イソップ通信

世界は、広くて、深くて、面白い♪

全体表示

[ リスト ]

「夏至の森」

イメージ 1
 
アメリカの代表的な、ファンタジー小説作家、
パトリシア・A・マキリップの新作「夏至の森」を読みました。
すでに世界幻想文学大賞、ローカス賞などの賞を取っている作家なので、
力量があるのはわかっていたのですが、独特の世界が面白い。
日本でもファンタジー小説の分野は盛んで、よく売れているようですが、
僕は池上永一が好きなくらいで、それ以外はほとんど読みません。
それでも昔は、平井和正の「真幻魔大戦」なんか夢中で読みましたけどね。

さてこの「夏至の森」は、現代都会暮らしの若い女性を主人公にしながら、
彼女の故郷である田舎で、お爺ちゃんが死んだことから話が展開します。
すぐに田舎に帰るシルヴィアですが、深い森のある田舎には、
彼女がどうしても受け入れたくない、深刻な秘密があるのです。
今お婆ちゃんが住んでいる彼女の生家には、異界との境界があって、
昔からこの家では、境界を守るためのキルトが行われている。
だけどシルヴィア自身に、この異界の血が流れているらしいのです。

カタカナの登場人物が多くて、誰が何者だか覚えられないのですが、
巻頭ページに登場人物一覧があるので、時々それを見ながら読み進みます。
さらにこの小説では、章ごとに主人公が変わる珍しい手法なので、
ウッカリすると、誰の考えだか発言だかわからなくなって、
ところによっては、章題になっている人物名をまた巻頭で確認する。
こんな状態ですから、最初は読みにくい感じで進まなかったのですが、
実際に異界の者が登場するあたりからは、面白くて一気に読み進みました。

話の大元には、古い伝説が活かされているらしいのですが、
欧米の精霊や魔女の話は、僕には素養がないのでよくわからない。
だけど深い森を通して感じる、人間界とは違う何かの存在はわかるので、
素直に受け止めて読むと、森の奥の異界も次第に見えてくる。
お婆ちゃんとケルトの仲間は、縫い物によって結界を張っているけど、
実はお婆ちゃんの周囲にも、異界との交流をしている人たちだっていたのに、
そうした異界に通じる人たちは、ずっとそれを隠して暮らしていたのです。

ところがお爺ちゃんが亡くなって、シルヴィアが帰郷したときに、
遺言によって彼女が家の相続をするとなってから、事態が急に動き出します。
異界は本当に恐ろしい世界なのか、どうして愛し合う者がいるのか?
本当のことを言えなかった人たちが、従弟の失踪と取り替えっ子によって、
失踪した従弟を取り返そうと行動することから、話が急展開するのです。
読んでいるうちに、僕は僕なりに異界とは何かを考えさせられたし、
翻って人間とは何か、何をしているのかを考えさせられる作品でした。
 

パトリシア・A・マキリップの新作「夏至の森」は、↓こちらから購入できます。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4488520146?ie=UTF8&tag=isobehon-22

閉じる コメント(4)

Yahoo!アバター

マキリップは以前「妖女サイベルの呼び声」に挑戦して挫折した思い出があります〜><;
日本のファンタジー(特に最近)は、海外モノの二番煎じというか、
ゲーム的な趣のものが目立ちますので、
僕もほとんど目もくれない感じです。
ただ、荻原規子さんなどのような”日本の神話”物を書く人もいるので、
そのへんは、いつか読んでみたい気もしますが^−^;
ちなみに、池上さんはデビュー作を読んだだけですが、かなりハマりましたね〜♪

2011/3/5(土) 午後 5:20 にしむら

顔アイコン

池上さんはいいでしょ〜♪(*^_^*)
こんなにうまく書ける人がいるなら、自分は書かなくてもいいかな?
なんて、言い訳するにも自尊心を傷つけられずに済むくらい、
彼の作品は面白くて、特に「風車祭(カジマヤー)」は大好きでした!

2011/3/7(月) 午後 3:48 イソップ

顔アイコン

こんにちは〜

検索からです〜;^^
「確証には欠けるが、レオナルドは14から16歳の間にフィレンツェへ移ったとされる。画家見習いとしてヴェッロッキョの工房に弟子入りし、ボッティチェッリらと共に学んだ。この工房でヴェロッキオの絵画『キリストの洗礼』の一部を描いたが、その出来は師匠ヴェロッキオを驚愕させ、以後ヴェッロッキョは一切筆をもたなくなったという逸話がある。レオナルドに嫉妬したという説もあるが、工房の絵画部門は彼に任せて本業である彫刻に専念した、というのが真相らしい。」
私も多く同じときを持ちました
→「こんなにうまく書ける人がいるなら、自分は書かなくてもいいかな?」笑〜

2011/3/8(火) 午後 2:48 [ ]

顔アイコン

まあ、そんな気分に浸っているだけですが、(^_^;)
様々なことを考えてしまう人生において、
こうした世界に没頭して暮らせる作家と言われる人たちは、
果たして幸せなのか、考えてしまうこともあるのです〜
貴重なお話を紹介していただいて、ありがとうございました!

2011/3/9(水) 午前 3:34 イソップ

コメント投稿
名前パスワードブログ
投稿

閉じる トラックバック(1)

トラックバックされた記事

夏至の森

 幻想の語り手パトリシア・A・マキリップの「夏至の森」(東京創元社)。私はまだ読んでいないのだが、「冬の薔薇」という作品の続編に当たるようだ。 夏至の森パトリシア・A ...

2011/3/27(日) 午前 8:57 [ 本の宇宙(そら) [風と雲の郷 貴賓館] ]

トラックバック先の記事

  • トラックバック先の記事がありません。

芸能人・有名人の新着記事


.

イソップ
人気度

ヘルプ

Yahoo Image

検索 検索
  今日 全体
訪問者 131 341806
ブログリンク 0 410
コメント 11 22527
トラックバック 0 619
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

開設日: 2005/6/26(日)


プライバシーポリシー -  利用規約 -  ガイドライン -  順守事項 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2012 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.