当店では、相談に訪れた患者さんに当然のごとく漢方を処方していますが、主にエキス剤を中心に使いこなしています。
当然、漢方のメーカーごとに同じ漢方でも効果に雲泥の差があるので、漢方薬ごとに効果が鋭いメーカーを使い分けています。
初診の場合には、1時間程度しっかりとお話をお伺いし、あれやこれやと話を聞きながら、その人に適した漢方薬になるように2,3種類の漢方を組み合わせています。
患者さんに漢方処方する際に、絶対に考えていることは、
病気を起こしている原因が何(気・血・津液の問題、外邪の問題など)で、その原因がどこから生じているのか(五臓六腑の気機の異常など)を推察し、いかにして、その患者さんの気血津液の流れをスムーズにするか取り除くかが最重要なのは明白です。
鍼灸治療では、それを鍼1本で行うのですが、漢方はもっと緻密にその人の体で何が起こっているのかを推察し、それに合わせて実にさまざまな漢方を駆使しています。
例えば・・・
気虚性の多汗症の場合、汗がドッと出る理由として、衛気の虚によって腠理の開閉機能が衰えた結果、体内に巡る津液が漏れ出る。
しかも気虚によって津液が流暢に流れないために水邪となって皮膚表面に停滞してむくみなどが生じる。
そういう場合には防已黄耆湯を使うとよい。
とされていますが!
しかしこれら単体だけでは、そんなにシャープな効果を望めないことが多いのです。
なぜなら、防已黄耆湯の場合、なぜ気虚になったのか?
本来であれば、便や尿に行くべき水が、なぜ汗になる必要があるのか?
なんていう思考がないまま、気虚性の汗だから防已黄耆湯という形で処方しても、根本的な解決とはならないのである。(もちろんある程度効きますけどね!)
そういう場合に、もし気虚があっても、津液が腎まで流れず、三焦に欝滞している状況なのであれば、五苓散をつかって肺と腎をつなげながら防已黄耆湯を使ってもよいだろうし、三焦空間に気滞があり、そのために表に衛気がしっかりと巡らずに腠理のエネルギー不足によって、汗が漏れ出るというメカニズムがあるのであれば、枳実を使って、三焦の気の欝滞を取り除く必要があってもおかしくはないですよね!?
要するにどうやったら肌肉に停滞している水を尿中に引っ張ることができるのか?
気滞なら枳実で三焦空間を広げてもいいし、気虚が酷いなら黄耆をもっとたくさん使ってもいいし、水が停滞しているなら五苓散やヨクイニンなどの利水剤を使ってもいい。
気虚が腎気虚メインなら八味丸、脾気虚メインなら補中益気湯などを使い分ける必要もあるでしょう。
その病が栄養不足から生じていることもあります。(こういうときには栄養学が非常に役立ち、この栄養指導をするだけで劇的に体調がよくなる人も多いんですよ。)
重要なことは、その患者の体でどんな現象が起き、そしてそれがカラダの中でどのように作用しているのか?
を考え、そしてそこに東洋医学の理論であったり、栄養学の理論を重ねて、その人にマッチした漢方を処方し、普段の食事などについての話をするといいわけです。
こういう部分は鍼灸ではあまり深く考えないこともあるので、漢方の醍醐味といってもいいと思います。
こんなことを考えながら日々の臨床をこなすと、当然ながら体調がよくなる患者さんが増えるし、自分の自信にもつながるっちゅうわけです。
ホント、こういうことを考えながら薬を出してるんやで、というのはウチの患者さんにしかわからんやろうな〜。。。