レトリカル・クエスチョンに気をつけよう(コミュニケーションのヒント)
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レトリカル・クエスチョン(修辞疑問)というのは「質問の形をしているけれど、実は質問の答えを求めているわけではない」という表現のことです。レトリカル・クエスチョンを多用するのはコミュニケーションの品質低下を招くことがあるので注意しましょう。
典型的なレトリカル・クエスチョンを以下に示します。
典型的なレトリカル・クエスチョン
上司「おいおい、明日がリリースだというのに、どうして新機能を入れようとするわけぇ?」
この上司の発言は、確かに「どうして……?」という質問(クエスチョン)の形をしています。でも、おそらくこの上司は質問の答えを求めているわけではありません。この上司は相手に質問しているのではなく、相手を非難しているのです。以下のような文章を質問の形で表現しているのです。
「典型的なレトリカル・クエスチョン」で言いたかったこと
上司「おいおい、明日がリリースなんだから、新機能なんか入れるなよ。しょうがないなあ!」
レトリカル・クエスチョンは、私たちの日常会話でよく登場します。耳にすることも多いですし、自分が使う場合もあるでしょう。ちょっと意識してみてください。レトリカル・クエスチョンは驚くほど多用されていることに気づくでしょう。
ところで、普段からレトリカル・クエスチョンを多用していると、コミュニケーションの品質が低下してしまうことがあります。ここでは一つだけ説明しましょう。それは発言者は「質問」しているつもりなのに、相手は「非難」だと受け止めてしまうという場合です。
ある上司は、非難や叱責を行うときに必ずレトリカル・クエスチョンを使うとします。たとえば次のように…。
ある上司がよく使うレトリカル・クエスチョン集
上司「なんで、こっちの関数を先にテストしなかったんだ?」 上司「ライブラリの完成が間に合わないって、どうしていまごろになって言うんだ?」 上司「顧客の予定をまず押さえておけって、先週のミーティングでオレ言ったよな?」 上司「じゃあ何か、サーバがクラッシュがしたのが悪くて、おまえは悪くないっていうのか?」 上司「ほほう、1週間でとれなかったバグが1日でとれると言いたいのかな?」
何だか上の例文を書いていて気分が悪くなってきましたが、ともかくこういうレトリカル・クエスチョンを多用する上司がいたとします。さて、ある日、上司がやってきて、次のように一言いいました。
上司がいった一言の真意は?
上司「このファイル、どうして削除したんだ?」
さあ、これは「レトリカル・クエスチョン」であり、「削除したことを非難・叱責されている」のでしょうか。それとも「普通の質問」であり、純粋に「削除した理由を聞かれている」だけなのでしょうか。いつもレトリカル・クエスチョンを使う人の真意をつかむのは難しいものです。
「真意をつかむのが難しい」というのは、コミュニケーションの品質が低下していることにほかなりませんね。また、こういう場面では聞き返すことも困難です。なぜって、もし上司が叱責しているつもりだったら、怒りの炎に油を注ぐ結果になりかねないからです。
レトリカル・クエスチョンが多くないかどうか、自分の発言を振り返ってみてはどうでしょう。もしも、上司がレトリカル・クエスチョンを多用するタイプなら…うーん、どうしたら良いのでしょうね…。
さて、以下は余談です。
上司の発言が「レトリカル・クエスチョン(A)」なのか「普通の質問(B)」なのかの二通りあり、部下の判断が(A)と(B)の二通りあるのですから、想定対話が四種類できちゃいますね。
まずは不一致の例を二つ示します。
(A)-(B) の不一致
上司「このファイル、どうして削除したんだ?」 部下「中断したときにできた作業ファイルだからです」 上司「そんなこと聞いてるんじゃない! 中断の原因を調べるために必要だから削除しちゃいけないに決まってるだろう!」
(B)-(A) の不一致
上司「このファイル、どうして削除したんだ?」 部下「すみません! 何かまずかったですか?」 上司「なに謝っているんだ? 削除した理由を聞いてるんだよ!」 ※ちなみに「なに謝っているんだ?」もレトリカル・クエスチョンですね。
あなたの周りでは、上に示したような「不一致」は起きていませんでしょうか。
参考までに、一致している例を二つ示します。
(A)-(A) の一致
上司「このファイル、どうして削除したんだ?」 部下「すみません! 何かまずかったですか?」 上司「このファイル、中断の原因を調べるために必要だから削除しちゃいけないんだ!」
(B)-(B) の一致
上司「このファイル、どうして削除したんだ?」 部下「中断したときにできた作業ファイルだからです」 上司「そうか」
(B)-(B)の一致は平和ですね。
※注意:ここでは非難・叱責になるレトリカル・クエスチョンのみを例示しましたが、レトリカル・クエスチョンはそれだけではありません。
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