なくさない! 飯坂温泉 共同湯

2006年の共同湯4湯廃止問題を受け「なくさないで!飯坂温泉 共同湯」として開設。2016年は「震災後」関連エントリも更新予定

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昨日の記事、三橋紀夫先生の「放射線を考える」の、冊子からの続き

確定的影響と確率的影響

確定的影響(私の注:これは、放射線源の近くにいて直接放射線を浴びるという考え方だと思います) 身体を構成する細胞が放射線によって大きな障害を受けた場合に受ける異常。
 放射線に対して最も弱いとされる白血球の減少でも、500mSv(閾値)という線量が必要。
 この線量より低い線量であれば、まったく問題にならないことになる。これより低い線量を被曝した
 場合には回復があるため、一定期間をすぎていれば障害は完全に修復されて蓄積されることはない。
 一方、500mSvを超えると線量の増加とともに、症状は重症度を増していく。
 
確率的影響(私の注:世の中の放射線怖い病の方は、こちらを問題にしている
 遺伝的影響と発がんの2つがあり、放射線によってDNAに異常(突然変異)が起こることが原因と考  えられている。確定的影響と異なり、閾値が存在しないので、放射線を浴びれば浴びただけの遺伝的 影響や発がん率が増加。しかし因果関係を明らかにするには、統計的・疫学的分析が必要。
 
・放射線による発がん
 広島・長崎での被曝者を対象とした成果から、100mSv(=100000μSv一般公衆の年間線量限 度の100倍)の被曝をすると、致死的ながんの発生頻度が自然のがん発生頻度と比較して0.5%程 度増加すると推定。
 すなわち、1Svごとにがん発生率の確率が5%増加するとしている。
 疫学調査では、放射線量が低くなると、放射線を被曝した人と放射線を被曝していない人の差は
 明らかでなくなるため、100mSvより低い線量の被曝では、がんの発生を気にする必要はないと言わ れる。
 
・確率的影響の出現する線量・・・・混乱
放射線は危険としたい人々の考え方(閾値なし):0mSv
       (原子力と放射線の利用に反対するグループの宣伝材料として利用)
厳しい見方の研究者の立場:50mSv
多くの研究者の考え方:100mSv
危険でないとしたい人々の考え方:200mSv
 
・直線閾値なし仮設を遵守するには批判もある。「放射線に関する知識を持たない人々を、必要以上に恐れさせる結果を招いている
1)医療被曝に恐れを抱いた患者が放射線利用を拒否するという事態が発生。
2)また、チェルノブイリの事故の際には、ほとんど考慮の必要のない極微量の被曝にもかかわらず、妊娠中の胎児を中絶してしまう人が続出するなど。
 
確率的影響に閾値があるのかないのか、あるとすれば、どこなのかについては長年論争の的になっており、現在も確定していない。
 

放射線発がんのリスクは社会生活で遭遇するリスクより本当に高いか?

直線的閾値なし仮説(LNT仮説)の意味を拡大解釈すると、大きな集団がわずかな放射線量に被曝した場合も、少人数が多めの放射線量に被曝した場合も、どちらも発生する健康被害は変わらないというという結論となる。つまり、100mSvを200人が被曝=1μSv200万人が被曝、集団ではがん死する人数は同じという仮説が成り立つ。となると、いずれも集団積算線量は20[人・Sv]となり、被曝1Svごとにがん発生の確率が5%あるとしているので、1人ががんになる被曝となる。
いいかえると、10万人の人が年間に1mSv被曝すると、100[人・Sv]になり、5人が発がんするというリスク。
 
→医学部の学生に、「この確率で発がんするとき、自分はがんになると心配になりますか」と質問すると、ほとんど全員が「自分はがんになる」と答えます。
しかし、「10万人に5人しか合格しない試験を受験したとき、合格する自信がありますか」と質問すると、今度はほとんど全員が「合格できるわけがない」と答えます。
皆さんはどうでしょうか。発がんと合格の確率は、双方とも2万人に1人という同じ確率です。
広辞苑で「万が一」の意味を引いてみてください。そこには「ほとんどないが、きわめてまれにあること」と記載されています。これは、確率に対する日本人の教育がきちんとなされていないからではないでしょうか
 
 
社会生活で遭遇する一般人や職業人のリスクとの比較
           一般人                  職業人
年間10人に1人 80歳以上死亡            林業60〜69歳死傷
           新生児の遺伝性疾患
100人に1人   0歳児死亡
1000人に1人  男性胃がん死亡            建設業転落・転倒死傷
1万人に1人    幼児の不慮の事故          鉱業死亡、運輸業死亡、
           女性乳がん死亡            建設業死亡
10万人に1人   火災による死亡            全業種交通事故死傷 
                                 農業死亡
100万人に1人  高速道路事故死亡          全業種感電死傷
                                 全業種溺死
1000万人に1人 通り魔殺人、落雷死亡

 
あとがきは、PTA会長さんのことばです。
震災後、原発についてのメールが回り始めました。東大附属保護者の元にも「西へ逃げた方がいい」「3号機はMOX燃料だから、あれが爆発したら大変だ」というようなメールが飛び交いました。
メディアにおいては、「安心していい」と発言する専門家は、「御用学者」「原発村の住人」という批判がされ、同じ数だけ「危機を訴える」学者が現れていました。
この頃の気持ちを一言で表現するとすれば、「ヒリヒリする」という感じでありました。不安が燃え上がってしまうぎりぎりの状態であったと思います。
エキセントリックな報道にふれるばかりで、実際に「放射線とはどうして危険なのか」ということを知る機会は、ほとんどなかった状況であれば、いろいろな憶測やデマなどに不安を募らせる家庭があるのは当然のことでしょう。
週刊誌で我が校OBの三橋先生のコメントを見たのはこの頃でした。自らの子供を通わせているOBの話であれば、特に信頼して冷静に耳を傾けることができると思ったのが、本書の発行に至る道のりのスタートで
ありました。
 
離れている、首都圏においても不安がる親の方の気持ちが、ここに書かれていますね。
私が思うに、やはり、幅広い知識を持ち、さらに子供のいるご家庭の親のほうが
放射能パニックに陥りやすいと思っています。「3号機がMOX燃料・・・」というような話が
メールで回るなど、普通の会話?とは思えません。
そこでデマに翻弄されていくのか、この会長さんのように、何か信頼できるよすがを探し、
自分のためのみならず保護者全体のために、HPで特集し、このような冊子という形にしたということは
素晴らしいものだと思いました。
 
都会にいて、情報も豊富でネットワーク化にもすぐれ、信頼できる専門家を身近に持っているインテリ層の方々、
ぜひこういう活動をしてほしいです。
 
 
この冊子は、「わかりやすい安全」を保証してくれるものではなく、
「苦労して放射線のメカニズムを理解する」ためのよき導き手です。
ですので、ブログで抜き書きすることは至難の業でした。
これでも十分とは思っていませんが、特に私が大切だと思ったところです。
参考になれば幸いです。

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