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東京大学大学院の濱秋純哉氏との共著論文「社会保険料の帰着分析」を私のWebサイトで公開しました(http://www.e.u-tokyo.ac.jp/~iwamoto/Docs/2008/ShakaiHokenryonoKichakuBunseki.pdf )。社会保険料の帰着に関しては,濱秋氏との共同研究を続けており,
「社会保険料の帰着分析:経済学的考察」,『季刊社会保障研究』,第42巻第3号,2006年12月,204-218頁(http://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/data/pdf/18191802.pdf )
「A Reappraisal of the Incidence of Employer Contributions to Social Security in Japan」(http://www.e.u-tokyo.ac.jp/~iwamoto/Docs/2008/AReappraisaloftheIncidenceofEmployerContributionstoSocialSecurityinJapan.pdf )
を著しましたが,これに続くものになります。来年に東京大学出版会から出版される『社会保障財源の効果分析(仮題)』(国立社会保障・人口問題研究所研究叢書)に収録されます。
以下は拙稿の概要です。
本稿は,社会保険料の負担が最終的に事業主と労働者にどのように帰着するかについて実証分析をおこなう。事業主負担の帰着に関するわが国の実証研究は,完全に賃金に転嫁されるという結論からはじまって,部分的に転嫁される,まったく転嫁されない,逆方向の転嫁が生じるまで幅広い結果が得られており,評価はまだ定まっていない。われわれは岩本・濱秋 (2006)で,Tachibanaki and Yokoyama (2008)とKomamura and Yamada (2004)でそれぞれ得られた解釈が困難な結果(賃金への正の影響,賃金への完全な転嫁)は,推定式にトレンド変数を含めないことで見せかけの相関が生じたことと,事業主負担が内生的に変動するためにバイアスをもった推定結果が得られたことで説明できることを示唆した。
本稿では,この主張をさらに補強する分析をおこなった。まず,Tachibanaki and Yokoyama (2008)の産業別年次データを用いた分析において,分析対象から除外されていた労災保険の保険料率を事業主負担に含めて推定をおこなった。また,長期的な上昇トレンドを持つだけでなく,標本誤差によって生じると考えられる短期的な実質賃金の変動を示す鉱業と不動産業の標本を除外した推定もおこなった。この結果,トレンド項を加えて賃金の時系列的な上昇トレンドをコントロールするだけでなく,これらの2つの修正を加えることも,理論と整合的な負の係数を得るうえで重要であることが分かった。また,Komamura and Yamada (2004)の個別健康保険組合のデータを用いた分析では,手取り賃金と総人件費に対して,労働者と事業主がそれぞれ負担する保険料が与える影響,あるいは,事業主負担比率と労使の保険料合計が与える影響を推定した。これにより,保険料率が内生的であると考えれば,社会保険料の負担は労働者に部分的に転嫁されると解釈するのが妥当であるという結果を得た。
(関係する過去記事)
「社会保険料の事業主負担の帰着」
http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/9586731.html
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