政治魔術批判論 Critic on Political magi

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アイヒマンのような日本の阿片王たち 〜日中の明日を展望する

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『阿片王』佐野真一(新潮文庫)

 本書の中で主人公里見甫が戦後IPS(国際検察局)の長時間にわたる尋問に対してした潔癖な返答をみて、ジャーナリストたる著者自身は「男らしくて惚れ惚れする」と言う。正直さと右翼にあるある種の温かさ、矜持、魅惑と謎に包まれた生涯を送った一民間人を追った大冊の評伝である。単行本刊行時より大冊であったが、さらに加筆・増補されあとがきには後日談まで付されている。
 満州開拓は戦後日本経済のグランドデザインだった、という冒頭の今日衆口にもされつつある視点から出発し、日中戦争は二十世紀の阿片戦争だった、というもっと新しい認識に達する終盤まで、連載ものだったからだろう記述がともすれば繰り返しになりながらもフラッシュバックされて理解が深まるようになっている。
 それにしても、日本はアジアにおいて戦争を戦うことで欧米の帝国主義に基づく植民地主義から人々を解放することに成功したとも戦後経済発展の先鞭を付けてアジアに富国論が如何に重要かを知らしめたことが今日のアジア経済の隆盛にまで繋がっているとも、そういうことは史観の文脈上如何様にも考えられるのだが、はっきりしているのは、日本はアジアから欧米のもたらした阿片と宗教とマルクス主義、共産主義と言っても社会主義と言っても、それらを瀬戸際で阻止したり抑制したりするところまでは全然いかなかったということである。勿論、国内には麻薬や異教や革命の問題は深刻なものとしては根付かせなかった。しかし、アジアにおいて、特にこの場合中国において、当然考えられるべき阿片から思想までの毒の抑制、解毒は、逆に利用された、逆用されたのである。宗教は阿片と同等かも知れないが、大陸で起こったことは、それらが順々に無差別に人々を襲うということであった。その初期問題が阿片だった。既に十九世紀の前半から英国が構築し強化していた阿片経済の流通ルート、闇経済に乗っかるようなかたちで日本が割って入り加わった。里見はそれを確実に実現するためだけの単なる影のフィクサーだったとも言えよう。先の大戦は植民地解放闘争としては成功しても、阿片の撲滅を成し得なかった、寧ろそれを逆用したがために大陸では最終悲惨な革命までが勃発せざるを得なかった、という見方も出来る。
 今オリンピックで中国は湧いている。次には万博もある。しかし、阿片から始まった欧米の毒は革命によって解毒された訳ではなくどんどん深刻になっているかも知れない。日本は欧米の実力を排除したが、その悪弊に荷担した。それが、中国経済の未来に潜む今日の没落論や終末論のようなものにまで繋がる深層ではないか。次に来るものがなくてもやっていけるのならそれに越したことはない。しかし、人々が求めて止まない何か別の阿片、というかもっと何か全然別のものを用意して目指さない限り先は見えてこず、やがて禁断症状が始まり次の悲惨さが待っているかもしれない。里見や甘粕がまるでホロコースト行きのスタンプを押し続けたアイヒマンのようにも私には思え、正直なところ結局最後には著者のような眼差しで見ることができなくなってしまった。

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アーレントのイェルサレムのアイヒマンによればですが…

アイヒマンはつまらない官僚に過ぎず
アイヒマン無罪説
−が濃厚です。

アイヒマンは、ただの輸送列車の手配者であって

ユダヤ人の選別は−
ユダヤ人長老という
ユダヤ人のナチス協力者ら
−が行ったとされる。

わたしは、アイヒマン無罪説であり

見せしめとして処刑された

−と思っています。

2008/8/13(水) 午後 11:23 erasus(いれいざす)

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法的政治的にはご指摘の通りなのでしょうね。
ただ、人道的にどうか、と言えば正に技術官僚的に滑稽でさえある部分に責任はあるし、逆に連合国が戦前から十分道徳的であったかと言えばそんなこともない、アイヒマンにも罪はあるしチャーチルにもルーズベルトにも逆に罪を想定することはあっていいと思っています。

2008/8/14(木) 午後 5:08 hoerderlin_on_sirius

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>アキラさん

人道の確立は欧米でも≪戦後≫でした。
したがって≪戦前≫の列強はすべて非人道的でした。

ナチスドイツ
ヒロヒトの帝国
−だけが非人道的だったわけではなかった。

もちろん、
人道に対する罪
−なども言いがかりに過ぎなかった。でも戦勝国の専権でやった。

アイヒマン中佐は、ラインハルト・ハイトリッヒの指揮下にあり道義だけでは何ともならなかった。権限がなかったのだ。
われわれでも、アイヒマンの仕事を与えられたら粛々とこなしたであろう!

2008/8/14(木) 午後 11:30 erasus(いれいざす)

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 いえ、シュタウフェンベルク大佐のような人も居た以上は、ヒトラー政権に楯突くことは決死の覚悟が有ればどの段階でもできた。長期的には幾らでもその努力をすることは考えられたはずです。それをしなかった罪は確かにその当時の、その本人には無いかも知れないが、道徳を時空を超えたところに想定する以上は、責任はあったのです。組長に言われたからと言って暴力を振るってはならない。同時に戦争の罪は戦勝者にもある。
 戦敗者が後からああだこうだ自己弁護するくらいなら、自己自身の人間としての普遍的な罪を認めた上で、戦勝者の罪にも必ず言及するのが筋だと思います。歴史的には戦勝者の罪の方が重いかも知れませんが、歴史的であるからと言って道義的犯罪はどちらにせよ帳消しにはならないと思います。

2008/8/15(金) 午前 0:14 hoerderlin_on_sirius

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