労働相談奮闘記

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          全労連のチラシ「女性も男性も平等に働ける社会をめざして」掲載のカット

1月31日、東京高裁は、総合商社兼松の女性への賃金差別の是正を求めた控訴審で、6人の原告の内4人の訴えを認める判決をだしました。

【どこにでもある間接差別】
「法の下の平等」を定めた憲法14条には、「すべて国民は、法の下で平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と定めています。また、労働基準法第4条では、男女同一賃金の原則を定めています。しかし、現実の社会には、あからさまな男女差別は少なくなっているものの、関節的な差別は何処にでもあるのではないでしょうか。この度の判決は、この間接的な男女差別をはじめて違法として裁いた画期的な判決です。

【男女平等は世界の流れ】
男女平等は、世界的な流れとなっています。1978年国連において「女性差別撤廃条約」が採択され、日本も1985年にこの条約を批准しました。この条約の第2条では、女性に対する差別を禁止する立法措置をとることを締約国に義務付けています。この流れを受けて、日本は、条約批准に当たって男女雇用機会均等法を制定したという経緯があります。男女平等は世界の流れとなっています。

全労連の発行したチラシを見ると、そのことを示す事例を国連やILOの動きを中心に報じています。このチラシで指摘しているように、国連は、日本政府に対して2003年に女性差別撤廃委員会の勧告を行なっています。その内容は、コース別管理などによる男女の賃金格差、間接差別への認識不足、パートタイム労働・派遣労働の低賃金・個人・家庭環境と職業・公的責任の調和での困難などに懸念を表明し、「真の意味での機会均等の実現促進の措置をとるよう勧告する。」となっています。
(参考:全労連のチラシ)→http://www.zenroren.gr.jp/jp/housei/data/kintouhou6-7.pdf#search

【均等法ではまだ不十分な間接差別の禁止】
均等法が06年に改正され07年4月1日から施行されました。それまでの均等法と比較して、妊産婦への差別の禁止などは一定の前進を見ましたが、間接差別の禁止については、不十分すぎる内容となっています。均等法での間接差別となっているのは次の3点に過ぎません。

1.身長と体重=⇒業務に必要ないのに募集や採用で一定の身長・体重を要件としたため、女性の多くが不利になる場合

2.全国転勤=⇒幹部としての能力の育成に転勤が不可欠といった合理的理由がないのに、総合職の募集・採用で全国転勤を要件にしたため、女性の多くが不利になる場合

3.転勤経験=⇒業務に関係ないのに、転居を伴う転勤経験がないと昇進しない要件を入れたため、女性の多くが不利になる場合。

以下に、東京新聞の2008年2月1日 朝刊から転載します。
【男女賃金格差は差別 兼松訴訟 東京高裁判決 原告が逆転勝訴】
 男女のコース別人事による賃金格差は違法として、総合商社「兼松」(東京都港区)の元女性社員ら6人が、男性社員との差額など計約3億8千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は31日、うち4人について原告敗訴の一審東京地裁判決を取り消し、賃金格差を差別と認定。計7250万円支払うよう命じた。

 西田美昭裁判長は「4人は経験を積んで専門知識を持ち、男性社員と同じ困難度の職務をしていた」と認定、「格差に根拠はみられず(男女同一賃金の原則を定めた)労働基準法に反する」と判断した。
 残る二人は、勤続年数が15年未満だったことや、専門性が必要な職務ではなかった−などの理由で訴えを退けた。

 一審は「(男女別の採用、処遇は)法の下の平等、性差別の禁止を定めた憲法14条の趣旨に反する」とした。しかし、同社が、コース別賃金制度を導入した1985年時点では、男女雇用機会均等法が男女差別をしないことを努力義務にとどめていたことから違法性は認めていなかった。
 訴えたのは、57−82年に入社した6人の女性。同社のコース別賃金制度では、男性を一般職、女性を事務職と一律に振り分けていたが、改正均等法施行前の97年、コースの転換を可能にする制度を導入した。

 判決後、会見した原告らは「4人の男女差別が認められた点は評価できるが、勤続年数などを理由に2人が認められなかったのは判断に苦しむ」と語った。
 兼松の話 当社の主張が一部認められなかったのは大変残念。ただちに上告の手続きをとる。

【肩書より職務内容重視】<解説>
 兼松のコース別人事による賃金格差を、男女差別と認定した31日の東京高裁判決は、「肩書」ではなく、実際の職務内容で賃金を決めるべきだと明確に示した。

 同種の訴訟では、野村証券の女性社員らがコース別男女差別を不当として同社を提訴し、2004年に和解。住友金属工業の女性社員らが男女の採用区分の違いで賃金差別を受けたとして提訴し、2005年に大阪地裁が差額の賠償を命じたケースがある。

 今回の訴訟の一審判決は、兼松の男女別の採用や処遇について「法の下の平等に反する」とまで指摘しながら、違法性は認めなかった。当時は男女雇用機会均等法が男女差別の禁止を努力義務にとどめていたこともあるが、企業側が「賃金が異なるのは採用形態(コース別)の違い」と主張すれば、男女差別の議論になりにくく、男女同一賃金の原則を定めた労働基準法違反とするかどうかまでは、踏み込んで判断しにくいからだ。

 外見的な採用形態ではなく、実際の職務内容を吟味して賃金を決めるべきだ−との判断は、1月28日の東京地裁がマクドナルド店長を非管理職と認定したのと同様、肩書ではなく職務内容を重視した司法判断の流れにある。正規、非正規社員の労働格差問題の議論に影響を与える可能性もある。 (寺岡秀樹)

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以前、人事部に勤めていた時、事務職員の募集かけたのですが、その時、人事部長がハローワークに「女性のみ募集」と書類を提出して怒られてました。で、表向きはただの事務職員募集に変更になったのですが、いざ履歴書が送られてきたとき、そこに男性の応募書類が1件混じっていました。
すると例の人事部長は
「事務職員の募集に男性が応募するなんてどういう神経なんだ」

3年ほど前のこと、契約社員から正社員の道を探すべく、某ハローワークの窓口に出向いて、職務経歴関係書類を提出したところ、
「営業事務って、営業のことじゃないよね。そうだよね。普通は営業って言ったら、男性の仕事だから、女性なのに営業職で雇われる確立少ないよねぇ。」

と男性職員。ハローワークに勤めている人でもそんな風に思うぐらいだから(今は考え方変わってきているのかもしれないけど)、世間ではそれほど以前から変化はないのかもしれないです。つまり、差別している本人は、その行為を差別と思っていない…悪意はなくやっている可能性も。
今回の判決と今後の動向をよくよく観察していきたいものだと改めて思います。

2008/2/2(土) 午後 8:11 chiisaiyoru 返信する

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自分が知らない内に、無意識で差別をしているということがあるのかも知れません、私も、現役で管理職だったとき、この仕事は男の仕事と考えていたこともありました。今思えば、間接差別だったのかもしれません。

2008/2/2(土) 午後 11:08 [ 風太郎 ] 返信する

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