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王朝懶夢譚〜おうちょうらんむたん〜 by 田辺聖子

「懶夢譚」とは、辞書に無くて、「懶(ものう)いな夢を物語る」なんて訳したらよいのでしょか??

久々のお聖さまの小説〜。
タイトルからして、源氏物語真っ青の官能的な恋愛ものかしら??

「月 冴」
東宮の急死により、
東宮妃候補の内大臣の娘藤原月冴(つきさえ)姫は、次の東宮の妃候補となった・・。
ところが、東宮は幼く月冴の入内は、10年先に見送りになった・・・。
10年も恋もせず邸に籠もるなんて・・・・・。
若くて美しい月冴は、ひとり寂しく夜中に化粧をして気を紛らわせていたら、
少年姿の天狗の外道丸が現れ、話し相手になる・・・・。
そうして、月冴姫の恋を模索する話が始まる・・。

「麻 刈」
月冴は、邸の女房たちと人気の高い僧侶の説話を聞きに出かけたが、
場所取りをさせた女童(めわらわ)五衰が、熱中症で倒れてしまった・・・。
そこで、ひとりの男が五衰の手当てを始めた。
顔の造作が、やや見苦しい男だが薬草や薬石の知識は確かで、
月冴はこの麻刈(あさかり)という男と共に山々を歩いてみたい気持ちになる・・・。

「紫 々」
月冴は外道丸と、夜中に玉の中を見つめていると、
東国の誠実でりりしい武士の晴季(はるとき)が目に入る。
月冴は心惹かれるが、晴季は自分を知らない・・・・。
そのジレンマから「あの人、きりきり舞いさせたい」と口にした。
外道丸は、狐の紫々(しし)を呼び出して、晴季を翻弄するように言う。
すると、玉の中に月冴そっくりの女性が晴季に近づき声をかける・・・。

「鮫 児」
月冴は夜の庭にある釣殿で外道丸と語り合い、
10年先の輿入れのため、邸に閉じ込められた自分を嘆く。
外道丸は、月冴の悩みを解決するために精霊たちを呼び出す。
河童や猩々(しょうじょう)、鮫と人のハーフ鮫児(こうじ)が現れる。
そこで鮫児が持つ真珠が、男女を結びつけるという。
月冴たちはある宴に潜り込み、鮫児は真珠のひとつを月冴に
もうひとつを弾正宮に投げつけるつもりが・・・・あらぬ方向に・・・・。

「悪 来 丸」
月冴の邸は東国の武士たちによるものものしい警備が敷かれていた。
この冬の都では、物取りが横行し、
さる邸から攫われた姫君が途中賊に捨てられ凍え死に挙句野犬に喰われてしまった・・・。
夜警をしていた晴季は、妻戸から覗いた顔にいとしい紫々の顔を見た。
紫々は晴季の目の前で狐に戻り犬に噛み殺されたはず・・・。
厳重な警備の中、月冴は攫われた。
相手は、都の盗賊で高貴な血筋の噂のある悪来丸だった・・・・。
晴季は月冴の救出へ向かう・・・・。


タイトルの難解さに比べて、ほんわかしたファンタジーでした。
婚約者に先立たれ、親や兄弟の思惑で、10年先に結婚しなきゃならない姫君。
これが、ちょっと若い作者だったら、
いきなり「私の恋は・・・」と、家出するのがストーリーになるかも??
だが、
人生の辛さ甘さ苦さも知ってるお聖さまの手にかかれば、
運命を切り開くだけではなく、
運命に導かれて生きるのも楽しいものよ・・。

平安時代の住まいや衣装の色使いや
当時の魑魅魍魎、精霊たちや
その当時のゴッシプなどがこと細かいに盛り込んである。
(特に平貞盛の醜聞は夢枕獏氏の「陰陽師〜瀧夜叉姫〜」にもあった・・。)

何よりお聖さまの
恋愛モノはこうでなきゃあと思ったひとつでした。

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