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キースの新譜も出たようですが、今度はソロの3枚組…
(どうも、ディランとキースというと、キース・リチャーズ@ストーンズの方をイメージしてしまいますが、以下基本的にキース・ジャレットです)
どうも最近のキース(特にトリオ物)は、悪い意味でファンの側が試されているような気がしてなりません。

ど〜せ、こんなの出しても、お前ら絶賛するンだろっ!!!

てな具合で…

さてさて、キースの最高傑作といえば

My Back Pages (アルバム“Somewhere Before”)

God Bless The Child (アルバム“Standards vol.1”)

だと信じて疑わないワタクシではありますが、極論すれば、この2曲にマイルス・バンドでの諸作と、おまけで「ソロ・コンサート」くらいを加えれば、キースはもう十分なのではないかと。

特に世評の高い“Standards”の2枚(及びその後のトリオでのスタンダード物の大半)に関しては、「原曲を凌駕する見事なスタンダード解釈」などと評するのが一般的傾向となっていますが、そもそも「原曲」って、一体誰が何時演奏したヴァージョンのことを言うのか知らないし、聴いたこともないわけで、本音を言えば

エヴァンスの演奏とどう違うの!?

と言いたくもなるのです(あ、言っちゃった…)。
特に“vol.2”の方はどうも…

その中でほぼ唯一と言ってもいい、原曲と比較対照できる曲が

ビリー・ホリディの曲“God Bless The Child”

です。
エリック・ドルフィーのバスクラ独奏でも知られるこの曲ですが、キースの演奏は原曲を限界スレスレまで解体し(言われなきゃ同じ曲には聴こえないでしょう)、核となる部分だけ残して、全く別の世界を展開しています。

一言で言ってしまえば、ジャズロック風にアレンジし直しているということになるのでしょうが、「アレンジ」という言葉に付いて回る「不自然さ」「取って付けた感じ」が全く感じられないというのがこの演奏のスゴイところ。
よくもまぁ、ビリーの曲からこんなインスピレーションを得たものだと驚嘆せざるを得ない演奏だと思います。

まぁ、ただこの曲は厳密に言えば「ジャズ・オリジナル」で、「スタンダード」とは違うのですが…

イメージ 1


“God Bless The Child”の方は、まだジャズの範疇の曲なので、ビリーの歌やドルフィーの演奏と比べたことのあるジャズファンも多いのではないかと思いますが、ボブ・ディランの“My Back Pages”の方になるといかがでしょうか???

「ボブ・ディランの名曲をキースがカヴァー」などと紹介してあることもありますが、ディランの目ぼしいベスト盤に当たり前に収録されているような曲ではなく、ジャズファンからすると、いつか聴いてみようと思いつつも、原曲はなかなか聴く機会に恵まれないのではないでしょうか。
せめて「隠れた名曲」ぐらいの表現にはできないものかと…

アルバムとしては、ディランの第4作、1964年の

Another Side of Bob Dylan

という、あたかもシングルB面集のようなタイトル(?)の地味なアルバムの中に、この曲はひっそりと収録されています。

ちなみに、このアルバムの一つ前のアルバムは有名な
「時代は変る」
もう一つ前は
超有名曲「風に吹かれて」の収録された“The Freewheelin’”
なのです。

更に次のアルバムは、ディランのエレキ化、ロックンロール宣言とされる
“Bringing It All Back Home”
(「ミスター・タンブリン・マン」収録)で、その次はロック史上最大の名曲と言われる
“Like A Rolling Stone”を収録した「追憶のハイウェイ61」
になるわけです。

つまりは、ディランの

フォーク全盛期とロックンロール黎明期

のハザマで、忘れられても仕方がないようなアルバム、そして、“My Back Pages”という曲なのです。

ディランの原曲は、ひたすら地味なギター弾き語りのフォークソング。
「教授の憐れな舌が『自由とは教室での平等だ』と吐き出し、私は『平等』と結婚の誓いのように言った」などと、哲学的というか、難解というか、訳の分からない歌詞を一しきり歌い上げ、

Ah, but I was so much older then
I’m younger than that now
というキメのフレーズが来て、このパターンを繰り返します。

その前は全く意味が分からないわけですが、
あぁ、あのときはかなり年老いていた
でも、今はあのときより若々しい
という逆説的なキメのフレーズが徐々に胸に滲みてくるような曲です。
でも、「風に吹かれて」などのフォーク名曲と比べると、やはり地味です。

キースの演奏では、チャーリー・ヘイデンの重々しいベースのイントロから始まり、キースの弾くフォーク〜ゴスペル調のテーマで一気に持って行かれます。

ディランの歌から、どうしてこんなメロディが出てくるのか!?


しみじみ滲みてくるディランとは違い、キースはものすごい切迫感で、それこそ迫ってくる。
今、これを弾いておかないと、いつ弾けるというのか。

何度聴いても、これが同じ曲なのかどうかは判断できません。
しかしながら、「名演」と呼ぶしかないキースの演奏なのです。
ECM系の透明感のある音ではなく、アトランティック系列の図太い、やや濁った音も雰囲気を盛り上げます。

今さら“My Foolish Heart”や“Yesterdays”、新鮮味の薄いバップチューン、仰々しいソロなんかは、ハッキリ言ってもうどうでもいいから、キースにはこういうロックやポップ曲の大胆なジャズ化をやってもらいたいです。
でも、やってくれないだろうなぁ…

ブラッド・メルドーのレディオヘッドのカヴァーは似たような発想で、結構イイところまで行っているように思います。
The Bad Plusのニルヴァーナはちょっと原曲に近過ぎるようにも思えますが、ニルヴァーナのカヴァーという発想自体を誉めるべきでしょう。
ハービー・ハンコックの時代遅れな「ニュースタンダード」はどうでもいいですが、「ニュースタンダード的」な分野には、まだまだおいしいネタが転がっているように思うのです。
もう「枯葉」や「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」はお腹一杯です…

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another side of Bob Dylanは仰るとおり隠れた名盤で好きな人も多いですよ〜。「My Back Pages」もそうですが,「It Ain't Me Babe」とか「All I Really Want to Do」などメロディアスなてんこ盛りです。
God bless〜もイイですね。スタンダードといいながら,後半ワンコードでウニウニした世界を構築するのは,このトリオのお家芸となるわけですが,この曲はそのハシリですね。
Vol.2は僕が最初に聞いたキーストリオの作品だったので(CDが3500円くらいしましたね),結構思い入れが深いのです。エヴァンスに似てますかね〜。僕は分からんです。エヴァンスは,一見なよっとしていますが,かなりリズムが強靱で歌い回しにバネのような弾力があるのに対し(ある意味とんがっているというか),キースの方はバネはあくまでも前に進む推進力として使われ,フレーズのしなり具合が絶妙なところがより「したたか」な印象です。訳分からない説明ですね(笑)

2009/10/15(木) 午後 3:25 [ jamin' 1966 ] 返信する

浜っ子兄さん、なぜかここ2週間ばかり、いくらビートルズを聴いても、頭の中では♪へい、みすた、たんぶりんまん〜♪状態なのです。^^;

ディランは大学生の頃に「風に吹かれて」「時代は変る」あたりを聴いていて、ここ何年かでようやくローリングストーンに辿り着いたところなんです。
My Back Pagesが入っていなければ、初心者は素通りしてしまいかねないAnother Sideですよね…汗

すみません、エヴァンスの件は、エヴァンスのスタンダード解釈もかなり独特で斬新だと思うのですが、なぜかキースばかりが誉められるという現状を憂いた趣旨です。
特に“Vol.2”は選曲もちょっとエヴァンスっぽかったものですから。
ウィントン・マルサリスのこねくり回したようなスタンダードよりはキースの方が数段上だとは思っているのですが、何か目新しいもの、というと、God Bless The Childくらいしかないような気がするんですよね…

2009/10/15(木) 午後 5:10 ホンキー 返信する

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