|
欠陥住宅保険の義務化?
今朝の日経新聞1面トップ記事・・・
ここ10年前後は、世の中のさまざまな分野にわたる規制緩和の流れの中で、住宅建築分野においても、建築基準法が改正され、いわゆる「仕様基準」から「性能基準」へと大きく舵が切られ、一定性能さえ満たせば「仕様」は問わない・・・新しい工法による応用的な建築技術も許容するという考えかたに変わりました。
また、建築基準法による「最低基準」とは別に、安全性や快適性などの住宅性能を客観的な基準で格付けし、透明・公正な取引を担保するための住宅性能評価制度や、主要構造部分に関する売主・施工業者の10年瑕疵保障責任の法定化&任意制度としての瑕疵保証保険の整備などが進められてきたところです。
こういう流れは、大雑把な表現をすれば、業界の護送船団方式・消費者保護政策から自己責任政策への移行ということができるのではないかと思います。
そういう流れの中にあって、今回の「欠陥住宅保障保険」の「義務付け」というのは、正直、戸惑いを隠せません。
もちろん、消費者を保護するという大義にはなかなか反論しづらい面がありますが、政府が「保険を義務付ける」というのは些か違和感を抱かざるを得ません。
このような保険は、物件の検査を前提とするでしょうから、最低でも1戸当たり数万円以上のコストがかかるはず・・・
これを、すべての住宅建設に求めることになれば、それはすべてのエンドユーザーの負担に転嫁されることになります。
既にして、現在の制度でも、住宅性能保証制度に基づいての「住宅瑕疵保証保険」という任意の保険制度があるわけで、これでも一定にセーフティネットとしての機能は果たせるはず。
※このブログに書いた瑕疵保証保険関連の記事
http://blogs.yahoo.co.jp/iku_yamakawa/11851271.html?p=2&pm=l
車でいえば、「自賠責保険」みたいなものかもしれませんが、そこまで、法律で義務付けする必要があるのかどうか・・・
例えば、品質水準がかなり安定的に推移していて、耐震偽装の心配までしなくて済みそうな1戸建ての工場生産プレハプ住宅・・・積水とか大和とかハイムとか三井ホームとか・・・そういうものまで本当に保険の義務付けが必要なんだろうかと訝るばかりです。
先の耐震偽装事件では、国土交通省の落ち度がクローズアップされないように・・・というのは少し穿った見方かも知れませんが、結果的に見れば、うまくスケープゴートが用意されて、叩かれて、そのうちに社会の関心が移ろってしまったように思います。
今回の国土交通省の新法制定の動きは、行政責任をカムフラージュするものとも見えて、だからこそ広く消費者の負担を求めての問題解決手法は、いかにも安易な、時代の流れに逆行する規制強化の動きだなぁ・・・と思うのです。
■日本経済新聞 [2月23日/日本経済新聞 朝刊]
欠陥住宅補償、売主に保険加入義務・09年度メド
国土交通省は耐震強度偽装の再発防止策の一環として、欠陥住宅の被害を補償する新制度をまとめた。 2009年度半ばをめどに、一戸建てやマンションなどすべての新築住宅の売り主に「欠陥住宅保険」への加入か、補償に充てる資金の供託を義務付ける。売り主が経営破綻しても欠陥住宅の補償を確実に受けられる仕組みを整え、被害者が保険金や供託金で補修や建て替えをできるようにする。
国交省は新制度を盛り込んだ「特定住宅瑕疵(かし)担保責任履行確保法案」を3月6日にも閣議決定し、今国会に提出する。
現在でも新築住宅の売り主は10年以内に欠陥が見つかった場合、買い主に補償する責任を負う。しかし05年11月に発覚した耐震強度偽装問題では売り主が経営破綻して責任を果たせず、被害者が二重ローンを負う事態が発生。補償資金を確保する仕組みづくりが課題となっていた。
■建通新聞(2007/02/21)
【東京】住宅瑕疵担保責任の履行確保法案
住宅の瑕疵(かし)担保責任履行を確保するための法案概要が固まった。新築住宅の売り主などに対して、住宅供給戸数に応じた保証金の供託を義務付ける一方、瑕疵担保責任保険に加入した住宅については、供託すべき保証金の算定戸数から除く。国土交通省が20日の自民党住宅土地調査会・国土交通部会合同会議に報告した。3月に閣議決定し、今通常国会に提出する。
住宅品確法では、売り主などに10年間の瑕疵担保責任を義務付けている。しかし、耐震偽装問題では偽装物件を販売した売り主が倒産して、その責任が果たされず、住宅所有者が大きな不利益を被った。
こうした状況を踏まえ、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案」は、保険や供託の仕組みを活用しながら、売り主に資力確保措置を義務付け、消費者保護を図ることにした。
具体的には、すべての新築住宅の売り主などに、住宅の供給戸数に応じた保証金を法務局に供託させることで、瑕疵による損害を賄うための資金を確保。売り主の倒産時などには、住宅所有者が法務局から還付を受けられる仕組みとする。
その一方、売り主などが販売する住宅に瑕疵担保責任保険を掛けた場合には、供託すべき保証金の算定戸数から除外。売り主倒産時などに際して、住宅所有者には、保険の引受主体として国土交通大臣が新たに指定する「住宅瑕疵担保責任保険法人」から、保険金が支払われることになる。
保険では通常、耐震偽装のような故意や重過失は適用対象とならない。このため、売り主が負担する保険の掛け金に一定金額を上乗せして、被害者救済のための基金を創設する方針だ。
住宅瑕疵担保責任保険契約を結んだ住宅の売り主などと、住宅所有者らの紛争を迅速・円滑に処理するため、紛争処理体制も拡充する。
【追加記事掲載】
きょう(2/28)の日経に、次の記事が掲載されていました。
1戸あたりの保険料が約8万円、保険を利用しない場合の戸住宅業者の供託金が大手業者で1戸当たり約4万円・・・
やはり、強制保険として導入するにはかなり高額すぎて、そこまで手当てする必要があるのか、正直疑問です。
(任意の瑕疵保証保険が既にあるわけですから・・・)
行政としてなすべきは、物件「検査」の品質確保策ではないでしょうか。
■[日本経済新聞 朝刊] (2007/2/28)
欠陥住宅補償、大手は1戸4万円供託・国交省案
国土交通省は27日、欠陥住宅を補償するために新築住宅の売り主に義務づける供託金について、年間1000戸を供給する大手で1戸あたり4万4000円程度とする案をまとめた。供給戸数が多いほど1戸あたりの額が安くなる仕組みで、年間供給が百戸程度の中小の売り主は1戸18万円の負担となる。供託以外の手段として新たに導入される掛け捨ての保険は1戸あたり8万円程度の見通しで多くの企業は保険を利用するとみられる。
供託・保険の義務づけは新築住宅の購入から10年間は売り主が支払い不能に陥っても欠陥住宅の補償を買い手が確実に受けられるようにする狙い。2009年度半ばをメドに一戸建てやマンションなどすべての新築住宅の売り主に義務づける。保険料や供託金を直接支払うのは売り主だが、最終的には住宅価格に上乗せされて、消費者負担になる可能性がある。
|
欠陥住宅は本当に怖いです。私も、つい疑ってしまいました。今のところ大丈夫みたいですが。しかし、購入前の不動産屋のせっつきは凄かったです。早くお金を貰いたいのか、完成していないのに、購入を迫るんです。もちろん、矛盾を指摘して、きっぱり断りましたが。
2007/2/27(火) 午後 9:26
うしこさん、素人には住宅の品質を可視化する手段が必要だと思います。住宅品質確保法に基づく「住宅性能評価制度」は、その答えのひとつになりうると思います。参考にこのブログ記事参照ください。住宅性能表示制度 http://blogs.yahoo.co.jp/iku_yamakawa/12920778.html?p=2&pm=l 瑕疵担保責任 http://blogs.yahoo.co.jp/iku_yamakawa/11851271.html?p=2&pm=l
2007/2/28(水) 午後 9:02
きょうの日経新聞に欠陥住宅保険に関するフォロー記事が載っていましたので、ブログ記事にも追記しました。保険料が1戸当たり約8万円になるという話です。もう・・・びっくりです。
2007/2/28(水) 午後 9:04
下手に瑕疵担保責任保証付けると手抜き工事増えそうで怖いですね。 よっぽど保険ない方が安心できます。この手の手抜き工事って口コミで広がって顧客減少になるのは目に見えてますから。 国が指示したって事は裏で何かありますね。アパの件も安倍さんが繋がっているのは周知の事実ですし、これからの対策のための布石でしょう。
2007/3/1(木) 午後 10:59 [ fin**ke ]