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★『平らな国デンマーク/子育ての現場から』第87回〜「子ども手当と子育て支援」〜1/4
高田ケラー有子:造形作家 デンマーク北シェーランド在住
↓「JMM [Japan Mail Media] 3月16日発行」より
http://ryumurakami.jmm.co.jp/
「子ども手当と子育て支援」
ようやく雪融けの季節を迎え、庭では雪をかき分けてクロッカスのつぼみが芽吹いています。明るい日差しも戻って来て、春はもうすぐそこ、とも思えますが、気温はまだまだ低く、春の出で立ちができるのは、もう2〜3歩先と言った所です。
さて、3月8日のJMM「子ども手当」は日本経済にどう貢献するか?への寄稿家のみなさんのご意見と回答を興味深く読ませていただきました。デンマークでは、1984年から子ども手当の支給が始まったのですが(本格的に支給されるようになったのは1987年からで、当初は年額800クローネ程度でスタートした)、奇しくも当時(1983年)の出生率は、今の日本とほぼ同じで1.4を切っており、過去最悪の数字をマークしていました。
(http://www.berlingske.dk/upload/webred/upl_files/e706cdfd259a51200034d1d0be347233.jpg)
2008年にこの数字を1.9にまで回復できたデンマークですが、子ども手当だけが、出生率の向上に繋がったのではなく、ほかにも様々な要因があると思われます。
そこには、高福祉社会というベースや、多額の税金を納めている(平均的な所得税46%消費税25%)という現実が背景にあり、また基本的に子どもを大切にする国民性や、男女平等の意識も多いに関わっていると思われます。
そうしたさまざまな背景を頭の隅にしっかり置きながら、私自身が子育てをしていて実際に感じて来た、子育てを支援してくれていると思う制度や習慣を項目別にあげながら、社会制度や意識の違う日本で何ができそうか、探ってみたいと思います。
・子ども手当
デンマークでは18歳未満の子どもを持つ母親(一部の特別な事情を除いて)の口座に子ども手当が振り込まれるのですが、対象が3つのグループに分けられています。
2010年の支給額は、0歳から2歳の子どもを対象として3ヶ月毎に4247クローネ(月額約24000円)、3歳から6歳の場合で3362クローネ(月額約19000円)、7歳から17歳で2645クローネ(月額約15000円)となっていて、3ヶ月毎なので、1月4月7月10月の4回支給されます。2011年には、それぞれ4303クローネ(0〜2歳)、3407クローネ(3〜6歳)、2680クローネ(7〜17歳)と微額ですが年々増えて行く仕組みになっています。
(http://www.skm.dk/tal_statistik/tidsserieoversigter/1294.html)
このグループ分けを見ていても、実際に子育てにかかる費用の補助でもあるのですが、むしろ親の子育てにかかる労働に対する報酬でもあるようにも受け取れます。ただ、もちろん子育てを経済的に支援している事は確かで、実際3ヶ月に一度多少まとまったお金が入る事でずいぶんと助かっています。
教育費のかからないデンマークでも、乳幼児期の保育費やおむつから始まって、成長に合わせて衣料費は当然かかるし、小学校に入ると、サッカーなどのクラブ活動(地元のスポーツクラブに通い始めるケースが多い)にかかる経費、音楽関係の習いごとをすれば月謝が生じる、など、子どもの成長に応じた支出があります。これはどこの国でも同じようにかかってくる経費ですが、我が家他、多くの場合は、将来的な教育費を積み立てておく必要がない、ということもあり、保育費や実際にかかる必要経費を、子ども手当から補足している、と言うのが現実的なところだと思います。
ただ、もらうのに慣れてしまうと、それがために、子育てが楽であると言う感覚ではなく、もらえなかったら困る、と言う感覚になっていくことも確かだと思います。特に子どもの多い家庭では経済的にかなり助かるという事に直結すると思います。でもだからといって、子ども手当があるから子どもを増やそう、という発想にはなっていないように思いますし、また、子ども手当があるから、生んでも経済的な不安はない、ともあまり考えないように思います。その意味では、確実に一助にはなっていても、少子化克服の目玉であるとも言いがたいように思います。
それでも一方で、3人目4人目が欲しい、ということになった場合、もらえる事が前提にあると、よりまとまった金額になりますし、プラス思考になれる可能性は大いにあり、踏み切れる、と言う現実にもつながると思います。17年間いただける、と言うのは教育費もかからないだけに、確かに大きいですし、少子化に歯止めをかけるきっかけとなって来た事は事実でもあると思います。70年代のオイルショック以降に出生率が急降下した事から見ても、経済的な理由も少子化の一因ではあったので、今後も出生率維持のためには、要の政策でもあると思います。
一番大切なことは、確実に継続していける政策として先を見越した財源を確保した上での政策であることだと思います。デンマークで言えば、確実に年々支給額は微額でも増えています。子どもが18歳になるまで必ず確実にもらえる、という安心感が私たちにはあります。高負担を強いられていても、それはとても大きなことだと思います。
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