If…ブログ

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変質恋愛白書 第六話―22

 言葉が出てこなかった。自分の気持ちを表すのにふさわしい言葉が見つからなかった。
「…………分かんねえや」
 結果口をついて出た言葉がそれだった。強がったって仕方ない。分からないものは分からないのだ。
 史は俺の言葉に不満を持つことなくニコリと笑みを浮かべる。「そっか」
 彼女は何て強い人なんだろう。率直にそう思う。自分が好きだと告白して、相手から「分からない」と言われたら、俺ならどのような反応をするだろう。
「ってことはまだチャンスがあるんだよね?」
 史は尋ねる。彼女の強さはこのポジティブさゆえか。
「かもな」
「よし、頑張る!」
 史が拳を軽く握って振る。こういうところはどこか子どもらしい。
「さあ、帰ろ」
 史は帰り道を指差す。先程の告白のことなどすっかり気にしていないかのように。
 もう一度、真剣に史のことを考えてみよう。おばあちゃんじゃなくて、一人の女性として。幸い俺のことを待っててくれるみたいだ。その時間を有効に利用して彼女を異性として意識できるようになった時に改めて彼女に想いを伝えよう。
「……今行くよ」
 俺は両手の買い物袋を握り直し、自転車を引く史の隣を歩いた。
 
End
 
どうもこんばんわ、Ifです。
第六話が無事に終了しました。思ったほど変質でもない気がしましたがまあこんな恋愛もありってことで。
次回はとびっきり変質なものにしたいと思います。お楽しみに。
では、本日はこれで。

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他人には言えないオシゴト 第2話−44

「夜の学校ってやっぱり怖いですね」
「そうか、私はむしろ夜の学校の方が暗くて精神統一には相応しい良い場所だと思うのだがな」
 遥は首を左右に振る。深夜の学校なんて、特務隊の活動でなければ死んでも願い下げだ。それにしてもと遥は思う。何で今日に限って深夜徘徊のパートナーが弁慶なのだろうか。
 とりあえずは、男女のペアで深夜徘徊を行うということになった。それでくじ引きの結果彼女は弁慶とパートナーになったわけだ。
「弁慶さん、私幽霊とかは一切ダメなんでいざとなったらお願いしますよ」
「そう言われても私は物理干渉の出来ない相手と戦うことは出来ないしな」
 弁慶は渋面を作る。変に真面目なんだからと遥は冗談交じりで彼の肩を叩いた。
「何だか肝試しみたいですね」
「これが肝試しというものか。全く肝の冷えないものだな」
 弁慶にとっては何が肝試しとなりうるのか、彼はとんでもないものを想像していたに違いない。
 
To be continued
 
どうもこんばんわ、Ifです。
すいません、学校生活に慣れるためにしばらくお休みをいただいてしまいました。
これからも平常更新を心がけて行きますが、もしかしたら度々お休みをいただいてしまうかもしれません。
では、本日はこれで。

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ショート・ショート・ショート その54―3

「ヒカル、ここはこうした方がいい?」
「ヒカル君、生地が綺麗に焼けないんだけれど……」
「ちょっと、ヒカルさんは私の物ですよ!」
 今日も今日とて女子三人に挟まれて料理班のメインを任されている。女三人寄れば姦しいとはよく言うが、そのレベルを超えてしまっている。
「そんなこと俺に言われたってよく分からねえよ。スイーツなんてほとんど作らんし」
「料理班のリーダーなんだからあなたが責任を持ちなさい」
「責任って言ってもな……」
 悪いけれども全くもってリーダーという自覚も責任感も持ち合わせてはいない。むしろ他の男子陣と同じサポートメンバーを希望するよ。
 それを言ったとしても認められないだろう。文化祭に関しては俺は特別扱いなんだ。
 女子陣にからも男子陣にからも自分の心地よい立場を与えられないまま、俺は料理を作り続けて文化祭準備期間を過ごす。
 ……はあ、早く文化祭が終わらないだろうか。
 
END
 
どうもこんばんわ、Ifです。
何だかわけのわからない展開になりましたが、今回はこの辺で。
では、本日はこれで。

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ツーピース・パズル15

 紡は無言で頷く。浩人がそう言うのも無理はない。眼鏡の有無の差はあるが、綾に眼鏡をかけさせたら全く見分けがつかない。
「最初、母さんの生まれ変わりなんじゃないかと思った。だけど、しばらく見ていると、致命的に母さんと違う所があったんだ」
 一拍間を開けてから外見では判断できない違いを浩人は口にする。
「綾は、どうしようもないくらい引っ込み思案だった」
 やはりと紡は思う。欠点の見当たらない綾の唯一の欠点といえば、そこだった。容姿端麗才色兼備、これ以上なく恵まれているのに、前に出ようとしない。謙遜してばかりで、自分に自信がない。今こそ少しばかり積極的になってきたが、それでもこれまでの人生を相当損したことは間違いなかった。
「腹立たしかったんだ。そこまでの才能も容姿もあるのに、決して全てをさらけ出すことはなかった。俺の母さんはそんなことはしない。出せるものを全て出し切って人の役に立とうとするはずだ」
 自分の母親と同じ顔をしている女子が、母親と全く違うことをしている。これは浩人にとってもどかしい限りだろう。
「あとは恨めしいばかりだった。綾のことを凄く疎ましく思っていた。そして、俺は――」
 突如浩人は俯き、そのまま動かない。心なしか、彼の体が小刻みに震えている気がした。
 泣いてる?
 紡はそう思い、失礼だとは思いながらも彼の顔を覗き込む。そして、確信に変わった。
 一筋の涙が頬を伝う。彼は、泣いているのだ。
「――俺は、とんでもない過ちを犯してしまったんだ……」
「……辛いとは思いますが、その過ちをお話していただけますか?」
 浩人が綾に何をしたのか、彼女の相談を請け負っていないとしても気になる話だった。
 彼はしばらく言うか言うまいか悩んでいたようだが、やがて意を決して口を開いた。
「……この学校に入ったばかりの頃、彼女は友達が出来なかったんだ」
 それは綾から聞いた。他の生徒から疎ましい目で見られて友達が出来なかったと。
「彼女はクラスメイトから嫌われていた。いや、誰かのせいで嫌われるように仕向けられていたんだ」
 紡は無意識の内に頷いた。後のことは言わないでも理解出来た。つまり――
「……クラスをそう仕向けたのは、俺だ」
 ――浩人こそが、綾の悪夢の数日間の立役者だったのだ。彼女を悪夢から救い出した男が、その元凶だったのだ。
「とてつもなく恨めしかった。母さんと同じ顔した綾が母さんと全く違う性格でのうのうと生きているのが」
 浩人はまるで自分が殺人を犯した時の動機を述べるような口調で事実を口にする。そして悔しそうに机を拳で殴る。きっと自分の犯した過去の過ちが今でも許せないのだろう。
「でもさ、ある時気付いたんだ。彼女は母さんと全く同じ行動をすることがあるんだって」
 その行動とは何か、紡が聞こうとする前に浩人は言葉を続けた。
「困ってどうしようもなくなった時さ、二人とも全く同じように笑うんだ。母さんは『困った時は、笑えばどうにかなるから』ってよく言ってた。その言葉を思い出したんだ」
「……それで、その後は……」
「もう綾のことを恨めしく思うことはなくなっていた。その代わりに、後悔の念が俺を襲ったんだ。どうにかして彼女を今の境地から救ってあげたいと思って、クラスの皆に悪いと思いながらも、彼女に話しかけた。そしたらどうしたと思う?」
 突然質問されたので紡は言葉に詰まる。しかし浩人も答えを聞く気など毛頭なかったらしく、すぐに口を開いた。
「綾、笑ったんだ。俺が全て悪いのに、そんなことも知らないで、まるで聖母のように俺を罪から救ってくれるとでも言わんばかりの笑顔で……」
 紡も綾の笑顔を見たことがあるから分かる。その時の彼女の太陽のような笑顔は、浩人の目にそう映ったのだ。
「でもさ、こんな悪事を働いていた俺が、綾と付き合えると思うか?」
 その時紡はようやく彼のピースの凹みの正体に気付く。
あれは、彼の罪悪感の表れだった。それと同時に、母親を失った悲しみから、人を愛する心、愛情が完全に欠けていたことを示していたのだ。
つまり、彼のピースの穴を埋めるには、ありったけの愛情を注いでやらねばならない。それが出来るのは、他でもなく綾一人だけである。
 しかし目の前の浩人は今、綾の愛情を拒もうとしている。罪悪感から、彼女を拒絶しようとしている。
どうにかして、浩人に愛情を再び与えてやりたい。そして、二人の重なった美しいピースを見てみたい。紡はそういう欲求に襲われ、気づいた時には口を開いていた。
「きっと、綾さんはあなたのことを許してくれると思いますよ」
「えっ……」
「だって、綾さんの聖母のような笑顔はあなたに向けられたものなのですから。きっとあなたは許されたはずです。それに、今もお弁当を作ったりして、一生懸命あなたに尽くしてくれているんでしょう?」
 お弁当の話は彼から聞いていなかったので紡は少しヒヤリとしたが、彼は別段不思議に思った様子もなく、一度涙を拭う。
「……そうだけど、それは俺が影でこんなことをしていたことを知らないから……」
「罪の意識ですか……」
 浩人は無言で頷く。やはり罪悪感がある以上、綾とは付き合えないということか。紡はしばらく考え、やがて博打に出ることにした。
「それならば、綾さんに面と向かって罪を洗いざらい吐き出しなさい。そうすれば――」
 あっ。
 ふと脳裏に洋子の姿が浮かんだ。まだ彼女に全てのことを白状していない。紡は無意識下でそう思っていた。彼女に悪いことをしたとは思っていない。だけど、洋子の機嫌が悪いのは紛れもなく紡のせいだ。彼女に謝らなければならない。
「――どうかしたか?」
「あ、いや……」
 浩人が首を傾げて紡を不思議そうにのぞいている。気づいた時には彼の涙は消え、晴れた表情をしている。どうやら紡は洋子のことを考えているうちに全てのことを言い終えていたらしい。
「分かった。とりあえず綾に謝ってみるよ。それから彼女と付き合うかどうかは決める。相談にのってくれてありがとう」
 彼はそう言うと足早に教室を後にする。
 紡は無意識の内に言っていたことを少し不満に思い、洋子のことを再び思い出す。しかしそれを振り切って、それとは別に祈っていた。後は神頼みでしかない。どうか、綾の心が彼を包み込めるように……
 
To be continued
 
どうもこんばんわ、Ifです。
そろそろこのお話も佳境に入ってきました。
続きをお楽しみに。
では、本日はこれで。

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ここは女子寮アヤメ荘 第三話―13

 仕事が終わり、どっと疲れがでてくる。やはりテレビの仕事はボクには向いていない。こんな重労働を難なくこなす蘭には頭が上がらないだろう。
「お疲れ様」
 蘭がペットボトルを手渡してくる。本当はこれだってボクがやってあげなければならない仕事なのに、ボクはマネージャー失格だ。
「今日は助かったよ。ありがとう」
「いや、ごめんね。全然マネージャーらしくできなくて……」
 蘭が首を左右に振る。
「今日のお仕事は、絶対にカオルちゃんに出てもらいたかったの」
「何で?」
「だって、カオルちゃんだったら私がリラックスできるもの」
 タレントをリラックス状態にさせる。それもマネージャーの仕事なのだと、今蘭に言われて理解した。
「じゃあ、また時々お仕事頼むね」
「……いや、勘弁……」
 さすがにもう二度とはできまい。こんなことを続けたら精神が持たない。
 かくして、ボクのマネージャー初体験は幕を閉じた。
 
To be continued
 
どうもこんばんわ、Ifです。
ひとまず、第三話の蘭編が終了しました。というのも、第三話はオムニバスですので、これから各ヒロインに焦点をあてていこうとおもいます。次回は誰になるか、お楽しみに。
では、本日はこれで。

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