(続)SPEEDI予測「公表できない」 文科省文書に記載 ※ 原発再稼働に向け政府が乗り越えるべき「三つの壁」 国民は原子力行政が「いつか来た道」を走ることを恐れている(日経ビジネス)
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政府が「三つの壁」を越えなければ、国民の納得は得られない―― では、この再稼働問題について「国民の納得」を得るために、政府は、何をするべきなのでしょうか? 田坂:少なくとも、次の「三つの壁」を乗り越えないかぎり、再稼働に向けて、「国民の納得」は得られないでしょう。 第一は、「事故原因の徹底究明」です。 第二は、「責任の所在の明確化」です。 第三は、「原子力行政の徹底的な改革」です。 これら「三つの壁」を乗り越えないかぎり、本当の意味で、政府は国民からの信頼を取り戻すことはできないでしょう。そして、その信頼を取り戻さない限り、原発再稼働は、国民の納得を得られないでしょう。 国民が恐れているのは、原子力行政が「いつか来た道」を走ること―― しかし、この「三つの壁」を乗り越えていくためには、かなり時間がかかると思うのですが、現実の電力需給の逼迫の問題と併せて、目の前にある再稼働問題に対処するにはどうすればよいのでしょうか? 田坂:いま申し上げたことは、原発再稼働に向けての政府の取り組みが「本来、どうあるべきか」という基本論です。 すなわち、原発の再稼働の問題は、本来、福島原発事故の徹底的な原因究明がなされた後、原子力行政と原子力産業の抜本的な改革が行われ、新たに最高水準の安全基準が確立された後に、改めて問題にされるべきことなのです。 そして、いかなる理由があろうとも、いかなる状況にあろうとも、政府は、この「本来、どうあるべきか」という基本論を、絶対に曖昧にしてはならないのです。 なぜならば、政府が、この基本論を明確に理解し、遵守しようとする姿勢を示すことこそが、国民から政府への信頼を回復する唯一の道だからです。そして、その信頼が回復できれば、政府と国民の間に「現実を見据えた暫定的な方策」について対話をする余地が生まれてきます。その手順を誤ってはならないのです。 逆に言えば、いま、多くの国民が最も懸念していることは、政界、財界、官界のリーダーの方々が、「そうは言っても、現実の電力需給は逼迫しているし、化石燃料のコスト増の問題もあるので」という理由により、「本来、どうあるべきか」の基本論を曖昧にしたまま、拙速な手続きで再稼働に走り込もうとしているように見えることなのです。 いま、多くの国民が恐れているのは、再稼働した原発がすぐに重大事故を起こすかどうかという問題よりも、「本来、どうあるべきか」を曖昧にしたまま走る原子力行政が、また、「いつか来た道」を走り始めることなのです。 政府の「改革への姿勢」に注がれる国民の厳しい視線たしかに、電力需給の逼迫や化石燃料のコスト増などを考えると、原発再稼働の問題については、政府として、国民に対して「現実を見据えた暫定的な方策」について理解をお願いせざるを得なくなる可能性はあるでしょう。 しかし、そのときに改めて問われるのは、原子力行政と原子力産業の改革に対する政府の姿勢です。 国民は、政府が「本来、どうあるべきか」を明確に踏まえたうえで、敢えて現実的な問題への対処として「暫定的な方策」を語っているのか、「本来、どうあるべきか」を曖昧にしたまま、その場しのぎに「暫定的な方策」を進めようとしているのかを、しっかりと見ているのです。 その国民の視線の厳しさを、いま、政府は理解されるべきでしょう。 (次回に続く)
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