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夏の合宿(5)−子ども36人のパワー≠子ども1人のパワーx36人分

ゆきも@まにら

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写真:1日目の目的は、子どもたち同士が親しくなれるようなゲームやワークショップがたくさん!すぐグループに馴染める子もいれば、ずっと緊張気味でガチガチの子も・・・。

毎週土曜日のサバイタヨに参加する子どもたちで、経済的・家庭的な問題で学校に通い続けることが出来なかったカルロ君(仮名)は、この合宿をほかの子どもと違う思いで待っていました。カルロ君は13歳の男の子。お母さんとお父さん、そして8人の兄弟姉妹と一緒にICANのケアセンターのすぐ近くに住んでいます。小学校はなんとか卒業したものの、高校に入学することはできませんでした。一番幼い9歳の弟(サバイタヨのメンバー)をはじめ、彼の兄弟姉妹は、みんな学校に通っていません。カルロ君は、お兄ちゃんとお母さんと一緒に毎日ごみ山で働き、日々50ペソを手にします。

お兄ちゃんのベン君は、昔サバイタヨのメンバーでしたが、生計を助けるのに忙しく、毎週土曜日の活動に顔を見せなくなりました。上から二番目のお姉ちゃんは15歳の時に未婚で妊娠。赤ちゃんのミルク代を、カルロ君とベン君で賄っています。お父さんは少し大工の技術はありますが、定職はなく、一家の生計は、カルロ君とベン君、お母さんの稼ぎに頼っています。お母さんは、過去にICANが実施した技術訓練を受けたことがあり、時々SPNPで縫い物の仕事をして収入を得ます。しかし、瞬時に現金が手に入るごみ山での労働による収入が主です。

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写真:体を動かすアクティビティで徐々に他人だった仲間が近くなる。

カルロ君は、合宿を目前に頻繁になるサバイタヨのダンスの練習に参加することが出来ず、合宿への参加も迷っていました。自分のことを話すのを異常に恥ずかしがるカルロ君は、自己紹介の時も、グループワークの時も、そわそわと気が散るばかりで逃げ回っていました。

しかし、1日、2日と仲間たちと寝起きを共にするにつれ、新しくできた仲間がとても寛容であり、愉快であり、自分を迎え入れてくれると感じ始めたカルロ君は、諦めていたダンスの振り付けの遅れを取り戻そうと練習をはじめ、最後のソリダリティーナイト(=結束・連帯の夜)での出し物で、サバイタヨの一員として、立派にダンスを披露しました。

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写真:夜はキャンプファイアーを囲んで、合宿の最後の夜は、歌に踊り、創作劇などで延々と続きます。


ダンスの練習に打ち込むサバイタヨの仲間を思いながら、炎天下の中をごみ山の*裾野で働くカルロ君は、どんな思いでこの合宿を終えたのでしょうか。(*児童労働が禁じられているため、子どものごみ山への進入は規制されている)この2泊3日の非日常をカルロ君は、どんな想いで過ごしたのでしょうか?

カルロ君は、シャイな性格ゆえに新しく出来た仲間に自分のことをあまり話さなかったかもしれません。それでも、逃げ回って落ち着きのなかった彼の足が、自然と出し物のリハーサルをするメンバーの方に向き、気後れしながらも練習を始めたのです。その裏には、子どもたちが創り上げた素晴らしい合宿の雰囲気とパワーと活力がありました。

この合同合宿の目的は、子どもたちが日ごろ直面する「問題」を共有し、傷を舐めあい、解決させるためではありません。40人近くも集まると、子どもたちの威力は、異様なまでに何十倍にもなります。その集団的興奮の中で、こどもたち自身が自分の潜在能力を体感し、まだ出逢わぬ自分に出逢うことも大きな目的のひとつなのです。

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夏の合宿(4)−夏休み真っ最中の子どもたち?

ゆきも@まにら

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写真:グループワークでは、子どもたちがファシリテイトし、仲間の意見をお互いに引き出していきます。恥ずかしがり屋な友達には、かなり忍耐強く、優しくアプローチします。子どもって寛容ですね。

この2泊3日の合宿は、子どもたちと「ともに」歩んでいくICANにとって大きな挑戦でもあると共に、今回参加した36人の子どもひとりひとりにも、見えないところで大きな努力と苦労がありました。

この合宿を何ヶ月も前から心待ちにしていたサバイタヨの多くのメンバーたちは、3月末から全国で一斉に始まった夏休みの解放感の中、合宿に向けて、毎週必死にダンスの練習に取り組んでいました。ICANのほかの事業地の子どもたちとの合同合宿ということで、毎週土曜日の午後のサバイタヨ(青少年活動)のアクティビティのほかに、子どもたちは自主的に集まり、当日披露するダンスに磨きをかけていました。

パヤタスの学校は、学校の許容可能スペースに対する児童数が圧倒的に多いため、3部制となっています。3部制とは、たくさんの子どもたちが、一度に朝から夕方まで学校で授業を受けるのではなく、3グループに分かれて、順番に教室を使うのです。朝一の子どもたちは、早朝5:30から10:00、このグループが下校すると、次のグループが10:00〜14:00に、そして、最後のグループは14:00に登校して、18:00までの4時間授業を受けます。

日本と違って、学校に拘束される時間が短いものの、やはり、子どもにとって夏休みはまさに自由!を感じる時期だと言えるでしょう。コミュニティを歩いていても、学期中よりも多くの子どもたちが、はしゃぎまわっています。子どものこの「自由」な期間である夏休みに企画されたこの合宿ですが、今回参加した子どもたちすべてが、普遍的ともいえる夏休みの素晴らしさを謳歌しているわけではないのです。合宿を控えて盛り上がる子どもたちの中で、新学期も夏休みもない、「子どもの日常」を送る仲間もいました。

明日は、合宿を前に、興奮しながらも不安を増していたある男の子のお話をご紹介します。


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夏の合宿(3)-子どもひとりひとりが「主役」の3日間

ゆきも@まにら

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さて、Sama-Samang(みんな勢ぞろい)したところでやっと合宿の開始です!

今回の合宿の一番大きな目的はとてもシンプル。生まれ育った環境や人生経験の全く異なる3つの事業地の子どもたちが、お互いに知り合い、「友達」になることです。
普段こどもとは、教育支援を受ける存在、保護や支援の対象として見られることが一般的です。しかし、この合宿中、新しく出来た友達とともにアクティビティに取り組む過程で、子どもたちは、自分たち自身が「なにか」を変えていくパワーを秘めているんだ、と自覚し始めているようでした。この合宿では、開発だの貧困だの、格差だのといった難しいことについてお勉強するわけではありません。それよりももっとずっと大切な、異なる境遇の人と分け隔てなく仲良くなること、相手を尊重すること、思いやることを身体を動かすワークショップやゲームの中で真剣に学びます。きっとこんなことは、学ばなくても大人よりもきっと子どもの方がずっと優れているし、苦労して集まってこんなことしなくてもいいのかもしれません。

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写真:グループ毎に分かれて行なうワークショップでも、それぞれが、一人で自分と向き合う時間もたくさんありました。

しかし、好奇心旺盛な子どもたちが執拗に何ヶ月もICANに要求して実現したこの合宿は、ICANの子どもたちと「ともに」歩む事業の大きな第一歩に相応しいものでした。ごみ山で働く子どもは、紙のお皿に怒った顔を描き、勉強を続けられなかったことを怒りとして表現し、グループに共有しました。またある子どもは、家族いないことを寂しい顔に描き、ある子どもは、お腹が空くことを不安そうな顔の絵で表しました。自分には家族や兄弟がいるのに、いない子どももいることを、辛い顔を描いて表した子どももいました。でも、子どもたちには、ハッピーなこともたくさんあります。多くの子どもが、家族が元気で暮らせていることの喜びを共有したり、悠大な自然、おいしい空気、豊富な水に恵まれていること、友達がたくさんいて遊べることの嬉しさなどを共有しました。

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写真:夜遅くまでグループワークに必死に取り組む子どもたち。ファシリテイトしている青いシャツの男の子は、ブボイ君。幼少時代を路上で寝起きしながら生き延び、現在は、サンマルティンの家で学校に通う小学校5年生。

2泊3日の合宿を通して、子どもたちの、辛い経験、幸せな経験、苦労の経験のそのひとつひとつが何にも変えられない崇高な経験であることを改めて思い知らされました。その人生経験のユニークさゆえに、子どもたちには弾けるような笑顔とともに、辛い記憶がよみがえり、泣いてしまう場面もありました。そんな子どもたちを間近に感じながら、「わざわざ集まること」と大切さを認識することができました。子どもたちが泣いたり笑ったりして語っているうちは、きっと将来はあかるい!子どもたちと「ともに」というよりも、彼らのパワーに押されて恐ろしいことになりそうな予感がしながら、幕を閉じた合宿でした。(次回の合宿はいつなのか、次はなにがやりたい、という半ば脅しのような子どもたちからの要求が続くのでした。)


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夏の合宿(1)−事業地の子どもたちが大集合!

ゆきよ@まにら

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去る17日から19日まで、ICANの3つの事業地の子どもたちが集まり、キッズパートナーの合宿を行いました。ごみ集積場周辺コミュニティ・パヤタスから16人、先住民族の村サンイシロから10人、路上でかつて暮らしていた子どもたちを支えるサンマルティンの家から10人。13歳から18歳のさまざまな境遇の子どもたちがサンマルティンの家(ブストス、ブラカン州)の敷地を借りて一同に会し、友達になり、自分を見つめ知り伝え、そして相手を理解するという取り組みです。

ICANとしては、これまでの既存の学校教育だけでなく、学校外の教育(ノンフォーマル教育)が、とくに経済的社会的に小さな存在とされている子どもたちのエンパワーメントには必須であり、ここに社会変革の希望があると信じて、このキャンプを実施しました。まず小さな一歩を踏み出した記念すべきイベントです。

子どもたちが自分のこと、自分の思い、自分の考えをことばにして出していく場は、実はそんなにたくさんありません。この合宿は、自分をことばに出して表現する訓練のひとつともいえたと思います。ことばにするためには、自分と向き合わなくてはなりません。自分を見つけなくてはなりません。いろいろなワークショップを通して、子どもたちは「自分はどうなんだろう」という自分探しをしました。

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今回の合宿で興味深かったのは、恥かしがり屋のサンイシロの子どもたちと、リーダーシップをがんがん発揮する、サンマルティンやパヤタスの子どもたちとの大きなギャップでした。考えてみれば、サンマルティンの子どもたちは、路上でのサバイバルや現在の集団生活などから、ある程度「声をあげる」ことに慣れています。パヤタスの子どもたちは、毎週土曜日ICANコミュニティケアセンターで行われている「サバイタヨ」という青少年活動に参加しており、現在は年少の子どもたちの活動を年長の子どもたちがファシリテートできるまでに成長しています。

一方サンイシロの子どもは、スタディツアーを受け入れるための企画を自分たちでできるようになってきていますが、横のつながりもそれほど強くなく、ひとりひとりの表情も固く、合宿中はその彼女たちの「静けさ」が際立ってしまいました。去年高校を卒業したお姉さん役のジョナリン以外は、意見を求められてもそろって下を向いてしまい、ほかの事業地の子どもたちともどのように接していいのか戸惑っている様子。

2日目の夜のキャンプファイヤーでは、サンマルティンの子どもたちがコメディ劇を、パヤタスの子どもたちが華麗なダンスを披露する中で、サンイシロの子どもたちは、なかなか出し物が決められません。「だって、私たちはこのキャンプのために練習する時間もほとんどなかったし、準備ができてないから。。。」としり込みしてなかなかみんなの前に出られません。(パヤタスの子もサンマルティンの子もこのキャンプのために出し物を事前に準備していたわけではない。)それでもみんなの声に押し出されて前に並んだサンイシロの子どもたちは、みんなで1曲歌を歌いました。聴衆の子どもたちも両手を挙げて揺らしながら一緒に歌います。

2泊3日はあっという間にすぎました。アンティポロの町から1日1本しか出ないサンイシロ行きのジープに間に合うように、サンイシロの子どもたちは帰る準備をして朝から車に乗り込みました。帰りの車では、
スタッフのマデットに子どもたちが言っていたそうです。「私たちは恥かしがり屋だけど、決して楽しんでないわけじゃなかったの。とても楽しかった!」「今度の集まりでは、私たちもちゃんと話するようにするわ。」

今回のキャンプがひとりひとりの子どもによい種をまき、これからその芽が少しずつ大きくなって、いつか豊かな実を結べることを願っています。

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