中田英寿現役引退〜一つの時代の終焉〜
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本当は今日は別の内容を書こうと思っていたのだが、どうしても書かずにはいられなくなった。 中田英寿、現役から引退・・・ ブラジル戦敗退後、ピッチに倒れ込み涙する彼の姿を見た時、家の母親はポツリとこう言った。 「ヒデ、辞めちゃったりしないかしらね・・・」 正直、それと同じ思いは俺の頭にもよぎっていた。以前から、今回のワールドカップで代表を引退という事は囁かれてはいた。でも、現役を引退する事は、よほどのことがない限り、まだないだろうと思っていた。それがまさか現実になるとは・・・ 彼は自分のできるプレーを精一杯こなし、走り、そして燃え尽きた。中田英寿という男は、誰よりも誇りを持ち、魂を燃やし、世界で渡り合うために必要な事を、常に問いかけていた。 今回の日本代表、いや、この4年間の日本代表を見ていると、残念ながら、その思いに応じられる選手がほとんと存在しなかったように思う。 何より、中田がいないときの日本代表の試合を見ると、選手間で議論を交わしたり、言葉を掛け合う場面がほとんど見られなかった。練習でもピッチの上でも、である。選手達の仲は非常に良いのだろうけど、裏を返せば、仲良しグループ過ぎた面があったのかもしれない。そして、それが曖昧さを生み、中田との距離間が修復可能なまでになっていったのではないだろうか。 中田を巡って一つ残念なことがある。先日、某週刊誌に『中田英が日本代表を敗退に追い込んだ元凶だ』という記事が載っていたことである。 中田がチームの和を乱し、自分を売り込むことしか考えてない結果、チームに亀裂が生じてしまったという内容である。代表メンバーの一人と、とあるスポーツーライターの証言に基づいているらしい。何を根拠に書いているか知らないが、こんな記事が出ること事態、悲しくてならない。 もし、彼が本当に自分のことしか考えていないのなら、チームメイトに対して、あんなに厳しく叱咤したりするだろうか。自分のことしか考えないなら、何も言わずに自分のことしかしないはずだ。 そもそも1年前、ワールドカップ出場を決めた後、中田が言った言葉を思い出して欲しい。 『このチームにはまだ世界で戦い抜く力はない』 現実をしっかり解っていたからこそ、自分も周りも、ここで浮かれてちゃいけないよ、って言うことを自覚していたからこそ、発した言葉ではなかろうか。 振り返ってみてみると、中田はこの4年間、色んな物を抱え込み、自身がどんどん消耗して行ってしまった様に思う。悲しい事に監督までもが中田を頼ってしまっていた。「中田に任せれば大丈夫」その思いから、本来監督がすべきことまで、彼が背負わなくてはならなくなったように思う。それこそが彼にとって最大の不幸ではないだろうか。 中田はこれまで年代別代表、2度のオリンピック、3度のワールドカップに出場し、中心選手として活躍してきた。それはプレーだけではなく、精神的支柱としても日本に大いに貢献してきた。彼はまだ29歳。まだ老け込む歳でもないし、実際はまだまだやれるはずである。個人的にはカズやゴン中山のように、誇りと情熱を若い世代に伝えるためにも、まだまだ頑張って欲しいと思っていた。 だが、彼の中で、何か思うことがあり、考えに考えた末、今回の引退を決断したのだろう。その意思は尊重したいし、敬意を払いたい。 中田が引退した事によって、日本サッカーは一つの時代が終わってしまったようにも思う。ピッチの上で駆け回り、自分の意思を熱く主張し、オーラを出し続ける選手を見ることはもう出来ない。そう思うと、寂しさが込みあがってくる。 そして思う。この先、中田のような存在の選手は現れるのだろうかと。日本の若手選手は、この10年で技術面では大きく向上した。しかし、それと反比例するように、おとなしい選手が増えていっている。特にここ数年のユース世代はその傾向が特に目立つ。踏ん張りと集中力が続かずに、ガタっと崩れてしまうのだ。これはサッカーに限らず、今の若い世代すべてに言えるのかもしれないが、正直、とても不安でならない。 もっと逞しく、強い意思と情熱を持った選手が現れることを切に願う。中田が我々に見せた思いを、一人ひとりが胸に刻んで引き継いでいって欲しい。今はただそれだけを思う。 最後に、中田選手に。 これまで、本当にお疲れ様でした。あなたが去ってしまうのは、本当に悲しいですが、新たな道でも、あなたらしく活躍されることを心から願っています。 本当にありがとうございました。
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