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◆神奈川学園の文化祭(2006年9月23・24日)は、21世紀プランのすべての完成を象徴するイベントだった。伝統と異文化交流と知の回遊庭園のレイアーと太平洋をランドマーク越しに眺められる景観を統合した新校舎も10月には完成する。
◆この教育空間をふんだんに生かした21世紀プラン。すべてが生徒たちによる生徒たちのための感性と知性との統合的発達を実現するための学びのプランだ。屋台や喫茶店、遊戯の空間が立ち並ぶようなイベントではなく、クラスごとにテーマを設定し、探究した成果の知のプレゼンテーション。ただし、そのプレゼン方法は、レポート形式で終わるのではない。模型を作ったり、ストーリーを作ったり、実験モデルのデモンストレーションをしたり、かなりアカデミックで知の遊びも含む手法。
◆中1の戦争体験レポート、高2の憲法九条草案などのプレゼンテーションは平和問題に対する、在校生の関心の高さが伝わってくる。高1のあるクラスは、アポロ11号は本当に月に行ったのかという疑問を探究。専門家にインタビューしたり、真空装置を使って、旗が月面上ではたはたと動くものなのか実験のデモンストレーションをしたりして検証していく。壮大なアポロ宇宙船の模型も圧巻だった。
◆文化祭実行委員会企画・広報班は、使われなくなったランドセルを集め、アフガニスタンの青空教室で学ぶ子供たちのためにボランティア活動をした。そのプレゼンも感動的だった。とにかく101個も集めたのだ。1個送るのに1800円もかかるが、それも募金で集めた。その他文房具用品も。アフガニスタンの子供達にとって、ランドセルは机にもなるなんでも文房具。遠くの異文化を近くの協力し合える関係に転換していく実行力には頭が下がる。
◆また美術部は、1つの教室をすべて真っ白にデザイン。美術部の部員は、「『白―「FREEZE」』というテーマで、ある朝起きたら、あたりは白い世界。文明終末の世界。現在の文明の最大の利器である携帯電話もすべてFREEZしています。シュレッダーの紙やペットボトルをリサイクルして草木をデザインするところもポイントです。私たちは未来を予想することが目的ではありません。日常の道具や教室をFREEZEさせてみるだけで、ドキッとするような世界の不安を開いてみたかったのです。」
◆丁寧におもてなししてくださった池田校長先生も生徒の成長振りに思わず目を細めていた。なるほどこの不安に気づかせることによって、故郷喪失状態の現代人にベクトルの方向性を転換させたいというビジョンが伝わってきた。
◆文化祭実行委員長Nさんは、今回の文化祭の意義を次のように語っていた。「今年度の文化祭大目標は『Knowledge is power―広げよう自分の世界―』です。文化祭をその場限りで終わらせないために、より中身のあるものにするために、そしてさらに文化祭で得たものから自分の視野を広げていきたいと考え、この目標を作りました。この文化祭で得たことから自ら創造し、それを皆と共有することができればと考えています」と。
◆神奈川学園は6年前に21世紀プランを立てて、着実にその実行を果たしてきた。その過程は生徒たちの知の発達を促進するものだったと思う。先生方は、やっと始まったばかりですと謙遜されるが、次の新しい一手が考案されていることは間違いない。もしかしたら、それは21世紀プランの完成が生み出す必然的な力学なのかもしれない。
◆その兆しは、あらゆるプレゼンの方法や自分達のプレゼンをPRする広報デザイン、レストランの飾り付けなどが、美術部のデザイン感性に象徴されるように、あまりにもコンテンポラリーアートの感覚が浸透しているところにあると思う。中等教育学校レベルはまだまだモダニズムが主流。ところが神奈川学園の在校生の感覚は、一歩先んじた感性を表現しているのだ。今度のプランは生徒の内在的リソースから創出されるに違いない。
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