無題
かきつばた
からころも
きつつなれにし
つましあれば
はるばるきぬる
たびをしぞおもふ
おなじみ「伊勢物語」の東下りの段。「かきつばた」の五音の文字をそれぞれ句の頭におく「折り句」がもちいられている。さびしい旅の途中でもあそび心をわすれない一行の「みやび心」。この何年か笑顔のつくれない小さな私にとって、当時の作者の「みやび心」を忘れない度量の深さに、頭の下がる思いがする。
愛する妻、あるいは親子・・・。この歌物語のように離れているほど一方的な思いはきっと募るのだろう。しかし実際は、どちらかが近づこうとすると、その気持ちの大きなズレに愕然とさせられることも多いようだ。どこかでつながろうと手をのばせば伸ばすほど、かえってそうすることで憎しみ
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