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サンタクロースなんていなかった
ほしいものをなんでもおねがいしようと思っていたけれど、
正体はボクのパパだった。
パパはなんでも買えるほど金持ちじゃない。
スーパーマンもいなかった。
「わるいやつ」をこらしめてくれる「せいぎのみかた」なんていなかった。
ボクがスーパーマンだと思ってた人は「わるいやつ」となかよしだった。
ウルトラマンもいなかったけど、ニセウルトラマンはたくさんいた。
たのもしいのでみんなといっしょについていったら、あとでひどい目にあわされた。
「みんなのため」が口ぐせだったけど、ほんとうはじぶんのことしか考えてなかった。
ドラえもんもいなかったけど、ニセドラえもんはたくさんいた。
べんりな道具をたくさん出してくれたけど、ぼくらのじゅみょうはちぢまった。
ぼくらがやせていくのにニセドラえもんだけはブクブク太っていった。
ずっとずっと信じてた。
「だれかすごい人」がいて、ボクがこまったらたすけてくれると思ってた。
いい「よのなか」をつくってくれると思ってた。
ずっとずっとあこがれていた。
ヒーローみたいにかっこよくなりたいと思っていた。
でも、ヒーローなんていなかった。
まわりをみわたしてもボクとおなじような「ふつう」のかおしたひとばかり。
そのうちニセモノのヒーローがあらわれて、いっぱいいっぱい泣かされた。
それでもずっとずっと信じてた。
いつかホンモノがあらわれるのを待っていた。
とうとうボクは気づいてしまった。
ほんとうはヒーローなんかいないってことを。
「すごいひと」なんかいないってことを。
だけどボクはもう泣かない。
ヒーローがいないことがわかったから。
ボクはうれしい。
ヒーローがいないことに気づけたから。
そしていろいろと考えてみた。
ほんとうはヒーローなんかひつようないんじゃないかって。
ぼくらはしあわせになりたいだけなんだ。
ボクは「さんすう」がとくいだけど「りか」がにがて。
ゆうたクンは「こくご」がとくいだけど「さんすう」がにがて。
りなちゃんは「しゃかい」がとくいだけど「こくご」がにがて。
てるきクンは「りか」がとくいだけど「しゃかい」がにがて。
みんなできょうりょくしあえば、どんなもんだいもかいけつできるんじゃないかな。
わからないことはとくいな人がおしえればいい。
じぶんのことだけを考えるんじゃなくて、みんなのことを考えて、弱いところをカバーすればいい。
おとなの社会のことはよくわからないけど、「よのなか」はそんなふうにまわっている気がする。
ボクのからだはもっとすごい。
右手と左手はけんかしたことがない。
右手に「か」が止まったら、左手がたたいてくれるんだ。
左手はぜんぜんトクしないのに。
いたいだけなのに。
手もあたまも足もみんななかよくやっている。
ボクがころんであたまをうちそうになったとき、りょううでがじめんについて止めてくれた。
手はすりむいちゃったけど、あたまはぶじだった。
もし右手が自分のことだけを考えたり、えいようをひとりじめしようなんて
考えてたらタイヘンなことになる!
だけど右手はそんなことしない。
みんなのことを考えながら生きている。
だから、人もみんなのことを考えながら、自分のとくいなことをもうちょっとだけがんばったら、「よのなか」よくなるんじゃないかな。
きっと、ヒーローなんていらない。
ヒーローなんてもうたくさん。
ヒーローなんてもうコリゴリ。
ヒーローなんて「めいわく」だ。
ボクもヒーローにはもうなりたくない。
みんなといっしょによい「よのなか」をつくるんだ。
そのためにもっとべんきょうしてどうしたらいいか考えなくちゃ。
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