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ヒデンデンのいしあたま
わたしの興味・関心・好奇心

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イエス・キリストの顔が描かれた布地、それを持つ女性の絵があります。聖ヴェロニカ(St. Veronica)です。わたしたちの教会にもヴェロニカの教名(洗礼名)をもつ人が数人いらっしゃいますし、この麗しい名前にはとりわけ親しみを感じます。
 
じつは祈祷書にみる聖公会の祝日・小祝日の項にヴェロニカはありません。カトリックの聖人カレンダーにも、聖ヴェロニカ・ジュリアーニ修道女は見出せても、イエスの傍らに現れたエルサレムのヴェロニカはありません。
しかしそうであるにせよ、世界的にみればヴェロニカはローマ・カトリック教会、東方正教会、そして聖公会(アングリカン・コミュニオン)の聖人であって、祝日は7月12日、守護聖人としてクリーニング業者や写真家などがその対象となっています。
 
十字架の道行きにおいて、イエスがヴェロニカから差し出された布で顔を拭ったという聖顔布、ヴェロニカのベール。「民衆と嘆き悲しむ婦人たちが大きな群れを成して、イエスに従った」(ルカ23:27) というその中にヴェロニカの姿はあったのです。つまり「12年間も出血の止まらない女」(マコ5:25) のことで、外典『ニコデモ福音書(ピラト行伝)』には「べレニケ」(同7:1) の名が出てきます。
 
聖顔布は、ローマ教皇ヨハネス7世 (在位705-707年) のときサン・ピエトロ大聖堂に飾られ、1300年の1回目の聖年以来、一般に公開されていたそうです。また遡って12世紀にはすでに崇められていたとする見方もあります。
その後17世紀初頭の行方不明と再発見、そして近年のベネディクト16世による視察のことなど興味が尽きませんが、イエスの顔が描かれたのではなく奇跡的に転写されたこの聖顔布については、以下ヴェロニカとともに絵画を通じて思いを新たにしたいと思います。
 
ヴェロニカが登場する絵画には大別して、下欄のように一人のヴェロニカがイエスの顔が写し取られた布を広げているものと、十字架を担うイエスと群衆の中に布を広げるヴェロニカがいるものと、二通りの表現があります。つまり聖顔布こそがヴェロニカの唯一のアトリビュートというわけです。別に聖顔布のイエスだけを描いたものも存在します。
 
15世紀フランドル派(1枚目のみケルン派)のよく知られた作品をまとめてみました。後世のものを見ると、この時代において聖ヴェロニカ像はすでに完成の域に達していたかのように思えます。
 
 
イメージ 1
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  聖ヴェロニカの画家 MASTER of Saint Veronica
1420年頃、テンペラ・板(オーク)、78×48cm、アルテ・ピナコテーク(ミュンヘン)
 
不明の作者はケルン派の画家で、通称「聖ヴェロニカの画家」と呼ばれます。「聖顔布を持つ聖ヴェロニカ(St. Veronica with the Holy Kerchief)」の画題があります。
 
 
イメージ 2
  
フレマールの画家 MASTER of Flémalle
1410年頃、油彩・板、151.5×61cm、シュテーデル美術館(フランクフルト)
 
絵の来歴がリエージュ近郊のフレマール修道院とされていたことから、画家は「フレマールの画家」と呼ばれます。ただし現在ではロベルト・カンピン(Robert Campin、1375年頃-1444年)の作と見なすのが普通です。制作年を1430年頃とする説も。
 
 
イメージ 3
  
ロヒール・ファン・デル・ウェイデン Rogier van der Weyden
1445年頃、油彩・板(オーク)、ウィーン美術史美術館
 
「キリスト磔刑の三連祭壇画(Crucifixion Triptych)」の右翼部分(原寸101×35cm)を成すもので、ここでは天地を少し省きました。画家は1399/1400-64年の生没。
 
 
イメージ 4
ハンス・メムリンク Hans Memling
1483年頃、油彩・板、31.2×24.4cm、ワシントン・ナショナルギャラリー
 
「聖ヨハネと聖ヴェロニカの二連祭壇画(St. John and Veronica Diptych)」、小さなその右翼。画家は1430/40-94年、ドイツ生まれ。制作年には諸説あります。
 

追 記(2015/8/22):国立西洋美術館に「聖ヴェロニカ」と題する15世紀フィレンツェ派の画家の絵画が所蔵されています。

追 記(2015/9/14):聖ヴェロニカについては次の記事もあります。

この記事に

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    内緒さん
    トリノの聖骸布についてはいろいろな情報に接してきました。
    でもやっぱり映像で見ると生々しいですね。
    本物・偽物という論議は信仰とは別次元のことのようにも思われますが興味深かったですよ。

    [ ヒデンデン ]

    2014/1/17(金) 午後 0:40

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    う〜む・・・
    イエスさまが私の持っているイメージとちょっと違うので思わず唸ってしまいました
    ヴェロニカのイメージもちょっと違うけれど、控えめで細面な女性という私の勝手な想像には合ってるかも。

    イエスさまのご絵は沢山あるけれど、「これこそ私の思い描いているイエスさま」という絵はあまりないですよね。
    天国で実際にお会いした時には、各人の中で育まれてきたイメージをすべて包み込んで、さらにそれをはるかに超える神々しさと得も言われぬ美しさで私たちの魂を圧倒されるのでしょうね。

    ショコラ

    2014/1/17(金) 午後 6:25

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    ショコラさん
    15世紀の、いまのオランダ・ベルギーの画家がイメージしたイエスさまが出てきました。
    ルネサンスからバロックにかけてはイタリアや地中海地方の人の顔立ちになって、現代(印刷物や映画とか)ではアングロサクソン系が主流なような気がします。
    ショコラさんの理想化されたイエスさまってどんなでしょうね。
    過去記事でイエスさまに会えますよ。
    http://blogs.yahoo.co.jp/htanakaakanath/6702581.html

    [ ヒデンデン ]

    2014/1/17(金) 午後 11:00

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    これを見ていると、ただ”イエス様の尊いお顔”と感じます。

    Liza and Chiro

    2014/4/26(土) 午前 1:00

    返信する
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    リザさん

    特定の絵にイエスさまのイメージを固定しないようにしています。
    画像のイエスさまは15世紀フランドル地方のイメージ。
    ただ「イエスさまの尊いお顔」、それでいいのだと思います。

    [ ヒデンデン ]

    2014/4/26(土) 午前 8:50

    返信する

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