
全3巻 作:窪之内 英策 ビッグコミックスピリッツ掲載(1992〜93)/小学館
【あらすじ】
「世の中、すべてくだらないことばかり…、つまらないことばかり…。」
日々の生活にやりがいも目的も見出せず、ただ何となく毎日時が流れてゆくのを、
傍観者のように眺めていた高校生、時野妙子のまえに、何の前触れもなく、突然、ソイツは現れた。
はるか2万光年の彼方からやって来た「カナーイ星人」であり、
名前を「ワタナベ」と名乗った、抜群に怪しい格好のその男は、
宇宙大学の卒論研究のために地球にやって来たのだという。
妙な縁で、妙子の家にホームステイすることになった「ワタナベ」は、なぜかインド人の留学生として、
妙子の高校に通うことになるのだった。
そして…、人間という不思議な生き物の微妙な感情の機微に振り回されながら、
妙子とその家族を巻き込んでの、人間探求の日々を送ることになる「ワタナベ」なのであった!
【感 想】
この作品のような設定を持つ物語は、異なる2つの世界が接触することで起きるギャップの落差を
どのように面白おかしく演出していくのかが肝になると思うのですが、
そういう意味では、ややパンチ力に欠ける感じは否めません。
簡単に言うと、宇宙人「ワタナベ」が、すんなりと地球に馴染みすぎたのかもしれません!
主人公の造形については、なんせ作者の絵の上手さは折り紙付きで、文句はないのですが、
そのキャラづくりに関しては、何か中途半端で、期待ほど弾けたキャラクターにはならなかった感じです。
また、その他のキャラについても、コレは!と言えるような個性的なキャラが出なかったことも、
作品にインパクトを感じられなかった大きな要因かもしれません。
お話としては、異星人である「ワタナベ」が、見たり感じたりして受け止めたことを通じ、
現代の日本人が忘れかけている絆だとか努力だとか情熱だとかいうものの確かさを、
ギャグを交え、笑いを誘いながら再認識させようというのが作者の意図した物語の骨格だと思うのですが、
それぞれのエピソードで、それが十分に表現し切れていない、ちょっともどかしさを感じてしまいました。
話の流れだけの説得力で、最近の目の肥えた読者を納得させることは、なかなか難しいことですし、
ギャグのほうも、「ワタナベ」の造形や表情のおかしさだけに頼っていては、
段々飽きられてしまったのではないでしょうか。
ということで、全体的に上滑りな印象の強い作品でしたが、
この作者の絵のセンスについては、相変わらず相当なレベルにあると思います。
このライトでキレイで、洒落たセンスの光る描写力と、物語の内容が釣り合う作品が描かれた時には、
本当に鬼に金棒だと思いますので、新作には常に期待してしまう作家さんの一人であります。
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