
全1巻 作:雨宮 智子 コミック・バーズ掲載(1999〜2000)/ソニー・マガジンズ
【あらすじ】
『Angie』(1999)
エリオット警部にとって、現職最後の事件になるであろう強盗殺人事件の被害者は、
アンジー・マコーエンという老婆だった。
監察医からの報告で、被害者の外性器に転換手術の跡があることを知った警部は、
さらに、遺留品のトレーディング・カードを見たとき、
少年の頃に出会ったサーカス小屋の不思議な少女との、幻のような記憶を思いだすのだった。
『Lady Noel』(1999)
クリスマス・イブの夜、妻を交通事故で失くして以来、
トッド・グラハムの人生は意味の無い乾燥し切ったものになってしまった。
そして、クリスマス休暇のある朝、全米家政婦協会からのプレゼントだといって、
無料奉仕にやって来た少女ノエル。
何をやっても賑やかな彼女との時間を過ごすうちに、忘れかけていたクリスマスを楽しむトッドだったが…。
『EAST WEST』(1999)
砂漠のど真ん中の田舎町“イーバーン”にあるウェラーの店。
たまにやって来るのはちょっと奇妙なお客ばかり。
新大陸を目指した開拓民の娘。
礼儀正しいエイリアンと人間の友だち。
そしてベトナム戦争で死んだ兵士の幽霊などなど…。
『ロレッタがいてくれたら…』(1999)
パトリックは、コソ泥稼業のその日暮し。
ところがある日、友人のハリーが金づるだと言って連れてきたのは、ロレッタという小さな女の子。
大富豪の娘であるロレッタを利用して、身代金をせしめようというハリーだったが、
気弱な二人はいつの間にかロレッタと仲良しになってしまう。
『REWARD −リワード−』(2000)
ヤバい組織からの借金で首が回らないクッキーは、相棒のシンディーと現金輸送車襲撃を敢行する。
首尾よく事を運んだ二人だったが、輸送車から出てきたのは、何と、冷凍された人間の精子だった。
ところがこの精子が、さる国の王様のものだったことから、事態は思いも寄らぬ方向に転がり始める。
『クウォランティーン −四十日間−』(2000)
火星がユートピアと呼ばれるようになった時代。
移住権利を与えられる限られた者に選ばれたケネスは、出航待機期間の40日間を故郷で過ごすことにする。
ところが、久しぶりに帰った家には、ノーラという女が住み着いていた。
そして、ノーラの男、ロビンまでが転がり込んで来たのだが、
そのことが、ケネスとノーラの人生を大きく左右することになる。
『Rhino −ライノ−』(1999)
アメリカ中西部を異常寒波が襲い、8月なのに雪が降る街で、エレノアのママが死んだ。
西部へ避難することを恋人ネイサンに迫られるエレノアだったが、ママの死体を放っては行けない。
しかし、太ったママは“持ち運び”ができない。
困ったネイサンが、取ったとんでもない方法とは…。
【感 想】
収められた七つの短編は、どれもアメリカン・テイスト(陳腐な表現ですが!)がいっぱいで、
まるで、懐かしい映画を観ているような気分にさせてくれる、そんな味わいのあるお話ばかりです。
どの話にも、どこかに軽妙な捻りや演出が加えられていて、
何回も読み返すと、ジワジワ味が染み出てくるような趣があると思います。
「Angie」はとてもノスタルジックな作品。話のつじつまの合わせ方が絶妙です。
「Lady Noer」は、最後の種明かしに、思わずニヤッとしてしまいます。
「EAST WEST」も、ああ、そうだったのかという仕掛けにびっくりさせられます。
「ロレッタがいてくれたら…」かわいらしい話ですが、短い中に運命の悲喜劇が凝縮されています。
「REWARD」意外な展開と、力強いラストが爽やかなお話です。
「クウォランティーン」シナリオがしっかりとした、読み応えのある作品です。
「Rhino」あっと驚くどんでん返しの妙。自分は見事に騙されてしまいました!
でも、騙された方が爽やかになれます!
この作者は、相当絵が上手いのではないかと思います。
少女漫画と少年漫画のいいところが、うまく融合された絵だと思います。
話だけでなく、絵としても、眺めて楽しい作品だと思います。
ちなみに、この漫画も手に入れるのに大変苦労した作品で、
古本屋14軒目にしてようやく発見することができました。
でも、探す価値はあると思いますし、読むたびに、面白さが増してくる不思議な作品であります。
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バーズコミックは置いているところ少ないですよね(^^;古本屋でも中々見かけないし、14軒目で手に入れられたのはある意味ラッキーかもですよ♪どの話もすごくきちんと構成されたストーリーだなと思います。こういうの読むと「あー上手いな〜」て単純に感心しちゃいますよね♪
2006/3/13(月) 午前 9:08 [ カリン ]
これも超マイナーだと思いますので、花梨さんがご存知で嬉しいです!!ごくわずかの作品しか発表されていない作家さんですが、とても質の高いお話を書かれる方だと思います。もっとたくさんの作品を読みたいのですが、もう5年くらい新作出されていないのが残念です!
2006/3/13(月) 午前 11:02