日本人は、あの大戦後の焦土と化した国土にバラックや闇市をつくるところから始めた。
復興において何よりも大切なのは、小ぎれいなアイデアやプランではない。生き残った人々の復興にかける
意志と魂の活力こそが何よりも重要なのだ。政府は、創造的復興なるものや財源論などを論じている暇が
あったら、1日も早く大規模に財政を出動し、被災地住民の復興に向けた意志と活力を徹底的に支援すべき
だったのである。

 さらなる問題は、政府が被災地を「放置」しているばかりか、天災を「利用」しようとしている側面すら
うかがえることである。

 読者の方々は、大災害によって破壊された土地で、大資本家が新しいビジネスを立ち上げるというタイプの
資本主義が近年、世界に広がりだしているという指摘があることを、ご存じであろうか。

 例えば、2004年のスマトラ島沖地震・インド洋大津波の時には、これを好機と捉えた大資本家の手で
被災地に大リゾートが造成された。05年に米南部を襲ったハリケーン・カトリーナの際には、奇貨居くべしと
見た大資本家の圧力を受けて、100校以上もの公立学校が廃校にされる一方で、20校以上もの私立学校が
大資本家たちによって新設されたという。

 これらは全て、経済はできる限り市場に委ねるというミルトン・フリードマン氏ら「新自由主義」の経済
学者たちの理論に基づいており、実際、同氏はカトリーナの時には、前述の「構造改革」を米政府に直言
している。そこには、大資本家たちが天災を商機と捉えて、自らにとって都合の良い学者たちを使いながら、
政府に圧力をかけ、新しい商売を始めるという構図も透けてみえるのである。

≪「災害資本主義」の回避を≫

 そんな観点を世に問うたのが、カナダ人ジャーナリストのナオミ・クライン氏であった。彼女は、
自然災害に便乗する新しいタイプの資本主義という意味で「災害資本主義」という新語を造り、これらの
商売の手法を、「ショック・ドクトリン」と名付けている。

 翻って我が国をみれば、野田佳彦・民主党政権がこの度、「復興特区法」を国会に提出して、成立させている。
これは、「復興のために被災地に特区を」という趣旨であり、内容は要するに、被災地で構造改革、規制緩和を
徹底して推進すると同時に、外資も含めた大資本家からのさまざまな投資を呼び込もうとするものである。

 そもそも、この法律は政府の新成長戦略に基づいてもいて、それは震災前に閣議決定されたものであった。
同法には、政府がもともとやりたかった「特区による構造改革」を、災害復興に乗って進めてしまおうという、
「災害資本主義」の側面もありはしないか。

 であるならば、その果てにあるのは、「ふるさと再生」などではないだろう。その代わりに、
東日本大震災の被災地に、「外資も含めた資本家たちの営利目的のために好きなようにいじくり回された土地」
がつくり上げられてしまうことが、懸念されてくるのだ。

 むろん、読者の中には、それは可能な解釈のひとつに過ぎないとお感じになる方もおられるかもしれない。
しかし、この解釈が当たっていれば、復興特区法と、それに基づいて実施される復興事業が、被災者たちに
大いなる不幸をもたらすことは避け難い。

 そのような危惧が現実にある以上、今、求められるのは、その懸念をひとりでも多くの国民が冷静に
吟味することではないのか。(ふじい さとし)


 国家ビジョン研究会主催シンポジウム
 http://kokka-vision.jp/symposium/20110630.html

『 日本再生の道筋とその財源を探る 〜 増税は復興を阻みデフレを加速する 〜 』

 日時:平成23年6月30日(木)13:00−17:00
 場所:衆議院第一議員会館 大会議室

 演題 『国家存続のための強靭化基本法の策定を』  
 講師 藤井聡氏 (京都大学大学院工学研究科教授) 

藤井聡氏講演 (1/2)『国家存続のための強靭化基本法の策定を』

http://www.youtube.com/watch?v=MT65iOPcD-k

藤井聡氏講演 (2/2)『国家存続のための強靭化基本法の策定を』

http://www.youtube.com/watch?v=es1BVg8yQ3s



 東日本大震災の発生から11日で9カ月、被災地では既に初雪も観測された。こうした中、初の
本格復興予算となる平成23年度第3次補正予算と復興財源確保法が9日閉幕の臨時国会でようやく
成立したが、「雪が降る前に予算を執行したい」という与野党議員の共通した思いはかなわなかった。
見えてくるのは、「仕切り役不在」のまま進む民主党政権の稚拙さだ。

 「震災からの復興が政府・与党の最重要課題。しっかりと頑張ります」

 今月5日、国会内の民主党幹事長室。樽床伸二幹事長代行は、約250項目にわたる復旧・復興事業について
国のさらなる財政支援を求める達増拓也岩手県知事に力強く約束した。ただ、達増氏の顔は晴れない。
復興情報の24時間専門チャンネル構想を熱く説いても、樽床氏は「そうなんだよねえ」と申し訳なさそうに
するばかりだった。

 県の要望項目は震災から9カ月を経ても数多くが放置されたまま。達増氏は
「バッジを着けた国会議員が本当に被災地を思い、国政運営にあたっているのか」と首をかしげた。

 民主党は秋以降、各種団体からの陳情受け付けを幹事長室の「陳情要請対応本部」に一本化した。だが、
一日の陳情が数十件に上ることもあり、さばき切れていない。10月下旬には野田佳彦首相が鳩山由紀夫、
菅直人の両首相経験者らに陳情対応を要請したが実現していない。被災地と国を結ぶパイプは詰まっている。

 □ □ □ 

 民主党の混乱をよそに、各省庁は復旧・復興予算に熱い視線を送る。

 首相は24年度予算で復旧・復興関連に別枠を設け、各省庁の要求に上限を設けない「青天井」とした。
すると要求額は9月末の概算要求締め切り時点で3・5兆円に上り、便乗と言うしかない要求も含まれた。

 例えば、政権交代後に大幅に公共事業費を削られた国土交通省。復旧・復興枠で1・1兆円を要求しているが、
3千億円は被災地と直接関係ない防災対策費だ。東南海地震など大災害の予想地域を中心とした堤防の
かさ上げや道路・鉄道の橋脚強化などだが、従来は国交省予算の枠内で捻出していたものだ。

 残りの8千億円の要求の中にも、被災地を対象としているとはいえ、電気自動車の導入支援など
「復旧・復興枠」らしからぬ事業も含まれる。省内からは「24年度予算に本当に欲しいものを滑り込ませた」
(幹部)との声も漏れる。

 □ □ □ 

 官僚主導の様相を呈してきた24年度予算編成。被災地の政治家はこうした状況に焦燥感を募らせる。

 「岩手にはアワビやウニを採るための小さな漁港が必要だが、国は漁港の集約化を進めようとしている。
遠洋漁業が中心の宮城の気仙沼、福島の小名浜とは違うのに…」

 岩手県沿岸部を地盤とする自民党の鈴木俊一元衆院議員は憤る。
岩手は小沢一郎元民主党代表の地元でもあるが、「裁判で忙しいのか、小沢氏が沿岸部を回った話を
聞いたことがない」(鈴木氏)。被災地では民主党大物議員の存在感も見えない。

 □ □ □ 

 「阪神大震災のときは、政治家も官僚も復旧・復興にスピード感を持って対応する意識が強かった」

 7年1月の阪神大震災で、兵庫県職員として国と折衝した自民党の谷公一衆院議員はこう振り返る。
当時の政府は発生3日後に担当相を任命し、現地対策本部に関係省庁の審議官級を派遣。
発生4カ月後に成立した7年度第1次補正予算で、必要な復旧・復興費のほとんどにめどがついた。

 一方、東日本大震災では担当相の任命は3カ月半後。
復興事業を統括する復興庁に至っては来年3月11日までに設置するという悠長さだ。

 3次補正は成立したが、本格的な執行は雪解け後の来春になるといわれる。
司令塔なき政権の迷走が復興の遅れにつながっている。

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