日吉幸絵は帰らない2
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僕は死にたがりだ。とはいってもそんな重度の死にたがりではなく、時々無性に死にたくなる程度のごく軽度なものだった。
そんな時、決まって僕は左手の手首を切る。当然死ぬためだが、それでも最近手首を切っただけでは死ねないってことが分かってきた。しばらくそのまま放置しないとどうやら死ねないらしいのだ。
しかし僕は手首を切ったまま放置しておくと激しい嫌悪感に見舞われるため、いつも途中で止血してしまうのだった。
それでもリストカットしてしまうのは、いわゆる「死んだ気分」になれるからに他ならない。
実際死ななくたって、死んだ気分になれば気持ちは切り替わる。気持ちの切り替えという意味で僕はリストカットをし、今までの僕を殺すのだ。
その日から僕の学園生活は変わった。やはりクラスメイトの態度は豹変し、僕に対して高圧的な態度をとるようになった。
そして誰が伝えたか、他クラスの不良生徒がこの事を知っており、僕のクラスへと来た。今まで僕の存在すら知らなかったであろう不良どもは今、目の前にいいおもちゃがあるといった好奇心に満ちた目で僕を見ている。
「お前、リストカットしているらしいな」
「それが?」
「ふざけんなよ!」
怒鳴り声を上げた不良の一人を、始めに話しかけてきたリーダー格の男子が右手で制止する。それから彼は口を開いた。
「リストカットしてるということは死にたいってことだろ。だったらよぉ、その身体で俺達に奉仕してくれないか?」
暴行の的になれ。恐らくそういう意味と見て間違いないだろう。こいつらに身体を提供するくらいなら、死んでしまった方が何倍もマシだ。
「そんな趣味あるんですか?」
リーダーの下半身を見て不快感を表情に出す。さすがのリーダーもこれは頭にきたようで、僕の机を思いきり蹴り倒した。それにしても何で僕はこう、人の神経を逆撫でしてしまうのだろうか。
リーダーが胸倉を掴んで引き寄せる。
「ナメてんのか?」
「舐めましょうか?」
舌を出して唇を這わせる。リーダーの理性がプツンと切れた。彼は胸倉を掴んだまま、右拳を握って大きく振りかぶる。あれだけ大きく振りかぶるものだからカウンターパンチを打とうと思えば打てるのだが、残念ながらそんな気力は出なかった。
「死ねや」
リーダーがそう言い、頬に向けて右拳が飛んできた。
しかし一向に頬に衝撃がくることは無かった。
「何をしてる!」
殴られる寸前、担任の上園がもの凄い勢いで教室へと入って来た。さすがに教師の前で暴行を加える気は無いらしく、舌打ちして胸倉を掴んでいた手を離した。
「今に見てろ」
まるで敗北した悪役みたいな捨て台詞を残し、不良生徒どもは去っていった。そんな彼らを鬼の形相で見送った上薗は一息吐いてから僕に視線をよこす。
「それから結城、ちょっと職員室へ来い」
今まで僕が職員室に呼ばれたことなどないし、何かした覚えもない。ならば心当たりは一つしかない。それにしても、もう教師の耳に入ったか。そう思いながら僕は大きく嘆息した。
To be continued
どうもこんばんわ、Ifです。
さて、ネガティブストーリーは今回辺りまでとなります。
次回からはネガティブ展開は多少和らぎます。
では、本日はこれで。 |






